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10月

164.チトニア

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朝のホームルームで土志田センセから木村君が見つかった話を聞いて皆で喚声をあげた後、センセから見ず知らずの場所には入らないようにと釘をさされた。木村君は昨日の内に病院に運ばれて、そのまま入院したっていう。足の骨はギプスで良さそうだけど、何日か動けなくてそこにいたみたいだから少し入院が必要みたいだ。運動部だからなのか沢山動くからか、動けない中でも食べ物とか飲み物はあったみたいで、それほど衰弱はしてないっていうから何日かで退院できそうだって久々に笑顔の浦野君が話してる。浦野君が言うことには、木村君は三浦のお化け屋敷の中に入って探索していたら、床が腐っていて地下室に落ちちゃったらしい。何年か人が住まないだけで家って、そんなに痛むんだって感心したんだけど。実際は三浦のお化け屋敷は設計が特殊で、南側の殆どがガラスばりなんだって。お化け屋敷探検の人達が忍び込むのにその窓を割ってしまって、そこから雨風にずっと曝されていた床が腐っちゃったってことらしい。そっかーって感心してしまうけど、そこに運悪く乗っちゃった木村君は不運としか言いようがないよね。しかも木村君の体がギリギリ通る分しか穴が開いてなくて、ドアを開けると丁度陰に隠れてしまう位置具合だったらしい。

すっごい不運としか言いようがないよね。そうなると。

夜の暗がりで忍び込んだ訳だから誰もみてる人がいなくて、しかも見えない穴に落ちて足の骨が折れてて立てない。不運続きの木村君は暗がりで出口を探して這って動いてしまったんだ。なので、昼間に探しに入った警察の人は穴には気がついたけど中を照らしても木村君が見えなくて、当の木村君は夜中這い回った疲れで寝ていたらしい。地下室だからスマホの電波も届かなくて、寝て起きては這って出口を探すを繰り返してたみたい。問題は地下室の出入口がその部屋に残されてたカーペットの下だって事に警察の人は気がつかなかったってこと。っていうのもお家の持ち主の三浦さんが何処かに行ってしまって、お家の詳しい事を知ってる人が殆どいないせいらしいんだけど。センセは何故か地下室の入り口を見つけたんだって。

「どうやって見つけたの?カーペットだったんでしょ?」

探偵小説好きな小林夏帆ちやんが、興味津々でセンセに食いついている。センセは呆れたように夏帆ちゃんの質問に偶々だと答えてるけど、警察の人も気がつかないのに何で夜に行ったセンセがそれを見つけたのかは正直私も他の子も疑問だ。運が良い事を確か果報者とか言うけど、そんなもんなのかな?他の人が一生懸命探しても見つからないのに、ちょっと見ただけで探し物見つける人っているもんね。って納得したのは私だけだったみたいで、香苗が休み時間に私と早紀ちゃんを引き連れて土志田センセのいる生徒指導室に乗り込んだ。

「納得出来ない!何で警察が見つけれないのを、夜に見つけるの?!」
「あー、見つかったんだから、それで良しとしとけ。」

センセが香苗の声に耳を塞いで、仕方なしに麦茶を注いでくれている。それでも納得出来ないを繰り返す香苗に、土志田センセは呆れ顔だ。信じてるって自信満々だったのにそこは納得しないんだってコソッと早紀ちゃんに言うと、早紀ちゃんは苦笑いしながら香苗の様子を眺めている。

「おかしいでしょ?!何で見つけたの?」

木村君に聞くと言う手もあるんだけど、暗がりにいた木村君がその答えを知ってるかどうかは少し疑問だ。追い回されたセンセは観念したみたいに、香苗に麦茶を手渡して私達にも麦茶を配る。

「わーかった、答えは地下室があるのを知ってる奴が居るんだよ。あの家に行ったらしいのは浦野と警察から聞いてたからもしかしてと思ったんだ。」

その答えに3人ともが目を丸くした。なんだ最初から知ってて行ったんだって納得したけど、三浦のお化け屋敷のことを知ってる人がいることの方が驚きだ。センセがここだけの話だと教えてくれたけど、三浦のお化け屋敷は2年ちょっとくらい前までは人が住んでたらしい。しかも、その家族の誰かと知り合いだったのが、センセのお友達で私にはミルクティのお兄さんでお馴染みのあの目付きの鋭い槙山さんなんだって。槙山さんは小さい頃よく三浦のお化け屋敷が、まだお屋敷だった頃に遊びに行っていて地下室があることも屋根裏部屋もあることも知っていたんだって。警察の人も聞きに行けばいいのにって思うけど、槙山さんは三浦さんの親戚でもないから気がつかないんだろうってセンセは言ってる。確かに小学校の時の友達に迄辿り着くには時間が足りないかも。つまりは孝君の家みたいな隠し部屋みたいな仕掛けのあるお家なんだ。だから、人が消えるみたいに噂されてるのかも。

「なんだ、最初から知ってたんだ。」
「お前、人をなんだと思ってるんだ。俺は探偵じゃないぞ。」
「いや、本気で自分だけで見つけたのならカッコいいかなって思ったのに。損した。」

香苗、ツーンは止めて、センセが微妙な顔になってるから。兎も角木村君が無事戻ってきたのが何よりなんだし、これで皆も安心してお化け屋敷の準備もできるじゃん。そういってから私と香苗は、また自分達が最初の実験台になるんだってことを思い出していた。
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