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10月
172.ストレプトカーパス
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10月29日金曜日。朝一番に全校集会になって教頭先生から生徒に怪我人はいるけど、命に関わるような事態にはなっていないと説明があった。他のクラスの子が話してたけど七組の小石浜さんが他校の同級生とライブに行っていて、ガスのせいで気を失って救急車で運ばれたらしいけどその時の事は何にも覚えてないし、目立った怪我もしてないという。他の子達の囁きに耳を傾けてると教頭先生が壇上から降りて、生徒会長の毛利先輩が登壇した。普段から先生達の信頼に答える立派な生徒会長だけど、顔つきは優れない。多分文化祭の事なんだろうなって皆も薄々思っているけど、やっぱり議題はその話だった。このまま実行するか、延期するか、中止するか、答えを決めるには、私達じゃ難しい気がする。そう思っていた矢先3年生の方で誰かが、手を挙げたのが見えた。
「今までの文化祭の収益も一部寄付にしてるんだし、実行して収益を寄付にするのもいいんじゃないか。」
先輩の良く通る声に、3年生達から賛同の声が上がる。確かに今までも収益は学校として施設とかに寄付しているし、やらないで準備したものを駄目にするよりは建設的な気もした。勿論延期って言う意見もあるけど。でも喫茶の予定のクラスでは食品の手配もしてしまっているから、延期にすると一回分の食品が駄目になってしまう。
「今の源川先輩だって。」
ヒソヒソと今の声があのバスケ部の源川先輩だって、クラスメイトが言っている。それ意外に建設的な意見が出るわけでもないし意見は納得できるものだったから、毛利先輩が多数決をとるまでもなかった。つまりは文化祭は決行で、その収益を被災の募金に寄付するってことだ。簡単に止めちゃえばとか延期って事ではない意見を出せるのって、やっぱり年上だってことなのかな。その答えに先生達も反対する様子もなくて、そのまま会場設営にそれぞれのクラスで活動することになった。クラスに戻ろうとする私達の後ろから、3年生の集団が歩いてくる。
「仁聖らしいよなぁ、よっ合理主義者!」
「何だよ、クラスの女子の料理をどうしてくれるって目見なかったのかよ?」
「あーあ、女装だ。」
笑いながら話している3年生の声に思わず振り返ると、集団の中の背の高い先輩とバッチリ目があってしまった。何処と無く雪ちゃんに似た感じなのは、髪の毛の色のせいかもしれないけど先輩の瞳は紅茶色じゃなくて深い藍色の瞳だ。私の視線に先輩は少し驚いた様子だけど、ニッコリと微笑みかけて来て私は驚いてしまう。
「なぁ、仁聖、年上の彼女文化祭って来んの?」
「どうかなぁ。聞いてみるかなあ。」
年上の彼女ってことは立場は違うけど源川先輩は、私と雪ちゃんみたいなんだ。源川先輩はクラスメイト達とワイワイしながら、私の横を擦り付けて歩いていった。そう言えば雪ちゃんは文化祭来てくれるのかなぁ、去年は衛と一緒に来てくれたけど今年はちょっと違う。そんなことを考えながら教室に戻ると、にこやかな大道具班に宮井と須藤はベランダ待機と言われた。
あああ!忘れてた!!実験台!!
※※※
設営がほぼ完了したところでセンセが顔を出して、横に智美君の姿を見つけて皆が安堵の声をあげているけど。何かもう、智美君がこのタイミングで現れるって言うのが。私と香苗の恨めしげな視線に、ベランダに顔を見せた智美君が目を丸くする。
「どうかした?二人とも。」
「何か、智美君がこのタイミングを待ってて来たみたいな気がする。」
「あたしもそう思う。」
私達2人の言葉に智美君が苦笑いして、ヒントは途中に全部あるから良く見て歩きなよと教えてくれる。長くお休みしてたけど思ったより元気そうで良かった。それはさておきクラスの脅かし役の子も今日は特殊メイクなしでやるからと言っているけど、正直そう言う問題じゃない。しかも、設営したら教室中迷路みたいになってるからって隣のクラスの中を通されるって。いいじゃん電気つけて中通しても。
そんなわけでとうとう実験台。
入り口で籤を引いてと言われて渋々ひくと、《小》って書いてあって何これ?って香苗と顔を見合わせた。籤の箱を持っていた小林夏帆ちゃんが何とも頼りない小さいペンライトを手渡してくる。
小って小さいの小?!!こんなとこは甘くしてよ!!
簾を掻き分けて中に入ると、足元すら見えない暗闇で目がなれるまで立ち尽くす。もう既に先に歩きたくない私と香苗の背後から、ヒンヤリする風が流れてくる。
『前にお進みください。10、9、8…。』
何でカウントダウン?!何か来るの?!おっかなびっくりソロソロと歩き出すとカウントダウンだけは止めてくれた。ペンライトの小さな光が頼りなくて、足元を照らしても先が見えないのに足元を何かが掠める。
「ひゃあ!!」
「何か触った!!」
足首にヒンヤリした何かが濡れた感触で触れて2人で悲鳴が上がった。もうその後は散々でクイズの答えが壁にあるからペンライトの光で探すとか、壁の穴の光った穴を押さないと後ろから何かが来るとか。それ意外にも扉を選んで開けるとお化けが立ってたり、上から突然簾が落ちてきて脅かしたり。桶の中にあるビー玉の中から、特定の色のビー玉を探すのなんて時間制限が早くって香苗が青と水色を間違え悲鳴をあげるはめになった。あんまり何回も脅かされて悲鳴をあげるもんだから、途中からバックヤードの近藤君とか若瀬君の笑い声がしてる。
もう、これ十分実験できたんじゃないの?!
これで脅かし役が真剣に脅かしにかかったら、誰か絶対泣かされる!その後の前夜祭で教頭先生からの恒例のお小言の後には土志田センセが相変わらず素知らぬ不利を通している。配布された後夜祭までのタイムテーブルのプリントを眺めながら、そうだ早紀ちゃんに相談してみようと思ってたんだって思い出していた。
「今までの文化祭の収益も一部寄付にしてるんだし、実行して収益を寄付にするのもいいんじゃないか。」
先輩の良く通る声に、3年生達から賛同の声が上がる。確かに今までも収益は学校として施設とかに寄付しているし、やらないで準備したものを駄目にするよりは建設的な気もした。勿論延期って言う意見もあるけど。でも喫茶の予定のクラスでは食品の手配もしてしまっているから、延期にすると一回分の食品が駄目になってしまう。
「今の源川先輩だって。」
ヒソヒソと今の声があのバスケ部の源川先輩だって、クラスメイトが言っている。それ意外に建設的な意見が出るわけでもないし意見は納得できるものだったから、毛利先輩が多数決をとるまでもなかった。つまりは文化祭は決行で、その収益を被災の募金に寄付するってことだ。簡単に止めちゃえばとか延期って事ではない意見を出せるのって、やっぱり年上だってことなのかな。その答えに先生達も反対する様子もなくて、そのまま会場設営にそれぞれのクラスで活動することになった。クラスに戻ろうとする私達の後ろから、3年生の集団が歩いてくる。
「仁聖らしいよなぁ、よっ合理主義者!」
「何だよ、クラスの女子の料理をどうしてくれるって目見なかったのかよ?」
「あーあ、女装だ。」
笑いながら話している3年生の声に思わず振り返ると、集団の中の背の高い先輩とバッチリ目があってしまった。何処と無く雪ちゃんに似た感じなのは、髪の毛の色のせいかもしれないけど先輩の瞳は紅茶色じゃなくて深い藍色の瞳だ。私の視線に先輩は少し驚いた様子だけど、ニッコリと微笑みかけて来て私は驚いてしまう。
「なぁ、仁聖、年上の彼女文化祭って来んの?」
「どうかなぁ。聞いてみるかなあ。」
年上の彼女ってことは立場は違うけど源川先輩は、私と雪ちゃんみたいなんだ。源川先輩はクラスメイト達とワイワイしながら、私の横を擦り付けて歩いていった。そう言えば雪ちゃんは文化祭来てくれるのかなぁ、去年は衛と一緒に来てくれたけど今年はちょっと違う。そんなことを考えながら教室に戻ると、にこやかな大道具班に宮井と須藤はベランダ待機と言われた。
あああ!忘れてた!!実験台!!
※※※
設営がほぼ完了したところでセンセが顔を出して、横に智美君の姿を見つけて皆が安堵の声をあげているけど。何かもう、智美君がこのタイミングで現れるって言うのが。私と香苗の恨めしげな視線に、ベランダに顔を見せた智美君が目を丸くする。
「どうかした?二人とも。」
「何か、智美君がこのタイミングを待ってて来たみたいな気がする。」
「あたしもそう思う。」
私達2人の言葉に智美君が苦笑いして、ヒントは途中に全部あるから良く見て歩きなよと教えてくれる。長くお休みしてたけど思ったより元気そうで良かった。それはさておきクラスの脅かし役の子も今日は特殊メイクなしでやるからと言っているけど、正直そう言う問題じゃない。しかも、設営したら教室中迷路みたいになってるからって隣のクラスの中を通されるって。いいじゃん電気つけて中通しても。
そんなわけでとうとう実験台。
入り口で籤を引いてと言われて渋々ひくと、《小》って書いてあって何これ?って香苗と顔を見合わせた。籤の箱を持っていた小林夏帆ちゃんが何とも頼りない小さいペンライトを手渡してくる。
小って小さいの小?!!こんなとこは甘くしてよ!!
簾を掻き分けて中に入ると、足元すら見えない暗闇で目がなれるまで立ち尽くす。もう既に先に歩きたくない私と香苗の背後から、ヒンヤリする風が流れてくる。
『前にお進みください。10、9、8…。』
何でカウントダウン?!何か来るの?!おっかなびっくりソロソロと歩き出すとカウントダウンだけは止めてくれた。ペンライトの小さな光が頼りなくて、足元を照らしても先が見えないのに足元を何かが掠める。
「ひゃあ!!」
「何か触った!!」
足首にヒンヤリした何かが濡れた感触で触れて2人で悲鳴が上がった。もうその後は散々でクイズの答えが壁にあるからペンライトの光で探すとか、壁の穴の光った穴を押さないと後ろから何かが来るとか。それ意外にも扉を選んで開けるとお化けが立ってたり、上から突然簾が落ちてきて脅かしたり。桶の中にあるビー玉の中から、特定の色のビー玉を探すのなんて時間制限が早くって香苗が青と水色を間違え悲鳴をあげるはめになった。あんまり何回も脅かされて悲鳴をあげるもんだから、途中からバックヤードの近藤君とか若瀬君の笑い声がしてる。
もう、これ十分実験できたんじゃないの?!
これで脅かし役が真剣に脅かしにかかったら、誰か絶対泣かされる!その後の前夜祭で教頭先生からの恒例のお小言の後には土志田センセが相変わらず素知らぬ不利を通している。配布された後夜祭までのタイムテーブルのプリントを眺めながら、そうだ早紀ちゃんに相談してみようと思ってたんだって思い出していた。
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