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11月
183.ハナキリン
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11月9日火曜日
うちのクラスでも二人めのインフルエンザ罹患者が小林夏帆ちゃんだった火曜日。香苗はもう熱は下がって明日には出てこれそうって話してたけど、まだまだ終息とはいかなそう。孝君と澤江君の関係は相変わらず険悪のまま。他のクラスメイトが心配してるから、出来れば孝君に逆境に耐えるつもりで表だけでも和やかに接してほしい所。
「澤江君。」
「仁でいいよ。」
「じゃ、仁君。学校の中案内しようか?」
「助かる。」
こんな感じで澤江君自体は、すごくフレンドリー。どっちかって言うと凄く話しやすい男の子だ。早紀ちゃんと一緒でも良かったんだけど、ちょっと彼と少し話してみたくて二人で校内をまわる。
宮内先輩と坂本先輩がベンチで並んで話してる中庭を通りながら、小さな噴水がある中庭を囲んだ校舎を説明。ここか屋上が校舎の説明はしやすいんだ。1年生の校内説明は大概中庭を使ってるくらい。
「ねぇ、仁君何で鳥飼さんちにいるの?」
「ああ、俺記憶喪失らしくって。」
はい?今さらっと凄いセリフ言わなかった?!私が驚いて彼を見上げると、彼は晴れた空を眺めるみたいにして至って平然としてる。え?あれ?驚くことじゃないの?それにしても鳥飼さんって、子供好きな上に世話好きなの?
「信哉が拾って助けてくれたから、預かってもらってる。」
拾う?!人って拾えるもんなの?!私がポカーンとしてるのに気がついて澤江君は、何かおかしな事言った?って顔をする。私もどう反応していいのか分からなくて、思わず聞いたのが、
「記憶喪失ってドラマみたいな?」
「どんなドラマ?」
そうだよね、そう答えるしかないよね。ちょっと正直混乱してしまったけど、澤江君自身は記憶がないって不安じゃないのかな。でも、こんなにサラッと重大発言してていいのだろうか。
「澤江君。」
「だから、仁でいいよ。」
「あ、仁君、あんまり記憶喪失って言わない方がいいかも。」
「そうか。」
記憶喪失のせいなのかな凄い素直に頷いてるけど、他の子に話したら騒ぎになりそうな気がする。面白がって見に来る子もいる気がするって話したら、彼はなるほどと納得したみたい。
「そうか。珍しい事だから面白がる奴もいるんだよな。」
「うん、そんな気はする。」
「最初に麻希子に話して良かった、ありがとう。」
ほんと素直にお礼を言って笑う仁君は、やっぱり何処と無く浮世離れしてて、これが記憶喪失のせいなのかな。元々こんな性格なのかもしれないけど、悪意とかの存在を考えていなさそうな感じなんだ。なんか知らないでて女の子とかに早くキスしてって言われたら、はいってしちゃいそうな全く疑う事を知らない感じ。
「多分俺、色々普通と違うこと言ったりしたりするだろうから、気がついたら教えてくれるか?」
「あ、うん、いいよ。」
「悪い、凄く助かる。信哉が学校で何か困ったら麻希子か智美に聞くようにって。」
え?私と智美君?鳥飼さんてば、そんなこと言ったの?って考えた瞬間、あれ?ってなった。何気なく聞いたけど、あれ?ってなる一言。
「何で智美君?」
私の言葉に仁君は意味がわからなかったみたい。うん、確かに仁君にはこれが何で疑問なのか分からないはず。だけど、私にとってはかなり疑問だ。だって、鳥飼さんと智美君って接点がないんだよ?いや、孝君とそれぞれは知り合いだし、鳥飼さんはセンセの幼馴染みだからクラスで有名な智美君の事は知っててもおかしくはないけど。誰かに困ったら頼れって話すのは、その相手の事をよく知らないと言えない言葉だよね。私は兎も角孝君と仲が良くないのは見てわかるけど、智美君の名前が出てくる理由って何?私の訝しげな顔に仁君は凄く不思議そう。一先ず校内を案内し終わった私は、教室に戻ってから智美君を密かに廊下に引っ張り出した。
「何?麻希。」
智美君は唐突な私の行動に驚いたみたいだけど、私にとってはさっきの疑問の方がだいぶ気にかかっている。
「智美君って、本当は鳥飼さんの事知ってるの?」
「鳥飼?誰の事?」
「しらばっくれても駄目だよ、仁君が鳥飼さんから困ったら私か智美君に相談しろって言われてるって。」
その言葉はかなり予想外だったみたいで、智美君の顔にあいつめって言うような表情が浮かんだ。やっぱり、ほんとは知り合いだったんだ!ってことはもしかして。
「もしかして鳥飼さんが『鳥飼澪』だから?」
私が思ったのは、智美君も好きな作家の鳥飼澪が鳥飼さんだから、何かで知ったんじゃないかって言うこと。それ以外で私と智美君が鳥飼さんに共通することって思い浮かばなかったんだもん。ところが、その言葉の方に智美君は目を丸くした。
「え?!彼が鳥飼澪?!」
「あれ?」
違った?いけない、違った!違うことで知り合いだったっ!ポカーンとしてる智美君に慌てている私。失敗しちゃった、鳥飼さんに内緒って言われてたのに。結局智美君には必死に口止めしたんだけど、智美君も実はだいぶ昔から鳥飼さんとセンセの知り合いだったらしい。私も逆に口止めされてしまった位だ。他の人の事までは知らないって言うから、雪ちゃんの事は知らないようだけど。何で秘密にしてたのって聞いたら、偶然学校に来たら担任が知り合いでばつが悪いからって。そんな理由?!まあ、確かに小さい時からの知り合いが、担任のセンセじゃやりにくいかぁ。
うちのクラスでも二人めのインフルエンザ罹患者が小林夏帆ちゃんだった火曜日。香苗はもう熱は下がって明日には出てこれそうって話してたけど、まだまだ終息とはいかなそう。孝君と澤江君の関係は相変わらず険悪のまま。他のクラスメイトが心配してるから、出来れば孝君に逆境に耐えるつもりで表だけでも和やかに接してほしい所。
「澤江君。」
「仁でいいよ。」
「じゃ、仁君。学校の中案内しようか?」
「助かる。」
こんな感じで澤江君自体は、すごくフレンドリー。どっちかって言うと凄く話しやすい男の子だ。早紀ちゃんと一緒でも良かったんだけど、ちょっと彼と少し話してみたくて二人で校内をまわる。
宮内先輩と坂本先輩がベンチで並んで話してる中庭を通りながら、小さな噴水がある中庭を囲んだ校舎を説明。ここか屋上が校舎の説明はしやすいんだ。1年生の校内説明は大概中庭を使ってるくらい。
「ねぇ、仁君何で鳥飼さんちにいるの?」
「ああ、俺記憶喪失らしくって。」
はい?今さらっと凄いセリフ言わなかった?!私が驚いて彼を見上げると、彼は晴れた空を眺めるみたいにして至って平然としてる。え?あれ?驚くことじゃないの?それにしても鳥飼さんって、子供好きな上に世話好きなの?
「信哉が拾って助けてくれたから、預かってもらってる。」
拾う?!人って拾えるもんなの?!私がポカーンとしてるのに気がついて澤江君は、何かおかしな事言った?って顔をする。私もどう反応していいのか分からなくて、思わず聞いたのが、
「記憶喪失ってドラマみたいな?」
「どんなドラマ?」
そうだよね、そう答えるしかないよね。ちょっと正直混乱してしまったけど、澤江君自身は記憶がないって不安じゃないのかな。でも、こんなにサラッと重大発言してていいのだろうか。
「澤江君。」
「だから、仁でいいよ。」
「あ、仁君、あんまり記憶喪失って言わない方がいいかも。」
「そうか。」
記憶喪失のせいなのかな凄い素直に頷いてるけど、他の子に話したら騒ぎになりそうな気がする。面白がって見に来る子もいる気がするって話したら、彼はなるほどと納得したみたい。
「そうか。珍しい事だから面白がる奴もいるんだよな。」
「うん、そんな気はする。」
「最初に麻希子に話して良かった、ありがとう。」
ほんと素直にお礼を言って笑う仁君は、やっぱり何処と無く浮世離れしてて、これが記憶喪失のせいなのかな。元々こんな性格なのかもしれないけど、悪意とかの存在を考えていなさそうな感じなんだ。なんか知らないでて女の子とかに早くキスしてって言われたら、はいってしちゃいそうな全く疑う事を知らない感じ。
「多分俺、色々普通と違うこと言ったりしたりするだろうから、気がついたら教えてくれるか?」
「あ、うん、いいよ。」
「悪い、凄く助かる。信哉が学校で何か困ったら麻希子か智美に聞くようにって。」
え?私と智美君?鳥飼さんてば、そんなこと言ったの?って考えた瞬間、あれ?ってなった。何気なく聞いたけど、あれ?ってなる一言。
「何で智美君?」
私の言葉に仁君は意味がわからなかったみたい。うん、確かに仁君にはこれが何で疑問なのか分からないはず。だけど、私にとってはかなり疑問だ。だって、鳥飼さんと智美君って接点がないんだよ?いや、孝君とそれぞれは知り合いだし、鳥飼さんはセンセの幼馴染みだからクラスで有名な智美君の事は知っててもおかしくはないけど。誰かに困ったら頼れって話すのは、その相手の事をよく知らないと言えない言葉だよね。私は兎も角孝君と仲が良くないのは見てわかるけど、智美君の名前が出てくる理由って何?私の訝しげな顔に仁君は凄く不思議そう。一先ず校内を案内し終わった私は、教室に戻ってから智美君を密かに廊下に引っ張り出した。
「何?麻希。」
智美君は唐突な私の行動に驚いたみたいだけど、私にとってはさっきの疑問の方がだいぶ気にかかっている。
「智美君って、本当は鳥飼さんの事知ってるの?」
「鳥飼?誰の事?」
「しらばっくれても駄目だよ、仁君が鳥飼さんから困ったら私か智美君に相談しろって言われてるって。」
その言葉はかなり予想外だったみたいで、智美君の顔にあいつめって言うような表情が浮かんだ。やっぱり、ほんとは知り合いだったんだ!ってことはもしかして。
「もしかして鳥飼さんが『鳥飼澪』だから?」
私が思ったのは、智美君も好きな作家の鳥飼澪が鳥飼さんだから、何かで知ったんじゃないかって言うこと。それ以外で私と智美君が鳥飼さんに共通することって思い浮かばなかったんだもん。ところが、その言葉の方に智美君は目を丸くした。
「え?!彼が鳥飼澪?!」
「あれ?」
違った?いけない、違った!違うことで知り合いだったっ!ポカーンとしてる智美君に慌てている私。失敗しちゃった、鳥飼さんに内緒って言われてたのに。結局智美君には必死に口止めしたんだけど、智美君も実はだいぶ昔から鳥飼さんとセンセの知り合いだったらしい。私も逆に口止めされてしまった位だ。他の人の事までは知らないって言うから、雪ちゃんの事は知らないようだけど。何で秘密にしてたのって聞いたら、偶然学校に来たら担任が知り合いでばつが悪いからって。そんな理由?!まあ、確かに小さい時からの知り合いが、担任のセンセじゃやりにくいかぁ。
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