Flower

文字の大きさ
290 / 591
12月

234.アナナス

しおりを挟む
12月30日 金曜日
今日は朝からとんでもなく忙しい。普通の家でもこうなのかな?兎も角家では朝からママとお手伝いの私はフル回転している。何がって?お節です!まずは煮物から始めるけど、殆ど同時に色々なことをしないとならない。家では田作り、黒豆煮、棒だらの煮付け、にしんの昆布巻き、高野豆腐の含め煮、筑前煮を作るんだ。一緒に漬け置きにしておくものも調理開始。海老の旨煮と数の子の漬け汁を作っている合間に、棒だらの煮付けを平行してママが作ってる。私は数の子の下拵えをして、その後は筑前煮の飾り切りの残りだ。
菊花かぶ、酢れんこん、たたきごぼう、なますも今日作っておくと、しっかりと味が染み渡るからってママがにしんの昆布巻きを作る横で、野菜を延々と切り続けている私。それにしてもすごく手間がかかるんだよね、お節料理って。最近よく買いたくなっちゃうって、スーパーでおばさん達が話してたのも分かる。何故かママは最近ローストビーフの作り方をおぼえたらしくって、今日作って寝かせておくって塊肉を取り出してるけど。何か作った端から熱湯消毒しておいたタッパーに入れて、玄関近くの寒いところに持っていって順番に置くのを繰り返してる。何かこれって冬ごもり前に食料を蓄えている………これ以上、言うのやめよう。せっかく冬休みで、そんなに言われてないのに。しかも、凄く忙しいんだから、一人モモンガでガックリしてる場合じゃない。

「麻希子が手伝ってくれるから、進行が早いわー。」
「毎年やってるし、そんなに変わんなくない?」
「でも、今年は早いわよ。」

そうかなぁ?休憩しながらとはいえ、既に午前中殆どお節に費やしてますが。それにしてもお節を買う人達って今の時間は、何をしてるんだろう。お出掛けとかしてるのかなぁ?もしかして今さら大掃除とか?でも、お仕事してたりしたら大掃除も大変だよねぇ、お節も一人分を作るのは物悲しいしなぁ。一人分なら買っちゃう方が確かにいいんだろうけど、一人でお節つつくのも何か切ないかも。そうなると独り暮らしとかって人はお節は確かに食べないのかもしれないなぁ。
そんなことを考えながら、独り暮らしかぁって考えてしまう。私はまだ独りで暮らしたことがないけど、独りでお家に帰ってって…どんな感じなのかなぁ。そんなことを考えながら何とかお節の準備が落ち着いて、私とママは溜め息で腰を下ろす。

「ねぇ、ママは独り暮らししたことある?」
「少しはね。」
「お節はどうしてたの?」
「仕事納めの後は実家に帰ってたからねぇ。」

あ、そっか。そう言うこともあるのか。そう言えば帰省で新幹線のニュースもやるし、海外に旅行って人達も大勢いるんだもんね。お節を食べないって人も多分一杯いるんだろうなぁ。独り暮らしかぁ。もし、大学生になったりしたら独り暮らしとかするのかな?あんまり考えてなかったけど、来年は受験生だしそう言うことも考えなきゃいけないのか。でも、もし独り暮らしになったら、もっと雪ちゃんと会う時間は増えるのかなぁ。リビングにいるパパの背中を眺めてたら、凄く考えちゃう私。独り暮らしもあるかもしれないけど、雪ちゃんのお家なんて事も有り得たりする?でも、それって同棲っていうのかな?そう言うのはやっぱり結婚するって決まってから?

うーん。考えてるとよく分かんないけど、お泊まりが普通になるんだよね。

一段落したからって階段を上がりながら、私はもう一回リビングのパパと話しているママの声を聞きながら階段から見下ろす。こうしてみるとあんまり今まで、家を出て暮らすって考えたことがなかったな。何かこのままずっとここに暮らしてるような気がしてたけど、考えたら大学生とか社会人になったらここから出て行くこともあるのかも。勿論このまま家から通うって言うのも、可能性としては充分あるんだろうけど。そんなことを考えるとちょっと感傷的な気分。

大人になるのってあっという間だってセンセもいってたけど、本当にそうなのかも。

だって、小学生の時の記憶もまだ鮮やかなのに、気がついたらお家を出ていくかもなんて考えてるんだもん。衛とか智美君の記憶はどんな風に見えるのかな。もっと鮮明に記憶が残っているんだろうけど、私ですらこんなに感じるんだからこんな考えも私よりもっと強く感じちゃうのかもしれない。階段を上がりきって自分の部屋に戻った私は、思わずベットに寝転んで考え込む。小さい時の記憶はあんまりないけど、それを思い出せるとしたらフォークロア・ゲートみたいに旅に出る気になるかな。久々にゲームのことを考えてるけど、どうなのかなって考えてしまう。リリアのように手紙が届いたら旅に出なきゃって思うかもしれないけど、そうでもなければ無理に思い出したいって感じないかも。忘れてて当然って言うのがあるような気がするなんて、都合が良すぎるかな。でも、ここ数ヵ月の事を振り返ると、忘れてもいいことってあるような気がする。大事なことも確かにあるけど、それだけに縛られてしまうのは悲しい事だよ。雪ちゃんもいってたけど幸せな記憶をたくさん作る方がいいんだけど、本当は幸せな記憶を作る方がずっと難しいんじゃないかな。2年生になってあった事を考えると、今さらだけどそんな風に思ってしまう。

今年は色々あったなぁ……。

香苗と木内梓と矢根尾って人と。早紀ちゃんと孝君と、智美君と仁君と鳥飼さんとセンセと。数えたらきりがない位色々有りすぎて、たった一年の間で沢山の事が変わった気がする。でも、一番変わったのは雪ちゃんと私なのかな?




しおりを挟む
感想 236

あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

処理中です...