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2月
281.スイートピー白
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2月15日 水曜日
昨日の夕方帰ってから、雪ちゃんと衛に渡すチョコを持って家を出た私。そろそろ夕暮れ時で道も暗くなっていて慌ててはいたんだけど、何しろケーキ片手だったからダッシュするわけにもいかない。そんな時に今朝の仁君の顔を思い出したら、何か道の影が恐くなってしまった。ホラー映画の心境だよね、何か変なんて表現を仁君てばするし、夕暮れ時の空気ってあんまり優しい思い出ってない。どっちかって言うと、年末のあの騒動みたいな別離の記憶の方が強い。住宅地だから人の足音がして当然なのに、何でか足音にビックリしちゃって振り返ったり。
うう、仁君のせいだ。
ホラー映画の襲われる女の子みたいな気分。しかも、疎らな人影は暮明に半分隠れてて、余計にお化けみたいに見える。横を通り過ぎていく人影もあるけど、何か均等な距離で観察されているみたいに感じてしまう。思わず足早になってしまうのは仕方がないことで、でも背後からの足音は距離が開くわけでもなくて段々不安になってきてしまった。まるで後をつけられているみたいな気分なんだもの。
うえーん、暗い道怖い!
って思ってたら後ろから走ってくるような足音が響いて、余計にビビってしまう。
「麻希子!」
遠くから駆け寄られて手を握られて思わずキャーってなったのは申し訳ないけど、走ってくる足音に完璧にビビっていました、はい。だってかなり遠くから走ってくるんだもん!雪ちゃんてば!まあ、雪ちゃんが遠目に私だと気がついて、駆け寄ってきたのが正解なんだけど。少し怒ったように雪ちゃんが口を開く。
「こんな暗いところ独りじゃ危ないでしょ?連絡したら待ち合わせられるんだから。」
あ、そっか。LINEで連絡とれるんだもん、そうすればよかったんだって素直に納得。独りホラー映画を堪能してビビっていた私がチョコを手渡すと、雪ちゃんはおかしそうに麻希子らしいけどねと笑う。どういうこと?って顔で見上げたら、嬉しいけどチョコを渡すのに一生懸命で、周りの事考えてなかったでしょ?って。
あう、おっしゃる通りです。
結局来た道を吹き返す夜道を手を繋いで歩く仄かな喜びを感じながら、そういえばって雪ちゃんを見あげる。私のもの問いたげな視線に気がついた雪ちゃんは何?って微笑みながら、私の顔を見下ろす。
「触りたいって、智雪的にはどんなことまで?」
正直なところ毎回何となく流されて抱き締められたりキスしたりしてるけど、改めてこの事を確認したことはないんだよね。この間ほぼ裸の雪ちゃんに抱き締められてて何もなかったと言うのにガッカリした自分に、正直なところ気がついてて、このガッカリはなんだろうと思ってる。でも、そういうの知らないで押し流されてしちゃっていいことでもないって言うのも薄々分かってて。
「僕………俺は…麻希子が許してくれるなら、全部。」
サラリと微笑みながら言われて、私は思わず目を丸くする。全部って、全部………?最後までってこと?雪ちゃんと最後まで…。想像するには、まだ頭が追い付いていないけど、最後までってことはつまりそう言うことなんだよね。
「麻希子がいいって思ってくれたら、今直ぐにでも欲しい。」
当然みたいにそう言われて、何か顔が熱い。雪ちゃんは結構情熱的なんだって分かったのと、思っているよりずっと女性として見られてるんだって今更理解した。ヤスに殴られるのは仕方ないかなと呟く雪ちゃんは、暗い夜道に微かにしか響かない小さな声で囁くように言う。
「絶対無理だと諦めてたのに、………11年越しの気持ちが通じちゃったから……たぶん、もう絶対離さない。」
何か微妙に自信があるんだか無いんだかって言う感じの台詞なんだけど、私が11年って…長いよねっていうと、うんって迷わずに微笑まれてしまう。
※※※
そんな風に言われて改めて、私は雪ちゃんと何処までって考えてしまう。好きだし、一緒にいたいし、でも、今までって正直なところ雪ちゃんは遠慮してくれてたんだとも思う訳です。だから、抱き枕とかにされても最後までってならなかった………と思いたい。ただ、単に子供扱いだったらそれはそれで悲しいんだけど、そうだったら全部っては雪ちゃんだって言わないと思う。坂本先輩とか源川先輩はどれくらい期間があったのかなぁ…でも、坂本先輩の彼氏さんは元々家庭教師さんだと聞いたから少なくとも年単位の関係なんだろうし、そういうのが人と同じになるかどうかって言うところもある。
それに世の中には3ヶ月くらいで結婚する人だっているわけで。キスすると気持ちよくなるし、足から力が抜けちゃうのはわかってるけど、その先ってどうなのかな。体験がないから想像も出来ないけど、最初は痛いとか気持ちよくないとか言う話もあるよね。
本当に最初って痛いのかなぁ。
とは言え考え込んでみても答えは結局出るわけでもないし、雪ちゃんはそういうつもりなんだって言うことは分かった。後は自分の気持ちと……やっぱりムードなんじゃなかろうか……。そうは言っても子育てしている雪ちゃんに、ムード……?
昨日の夕方帰ってから、雪ちゃんと衛に渡すチョコを持って家を出た私。そろそろ夕暮れ時で道も暗くなっていて慌ててはいたんだけど、何しろケーキ片手だったからダッシュするわけにもいかない。そんな時に今朝の仁君の顔を思い出したら、何か道の影が恐くなってしまった。ホラー映画の心境だよね、何か変なんて表現を仁君てばするし、夕暮れ時の空気ってあんまり優しい思い出ってない。どっちかって言うと、年末のあの騒動みたいな別離の記憶の方が強い。住宅地だから人の足音がして当然なのに、何でか足音にビックリしちゃって振り返ったり。
うう、仁君のせいだ。
ホラー映画の襲われる女の子みたいな気分。しかも、疎らな人影は暮明に半分隠れてて、余計にお化けみたいに見える。横を通り過ぎていく人影もあるけど、何か均等な距離で観察されているみたいに感じてしまう。思わず足早になってしまうのは仕方がないことで、でも背後からの足音は距離が開くわけでもなくて段々不安になってきてしまった。まるで後をつけられているみたいな気分なんだもの。
うえーん、暗い道怖い!
って思ってたら後ろから走ってくるような足音が響いて、余計にビビってしまう。
「麻希子!」
遠くから駆け寄られて手を握られて思わずキャーってなったのは申し訳ないけど、走ってくる足音に完璧にビビっていました、はい。だってかなり遠くから走ってくるんだもん!雪ちゃんてば!まあ、雪ちゃんが遠目に私だと気がついて、駆け寄ってきたのが正解なんだけど。少し怒ったように雪ちゃんが口を開く。
「こんな暗いところ独りじゃ危ないでしょ?連絡したら待ち合わせられるんだから。」
あ、そっか。LINEで連絡とれるんだもん、そうすればよかったんだって素直に納得。独りホラー映画を堪能してビビっていた私がチョコを手渡すと、雪ちゃんはおかしそうに麻希子らしいけどねと笑う。どういうこと?って顔で見上げたら、嬉しいけどチョコを渡すのに一生懸命で、周りの事考えてなかったでしょ?って。
あう、おっしゃる通りです。
結局来た道を吹き返す夜道を手を繋いで歩く仄かな喜びを感じながら、そういえばって雪ちゃんを見あげる。私のもの問いたげな視線に気がついた雪ちゃんは何?って微笑みながら、私の顔を見下ろす。
「触りたいって、智雪的にはどんなことまで?」
正直なところ毎回何となく流されて抱き締められたりキスしたりしてるけど、改めてこの事を確認したことはないんだよね。この間ほぼ裸の雪ちゃんに抱き締められてて何もなかったと言うのにガッカリした自分に、正直なところ気がついてて、このガッカリはなんだろうと思ってる。でも、そういうの知らないで押し流されてしちゃっていいことでもないって言うのも薄々分かってて。
「僕………俺は…麻希子が許してくれるなら、全部。」
サラリと微笑みながら言われて、私は思わず目を丸くする。全部って、全部………?最後までってこと?雪ちゃんと最後まで…。想像するには、まだ頭が追い付いていないけど、最後までってことはつまりそう言うことなんだよね。
「麻希子がいいって思ってくれたら、今直ぐにでも欲しい。」
当然みたいにそう言われて、何か顔が熱い。雪ちゃんは結構情熱的なんだって分かったのと、思っているよりずっと女性として見られてるんだって今更理解した。ヤスに殴られるのは仕方ないかなと呟く雪ちゃんは、暗い夜道に微かにしか響かない小さな声で囁くように言う。
「絶対無理だと諦めてたのに、………11年越しの気持ちが通じちゃったから……たぶん、もう絶対離さない。」
何か微妙に自信があるんだか無いんだかって言う感じの台詞なんだけど、私が11年って…長いよねっていうと、うんって迷わずに微笑まれてしまう。
※※※
そんな風に言われて改めて、私は雪ちゃんと何処までって考えてしまう。好きだし、一緒にいたいし、でも、今までって正直なところ雪ちゃんは遠慮してくれてたんだとも思う訳です。だから、抱き枕とかにされても最後までってならなかった………と思いたい。ただ、単に子供扱いだったらそれはそれで悲しいんだけど、そうだったら全部っては雪ちゃんだって言わないと思う。坂本先輩とか源川先輩はどれくらい期間があったのかなぁ…でも、坂本先輩の彼氏さんは元々家庭教師さんだと聞いたから少なくとも年単位の関係なんだろうし、そういうのが人と同じになるかどうかって言うところもある。
それに世の中には3ヶ月くらいで結婚する人だっているわけで。キスすると気持ちよくなるし、足から力が抜けちゃうのはわかってるけど、その先ってどうなのかな。体験がないから想像も出来ないけど、最初は痛いとか気持ちよくないとか言う話もあるよね。
本当に最初って痛いのかなぁ。
とは言え考え込んでみても答えは結局出るわけでもないし、雪ちゃんはそういうつもりなんだって言うことは分かった。後は自分の気持ちと……やっぱりムードなんじゃなかろうか……。そうは言っても子育てしている雪ちゃんに、ムード……?
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