Flower

文字の大きさ
508 / 591
二度目の6月

410.セントポーリア

しおりを挟む
6月22日 木曜日
部活動後に今日は智美君と香苗と『茶樹』へ。
気がついたけど週に二回とか三回は来てるんだよね……これって完璧に常連客だよなぁって今更だけど思う。しかもマスターさんにチョコチョコおまけとかして貰ってたり、サービスってして貰ったり…………。販売期限時間が近いからとか試作品だからとかって結構ご馳走になってるんだよね、実は。智美君なんか最近では鈴徳さんと新作の相談とかしてるのは何で?いつの間に?!色合いとかデコレーションは兎も角、ケーキの味まで記憶してるの?!って思ってしまう。あ、勿論ちゃんと他のお客さんの目を考えてしてくれてるよ?やっぱり他のお客さんのいるところで依怙贔屓って思うと、同じお客さんなのにいい気分はしないよね。っていうか、地味にマスターさんって他のお客さんにも同じようにチョコチョコと何かサービスしてる気がしなくもないんだけど……。だって常連さんって、やっぱり同じ顔ぶれなわけで薄々お互いに気がつき始めてて、段々と顔見知りになって会釈しちゃったりしてる訳なんだよね。勿論時間によって客層は違うとは思うけど、私がよく来る時間には大概同じ顔ぶれかも。それに割合私達って、あんまりお客さんがいない時に来てる気がしてるしなぁ。

うーん、それでも経営が成り立ってるってことは、ちゃんと利益があって、その利益ってどこから来てるんだろう……?

一応何時もご馳走では流石に申し訳ないから、少し前には一年生の如月君とも一緒に来て新規顧客を何て思ったんだけど結局鈴徳さんの新作御披露にかち合ってドリンク代金しか払わなくて良いよーって。うーん、経営大丈夫なのかなって思うけど、スタッフはもう新作で試作品出しても飽きちゃってて反応がないから頼むよーって言われるとね!これはいただくしかないでしょ!ね?!
それにお店のお客さんにも何だか仲良く出来る人が増えてるんだよね。外崎さん達でしょ?鳥飼さんもここで出会ってるし、あと松理さんもだし、マスターさんと何時も話している人とも会釈するようになっちゃったし。この間如月君と来た時、ちょうど了さんと鈴徳さんと話したら、後から如月君に真ん丸な目でこのお店でお客さんとお友達になったんですかって驚かれてしまった。えーと、マスターさんとか松尾さんとかとも仲良くさせてもらってますって言ったら、如月君に唖然とされたのは何で?
それはさておき『茶樹』で皆とお茶をしている内に来る筈だった雪ちゃんが来なくて、皆と別れた後少しだけ駅前の方に向かって歩き出した。そうしたら駅前から通りに入るところで、雪ちゃんと源川先輩が話してるのに出くわしたんだ。

「……そうでしたか、良かった。聞いてはいたんですけど……。」
「ああ、恭平が見舞いには来てくれてたし。」

あ、入院中の話かな?そっか、源川先輩の彼氏さん、知らない間に雪ちゃんのお見舞いに来てくれてたんだ。あれ?でもなんで知ってたのかな?とかって思ってたら、突然背後から肩を叩かれてひゃっ!!って声をあげてしまった。勿論雪ちゃん達も私に気がついたし、私も驚いて振り返るとそこには何でか五十嵐君。

いや、なんでこのタイミング?!

「よく会うね、宮井さん。お家まで送るよ?」
「えええと、あの。」
「モモ。」

うわぁ、何かこの状況って何ともし難い。既に雪ちゃんがブラック雪ちゃんのオーラを放ってるし、源川先輩までここに加わっちゃったら収集がつかない気がするぅ!小さな愛情で出会わなかったことにして、雪ちゃんと帰りたいだけなんだけど。

「宮井さんは、俺の事嫌ではないよね。ちゃんと、話してくれるし。」
「あ、えと、うん。クラスメイトだしね。」
「じゃ、俺は友達で良いよね?」
「うん、そうだね。」
「じゃ、友達と帰るのに、大人げなく牽制する彼氏ってのはどうかな?それって男として心が狭くない?」
「ええええ……と、」

こ、答えらんない!雪ちゃんが真面目に怒ってるけど、広い範囲で考えたら確かにお友達と帰るのダメって言われるのは……

「You are just splitting hairs.Stop splitting hairs!」

唐突に冷ややかな声でそう言ったのは源川先輩で、split hairs は確か字面通りにいえば「毛髪を裂く」。これは、ごく些細などうでもいい部分に、妙にこだわって論点を持っていくような様子を指す言い回しの事なんだよね。つまり「重箱の隅をつつく」ような有り様ってこと。論そのものは正しいとしても、それが「木を見て森を見ず」的な splitting hairs だったなら、屁理屈と呼ぶべき。ってのは何時だか智美君が言っていた。五十嵐君はその言葉にポカーンとして源川先輩を見つめているけど、源川先輩は呆れたように口を開いた。

「モモと仲良くしたいのは分かるけど、モモが困るようなやり方すんなよ。そういうやり方で割り込むなんて、お前の方が大人げない。」
「ウ……ウィル…………?」
「ウィリアムはミドルネームだし、バイトの時だけ。普段は源川仁聖。」

あーあ、先輩ばらしちゃって良いのかなぁ?って思うけど、先輩はそのまま五十嵐君を確保して、雪ちゃんにニッコリ笑うとじゃこれは俺が引き取るんでモモと帰ってくださいって天使みたいな笑顔で言う。雪ちゃんも暫く呆気にとられてたけど、何でかありがとうなんて言って賑やかに帰ろっかって。

…………雪ちゃん、いつの間に源川先輩と仲良くなったの?!



しおりを挟む
感想 236

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...