56 / 591
6月
48.トケイソウ
しおりを挟む
あの騒動の後香苗はそのまま教室には戻らなかった。そして、そのまま今日も休んでいる。それがどうだと言うことはないとも言えるんだけど、昨日の私達の行動の後に何か起きたのかクラスの子が教えてくれた。
私と早紀ちゃんが香苗をつれて駆け出した後、やっぱり面白がって後を追いかけようとした子達もいたらしい。そうしたら、突然冷ややかな声がそれを遮ったそうだ。
「そうやって人の事を追い回して、追い詰めるのが楽しい訳?暇人なの?」
辛辣だ。
しかも、その辛辣な台詞をあの香坂君が、座ったまま教室全体に響くような冷たい声でいい放ったと言うからそれは凄く怖かったと思う。もうあの美貌でそんな事言われたら、香坂君を信仰してる子達は震え上がるしかないと思う。私も聞いたら凍りつくと思う。お陰で眺めに来ていた他のクラスの子達の半分は、スゴスゴと自分のクラスに戻ったらしい。しかも、その後に香坂君に続いて真見塚君まで凍りついた視線で睨み付けたらしいものだから、他のクラスの子は完全に姿を消した。最初からしてくれればと思った子も居たみたいだけど、正直香苗と交流があるわけでない香坂君や真見塚君が頼まれもしないのにそんなことしてくれたら出来すぎだと思う。
その後土志田先生に私達3人が逃げ出した事の次第を伝えたのは、そこは委員長の真見塚君だったらしい。そう言われれば、お説教は確かにされたけど、私達はその前にちゃんと相談するべき人に相談しないで、勝手に逃げだしたことだけしか確かに怒られなかった。
今日は金曜日だし明日明後日と学校から離れたら、もう少し噂が落ち着いてくれたらいいと私は思う。昨日の事をボンヤリ考えながら、窓辺で何時もと変わらず本を読んでいる早紀ちゃんの姿を眺める。
穏やかに見えて実は凄く情熱的で一途な早紀ちゃん。
一生懸命真見塚君を思い続けて聖なる愛なんて言ったら大袈裟だけど一途な早紀ちゃんの綺麗さは、彼女の内面から湧き出てくるもののような気がする。壮大な美なんて言ったらオーバーかもしれないけど、長い時間をかけてただ一心に1人の人を想って一生懸命な彼女は凄く綺麗だと思う。あんなに綺麗な心だから昨日みたいな空気の中で泣き出してしまった香苗の姿を、そのまま無視することができなかったんだと思う。私はあのままだったら、きっと蚊帳の外みたいな顔をして眺めていただけたった。
凄いなぁ、早紀ちゃんは。
どうしたら、早紀ちゃんみたいになれるんだろう。
私も出来たら、そうありたいと思うんだけど。
「いいなぁ。」
突然呟いた声に目の前の若瀬君の背中が、ビックリするのが分かる。あ、隙間から見えるけど若瀬君授業に関係しないことしてるから、見られたと思ってビックリしたのかな。そう思わせたままなのも可哀想なので、トントンと背中を指で叩く。
「な、な、なに?宮井。」
「中身までは見えてないよ?もしかして見られると困るのだった?」
違うと若瀬君は慌てて首をふり、あまりまじまじと見たことのない同級生の顔を私は興味津々で眺める。頭はいいけど少し取っつきにくい若瀬君は、お家のクリニックの跡継ぎになるためお医者さんになるのが目標だ。なので、何時も学年で必ず3番までに入っている。うちの学校は中間テストでは期末と違って廊下に掲示されないけど、たぶん今回もそうだったんだと思う。
「なんか数学っぽい?記号しか見えてない。」
「記号じゃないよ、プログラム。」
「プログラム?」
「宮井、ゲームとかしないの?」
「してるよ?今フォークロアゲートやってる。」
若瀬君も知っていたらしく眉が少し上がり、彼にしては珍しく私の方に体の向きを変えた。
「海の国の隠しキャラ見つけたか?」
あれ?この会話前もしたことあるとどこかで思いながら、私は若瀬君の顔を机に伏しながら見上げる。
「リリア?ロウ?」
「今ロウだけど、リリアでも見つけれない。」
そうだ、前回は早紀ちゃんと話したんだった。でもあれから大分たって今の私はどちらの主人公も海の国のはクリアしてるのでその質問は容易いことなのだ。私が知っていると言いたげにニヤリと笑うと、若瀬君は目を丸くして顔を乗り出す。暫し二人で海の国の地形と目印になる珊瑚の樹の位置を確認するのに静かに盛り上がっていると、不思議なものを見るように早紀ちゃんが歩み寄って来ていた。
「麻希ちゃん?」
「あ、早紀ちゃん、あのね、若瀬君もフォークロアゲートやってるんだよ。」
そうなんだと花のように笑いかける早紀ちゃんに、若瀬君が頬を染めるのを見て私はあれ?となった。何か女の子とはちょっと違うけど、もしかしたら若瀬君は早紀ちゃんの事気になっているのかなと思ったり。そんなこと考えながら休憩時間が終わりかけ、早紀ちゃんが席から離れていくと若瀬君が溜め息混じりで呟く。
「宮井、志賀さんと仲いいんだな。」
「あァ、うん。早紀ちゃんは凄くいい子だよ?」
私の何気ない一言に一瞬若瀬君の表情が変わったのを見て止めて、私は偏見ではなく若瀬君って可愛い顔するんだなあ何て思う。
その後授業が始まって暫くして、私は若瀬君にプログラムって何って聞き忘れたのを今更思い出していた。
私と早紀ちゃんが香苗をつれて駆け出した後、やっぱり面白がって後を追いかけようとした子達もいたらしい。そうしたら、突然冷ややかな声がそれを遮ったそうだ。
「そうやって人の事を追い回して、追い詰めるのが楽しい訳?暇人なの?」
辛辣だ。
しかも、その辛辣な台詞をあの香坂君が、座ったまま教室全体に響くような冷たい声でいい放ったと言うからそれは凄く怖かったと思う。もうあの美貌でそんな事言われたら、香坂君を信仰してる子達は震え上がるしかないと思う。私も聞いたら凍りつくと思う。お陰で眺めに来ていた他のクラスの子達の半分は、スゴスゴと自分のクラスに戻ったらしい。しかも、その後に香坂君に続いて真見塚君まで凍りついた視線で睨み付けたらしいものだから、他のクラスの子は完全に姿を消した。最初からしてくれればと思った子も居たみたいだけど、正直香苗と交流があるわけでない香坂君や真見塚君が頼まれもしないのにそんなことしてくれたら出来すぎだと思う。
その後土志田先生に私達3人が逃げ出した事の次第を伝えたのは、そこは委員長の真見塚君だったらしい。そう言われれば、お説教は確かにされたけど、私達はその前にちゃんと相談するべき人に相談しないで、勝手に逃げだしたことだけしか確かに怒られなかった。
今日は金曜日だし明日明後日と学校から離れたら、もう少し噂が落ち着いてくれたらいいと私は思う。昨日の事をボンヤリ考えながら、窓辺で何時もと変わらず本を読んでいる早紀ちゃんの姿を眺める。
穏やかに見えて実は凄く情熱的で一途な早紀ちゃん。
一生懸命真見塚君を思い続けて聖なる愛なんて言ったら大袈裟だけど一途な早紀ちゃんの綺麗さは、彼女の内面から湧き出てくるもののような気がする。壮大な美なんて言ったらオーバーかもしれないけど、長い時間をかけてただ一心に1人の人を想って一生懸命な彼女は凄く綺麗だと思う。あんなに綺麗な心だから昨日みたいな空気の中で泣き出してしまった香苗の姿を、そのまま無視することができなかったんだと思う。私はあのままだったら、きっと蚊帳の外みたいな顔をして眺めていただけたった。
凄いなぁ、早紀ちゃんは。
どうしたら、早紀ちゃんみたいになれるんだろう。
私も出来たら、そうありたいと思うんだけど。
「いいなぁ。」
突然呟いた声に目の前の若瀬君の背中が、ビックリするのが分かる。あ、隙間から見えるけど若瀬君授業に関係しないことしてるから、見られたと思ってビックリしたのかな。そう思わせたままなのも可哀想なので、トントンと背中を指で叩く。
「な、な、なに?宮井。」
「中身までは見えてないよ?もしかして見られると困るのだった?」
違うと若瀬君は慌てて首をふり、あまりまじまじと見たことのない同級生の顔を私は興味津々で眺める。頭はいいけど少し取っつきにくい若瀬君は、お家のクリニックの跡継ぎになるためお医者さんになるのが目標だ。なので、何時も学年で必ず3番までに入っている。うちの学校は中間テストでは期末と違って廊下に掲示されないけど、たぶん今回もそうだったんだと思う。
「なんか数学っぽい?記号しか見えてない。」
「記号じゃないよ、プログラム。」
「プログラム?」
「宮井、ゲームとかしないの?」
「してるよ?今フォークロアゲートやってる。」
若瀬君も知っていたらしく眉が少し上がり、彼にしては珍しく私の方に体の向きを変えた。
「海の国の隠しキャラ見つけたか?」
あれ?この会話前もしたことあるとどこかで思いながら、私は若瀬君の顔を机に伏しながら見上げる。
「リリア?ロウ?」
「今ロウだけど、リリアでも見つけれない。」
そうだ、前回は早紀ちゃんと話したんだった。でもあれから大分たって今の私はどちらの主人公も海の国のはクリアしてるのでその質問は容易いことなのだ。私が知っていると言いたげにニヤリと笑うと、若瀬君は目を丸くして顔を乗り出す。暫し二人で海の国の地形と目印になる珊瑚の樹の位置を確認するのに静かに盛り上がっていると、不思議なものを見るように早紀ちゃんが歩み寄って来ていた。
「麻希ちゃん?」
「あ、早紀ちゃん、あのね、若瀬君もフォークロアゲートやってるんだよ。」
そうなんだと花のように笑いかける早紀ちゃんに、若瀬君が頬を染めるのを見て私はあれ?となった。何か女の子とはちょっと違うけど、もしかしたら若瀬君は早紀ちゃんの事気になっているのかなと思ったり。そんなこと考えながら休憩時間が終わりかけ、早紀ちゃんが席から離れていくと若瀬君が溜め息混じりで呟く。
「宮井、志賀さんと仲いいんだな。」
「あァ、うん。早紀ちゃんは凄くいい子だよ?」
私の何気ない一言に一瞬若瀬君の表情が変わったのを見て止めて、私は偏見ではなく若瀬君って可愛い顔するんだなあ何て思う。
その後授業が始まって暫くして、私は若瀬君にプログラムって何って聞き忘れたのを今更思い出していた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる