聖少女暴君

うお座の運命に忠実な男

文字の大きさ
36 / 41
第四章 対抗試合! 茶道部に勝て

4-12 ハメはルール違反です

しおりを挟む
 超必殺技が極まったあともキースとフランクの距離はそれほど離れていない。

 九条さんはすごかった。劣勢のまま後退するのを良しとせず、逆に前ダッシュで近づいた。フランクは接近戦が苦手だが技が存在しないわけじゃない。連続技のテクニックを彼女は持っている。油断すれば一瞬で負ける。

 フランクがキースに接近してコンボを極めようとする。
 フランクの魔杖による攻撃よりキースの手刀のほうが早かった。

「よいしょ。くるくるっと」
 その手刀のモーション中に必殺技のコマンドを入力する。レバー一回転+パンチ。
くるくるとキーを回す。

 手刀がヒットすると同時にモーションがキャンセルされて投げが発動。
 キースの必殺技『ばりばりに引き裂いてやる』が極まる。キースのKO勝ちだった。

「鳴海さん、いつの間にキャンセルを使いこなせるようになったのかしら」
 背後で折笠さんの感嘆の声があがる。


 第二ラウンド。
 九条さんは戦法を変える。
 無駄な攻撃をださずにこちらが近づいてくるのを待っている。そして静かにゲージを溜める必殺技をだしている。

 わたしも無理に近づこうとせずゲージをMAXまで溜めた。
 フランクが『ファイヤーボール』を放ち、それを追いかけるように接近してくる。なにか狙っている。

 わたしが『ファイヤーボール』を直前にガードしてPディフェンスを発動させようとした矢先、画面が暗転した。

 フランクの超必殺技『マイクロブラックホール』だ。無数のマイクロブラックホールがキースに襲いかかる。しかも画面が暗転したことで最初のファイヤーボールをガードするタイミングをずらされてしまった。


 直撃だった。マイクロブラックホールを喰らうと一定時間行動不能になる。
 無防備になったキースにフランクが魔杖を連打。そこからの連続技がヒット。キースはKOされてしまった。第二ラウンドは九条さんがとった。

 室内は静まりかえり、ゲームのBGMとキャラクターボイスのみが響き渡る。いつの間にか室外には夕闇が訪れていた。
 みんな固唾を飲んでわたしと九条さんの対戦を見守っている。

 第三ラウンド。
 フランクは超必殺技を放って空になったゲージを再び溜めようとする。それを許すわけにはいかない。逆にわたしはゲージが最大まで溜まっている。

 フランクの『ファイヤーボール』と『ライトニングスフィア』が交互に放たれるがそれをいちいちガードせずジャンプで飛び越える。ジャンプ中にコマンド入力。
 着地と同時にフランクにコマンド投げ『ばりばりに引き裂いてやる』が極まる。

「くっ」
 九条さんが目を細めた。

 さらに地面に叩きつけられたフランクが起き上がる瞬間に手刀を重ねてコマンド入力。フランクは手刀をガードした。

 わたしは手刀をキャンセルして超必殺技『なにも知らないやつらに思い知らせてやる! おれの見た地獄を‼』を放った。フランクはガード姿勢を取っていたが、投げはガード無効。キースの超必殺技は投げ技だ。直撃したフランクはKO!
 
 わたしの勝ちだ。

「いまの、ハメじゃないですか?」
 鳳女子茶道部員の七瀬さんが挙手して指摘した。

 ハメってなんだろう。わたしは心臓が高鳴った。

 あとで姫川さんから受けた説明によればハメとは格闘ゲームの禁じ手。対戦相手がまったくなにも対処できない状況に追い込む連係、KOになるまで続ける連続技など。

 ハメの定義はさまざまだが多くのゲームセンターではハメは禁止行為とされているそうだ。

 わたしはルール違反をしてしまったの?

次回へつづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...