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意図
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午前の講義を終え、大学の敷地を出て、走る。陽炎が車のナンバーを歪める暑い熱い街中を、走る。
喫茶店の前で顔と首の汗を拭い、よく分からないが女子愛用だとポップ広告に書いてあった良い香りのするウェットティッシュで汗が一時的に消えた肌を濡らす。ひんやりするし良い香り……どうして今まで買ってこなかったのかと後悔した。
気を取り直して扉を開ける。リンリンという鈴の音は俗界とこの喫茶店という別世界の線を超えた合図だ。
「いらっしゃい……おや、昨日の学生さん」
アイスコーヒーを飲んだだけの客のことを覚えているなんて……それだけ客が少ない、いや、店主の物覚えがいいのだろう。
「また来ました、えっと……とりあえず、アイスコーヒーを……」
そう言いながら昨日と同じ席に座り、メニュー表を見る。彼は昨日ショートケーキを食べていた、美味しいのだろうか、共有したいな。甘いものはあまり好きではないけれど頼んでみようか。
「少々お待ちを……」
ひとまずは珈琲を待とう。
豆を挽く心地良い音と香りを楽しみながら、目だけで店内を見回す。彼は居ない。
昨日は何時に来たんだったか……昼食を終えた後だったから今よりは遅かった。あぁそうだ、昼食を忘れていた。サンドイッチだとかはあるだろうか。
再びメニュー表に目を落とすと左半身に熱風、耳に涼しい鈴の音が届けられた。
「お待たせしました。いらっしゃいませ」
店主はアイスコーヒーを僕に渡し、今入ってきた客を出迎える。こんな静かな店でも昼時はそれなりに忙しいだろう、でも僕はこれからベーコンとマッシュポテトとかいう美味しそうなものを注文する。忙しくさせて悪いが売り上げには貢献するのだ、許してくれ。冗談めかして考えつつ、新しい客が注文を終えたら頼もうかとタイミングを待つ。
「隣、構いません?」
甘い声が鼓膜を揺らす。黒い革手袋と真っ白い肌が視界の端に揺れる。
まさか、今、入って来たのは──
いや、それより彼が話しかけているのは──
「ナギさん、今日はカウンター?」
「ええ、ちょっと…………ね」
ナギだ。あの絵画のような美しい人が隣に居る。彼の手は僕の隣の椅子に置かれている、彼が僕に話しかけているのは誰にだって分かる、けれど僕は硬直してしまって返事が出来ないでいた。
「……隣座られるの嫌ですか? すいません……」
返事よりも噴き出す冷や汗をどうにかしたいなんて考えていると彼の手が椅子を離れる。
「あっ! い、いや、すいません! ちょっとボーッとしてっ……ど、どうぞ!」
気持ち悪くも裏返り、加減を間違えた音量の声を上げ、隣の椅子を引く。
「…………ありがとうございます」
美しい声に安心したような笑いが混じり、彼の手がまた椅子に戻る。それと同時に僕は手を引き、姿勢を戻した。
「ココアとショートケーキ」
「いつものですね」
店主は席に関する小さな騒動の間に用意していたケーキを彼に渡す。
「ココアは少々お待ちを……」
ケーキ……そうだ、彼がケーキを食べる様が見たいと思っていた、昨日夢にまで見た。どこから食べるのだろう、苺はどんなふうに──いや、どうやって観察すればこれ以上の不審人物にならないのかを先に考えなくては。
フォークと皿が擦れる音が聞こえた。迷っている暇はない、行儀は悪いが頬杖をついて横目で見れば不自然さは限りなく低いだろう。
革手袋をしたままの手が銀色のフォークを摘んで、その三又を苺に刺す。薄桃色の唇が上下に分かれ、苺を挟む。彼の唇はどんな感触だろう、今唇を重ねたら苺の味がするのだろうか。いや、唇だけでは足りない、僕はもっと深く彼が欲しい。
「お待たせしました」
空いていた手がココアを受け取り、ショートケーキの斜め右上に置く。僕は彼のその動きと店主の声に我に返り、妄想から脱出した。
「…………す、すいません、トっ……いえ、お手洗い、ありますか?」
「そこの奥です」
「ありがとうございます、すいません……」
鞄を抱え、トイレに飛び込む。もたつく手でベルトを外して、ファスナーを下ろし、下着と一緒にジーンズを少しズラし、熱を持ったものを握る。
「どうしてっ……」
トイレットペーパーを乱雑に巻き取り、先端を押さえ、苛立ちを誤魔化すように激しく扱く。
「なんで、なんなんだよっ……僕、なんなんだよっ!」
美しい人を見たくて店に来て、ケーキの食べ方が知りたくて観察して、彼が苺を口に運ぶ様を見て、それだけで──
「…………っ! ふ……ふっ、ぅ……うぅ……なんなんだよぉ……」
──勃たせるなんて、なんて気持ちの悪い人間だろう。
僕の気持ち悪さを象徴する粘っこい液体を同じ色のトイレットペーパーに包ませて便器に放る。壁に背を預け、自己嫌悪で涙を零した。
証拠を水に流して、服を整え手を洗い、顔も洗う。臭いはないかと手を嗅ぎ、念の為にあのウェットティッシュで拭った。すると途端に良い香りが鼻に届く。
「便利……」
ぼうっとしていたからか思考が口に出る。思わず口を抑え、今口走ったのがどうでもいいことで良かったと安堵する。もう二度と思考を音にするなと口を硬く閉じ、席に戻った。
「……ぁ、おかえりなさい、学生……さん?」
鞄を椅子の下に置いていると彼が声をかけてきた。自己嫌悪を膨らませながら、脳を蕩かすような快感を覚えながら、視線を上げる。
彼と目が合った。
矮小な僕を映したのは眼帯に隠されていない左眼。いつか雑誌で見た欧州の海のような、淑女を飾る宝石のような、微かに翠が混じったようにも見える美しい青い瞳。
「ぁ、えっと…………痛っ!?」
見蕩れていては不審に思われると慌てて返事をしようとして、立ち上がろうとして、カウンターに頭を打つ。
「えっ……大丈夫ですか?」
思い切り打ち付けてしまった。痛みに蹲ると革の感触が頭を押さえた手に与えられる。
「すいません……変なタイミングで声かけて」
彼の声が近くで聞こえる。まさか、僕を心配して屈んでいる? 僕の頭に手を添えている? 今顔を上げれば美しい瞳を間近で観察できる?
「大丈夫……です、気にしないでください。僕がどんくさいだけですから」
昨日からずっと間近で見たかった美顔があるのに僕は視線を落としてしまう。彼の顔は見えない、その少し下に──痩せているからかハッキリと浮かんだ首筋と鎖骨に目を奪われる。
指を、舌を、這わせたい。その肌の感触と味が知りたい、彼にも同じことを僕にして欲しい。
「……ごめんなさい、もう帰ります。えっと……だ、大学、講義そろそろ始まっちゃうんで。あ、お会計、これで。それじゃっ……!」
千円札をカウンターに叩き付け、鞄を抱えて逃げた。
変に思われただろう、不審がられただろう、気持ち悪い人間だとバレてしまった。
「…………何やってんだよ、僕……」
僕が受けるべき講義は今日はもう無い。千円じゃ倍額だ。
「……本当、気持ち悪い」
鞄を抱えて猫背になり、周囲を見回す。ゲームセンターを見つけてそこに入り、トイレを借りた。
「ナギ……さん」
苗字なのか名前なのか、あだ名なのかすら分からない。そんな名を呟きながら下着とジーンズを下ろし、再び性器に手を這わせる。
「はぁっ……ナギ、さんっ……呼んで、僕の名前呼んで……」
何度か聞いた彼の声を反芻し、脳内で自分の名前を再現する。彼の姿を思い浮かべ、目を閉じ、隣に立っているのだと妄想する。僕に触れる手は僕のものではなく彼のものだと妄想する。
「ごめんなさいっ、こんなことさせて、ごめんなさいっ……」
シャツを捲り上げ、胸元に手を這わせる。
「ナギさんっ、そっち……ぁ、はい、してます……自分で、いつもしてますっ……ごめんなさい……」
彼はこんな激しくはしない。そう思い浮かんで、陰茎を扱く手と乳首を抓る手を優しく変える。
「ふっ……ふぅっ……ぁ、ナギさん……僕の名前呼んでぇ……お願い、ナギさん……」
優しく変えても自分を焦らし続けることなんて出来ず、結局素早く扱いてしまう。もう少しだろうというところで胸元の手を引いて、トイレットペーパーを乱雑に巻き取り、亀頭を覆う。
ぎゅっと目を閉じたその時──
『……りょうとくん』
──彼の声が完璧に再現出来て、驚いて目を開けた。でもここは汚い個室トイレで、目の前にあるのは「紙以外流すな」の張り紙と便器だけ。
「………………最低」
ボソリと自己嫌悪を呟き、白濁液を包んだトイレットペーパーを水に流した。
喫茶店の前で顔と首の汗を拭い、よく分からないが女子愛用だとポップ広告に書いてあった良い香りのするウェットティッシュで汗が一時的に消えた肌を濡らす。ひんやりするし良い香り……どうして今まで買ってこなかったのかと後悔した。
気を取り直して扉を開ける。リンリンという鈴の音は俗界とこの喫茶店という別世界の線を超えた合図だ。
「いらっしゃい……おや、昨日の学生さん」
アイスコーヒーを飲んだだけの客のことを覚えているなんて……それだけ客が少ない、いや、店主の物覚えがいいのだろう。
「また来ました、えっと……とりあえず、アイスコーヒーを……」
そう言いながら昨日と同じ席に座り、メニュー表を見る。彼は昨日ショートケーキを食べていた、美味しいのだろうか、共有したいな。甘いものはあまり好きではないけれど頼んでみようか。
「少々お待ちを……」
ひとまずは珈琲を待とう。
豆を挽く心地良い音と香りを楽しみながら、目だけで店内を見回す。彼は居ない。
昨日は何時に来たんだったか……昼食を終えた後だったから今よりは遅かった。あぁそうだ、昼食を忘れていた。サンドイッチだとかはあるだろうか。
再びメニュー表に目を落とすと左半身に熱風、耳に涼しい鈴の音が届けられた。
「お待たせしました。いらっしゃいませ」
店主はアイスコーヒーを僕に渡し、今入ってきた客を出迎える。こんな静かな店でも昼時はそれなりに忙しいだろう、でも僕はこれからベーコンとマッシュポテトとかいう美味しそうなものを注文する。忙しくさせて悪いが売り上げには貢献するのだ、許してくれ。冗談めかして考えつつ、新しい客が注文を終えたら頼もうかとタイミングを待つ。
「隣、構いません?」
甘い声が鼓膜を揺らす。黒い革手袋と真っ白い肌が視界の端に揺れる。
まさか、今、入って来たのは──
いや、それより彼が話しかけているのは──
「ナギさん、今日はカウンター?」
「ええ、ちょっと…………ね」
ナギだ。あの絵画のような美しい人が隣に居る。彼の手は僕の隣の椅子に置かれている、彼が僕に話しかけているのは誰にだって分かる、けれど僕は硬直してしまって返事が出来ないでいた。
「……隣座られるの嫌ですか? すいません……」
返事よりも噴き出す冷や汗をどうにかしたいなんて考えていると彼の手が椅子を離れる。
「あっ! い、いや、すいません! ちょっとボーッとしてっ……ど、どうぞ!」
気持ち悪くも裏返り、加減を間違えた音量の声を上げ、隣の椅子を引く。
「…………ありがとうございます」
美しい声に安心したような笑いが混じり、彼の手がまた椅子に戻る。それと同時に僕は手を引き、姿勢を戻した。
「ココアとショートケーキ」
「いつものですね」
店主は席に関する小さな騒動の間に用意していたケーキを彼に渡す。
「ココアは少々お待ちを……」
ケーキ……そうだ、彼がケーキを食べる様が見たいと思っていた、昨日夢にまで見た。どこから食べるのだろう、苺はどんなふうに──いや、どうやって観察すればこれ以上の不審人物にならないのかを先に考えなくては。
フォークと皿が擦れる音が聞こえた。迷っている暇はない、行儀は悪いが頬杖をついて横目で見れば不自然さは限りなく低いだろう。
革手袋をしたままの手が銀色のフォークを摘んで、その三又を苺に刺す。薄桃色の唇が上下に分かれ、苺を挟む。彼の唇はどんな感触だろう、今唇を重ねたら苺の味がするのだろうか。いや、唇だけでは足りない、僕はもっと深く彼が欲しい。
「お待たせしました」
空いていた手がココアを受け取り、ショートケーキの斜め右上に置く。僕は彼のその動きと店主の声に我に返り、妄想から脱出した。
「…………す、すいません、トっ……いえ、お手洗い、ありますか?」
「そこの奥です」
「ありがとうございます、すいません……」
鞄を抱え、トイレに飛び込む。もたつく手でベルトを外して、ファスナーを下ろし、下着と一緒にジーンズを少しズラし、熱を持ったものを握る。
「どうしてっ……」
トイレットペーパーを乱雑に巻き取り、先端を押さえ、苛立ちを誤魔化すように激しく扱く。
「なんで、なんなんだよっ……僕、なんなんだよっ!」
美しい人を見たくて店に来て、ケーキの食べ方が知りたくて観察して、彼が苺を口に運ぶ様を見て、それだけで──
「…………っ! ふ……ふっ、ぅ……うぅ……なんなんだよぉ……」
──勃たせるなんて、なんて気持ちの悪い人間だろう。
僕の気持ち悪さを象徴する粘っこい液体を同じ色のトイレットペーパーに包ませて便器に放る。壁に背を預け、自己嫌悪で涙を零した。
証拠を水に流して、服を整え手を洗い、顔も洗う。臭いはないかと手を嗅ぎ、念の為にあのウェットティッシュで拭った。すると途端に良い香りが鼻に届く。
「便利……」
ぼうっとしていたからか思考が口に出る。思わず口を抑え、今口走ったのがどうでもいいことで良かったと安堵する。もう二度と思考を音にするなと口を硬く閉じ、席に戻った。
「……ぁ、おかえりなさい、学生……さん?」
鞄を椅子の下に置いていると彼が声をかけてきた。自己嫌悪を膨らませながら、脳を蕩かすような快感を覚えながら、視線を上げる。
彼と目が合った。
矮小な僕を映したのは眼帯に隠されていない左眼。いつか雑誌で見た欧州の海のような、淑女を飾る宝石のような、微かに翠が混じったようにも見える美しい青い瞳。
「ぁ、えっと…………痛っ!?」
見蕩れていては不審に思われると慌てて返事をしようとして、立ち上がろうとして、カウンターに頭を打つ。
「えっ……大丈夫ですか?」
思い切り打ち付けてしまった。痛みに蹲ると革の感触が頭を押さえた手に与えられる。
「すいません……変なタイミングで声かけて」
彼の声が近くで聞こえる。まさか、僕を心配して屈んでいる? 僕の頭に手を添えている? 今顔を上げれば美しい瞳を間近で観察できる?
「大丈夫……です、気にしないでください。僕がどんくさいだけですから」
昨日からずっと間近で見たかった美顔があるのに僕は視線を落としてしまう。彼の顔は見えない、その少し下に──痩せているからかハッキリと浮かんだ首筋と鎖骨に目を奪われる。
指を、舌を、這わせたい。その肌の感触と味が知りたい、彼にも同じことを僕にして欲しい。
「……ごめんなさい、もう帰ります。えっと……だ、大学、講義そろそろ始まっちゃうんで。あ、お会計、これで。それじゃっ……!」
千円札をカウンターに叩き付け、鞄を抱えて逃げた。
変に思われただろう、不審がられただろう、気持ち悪い人間だとバレてしまった。
「…………何やってんだよ、僕……」
僕が受けるべき講義は今日はもう無い。千円じゃ倍額だ。
「……本当、気持ち悪い」
鞄を抱えて猫背になり、周囲を見回す。ゲームセンターを見つけてそこに入り、トイレを借りた。
「ナギ……さん」
苗字なのか名前なのか、あだ名なのかすら分からない。そんな名を呟きながら下着とジーンズを下ろし、再び性器に手を這わせる。
「はぁっ……ナギ、さんっ……呼んで、僕の名前呼んで……」
何度か聞いた彼の声を反芻し、脳内で自分の名前を再現する。彼の姿を思い浮かべ、目を閉じ、隣に立っているのだと妄想する。僕に触れる手は僕のものではなく彼のものだと妄想する。
「ごめんなさいっ、こんなことさせて、ごめんなさいっ……」
シャツを捲り上げ、胸元に手を這わせる。
「ナギさんっ、そっち……ぁ、はい、してます……自分で、いつもしてますっ……ごめんなさい……」
彼はこんな激しくはしない。そう思い浮かんで、陰茎を扱く手と乳首を抓る手を優しく変える。
「ふっ……ふぅっ……ぁ、ナギさん……僕の名前呼んでぇ……お願い、ナギさん……」
優しく変えても自分を焦らし続けることなんて出来ず、結局素早く扱いてしまう。もう少しだろうというところで胸元の手を引いて、トイレットペーパーを乱雑に巻き取り、亀頭を覆う。
ぎゅっと目を閉じたその時──
『……りょうとくん』
──彼の声が完璧に再現出来て、驚いて目を開けた。でもここは汚い個室トイレで、目の前にあるのは「紙以外流すな」の張り紙と便器だけ。
「………………最低」
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