俺の名前は今日からポチです

ムーン

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あいがんけん、にじゅういち

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裏から前立腺と精嚢を押し潰される感覚、絶頂の度に痙攣する腸壁とそれによって雪兎の性器の詳細をより覚えてしまう実感、視界の真ん中にある俺を抱いて悦ぶ雪兎の顔、その全てが俺の雄の人間らしさを拭い去っていく。

「ぁああっ、んぁっ、イっ……くぅうっ、んぁあああっ! ゆきっ、ひっ、ぁあっ!」

「全然こっちは触ってないのにぴゅーぴゅー出しちゃって……ね、ポチ、僕もそろそろ……」

途切れのない絶頂の中にいながら絶頂を宣言し、触られてもいない性器から精液を零し、雪兎の欲情を煽る。人間のプライドを潰されて、ペットの役割を代わりに教えられる。

「ぁ、あっ、出してっ、俺のなかぁっ、ぐちゃぐちゃにしてっ……」

「分かって……るっ、ほら……注いであげる」

体内に流れ込む熱く粘着質な液体に幸福感を覚えさせられる。精液を注がれることそのものの刺激は弱いけれど、雪兎を悦ばせられた達成感が強い。
こうやって外で抱かれていると人を捨てている感覚が強くて、真尋だった全てを捨てられて、空っぽの器を快楽だけで満たせられる。

「ぁ……熱いの、来たぁ……ユキ様の、ぁあ……」

「…………嬉しそうな顔しちゃって。後で掻き出すの大変でしょ?」

「ん……やだぁ、入れとく……ユキ様からの……」

「だーめ、ちゃんとお風呂入るよ。前のが残ってるような犬には入れたくないなー」

ゆっくりと抜かれて、ぽっかりとした空虚を感じる。でも中には雪兎を絶頂させられた証拠があるし、雪兎の目の前に居るから、そこまで寂しくはない。

「……ほら、ポチ。気持ちよくしてあげたら噴水見るんでしょ? 見なよ、ほーら」

首輪の紐と腕を引っ張られ、雪兎が引っ張るままに上手く動かない身体に力を入れ、円形の噴水の縁にもたれかかる。腕を置いてその上に頭を置き、水飛沫を顔に浴びる。膝を立てて雪兎の形にしつけられた穴を見せつけるように腰を上げ、雪兎の意図に気付かないまま噴水で涼む。

「綺麗ですねー……涼しい……」

熱くなった身体にはちょうどいい。水に手を浸し、蕩けた頭で噴水の美しさをぼんやりと認識する。

「うん、こっちもいい景色だよ」

雪兎の手が尻に触れる。尻の肉を掴んでかき分けるように割れ目を拡げられている。雪兎は俺の後ろに屈んでいるようだ。

「僕の精液でどろっどろ、ライトで照らせば奥まで見えるかな?」

「ぇ……あっ、やめて……」

「どうして? あれ、ひくひくさせてどうしたの? 見られて興奮しちゃった?」

「恥ずかしい……」

「何言ってるのポチ、飼い主には全部見せなきゃダメでしょ? 怪我とかしてるといけないし、隠し事はダメだよ」

そんな理由でないのは声色で分かる。雪兎は俺を辱めて遊んでいるだけだ。中を照らすのも写真を撮るのもやめて欲しい、恥ずかしい、けれど、雪兎による恥辱は快感だ。
もっと俺の淫靡な様を引き出して、俺の全てを暴いて、笑いながら見下して欲しい。

「やだぁ……恥ずかしい」

「腰振っちゃってさぁ、誘ってるように見えるよ? 撮って欲しい?」

「やぁ……ユキ様の意地悪……」

「…………本当にちょっと嬉しそうに聞こえるんだけど、嫌がってるんだよね? 嫌なことはちょっとしかしたくないから、嫌ならもう少し強く言っていいよ?」

「……撮っちゃ、やだぁ。ユキ様……」

「…………分かった」

シャッター音が何度も響く。流石は飼い主様、駄犬のことを分かってくれている。
携帯端末のカメラは後ろからだけでなく横からも俺を映す。蕩けた顔も、シャッター音に煽られた勃つ陰茎も、少しずつ尻を上げていくところも、全て納められた。

「……ふふ、フォルダ圧迫するなぁ。僕のケータイ重くする悪いわんちゃん、そろそろ帰ろうか?」

「ご主人様の……お掃除する約束」

「…………本当、可愛いね」

雪兎は俺の顔の隣に、噴水の縁に座った。動くようになってきた腕を雪兎の腰に巻き付けて、雪兎の許可を待った。
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