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きゃんぷ、じゅういち
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バーベキューを始めて一時間以上は経っただろうか。雪兎は腹いっぱいだと言って同じく満腹になったらしい祖父と遊んでいる。ボールを持ってきていたとは知らなかったが、キャッチボールをしているようだ。
「まーひろっ、あーん」
「……あーん」
俺はまだまだ食い足りないので一人で焼いて一人で食べようと思っていたのだが、雪風はそれを許さなかった。
「美味いか? だよな、俺の焼き加減は最高だろ?」
俺に食べさせて喜んでいるのは俺にどういう感情を抱いてのことだろう。雪兎に食べさせていた時のように息子として可愛がっているのだろうか、涼斗が叔父にしていたように恋人として世話を焼いているのだろうか──そういえばあの二人はどこへ行ったんだ?
「なぁ雪風、あのクソ野郎どこ行ったんだ?」
「お前が煽るからだぞ。クソ兄貴は執着なさそうに見えて独占欲の塊だからな」
「俺そんな煽ったつもりねぇけど」
「りょーちゃんと仲良さそーに喋ってただろ」
まさか、それだけで? ただの世間話だったのに。
「……俺は別に雪風が部下とかと仲良さそうにしてても嫉妬しないけどな」
「マジ? ショックだわ」
「そうそう男を狙う男なんて居ないだろ? ただの世間話にまで嫉妬しねぇよ……ぁ、いや、雪風は美人だからなぁ……ノンケも余裕で目覚めさせるもんな、ごめんやっぱ嫉妬するわ」
まぁそれは雪風だからどんな相手と話していても襲われる危険が付きまとうのであって、涼斗は違うだろう。ましてや俺は雪風の恋人で雪兎の飼い犬、涼斗に手を出すわけがない。
「……俺別に涼斗さん狙ってねぇのに。勘違いされると逆にムカつくよな」
「お前……狙ってないのに勘違いされてぶん殴られただろ、懲りろよ」
「いや、あれはあの人がメンヘラだってことで決着ついてるじゃん。クソ野郎は違うだろ?」
「…………どうだろうな。ほら、あーん」
思い出したように牛肉が目の前にぶら下げられる。タレで唇を汚しつつ食いつき、何故か周囲を見回す雪風の美顔に癒される。
「おっ居た……ぁー、りょーちゃん可哀想に……」
いつの間にか居なくなっていた叔父達を探していたようだ。そして見つけ、目を輝かせている。
「可哀想って……何、まさか殴って……!」
「違う違う、見てみろよ。背伸びすりゃギリ見える、そこの茂みだ」
雪風の肩を支えに爪先立ちをした俺はようやく二人を見つけた。
「あんっなガンガン突かれたら足腰立たなくなるぞ…………ぁ、やばい、なんか下腹疼く」
立ちバック……かな? 口を塞がれ腕を押さえられた涼斗が犯されている。強姦にしか見えないが、放っておいて大丈夫だろうか。
「あー……いいなぁりょーちゃん……アレ気持ちいいんだよな。うわ……仰け反って……いいなぁ、お兄ちゃん上手いんだよなぁ……」
俺は肉を食うのに戻ったが、雪風は爪先立ちで覗いたまま太腿を擦り合わせている。
「……に、睨むなよ真尋。あのクソ兄貴とはもうヤらないって。俺も兄貴も互いに興味も愛情もないんだからさ」
「じゃあ見るなよ、俺に肉食わせてくれ」
「あ、あぁ……分かってる」
口を開けると肉を放り込まれる。咀嚼していると雪風はまた叔父達の方を向く、俺は雪風の手を掴んで空になった口を開け、雛鳥のように次を要求し続けた。
「お前なぁ、ちゃんと噛んでるのか? 味わって食えよ」
「……こっち向いててくれよ、雪風」
「な、なんだよ……ちょっと見てるだけだろ。お前だって人がヤってたら覗くだろ?」
病院では彼らの行為を覗いたし、首を横に振るのは嘘になる。
「…………兄貴が恋しいわけじゃない。本当にただ……気持ちよさそうだなって見てるだけだ。昨日も今日もヤってないし……欲求不満って言うか」
二日足らずで欲求不満になるのか、性欲が強過ぎるだろ。
「じゃあ、涼斗に立場変わって欲しいわけじゃなく、アイツらみたいに俺とヤりたいだけなんだな?」
「…………うん」
「なら見てていいぞ」
バツの悪そうな顔のまま雪風は茂みの向こうに視線を移す。俺は雪風の腰に手を回す。
「……ベルト外して」
雪風は何も言わずに震える手でベルトを外した。俺は広がった隙間に手を差し込み、下着越しに柔らかい尻肉の感触を楽しんだ。
「雪風、雪風は後で今見てる二人みたいなセックスするんだからな、意識しろよ」
下着の中に手を入れ、割れ目に指を滑り込ませる。ぬるりと濡れているのにほくそ笑み、中指を穴に挿入させる。
「ぁ……! まひ、ろぉっ……好きぃ……」
約二日ぶりで「しっかり慣らさないと」と思う辺り、俺も性欲が強い。
「まーひろっ、あーん」
「……あーん」
俺はまだまだ食い足りないので一人で焼いて一人で食べようと思っていたのだが、雪風はそれを許さなかった。
「美味いか? だよな、俺の焼き加減は最高だろ?」
俺に食べさせて喜んでいるのは俺にどういう感情を抱いてのことだろう。雪兎に食べさせていた時のように息子として可愛がっているのだろうか、涼斗が叔父にしていたように恋人として世話を焼いているのだろうか──そういえばあの二人はどこへ行ったんだ?
「なぁ雪風、あのクソ野郎どこ行ったんだ?」
「お前が煽るからだぞ。クソ兄貴は執着なさそうに見えて独占欲の塊だからな」
「俺そんな煽ったつもりねぇけど」
「りょーちゃんと仲良さそーに喋ってただろ」
まさか、それだけで? ただの世間話だったのに。
「……俺は別に雪風が部下とかと仲良さそうにしてても嫉妬しないけどな」
「マジ? ショックだわ」
「そうそう男を狙う男なんて居ないだろ? ただの世間話にまで嫉妬しねぇよ……ぁ、いや、雪風は美人だからなぁ……ノンケも余裕で目覚めさせるもんな、ごめんやっぱ嫉妬するわ」
まぁそれは雪風だからどんな相手と話していても襲われる危険が付きまとうのであって、涼斗は違うだろう。ましてや俺は雪風の恋人で雪兎の飼い犬、涼斗に手を出すわけがない。
「……俺別に涼斗さん狙ってねぇのに。勘違いされると逆にムカつくよな」
「お前……狙ってないのに勘違いされてぶん殴られただろ、懲りろよ」
「いや、あれはあの人がメンヘラだってことで決着ついてるじゃん。クソ野郎は違うだろ?」
「…………どうだろうな。ほら、あーん」
思い出したように牛肉が目の前にぶら下げられる。タレで唇を汚しつつ食いつき、何故か周囲を見回す雪風の美顔に癒される。
「おっ居た……ぁー、りょーちゃん可哀想に……」
いつの間にか居なくなっていた叔父達を探していたようだ。そして見つけ、目を輝かせている。
「可哀想って……何、まさか殴って……!」
「違う違う、見てみろよ。背伸びすりゃギリ見える、そこの茂みだ」
雪風の肩を支えに爪先立ちをした俺はようやく二人を見つけた。
「あんっなガンガン突かれたら足腰立たなくなるぞ…………ぁ、やばい、なんか下腹疼く」
立ちバック……かな? 口を塞がれ腕を押さえられた涼斗が犯されている。強姦にしか見えないが、放っておいて大丈夫だろうか。
「あー……いいなぁりょーちゃん……アレ気持ちいいんだよな。うわ……仰け反って……いいなぁ、お兄ちゃん上手いんだよなぁ……」
俺は肉を食うのに戻ったが、雪風は爪先立ちで覗いたまま太腿を擦り合わせている。
「……に、睨むなよ真尋。あのクソ兄貴とはもうヤらないって。俺も兄貴も互いに興味も愛情もないんだからさ」
「じゃあ見るなよ、俺に肉食わせてくれ」
「あ、あぁ……分かってる」
口を開けると肉を放り込まれる。咀嚼していると雪風はまた叔父達の方を向く、俺は雪風の手を掴んで空になった口を開け、雛鳥のように次を要求し続けた。
「お前なぁ、ちゃんと噛んでるのか? 味わって食えよ」
「……こっち向いててくれよ、雪風」
「な、なんだよ……ちょっと見てるだけだろ。お前だって人がヤってたら覗くだろ?」
病院では彼らの行為を覗いたし、首を横に振るのは嘘になる。
「…………兄貴が恋しいわけじゃない。本当にただ……気持ちよさそうだなって見てるだけだ。昨日も今日もヤってないし……欲求不満って言うか」
二日足らずで欲求不満になるのか、性欲が強過ぎるだろ。
「じゃあ、涼斗に立場変わって欲しいわけじゃなく、アイツらみたいに俺とヤりたいだけなんだな?」
「…………うん」
「なら見てていいぞ」
バツの悪そうな顔のまま雪風は茂みの向こうに視線を移す。俺は雪風の腰に手を回す。
「……ベルト外して」
雪風は何も言わずに震える手でベルトを外した。俺は広がった隙間に手を差し込み、下着越しに柔らかい尻肉の感触を楽しんだ。
「雪風、雪風は後で今見てる二人みたいなセックスするんだからな、意識しろよ」
下着の中に手を入れ、割れ目に指を滑り込ませる。ぬるりと濡れているのにほくそ笑み、中指を穴に挿入させる。
「ぁ……! まひ、ろぉっ……好きぃ……」
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