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食事と言い訳するには厳しい

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シャルにそっと抱き上げられてベッドに寝かされる。一瞬シャルの手が触れただけなのに、ベッドに数センチの高さから落とされただけなのに、俺は強い快感を覚えた。

「シャル……シャルぅ、お腹空いた……早くぅ……」

快楽で蕩けた頭は先程までド真ん中に置いていたはずのアルマを押しのけ、とにかく中出しをしてもらわなければと考えていた。

「二回も出してしまったんですから、当然栄養補給したいですよね? でも……僕は兄さんの旦那さんではありませんから、セックスしたりフェラさせたりなんて、しちゃいけませんよね?」

「いいっ! いいから……食事ならアルマ許してくれるからぁ……」

「でも最終手段ですよね。だって、魔樹の樹液があるんですから」

シャルは自分の太腿にべっとりと付着した樹液を人差し指で掬い、俺の口元に持ってきた。俺は何の躊躇もなくその指をしゃぶり、樹液の味がしなくなっても舐め回し続けた。

「ふふ、ふふふっ……兄さん、兄さんっ……あぁ、ゾクゾクしますっ……兄さん……!」

シャルはゆっくりと人差し指を曲げ、俺の舌を押さえつけた。思わず口を開くと中指と薬指も侵入してきて、舌を挟んで爪を立てずに引っ掻き回した。

「んぅっ!? ん、んぅうっ、んふぅっ、ん、んんんっ!」

不意に舌から離れたかと思えば指の腹で頬の内側や上顎を優しく撫で回される。

「んんっ、んふっ、んんんぅっ! ぅ、ふっ……んぅゔぅぅうっ!」

口内への愛撫に俺は腸壁を擦られるのと変わらない快楽を覚え、腹を持ち上げるように仰け反って射精のない絶頂を迎えた。

「ふふふ……兄さん、可愛い……お口を弟の指で犯されてイっちゃうなんて、兄さんったら……淫乱」

「しゃ、る……もぉ、やめへ……」

「……やめて欲しいならやめますけど、いいんですか? お腹空いてるんでしょう?」

シャルは俺の肩を掴んでそっと寝返りを打たせ、ベッドの横に立つシャルの太腿が目の前に来るようにした。もちろんそこには太腿だけでなく、アルマを上回る大きさの気持ちよさそうな形をした陰茎があり、見ただけで俺の穴はヒクヒクと疼いた。

「さ、兄さん。お腹が空いているのなら、ちょっと撫でられただけでイっちゃうような舌で、樹液を舐め取ってください」

言われるまでもなく俺はシャルの陰茎目掛けて口を開けて首を伸ばした。しかし、雄の匂いを堪能することが出来る距離まで近付いたところでシャルの手が俺の顔を止めた。

「旦那さんがいるのに、弟にフェラしちゃダメでしょう?」

樹液にまみれた陰茎を舐めしゃぶれば樹液よりも美味しい白濁液がもらえるのに。そう思いつつも声に出すほどの知能は今はなく、移動させられた先の太腿に舌を這わせた。

「ん、ふっ、んぅ……シャルっ、シャルの、ふともも……すべすべしてる」

「……ありがとうございます、兄さん」

「もちもちもしててぇっ……おいしぃっ、シャル、シャルのふとももおいしぃよぉっ……!」

「美味しいのは樹液でしょう?」

吸い付くようなきめ細やかな肌に舌を這わせる背徳感は大きい、しかし樹液の甘さと舌に与えられる最高の感触は背徳をただのスパイスに変える。
媚薬効果のある唾液を塗りこまれた舌は性器と同じだ。俺はシャルの太腿に性器を擦り付けて、絶頂を迎えようとしているのだ。

「兄さん、その辺りにはもう樹液はありませんよ。ほら、内側も……ちゃんと舐めてください」

シャルは軽く足を開き、俺の口を内腿に誘導させた。内側は更に皮膚がしっとりとなめらかで、その下の肉も柔らかい。
こんな極上の体、人生と引き換えにしても一晩好きにしたいと思って当然だ。俺に欲情する男の気持ちが分かった気がした。

「ん、んぅっ……ふ、んんっ……んんんっ……!」

「兄さんったら……舐められてるならまだしも舐めてるのにそんな声出して。ふふ……どうしちゃったんですか? 弟の僕に教えてください」

「ん、ん……おとーとのっ、シャル、のぉ……ふともも、舐めてっ……イっちゃった」

「どうしてですか? 今、愛撫されているのは僕ですよね? どうして僕じゃなくて兄さんが気持ちよくなっちゃうんですか?」

言う暇があるならもっと太腿を舐めたい。内腿を舐める間ずっと頬や耳や後頭部に擦れてくる陰茎をしゃぶりたい。

「……こーら、兄さん、そっちはダメですよ。ほら、ちゃんと聞いたことに答えてください。弟の疑問に答えるのは兄の義務ですよ?」

漂ってくる雄の匂いに耐え切れず陰茎の方を向いたが、見えたのはシャルの手のひらだった。優しく首を押され、太腿に頬をぺったりと触れさせられた。

「…………どうして、僕の太腿舐めるだけでイっちゃったんですか?」

「シャル……が、シャルがっ……俺の口の感度上げるからっ……!」

「キスしてくれたのは兄さんからでしょう? 僕のせいみたいに言わないでください……それに、ちょっと僕の唾液を塗られたからって太腿舐めてイくような感度にはなりませんよ」

キスして欲しいと言ったのはシャルだが、キスをしたのは俺からだ。この発情も、空腹も、浮気に走る身体を止められないのも、全部俺の責任だ。

「……俺、は……元々、敏感だから」

「どうしてですか? 同じインキュバスで弟の僕は、そこまで敏感じゃありませんよ」

「俺はっ……男に、抱かれるのが……好きな、淫乱……だから。弟の太腿舐めてっ、興奮するような……変態、だから……」

理解はしていたけれど認めたくなかった事実を口に出し、その理解を深め、広げていく。

「……つまり、兄さんは変態で、弟の僕の太腿を舐めて興奮したから、大したことない刺激でもイっちゃったんですね」

「そ、う……だと思う」

「兄さんが敏感なのは身体だけじゃなくて、心もなんですね。兄さんは身も心も淫乱だから、ちょっとのことで気持ちよくなっちゃうんですね?」

頷くとシャルは両手で俺の頬を包むようにして撫でた。手のひらが俺の頬を優しく歪め、指が耳を挟み、くすぐる。

「ん、ふっ……ぅ、んっ……耳、耳っ、やだ……」

「嫌なんですか? 家族に嘘や隠し事はいけませんよ」

「…………耳っ、きもちぃっ……もっと、こしょこしょって……耳の、中もっ……ひぁああっ!? ぁ、あっ、あひっ……そう、そぉっ! こりぇしゅきぃっ、中もぉっ……!」

シャルの指が耳の内側を曖昧に愛撫する。長く尖った耳の先を、その内側への曲がりを開くように軟骨をくりくりと弄られ、俺の身体は快楽を処理し切れずに仰け反っていく。シャルは俺の前に俺と同じように膝立ちになり、右手で俺の左耳を弄りながら左腕を俺の背に回して仰け反る身体を押さえ、俺の頭を傾けさせると俺の右耳を口に含んだ。

「ひっ……ん、んんっ……ぁあっ……耳っ、きもひぃっ……もっとぉ……」

「……素直になってきましたね、兄さん……可愛いですよ」

俺の耳から口を離し、しかし耳の端が唇に微かに挟まるようにして、吐息を多く含ませて甘く囁く。そんなことをされては俺はシャルの腕の中で絶頂を迎える以外の選択肢をなくす。

「またイっちゃいました? ふふ……兄さん、可愛い……兄さん、僕の兄さん…………旦那さんのところに帰したりなんてしてあげません、ずーっと僕と二人きりで生きるんです」

絶頂している真っ最中に続けて耳元で囁かれたら、俺の身体は痙攣を始める。それに気付いたシャルは手と口を耳から離し、俺を優しく抱き締めた。

「ふふ……ふふふっ……可愛い、兄さん…………ん? 誰か……来ますね」

俺を抱き締める力が僅かに強まり、俺は部屋の扉が開くのと同時に短く喘いだ。
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