過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン

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絡み見てるだけで幸せなタイプ

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腹を撫でられた程度では感じない。アルマくらいに大きな手で強く腹を揉みしだかれたなら体内の性感帯を体外から刺激されて気持ちいいけれど、シャルは肌を丁寧に撫でているだけだ。

「ん、ん……ふ、んんっ……く、ぅっ……」

撫でられた程度では、感じない。

「ん、ぅうっ……うぅううっ……!」

感じない、はずだ。

「……兄さん、気持ちいいですか?」

「よ、くっ……なぃっ、こんなの、じゃ……」

「そうですか……兄さん、嘘ついちゃダメですよ? そうそう、忘れるところでした。お臍もちゃんと洗わないとですよね」

シャルの中指が臍に滑り込んでくる。臍の周りを撫でる他の指や手のひらはぐっぐっと俺の腹を押してきて、アルマほどではないが体外から体内の性感帯を刺激している。

「ん、んっ、ぁんっ! あ、んっ、ひぁっ、ん、んっ!」

腹を押される度に足がピクッと跳ねて、濡れた足の裏がタイルとぴちゃぴちゃと音を立てる。

「……近寄らないんじゃなかったんですか」

シャルの声が一段低くなり、視線を上げると査定士が俺達の数十センチ横で俺達をじっと眺めていた。

「いや……双子のインキュバスの洗いっこなんてなかなか見れるものじゃないからね。それも現状一人しか発見されていない黒髪に、超希少な紫髪……録画したいくらいだよ」

俺達は兄弟だと認識していたが、そういえば双子でもあるのか。同時ではないが同日だ、人間の兄弟なら最低でも十ヶ月は開く、俺達は双子と言って差し支えないだろう。

「私が怖い?」

「……いえ、あなたが今下げている手を頭の上まで上げるまでの間で、僕はあなたの五体をバラバラに出来ますから」

「過激な文言で脅すのは怯えているからだ。サク、これを覚えておいて、彼のこの態度は怯えの表れだと」

「え……ぁ、わ、分かった。そうだったのか……シャル、大丈夫だぞ」

「人間に酷い目に遭わされて、それを忘れろというのは無理だ。けれど私には少しずつ慣れていって欲しいな」

シャルは査定士の顔の前に広げた手のひらを突き出し、怯えと恨みを孕んだ表情で査定士を睨みつけた。

「シャル……?」

「……眠れ」

査定士は座ったままゆっくりと顔を俯かせた。

「シャル? 何を……この人は大丈夫だって」

「睡眠というのは最も無防備な瞬間なんです。それは肉体的な意味だけでなく、精神的な意味でもです。今からこの人間の本性を暴いてやりますよ」

そっと査定士の頭を掴んだシャルは額を合わせ、目を閉じた。

「シャル? シャルー……寝たのか?」

覗けば幼い寝顔が見えた。無防備になっているのはシャルも同じだ。
俺は自分の手のひらに泡を新たに溜め、シャルの後ろに回って小さな背中を流してやった。腰羽の皮膜は薄く、濡れた手で触れば破れてしまいそうで怖かったが、濡れるとうっすらとハート模様が浮かび上がって可愛らしいことが分かった。

「兄さん、背中……洗ってくれたんですね。ありがとうございます」

「シャル……起きたか、何してたんだ?」

振り返ったシャルは目に涙を溜めていて、俺を抱き締めてきた。

「…………ありがとう、シャル」

査定士が頭を撫でるとシャルは身体をビクッと跳ねさせたが、その手を払うことも尻尾を振ることもなかった。

「何があったか全然分かんないけど……人間不信は治ったんだな、よかった」

「いや、治ったとは言えないよ。私は無害だと認識を改めただけだ」

「そんな……そんなの、悲しい……シャル、人は怖いばっかりじゃないんだぞ。人と関わらないと成長出来ないんだ、シャル…………ごめん、今する話じゃなかったな、今は休もうな」

顎を持ち上げて顔を上げさせると幼い泣き顔があった。頬を擦り寄せ、額を合わせ、安心を提供する。

「……それにその子は特殊な精神構造をしていてね。そもそも他人を信用しないんだよ、何か一つの絶対的なものを崇拝し、その一つのみに感情を注ぎ、それ以外は無害か有害か、邪魔か有益かだけで判断してる。私は無害で有益に認識された」

「何か、一つ……」

僅かに吊った紫の丸い瞳を見つめると気後れするくらいに真っ直ぐ見つめ返された。シャルに求められたのか、俺が求めてしまったのか、どちらともなく唇を重ねた。

「あぁ……撮りたい」

シャルが崇拝しているものは俺だと分かってしまった。俺には自分が他者のただ一つのよすがになるほどの値打ちはないと思っているから、ただただ申し訳なく胸が痛かった。

「にぃ、さん……兄さんっ、兄さん……!」

「シャル……」

「兄さん、抱かせてください……」

「…………風呂、出たらな」

この頼みを聞かなかったら死んでしまいそうな気がして、俺はアルマの顔を脳裏に浮かべながらも頷いてしまった。俺も限界だったのだ。体液に媚薬効果を持つシャルとのキスを重ねて、焦らすように体を洗われて、腸壁の疼きに逆らえなかった。

「近親相姦……! それは、私は見ていていいのかな」

「見られるのは嫌だ……」

「兄さんと二人きりになりたいです」

シャルは泣き顔をすっかり消して早く体を洗ってしまおうといい、俺の足を持ち上げて自分の肩に置かせた。軽く膝を曲げて足を開いているから、勃起したままの性器も風呂上がりのセックスを想像してヒクヒクと震える後孔も丸見えだ。

「ん、ぅうっ、くぅうんっ……! ゃ……シャルっ、内腿、そんなっ……しちゃ、ぁ、あっ……!」

足の付け根すぐの内腿を揉みしだかれ、媚薬が効いていない時に性器を愛撫されるのと同程度の快楽を覚えた。

「あ、ぁ……あ、ぁっ……ィ、くぅっ!」

「……足触られただけでイっちゃうんですね、兄さん」

足の甲に唇を触れさせられ、そのまま右太腿を揉みながら洗われ、膝まで着くと左太腿も同じようにされた。次にシャルは俺の足を下ろさせて両脛を洗うと泡を継ぎ足し、足と恋人繋ぎをするように足の裏と手のひらを合わせた。

「シャル……そんな……仕方、汚いっ……!」

「……兄さんの体に汚いところなんてありません」

足の指の間にシャルの細い指が入り、擽ったさと快感に指を曲げているとシャルの指が抜け、土踏まずを数本の指先でくるくると擽るように洗われた。

「ひゃっ、ぁ、シャルっ、シャルぅっ、こしょばいっ、やだぁっ、ぁ、ひっ、あはっ、あははっ、シャルぅうっ! それだめぇっ!」

「そんなこと言われても……仕方ないじゃないですか。ほら、もう片方も」

「しょんなっ、こしょこしょしなくていいじゃんっ! 普通にっ、ひ、ひひっ……! あはははっ! 普通にぃっ、してよぉっ! ふふっ、あはっ、くる、しっ……」

「そんなに僕に洗われるのが嫌なら自分で洗ったらどうです?」

敏感になり過ぎた皮膚は軽く擦るだけでも快楽を覚え、満足に手を動かせなくなる。だから洗ってもらっているのに、知っているくせに、そんなふうに言う。

「いじわるぅ……」

「……逆効果ですよ、それ。ねぇ?」

「そうだねぇ」

「みんな俺にいじわるばっかするぅ!」

緩い抗議のつもりの言葉を逆効果なんて言われては子供っぽく拗ねたくもなる。転生前なら視覚と聴覚への無差別攻撃なんて言われそうだが、今は顔も声も綺麗なインキュバスなので問題ない。

「ふふ、いじわるされるのも好きなんでしょう? ほら、兄さん……ここも洗わないと、ですね」

シャルは何故か蕩けた笑顔を浮かべ、俺の尻尾をきゅっと掴んだ。
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