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今日から激務
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ベッドの上で先輩と向かい合って膝立ちになり、両手を繋いで見つめ合い、客に抱かれる。
「ひぁっ、ぁ、あっ……ひぅっ!」
客は寝取る側の気分を味わっているのだろうか。俺は寝取られる側か、先輩をアルマだと思えばリアルな演技が──ぁ、ダメだ、それ想像したら心が死ぬ。
「ほら、ちゃんと見て、君の恋人が僕に抱かれてるところ」
まぁ、アルマの目の前で他の男に抱かれたことは何度もあるけれど……だからこそ俺を見つめるアルマの顔が明確に想像出来てしまうから、想像したくない。
「ぁ、ひっ……ひんっ! ぁあっ! そ、こっ……こりこり、やばいぃっ……イくっ、イっちゃう……!」
絶頂する蕩けた顔を先輩に間近で見られてしまう。意識すると羞恥心が膨らんだが、前立腺に亀頭を擦り付けられ、俺はあっさりと絶頂を迎えてしまった。
「イくぅぅっ! ひっ、あぁっ! やっ、やぁあっ、イった、ぁっ……!」
客は俺が絶頂しようとも構わずに前立腺を執拗に責めてくる。客は肉体的な快楽ではなく、恋人達の片方に恥辱を与える精神的な快楽を求めているようだ。
「イくっ、またっ……イくぅうっ! せんぱっ、せんぱいっ……ひっ、ぁっ! あぁあっ!」
「サク……そんなにそいつのが気持ちいいのか?」
後輩の教育は下手だが演技は上手いようだ。先輩は絶望しているような顔で俺に尋ねてくる。俺はどう答えるべきだろう、快感で思考が回らない。
「きもちっ、きもちぃいっ……やぁっ、みないれっ……また、イくっ! ぅ、あっ、あぁああっ!」
「流石、快楽に弱いウサギさん。恋人の前だろうがイきまくっちゃうね、僕もそろそろ限界だから、恋人の前で種付けしちゃうね」
「へっ? ぁ、やらっ、やら、なかだめっ、ぁ、あぁああっ……! ぁ、ひっ……どくどく、きてる…………せんぱい、せんぱいぃっ……」
根元までは挿入せず、前立腺に亀頭を押し付けて射精した。先輩にもたれかかって並の味の精液を飲み、満腹感から眠気を覚える。
「ふーっ……ほら、見える? 君の恋人に僕の精液がこんなに…………あれ? 出てこないね……結構出たと思うんだけど」
萎えた陰茎が抜けたかと思えば客は指を挿入して広げ、後孔から溢れるはずの精液を先輩に見せようとする。しかし、インキュバスの俺は腸壁からも精液を球種してしまうため、人間程度の射精量では一滴も零さない。
「うーん……えっと、君の恋人は僕の精液を全部美味しくいただいてしまったようだよ? どんな気分だい?」
苦し紛れの言葉は真実を突いた。しかし、それが真実だと気付かれてはいけない。ひとまず黙っていよう。
「別にっ……こういう、店ですから。俺達の愛は……もっと、心で繋がるものですから」
「ふぅん……? だといいね。じゃあ、僕はこれで失礼するよ」
客はベッドを降りて服を着始める。俺と先輩もベッドを降り、部屋を出る客を見送るためカチューシャなどの位置を整える。
「…………いやぁ、最っ高だったよ君達! ごめんね、ちょっと意地悪なこと言って。いやぁもう本当最高! ピンクの君、本当に恋人なのかなって思うくらい良い演技してたよ!」
服を着終えた客は興奮気味にプレイの感想を語る。
「あ、ありがとうございます……」
「黒髪の君! 君は、もう……可愛いよ。演技はしてないのかな? 新人だもんね、別にいいよ。身体が最高だし、とにかく可愛い……なんだろう、なんでかな、本気で恋してしまいそうだよ……あぁ、そうなってくると寝取られをやりたいなぁ」
好きなプレイは寝取る側だが、本気の相手は他人に寝取られたい……? 性癖歪み過ぎだろ。
「研修期間は二人で接客してくれるんだよね。終わっても指名すれば二人でしてくれる?」
「はい、その場合は二人分の指名料と、その他オプション料がかかりますが……」
「いいよいいよ全然いいよ! また来るよ、それじゃあ、ばいばい」
手を振る客に手を振り返そうとすると先輩に止められ、頭を下げさせられる。客は苦笑いしながら部屋を出ていき、俺達は扉が閉まるまで頭を下げていた。
「……お客さんを見送るのは原則、お辞儀だからな」
「す、すいません……つい気が緩んで。いや、にしても……世の中には変わった趣味の人がいますね」
「あぁ、あの人は面倒だけど痛くも苦しくもないからマシだな。早くシャワー浴びるぞ、次の仕事まで三十分もない」
「スケジュールぎっちぎちなんですね……」
急いでシャワーを浴びていると前世での修学旅行の思い出が浮かぶ。五分くらいで済ますよう言われ、文句を言いながら慌てていたあの頃を──
「そういえばサク、精液……大丈夫か? 中出しされたの垂れてこなかったみたいだけど、かなり奥まで入ったとか?」
「あ、だ、大丈夫です……多分、今出てるんで」
「そうか……? やばそうだったら言えよ」
身体を洗い終えたら別の部屋に移り、バニースーツを着て客を待つ。ベッドに腰掛けてピンヒールのブーツを履いた足をぷらぷらと揺らし、時折立つ練習をしたりする。
「ぅ……やっぱダメだ、バランス取れない」
この頃ヒールブーツを履いていない時もよく転びそうになる。やはり羽と尻尾を取ってしまったからだろうか。耳も悪くなったし、あんな飾りのような器官にも役割はあるんだなと実感する。
「なぁ、サク……迷ってたんだけどさ、言うわ」
「なんですか?」
「…………俺、サクのこと好きだ」
先輩は俺の手を取って意を決して告白してきたが、俺は衝撃を感じていない。女神に付与されたスキルがあるのだから好かれるのは当然、そう理解しているからだ。
「ありがとうございます」
「本気なんだよ、サク……俺、働けなくなるまでここで働こうって思ってたけど、今は家買えるくらい金貯めたらすぐに辞めてお前と暮らしたいって思ってるんだ」
先程の演技が上手かったのは本当に俺と生きていきたいと思っていたからなのか。
「サク……二人でここを出て、一緒に暮らそう」
「……ごめんなさい、俺、既婚者なんで」
「へっ?」
「…………結婚してるんですよ」
先輩は俺の両手を包むように握ったままポカンと口を開けている。
「え……じゃあ、なんでこんな店にいるわけ?」
「あー……えっと、前にやってた仕事ダメになっちゃって、次の探すまでの繋ぎって感じです」
「繋ぎでこの店に……!? 正気かお前、お前売れっ子になってんだぞ、辞めさせてもらえると思うか!?」
かなりやばい店みたいだ。真実を話す訳にはいかないとはいえ、今の言い訳は適当過ぎたな。
「俺ならお前にこんな思いさせたりしない! だから……そいつと別れて俺と一緒になろう、結婚しようサク!」
腹が減ったからといってセックスに誘ったのがまずかったな、勘違いさせてしまったかもしれない。
「愛してるんだ、サク……」
先輩はベッドを降りて立ち上がり、俺の両肩を掴んで押してきた。押し倒すつもりだと察した俺はベッドに手を付き、踏ん張った。
「サ、クっ……! 愛してるっ!」
「夫が、いるんですって……!」
「そんなっ……! 男より、絶対、俺が幸せにしてみせるっ!」
「先輩にはっ! 絶対、無理っ……!」
不格好な対決を初めて数分後、部屋の扉が開いた。俺達は慌てて姿勢を正し、やってきた客に向かって深々と頭を下げた。
「一人の指名料で二人! いやぁやっぱりお得だなぁ、最高だ」
見覚えのある顔だ。大柄で若々しい中年男性……確か、中佐とか言っていたか。待ち侘びた軍関係者だが、彼に乱暴に愛撫され気絶した嫌な思い出がある。
先輩の件もあるし、スパイもしなければいけないし……あぁ、気が重い。
「ひぁっ、ぁ、あっ……ひぅっ!」
客は寝取る側の気分を味わっているのだろうか。俺は寝取られる側か、先輩をアルマだと思えばリアルな演技が──ぁ、ダメだ、それ想像したら心が死ぬ。
「ほら、ちゃんと見て、君の恋人が僕に抱かれてるところ」
まぁ、アルマの目の前で他の男に抱かれたことは何度もあるけれど……だからこそ俺を見つめるアルマの顔が明確に想像出来てしまうから、想像したくない。
「ぁ、ひっ……ひんっ! ぁあっ! そ、こっ……こりこり、やばいぃっ……イくっ、イっちゃう……!」
絶頂する蕩けた顔を先輩に間近で見られてしまう。意識すると羞恥心が膨らんだが、前立腺に亀頭を擦り付けられ、俺はあっさりと絶頂を迎えてしまった。
「イくぅぅっ! ひっ、あぁっ! やっ、やぁあっ、イった、ぁっ……!」
客は俺が絶頂しようとも構わずに前立腺を執拗に責めてくる。客は肉体的な快楽ではなく、恋人達の片方に恥辱を与える精神的な快楽を求めているようだ。
「イくっ、またっ……イくぅうっ! せんぱっ、せんぱいっ……ひっ、ぁっ! あぁあっ!」
「サク……そんなにそいつのが気持ちいいのか?」
後輩の教育は下手だが演技は上手いようだ。先輩は絶望しているような顔で俺に尋ねてくる。俺はどう答えるべきだろう、快感で思考が回らない。
「きもちっ、きもちぃいっ……やぁっ、みないれっ……また、イくっ! ぅ、あっ、あぁああっ!」
「流石、快楽に弱いウサギさん。恋人の前だろうがイきまくっちゃうね、僕もそろそろ限界だから、恋人の前で種付けしちゃうね」
「へっ? ぁ、やらっ、やら、なかだめっ、ぁ、あぁああっ……! ぁ、ひっ……どくどく、きてる…………せんぱい、せんぱいぃっ……」
根元までは挿入せず、前立腺に亀頭を押し付けて射精した。先輩にもたれかかって並の味の精液を飲み、満腹感から眠気を覚える。
「ふーっ……ほら、見える? 君の恋人に僕の精液がこんなに…………あれ? 出てこないね……結構出たと思うんだけど」
萎えた陰茎が抜けたかと思えば客は指を挿入して広げ、後孔から溢れるはずの精液を先輩に見せようとする。しかし、インキュバスの俺は腸壁からも精液を球種してしまうため、人間程度の射精量では一滴も零さない。
「うーん……えっと、君の恋人は僕の精液を全部美味しくいただいてしまったようだよ? どんな気分だい?」
苦し紛れの言葉は真実を突いた。しかし、それが真実だと気付かれてはいけない。ひとまず黙っていよう。
「別にっ……こういう、店ですから。俺達の愛は……もっと、心で繋がるものですから」
「ふぅん……? だといいね。じゃあ、僕はこれで失礼するよ」
客はベッドを降りて服を着始める。俺と先輩もベッドを降り、部屋を出る客を見送るためカチューシャなどの位置を整える。
「…………いやぁ、最っ高だったよ君達! ごめんね、ちょっと意地悪なこと言って。いやぁもう本当最高! ピンクの君、本当に恋人なのかなって思うくらい良い演技してたよ!」
服を着終えた客は興奮気味にプレイの感想を語る。
「あ、ありがとうございます……」
「黒髪の君! 君は、もう……可愛いよ。演技はしてないのかな? 新人だもんね、別にいいよ。身体が最高だし、とにかく可愛い……なんだろう、なんでかな、本気で恋してしまいそうだよ……あぁ、そうなってくると寝取られをやりたいなぁ」
好きなプレイは寝取る側だが、本気の相手は他人に寝取られたい……? 性癖歪み過ぎだろ。
「研修期間は二人で接客してくれるんだよね。終わっても指名すれば二人でしてくれる?」
「はい、その場合は二人分の指名料と、その他オプション料がかかりますが……」
「いいよいいよ全然いいよ! また来るよ、それじゃあ、ばいばい」
手を振る客に手を振り返そうとすると先輩に止められ、頭を下げさせられる。客は苦笑いしながら部屋を出ていき、俺達は扉が閉まるまで頭を下げていた。
「……お客さんを見送るのは原則、お辞儀だからな」
「す、すいません……つい気が緩んで。いや、にしても……世の中には変わった趣味の人がいますね」
「あぁ、あの人は面倒だけど痛くも苦しくもないからマシだな。早くシャワー浴びるぞ、次の仕事まで三十分もない」
「スケジュールぎっちぎちなんですね……」
急いでシャワーを浴びていると前世での修学旅行の思い出が浮かぶ。五分くらいで済ますよう言われ、文句を言いながら慌てていたあの頃を──
「そういえばサク、精液……大丈夫か? 中出しされたの垂れてこなかったみたいだけど、かなり奥まで入ったとか?」
「あ、だ、大丈夫です……多分、今出てるんで」
「そうか……? やばそうだったら言えよ」
身体を洗い終えたら別の部屋に移り、バニースーツを着て客を待つ。ベッドに腰掛けてピンヒールのブーツを履いた足をぷらぷらと揺らし、時折立つ練習をしたりする。
「ぅ……やっぱダメだ、バランス取れない」
この頃ヒールブーツを履いていない時もよく転びそうになる。やはり羽と尻尾を取ってしまったからだろうか。耳も悪くなったし、あんな飾りのような器官にも役割はあるんだなと実感する。
「なぁ、サク……迷ってたんだけどさ、言うわ」
「なんですか?」
「…………俺、サクのこと好きだ」
先輩は俺の手を取って意を決して告白してきたが、俺は衝撃を感じていない。女神に付与されたスキルがあるのだから好かれるのは当然、そう理解しているからだ。
「ありがとうございます」
「本気なんだよ、サク……俺、働けなくなるまでここで働こうって思ってたけど、今は家買えるくらい金貯めたらすぐに辞めてお前と暮らしたいって思ってるんだ」
先程の演技が上手かったのは本当に俺と生きていきたいと思っていたからなのか。
「サク……二人でここを出て、一緒に暮らそう」
「……ごめんなさい、俺、既婚者なんで」
「へっ?」
「…………結婚してるんですよ」
先輩は俺の両手を包むように握ったままポカンと口を開けている。
「え……じゃあ、なんでこんな店にいるわけ?」
「あー……えっと、前にやってた仕事ダメになっちゃって、次の探すまでの繋ぎって感じです」
「繋ぎでこの店に……!? 正気かお前、お前売れっ子になってんだぞ、辞めさせてもらえると思うか!?」
かなりやばい店みたいだ。真実を話す訳にはいかないとはいえ、今の言い訳は適当過ぎたな。
「俺ならお前にこんな思いさせたりしない! だから……そいつと別れて俺と一緒になろう、結婚しようサク!」
腹が減ったからといってセックスに誘ったのがまずかったな、勘違いさせてしまったかもしれない。
「愛してるんだ、サク……」
先輩はベッドを降りて立ち上がり、俺の両肩を掴んで押してきた。押し倒すつもりだと察した俺はベッドに手を付き、踏ん張った。
「サ、クっ……! 愛してるっ!」
「夫が、いるんですって……!」
「そんなっ……! 男より、絶対、俺が幸せにしてみせるっ!」
「先輩にはっ! 絶対、無理っ……!」
不格好な対決を初めて数分後、部屋の扉が開いた。俺達は慌てて姿勢を正し、やってきた客に向かって深々と頭を下げた。
「一人の指名料で二人! いやぁやっぱりお得だなぁ、最高だ」
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