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やはり子供を使うしかない

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シャルとの戯れをやめ、寝ているフリをして考える。
練習を重ねて記憶封印の術を使いこなせるようになっても、俺が消えてしまう前に彼らの中の俺を封印しても、ふとしたことで思い出してしまうだろう、俺がアルマを思い出したように。

「……記憶を消す作戦はダメ、か」

頭まで被った毛布の中でボソリと呟く。
部屋の脱出の算段は整った、ネメスィのネックレスの石を破壊するのだ。その後、俺が邪神のサナギにされて消えることで起こりうる彼らによる仇討ちを止める方法は──

「もうお前らしかいないよ……」

──近いうちに卵から孵る俺の子供達を託し、俺の仇を討たせずに、俺の遺言を叶えるために生きてもらう。

「…………ちゃんとみんなに懐くんだぞ」

すっぽりと毛布に包まったまま手だけを出して、卵を撫でる。孵るまではいつも通りに過ごすしかない、俺を犠牲にする脱出作戦なんて気付かれてはいけない。




記憶を消してしまう作戦が崩れて数日後、俺は日課である卵の観察をしていた。日々大きくなっている。

「ん……?」

今、卵が揺れたような。微かに黒いハート模様がある卵だ、唯一他の男ではなく俺に似ている柄の卵──触れてみると内側から卵を弱々しく叩いているような振動があった。

「まさか……割ろうとしてるのかな」

ただ動いてるだけかもしれないし、割ろうとしているのだとしてもこういったことは手助けをしてはいけないと聞く。信じ、祈り、待つしか出来ない。

「……なぁ、そろそろ時間だろ。どうする?」

微かに動いている気がする黒いハート模様がうっすらとある卵を眺めていると、ベッドの脇で話すカタラの声が耳に届いた。

「カタラさんの番でしょう?」

「そうなんだけどさ……今日は体調悪いんだよ、床で寝ちまったからか身体冷やしたのと背中痛いのと……だから代わってくれ」

「代わる? カタラさんを飛ばしてお義兄さんじゃダメなんですか?」

「いや、サクを抱く回数が減るの嫌だから一回だけ交代するってことにして欲しいんだ」

どうやら俺の食事についての相談らしい。突っ込まれるまでは母性本能が強いから卵に近付けると想像しただけで身が震えるが、抱かれる妄想は自然と腸液を分泌して淫魔らしさを出してしまう。

「なら俺と代わっても意味がないな、明日すぐに体調が回復する訳でもないだろう?」

「うーん、どうだろ。やめといた方がいいと思うけど。ぁ、シャル、お前交代してくれよ」

「ペースが崩れるの嫌いなんですよね。兄さんを抱く回数が増えるならともかく、ズレるだけなら嫌です」

「じゃ、消去法でネメスィ。お前は明後日の予定だったよな、代わってくれるだろ?」

ネメスィは静かに頷いた後、カタラを見つめて言った。

「体調管理も出来ないのか」

「うるせぇな! 人外共に人間の体調管理の難しさなんて分かんねぇよ! な、おっさん」

「うーん……お腹を出して床で寝てたからねぇ、君……多少言われても仕方ないと思うよ」

反論がなくなったようでカタラは黙り込み、ネメスィによって椅子に座らせられる。

「体調が悪いなら大人しくしていろ。シャル、看病してやってくれ。俺はサクを抱いてくる」

シャルは戸惑った顔をした後おずおずと毛布を渡していた。微笑ましい光景に思わず頬が緩む──ギシ、とベッドが軋む。俺は咄嗟に卵を背に庇った。

「サク、食事の時間だ。大人しく足を開け」

卵を守りたがる本能が意思に反して首を横に振らせる。腸液が潤滑油としてとろりと垂れてきたのに、俺はネメスィを態度では拒んでしまう。

「そ、そんなに毎日しなくてもいいっ……卵、もう少し見てたいし……」

背に庇った卵の様子を見る。やはり黒いハート模様がある卵だけが微かに揺れ、隣の卵に当たってカチカチと音を立てていた。

「なんか、もうすぐ孵りそうでっ……!?」

目を離していた間にネメスィは距離を詰め、俺の足首を掴んで引っ張った。ベッドの真ん中まで引っ張られ、呆然としていると足首から膝裏に手が移り、押し倒すのと同時に開脚させられた。

「そう清純ぶるな、抱かれたいんだろ?」

腹にピッタリと太腿が押し付けられる。ネメスィの雄らしさのある笑みに下腹が疼き、また腸液が滲み出る。

「そ、そんなことない! 卵が気になるからっ……だから! 今日はいい!」

ヒクヒクと震えていた後孔を両手で隠し、睨むつもりでネメスィの金の瞳を見つめる。

「見て分かるほど濡れているくせに、よくそんなことが出来るな」

ネメスィの腰から二本の細長い触手が伸びる。シャツの隙間から出たそれは自身のベルトを外し、ズボンと下着を下ろして陰茎を飛び出させると引っ込んだ。

「ほら、ねだってみろ」

後孔を隠した手の甲に陰茎が乗る。硬く膨らんだその感触に自然と息が荒くなる。

「ネメスィ、最近のサクは入れちまうまで嫌がるんだからそんなことしても無駄だろ」

「体調不良だと判断も鈍るらしいな、近頃はそうだったが今日のサクは大人しい」

ネメスィがこちらに来る前から抱かれることが分かってしまったから、既に興奮していたのだ。ネメスィは軽く腰を揺らして手の甲に陰茎をぺちぺちと当ててくる。

「……サク、我慢は体によくないぞ?」

溢れた腸液が腰の方まで垂れていく。もう手で隠していても意味がない。ネメスィから目を逸らした俺は後孔を隠すのをやめ、両手を顔の横に落とした。

「ぱくぱくと収縮して……サク、随分と欲しがっていたんだな。一言でいい、言ってみろ」

「ぅ……ぁ……うぅ…………ネメスィ、の……欲しい」

羞恥心のあまり硬く目を閉じた瞬間、根元までずぷぷっ……と挿入される。あまりにも容易に受け入れてしまった自身の穴にまで恥ずかしさを覚えながら快感に声を上げる。

「ぁああぁんっ! は、ぁっ……これ好き……ずっと欲しかったぁ……」

挿入されてしまうと母性本能よりも淫魔の本能が勝つ、いつもより恥ずかしさや抵抗感はあるものの、陰茎に与えられる魅力には勝てない。

「突いて、ネメスィ……奥、がんがん突いてぇ……ひぁんっ! ぁああんっ! ぁひんっ! ひ、ぃいんっ! んっ、ぅんっ、ぁあんっ!」

「ついさっきまで嫌がっていたくせに、随分と嬉しそうだな?」

「うれしっ、もんっ、これしゅきなのぉっ! 嫌がりたくっ、ないのにぃ、身体が勝手に嫌がるのっ、俺もやだっ……いっぱい、したいのにぃっ」

「そうか……まぁ、卵が孵るまでの辛抱だ。孵ったら治るんだろ? 子供にイキ顔を見せるといい」

待ち侘びていた快感に腸壁が悦んで絡みつく。自然とネメスィの首に腕を回してしまい、半開きになっていた口を舌で犯される。

「んっ、んんぅんんっ!」

「ん……」

「んっ、ぅううぅううんっ!?」

どぢゅっと前立腺を突き上げられたかと思えば、その亀頭から微量の電流が流れ、俺を無理矢理絶頂させた。ビクビクと痙攣する腸壁を構わずに擦り上げられ、舌で蹂躙されながらも絶叫する。
そんな俺の頭上ではピキピキと音を立てて卵が割れていたが、今の俺に卵を気にしている余裕はなかった。
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