冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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話し合いの場に必要な人員 (水月+シュカ・カンナ・リュウ・ハル・ネザメ・ミフユ)

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いや、カンナは割と最初から淫らな傾向があったか。控えめそうな見た目と態度なのに、常に俺の隣をキープしたり腕に抱きついたりキスをねだったり、結構積極的な子だったよな、最初から。

「……? なぁ、に。みぃくん」

じっと見つめて出会った頃のカンナを思い出していると、カンナに気付かれ小首を傾げられた。あざとい仕草も彼には似合う。

「何でもないよ」

「あなたが可愛いから見ていたんですよ、水月ってそういうヤツでしょう。昨晩の痴態でも思い出していたのでは?」

「違うとは言い切れないな」

「……! みぃくん、の……えっち」

頬を真っ赤に染めて俯くカンナに慈しむような視線を数秒向けた後、シュカは大きなため息をついた。その理由を探ろうとしたのも束の間、チャイムが鳴り授業が始まってしまった。次にチャイムが鳴った時にはもう昼休みが始まり、俺達は生徒会長室へ移動を余儀なくされ、シュカに探りを入れるタイミングは失われた。

「鳴雷一年生、今日の分だ」

「ありがとうございます! いただきます!」

ミフユから弁当を受け取り、今日も今日とて手の込んだ料理の数々に心を躍らせる。

「鳥待くん、少しいいかな?」

「何です?」

「今朝の話なんだけれど……もし僕で何か力になれることがあったら、遠慮なく言って欲しい。裁判だとかになるのなら、多少の伝手はあるからね」

「……金持ちは頼りになりますね。しかし随分広まったものです、霞染さんが知ってるのは想定内でしたがまさかあなたにまでとは。天正さん、あなた一体どこまで広めたんですか?」

「グルチャで一発や」

「クソ野郎」

「え、俺そんなの来てないんだけど」

「そら水月入ってへんグループやもん」

シュカは箸片手にスマホを持ち、ため息をついている。今朝から今まで一切スマホを確認していなかったのか。

「現役だったのかよそのグループ……俺の陰口とか言ってないよな? まぁ、それは今いいや。リュウ、そういうこと本人に無断で広めるの、よくないぞ」

「え~? とりりんは知られんの嫌やみたいな繊細なこと考えんと思たし、それよりケツの毛まで毟り取ったるわくらい考えとるやろ思て、こうしたら金めっさ取れんで~って知っとるもん居るかもしれんから可能な限り広めたろ思てんけど……あかんかった? とりりん」

「……そういう理由でしたか。面白半分に広めたなら殺しているところでしたが、それなら構いません。私の考え方を水月よりもよく理解しているようですね」

「せやろ! 俺分かんねんそういうん」

「頼りになりそうなのは大富豪の紅葉さん、弁護士の知り合いが居る歌見……後はヤクザですかね」

「最後はちょっとお金の取り方が正攻法じゃない気がするんだけど~?」

「正攻法で払わないとヤバいのが出てくる……と思わせられるだけでいいんですよ。話し合いの場で隣に座っているだけでいい、一言も話さなくても……少し刺青チラつかせてくれたなら、それで」

「……脅迫ならん? それ」

「本来、ヤクザに力を借りるなんて後々面倒なことになるというか……今後の人生、骨までしゃぶられるの確定ですからありえないんですけど、水月の彼氏ですからねぇ。水月と別れない限りは利用し放題……逆に考えれば水月と別れたら終わりですよ私達。ヤクザに顔と名前、その他諸々個人情報握られちゃってるんですから」

「ふふ、確かに。怖いねぇ。仲良くしておくれよ、水月くん」

「大丈夫ですよ、そもそも別れたからってそんな怖いことしてくるような人達じゃ……」

ない、と言い切りかけて俺の脳裏に浮かんだのはサンに監禁された思い出。フタに殺されかけたあの日の恐怖。常日頃感じているヒトの厄介さ。

「…………気を付け、ます」

「え、ちょ、怖いんだけど。んまぁ確かに、サンちゃんは優しいけど兄二人はちょっとね~」

「あの人も結構……というか、食えなさで言えばダントツでしょう。見透かされているような感覚が嫌です、飽きると冷酷そうな怖さもある」

「あー、分かるわぁ。サンちゃん底知れなさあって怖いねんなぁ。いっちゃんヤクザっぽいんとちゃうん、一見人当たりええけど怖い人って」

「……あのさ、今更なんだけど言っとくとさ、穂張組もうヤクザじゃないらしいからな? 先代でヤクザ業は辞めてるって」

その代わりにやっているのが大企業の秘書の使いっ走りなんだから、どっちがマシなのか分からないけれど。

「ほーん……? ところでとりりん、話し合いに来て欲しいんて三人のうち誰なん?」

「え? まだそこまで詰めて考えてはいませんが……まず次男はナシですね、黙って座っててくれなさそうです」

「フタさんは椅子に一人で座らせておくとグラグラぐにゃぐにゃして可愛いよ」

シュカに睨まれた。なんで?

「長男……見た目は理想的なんですが、なんか口挟んできそうで嫌ですね。かと言ってサンさんは……長髪と盲目が脅しをするには弱い点ですよね、有名な画家がヤクザアピールをチラつかせる訳にもいきませんし、ヒトさん一択か……」

「ヒトさんはやめておいた方がいいと思うよ、色々難しい人だから」

「難しくて面倒な男ばっかり集めてるあなたがそう言うなんてよっぽどなんでしょうね」

よっぽどだ。俺はシュカを見つめ、黙ったまま頷いた。

「はぁ……誰も使えませんね。こうなればヤクザ達を除けば一番イカつい歌見に、いえ、狐にヒトに化けろと頼んで来てもらえばいいのでは?」

「ヤクザ便利に使うんはもちろんアレやけど神さん便利に使うんはもっとアレやで」

「そうですかねぇ……さて、まだまだ猶予のある痴漢については置いておいて、我々は期末テストの心配をしなければ。そして私はその前に、水月の食事の遅さに文句を言わなければ、ですかね」

空になった弁当箱三つを片付けると、シュカは俺の隣に移動してきた。

「いつ抱いてくれるんですか、水月」

「ま、待ってくれよぉ……」

食欲を満たしている最中に性欲を煽られることについて困るなんて、贅沢な悩みだな。
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