冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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元気と上機嫌の源 (水月+シュカ・ミフユ・ネザメ・リュウ)

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シュカに誘われているからと弁当をかき込むような真似は許されない、ミフユの手作り弁当なのだからゆっくり味わわねば。

「今日家来るんなら昼はいいんじゃないのか?」

「水月はヤりたくないんですか? 私と」

「ヤりたぁい! ヤりたいに決まってるよシュカ!」

「なら問題ないじゃないですか。知ってるでしょう、あなたほどではありませんが私も結構絶倫体質なんです。昼ちょっとヤったからって、夜微妙になるなんてことはありません。だからほら、早く食べてください」

「待ってくれよぉ……」

毎度の事ながら不思議だ、シュカはどうして俺の三倍近くの昼食を俺の半分ちょっとの時間で食べてしまえるのだろう。俺、食べるの遅いのかなぁ。


なんて悩みを浮かばせつつも食べ終えて、いつものようにシュカを抱いた。痴漢に触れられたところに触れるのは、朝の一件を思い出して不快感が再燃しないか不安だったが、触れて上書きしろとも言われていたので、いつも以上に丹念に揉んだ。俺のものだと示すように。するとシュカの方から口付けをねだってくれて、昼休みの時間いっぱいキスハメを楽しめた。

「ふぅ…………年積さん、水月の弁当もっと柔らかい物ばっかりにするとかしてくれませんか?」

「受け入れられる訳がないだろうと自身で分かっている提案をわざわざしてくるな」

「断られるとは思ってましたが、一歩越えた注意を受けるのは予想外でした」

「食事直後に激しい運動をするのもどうかと思っているんだ、ミフユは」

神聖な生徒会長室で~とか言いそうなキャラだが、ミフユ自身この部屋でネザメとの淫蕩に耽っているのでそういう方向性の注意は出来ないんだよな。だとしても他の子達がまだ食事中なのにおっぱじめるのは俺も未だにどうかと思っているし、その注意はミフユがシュカにしてもいいと思うのだが。

「そんなことより鳴雷一年生、繰言二年生のことなのだが」

「今日もお休みでしたね」

「……明日、昼までに来なかった場合、出席日数不足による留年が確定する。昨日もそれ以前も、電話をかけても繋がらん……ミフユはもう半ば諦めている。鳴雷一年生、貴様の言葉がもし届くのなら、出席を……そして進級を勧めてやってはくれないか?」

「わ、分かりました……留年、留年か……しそうとは聞いてましたけど、明日決まっちゃうんですか、なんか、急に感じますね……説得頑張ってみます」

「……あぁ、頼む」

会う度にカサネを怒鳴りつけていた姿からは想像も出来ない、しおらしい態度だ。ため息も多い、落ち込んでいるのだろう。カサネの留年を止められない自分に無力感でもあるのかもしれない。

「ミフユさんは精一杯やってましたよ、そう気にしないでください」

「うむ……しかし、同じクラスに留年者を出すなどネザメ様の評価に差し障る……」

「そんなことないと思いますよ、ネザメさんはネザメさん、カサネ先輩とはまた別の個人なんですから……いくらクラスが同じだからって、そんなふうに考えられたりしませんよ」

「むぅ……」

「僕も昨日から今の君と似たような言葉で励ましているのだけれど、上手くいかないんだ。もう言葉は役に立たないのかもしれない……となれば手は一つだ水月くん、ミフユにキスをしてあげてくれないかな」

「ミフユさんが嫌でなければ喜んで」

「ネ、ネザメ様!? 何をっ、ぁ、鳴雷一年生、ネザメ様の言うことをいちいち全て真に受けていてはっ!」

「こっち向いてください、ミフユさん」

そっと顎の下に手を添えるとミフユは途端に静かになって、睫毛を震わせながら俺の手に従って顎を上げた。キス自体を嫌がりはしない妙な素直さをおかしく愛しく感じながら、そっと口付けた。

「……元気、増えたかい? ミフユ」

「………………はぃ」

ミフユは耳まで真っ赤になった顔を両手で隠して俯いている。背の低さもあいまって表情が全く分からない。

「それはよかった。それじゃあ教室に戻ろう。水月くん達、また明日」

「ぁ……はい、また明日~!」

歩幅が狭くなったミフユの肩を抱いて歩いていくネザメに手を振り、俺達も教室へ戻った。その後は面白くもなんともない授業を受けて、待ちに待った放課後が訪れる。



下校時、シュカは自宅の最寄り駅で降りることなく俺達に着いてきた。

「今日は水月が家に泊めてくれるんです。ふふ、翌日は寝不足になってしまうかもしれません……」

「嬉しそうやのぉ」

「そんなことありませんよ」

とても機嫌がいい。そんなに俺の家に泊まるのが嬉しいのか、可愛いヤツめ。

「ほなな水月ぃ、とりりん。また明日~」

「またな、リュウ」

「さようなら」

電車を降り、リュウに軽く手を振って見送る。

「シュカ、俺今日バイトあるから一人で俺の家向かってくれるか? 鍵渡しとくよ」

「本屋でしたよね、立ち読みでもして待っておきます。せいぜい二、三時間でしょう?」

「立ち読み出来る本って限られるし、暇だぞ。先行ってアキとでも遊んでた方が楽しいと思うけど」

「構いません」

「ならいいけど……コンちゃん、セイカお願い」

いつも通りミタマに車椅子を押して帰ってもらうことになった。少し眠そうにしながらも俺達に手を振るセイカの愛らしいことよ。

「……水月」

「ん?」

「…………ご迷惑ですか?」

「え、何が?」

「本屋に居座るの、ですよ。妙に帰したがったじゃないですか」

「いやだって構えないし、暇だろうし……」

「……それだけ?」

「うん」

シュカは安心したようにため息をつくと正面扉から本屋に入っていった。俺は裏へ回り、バックヤードでエプロンなどを装着し、店へ出た。

(えーとまずは、これをあっちへ運んで……)

本が詰まったダンボールを運んでいると、赤本コーナーの辺りでウロウロしていたシュカと目が合う。

「……! 可愛い……」

小さく手を振ったシュカの仕草がたまらなく可愛くて、カッコイイところを見せたくなって、いつもの数倍張り切って仕事に勤しんだ。



いつもならバックヤードで歌見としばらく駄弁るのだが、今日はシュカが待っているからそうはいかない。なんだかんだ真面目な彼は辞めた後も時々バックヤードでくつろいでいるレイとは違い、店員用のスペースには入ってこない。

「では失礼しますパイセン!」

「おぅ、気を付けてな」

急いで支度を済ませて裏口から外へ出る。表へ回り、雑誌の表紙を興味なさげに眺めていたシュカに手を振る。

「水月、お疲れ様です」

「お待たせシュカ。暇だったろ」

「はい。埋め合わせしてくださいね」

駅前から離れ、住宅地に入ると灯りと人通りが減る。すると隣を歩いていたシュカは俺の腕に腕を絡めてきた。

「……シュカ?」

返事のようにぎゅっと腕を抱く力を強められ、心臓が高鳴る。

「…………すごく嬉しいよ」

素直に好意を表すのが苦手なシュカが、彼の方から腕を絡めてくれたんだ。浮かれてしまうけれど、からかったり過剰に反応したりしては、シュカは照れて俺から離れてしまう。静かにシンプルに気持ちを伝えるだけで済ませるのだ。
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