冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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アイツらとは違う (水月+ノヴェム)

今日はノヴェムが俺の家に預けられている。稲荷寿司を食べ終えたミタマを連れてダイニングへ行くと走り寄ってきた。

「みつきお兄ちゃん!」

「ノヴェムくん、ただいま。今日は来てたんだね」

抱き上げて一回転し、下ろす。レンジに入れられた俺の夕飯を確認。

「サラダ避けて……チン。さて、米は~っと」

一つの皿にサラダと生姜焼きが盛られていたので、温められて欲しくないサラダを別の皿に避け、肉だけを温め直す。

「おにぃちゃ、スープ」

「ん? あぁ……スープもあるんだ? お、コンソメじゃん。これ好き~」

キッチンまで着いてきたノヴェムのおかげで鍋に気付けた。俺はたまに汁物の存在を見落とし、後から汁物だけ飲むという失態をやらかしがちだ。

「ありがとうねノヴェムくん」

頭を撫でて感謝の念を伝えると、ノヴェムはぽっと頬を赤らめながら嬉しそうに微笑んだ。

(あっ、やべ。惚れ度高めちまいましたな)

幼いノヴェムの淡い初恋の思い出になってやりたい、幻滅させたりフったりでは柔い心を傷付けてしまう。

(うーむ、保母さんに惚れた~とかなら卒園で離れるから本人視点でも自然と叶わぬ恋になってくんですが、近所のお兄さんですからなわたくし。む、でも、憧れのお兄さんお姉さんが進学でどこ行ったか分からない、初恋の思い出……ありがちでわ?)

結構な長期戦が予想されるなぁ。その間、ノヴェムには幻滅されず、仲を深め過ぎず、絶妙な距離感を保たなくては。

(大きくなって、初恋の人をようやく見つけたら……思い出よりも小柄で、可愛くて、都合よくフリーだったり社会人生活に疲れてたりしてつけ込めて……っていう歳下攻めの話! 億ほど見ましたわ!?)

ノヴェムにはポテンシャルがある。ネイのような王子様系でも、ステレオタイプなアメリカンマッチョでも、どの方向に成長しても違和感がない。もしナード化したとしても、ノヴェムの顔の良さならキメれば超イケメンという女性向けにありがちなキャラ造形になること間違いなしだ。

(モサくてダサい陰気な同僚、髪型と姿勢を変えるだけで誰もが振り返るイケメンに大変身! ~今更アプローチしてももう遅い、モサ時代から優しく接した私に彼は夢中です~……じゃん! 女性向けオフィスラブで兆ほど見た!)

王子様でも、マッチョでも、ギャップでも、アプローチされれば俺は多分コロッと落ちる。惚れっぽい面食いなのだ、俺は。

「ノヴェムくん……」

《お、お兄ちゃんっ、お兄ちゃんあのね、僕お兄ちゃんに、ぁ、あーんって、したい……! いい?》

「頼むから俺を思い出にしてくれ……!」

まぁでも、ノヴェムが長年想い続けなければいいだけの話だ。俺がいくら超絶美形でも俺は男、思春期を超えてもなお男に懸想し続ける男なんてそう居ない。俺はマイノリティ側だとしっかり理解している、普通の人間は女に惚れて子供を作るのだ、ご立派なことで。

(……あ、なんか落ち込んできた。ヤバいヤバい、ご飯食べよ……うま)

それに、もしもノヴェムが十何年も俺を想い続け、立派な大人になってもなお俺が欲しいと言うのなら、与えてやればいいだけの話じゃないのか?

(よく考えたら歳の差って未成年じゃなきゃ問題ないですしな、傍から見ると歳上側がキモいだけで)

解決だ解決。女に惚れる人生の方が生きやすそうだから、そっちを選んで欲しいけれど、俺に惚れ続けるならそれはそれで構わない。

「ノヴェムくん、アキ達と遊んでこなくていいの?」

「ぼく、おにぃちゃ、見てる……の、遊ぶより、好き」

「……そっか」

なるようになれ、だ。幼い今は気持ちに応えることが出来ないというだけ、不意打ちのキスさえやめさせられたら……あぁ、ノヴェムに関する目下の悩みは今のところそれだけかな。

(そもそも同意なしでキスってだいぶアレですしな)

夕飯を食べ終えて、後片付けを手伝いたがるノヴェムに服を引っ張られながら皿を洗い終えたら、ぷくっと膨れたノヴェムの頬を弄ぶ。

「ぶぅー……」

「ふふふっ」

可愛い。癒される。彼氏達とはまた違う、子供はいいな。清い気持ちにさせてくれる。

「よしよし……」

そういえば、あの夢の中で乱暴されていたシュカもこのくらいのサイズだったかな。もう少し小さかったか? ノヴェムより痩せてはいた、ろくに食事を与えらなかったのだろう。

「……!? ぉ、おにぃちゃっ!?」

こんな幼い子供に、どうやったらあんな乱暴な欲を抱けるんだ。悔しくて悲しくて怖くて、思わずノヴェムを抱き締める。

《い、いつもの抱っこと違う! ついにっ、ついにお兄ちゃんから……!》

「…………ごめんね、強く抱き締めて。苦しくなかった?」

《ぁ、やだっ、終わんないで!》

冷静さを取り戻して腕の力を緩めると、ノヴェムの方から俺に抱きついてきた。色素の薄い肌を赤く染めて、柔らかな金髪の隙間から潤んだ青い瞳を見せた。

「おにぃ、ちゃん……」

絞り出したような震えた声には不安と期待が入り交じって聞こえた。その表情と台詞に、胸の奥で何かが燻る。

(…………え?)

何だ、今の。

(は? 何、今私、なに……? ムラってした? ノヴェムくんに? こんな、子供に)

恐る恐るノヴェムの肩に触れる。細い。二の腕も。細くて柔らかい、大人の男の手なら簡単に握ってしまえる。押さえ込んでしまえる、それを俺はシュカの夢の中で見た。シュカは泣き叫んで暴れようとしていたけれど、全然動けていなかった。

(……違う)

手は自然とノヴェムの腰に降りる。細い、ハルよりも。柔らかい、カンナよりも。この腰を掴んで好きに出来たなら──?

(違うッ、違う違う違う違う違うッ!)

尻、太腿……ダメだ我慢出来なくなる、何を? 我慢って何。何を。違う、俺はただ、たとえ家族でもそんな無遠慮に身体に触るのはよくないって、特に腰周りはよくないって。今時、小学校の道徳や人権授業で教わるようなことだろ? 俺は今、それを考えて、ダメだって。

(違う! 俺はシュカを襲ったアイツらなんかとは違う! こんな子供に興味ある訳ない、私が好きなのは同い歳の顔のいい男の子で、ドストライクなのはカンナとかあの辺で!)

あ、そういえば。

(メカクレで、すぐ俺に抱きついてきて、すぐに赤くなって……)

ノヴェム、ちょっとカンナに似てる。

「おにぃちゃん?」

「…………ノヴェム、くんは……ノヴェムくんは、可愛いね。うん。可愛い、可愛い子供……こども」

《……かわいい? キュート? ぼく旦那さんなのに……ぁうー、でも、お兄ちゃんに可愛いって言ってもらえるのは嬉しい。えへへ》

無垢な笑顔。眩しい、見たくない。

「……ノヴェムくん、そろそろおうち帰らないとね。もう寝た方がいい時間だし」

さっさと帰そう。
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