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今度こそ本心だから (水月+ノヴェム・ネイ)
本当に幼児趣味はなかったはずなのに、シュカの夢を見ても嫌悪感しか抱かなかったはずなのに……本当に? いつも抱いてる大好きな彼氏の幼い姿だったから、本当はイケたんじゃないの? それを皮切りに、ノヴェムが範囲に入ったんじゃないの?
(……違う)
あぁ、吐きそう。繋いだ小さな手は熱いくらいで、そこに邪な感情は抱けない。うん、大丈夫。
「おにぃちゃ~、ぇへへっ」
胃がムカムカする。俺の手を握って振りながら、俺を見上げる無垢な瞳に映る俺の表情は、優しい近所のお兄ちゃんそのもの。雄の欲なんて見当たらない。
(…………なんだ、大丈夫じゃないですか。びっくりした、ショタコンに目覚めたのかと)
立ち止まり、ノヴェムの脇の下に腕を通して抱き上げる。
《わっ……! たかーい……えへへ…………あっ、お、お兄ちゃん、ぼくもう高い高いしてもらうような歳じゃないよ! こんなの嬉しくないんだからね!》
大丈夫。醜い欲望は湧いてこない。ノヴェムをそっと下ろし、もう一度微笑みかける。
(さっきのムラっは何かの間違い、疲れマラか何かでそ。疲れてますからな、今日は)
ノヴェムを届けてさっさと寝よう。俺はノヴェムを連れて家を出て、手を繋いで道路を渡り、隣家のブザーを押した。
「あれ、出ない……」
そりゃそうだ、居ないから預けてるんだ。でも泊めてくれと言われたと俺は誰にも聞いていないし、いつもならとっくにネイが迎えに来ている時間だ。
「今日は遅くなってるのかな……ま、いつも時間まちまちだもんね。でもそれにしても今日はちょっと遅いよねぇ」
なんてノヴェムに話しかけながら、ドアノブに手をかける。
「……あれ?」
開いちゃった。公安のくせに不用心だなと思いながら開けてみると、ネイは玄関に座り込んでいた。足を大きく開いてしゃがむように低い段差に腰を下ろし、膝に乗せて伸ばした手には缶コーヒーを持っていた。
「ぁ……?」
ネイは缶コーヒーを落とし、その缶が落ちるよりも早く懐に手を入れ──安心したように微笑んだ。
「水月くん……ノヴェムを送ってきてくれたんですか? すみません……ちょっと、一本飲んでから迎えに行こうと思ってて……ぁ、コーヒー零しちゃいましたね。靴汚れてませんか? ホントすみません」
「だ、大丈夫です……お疲れですね?」
スーツの脇腹の辺りに手突っ込んだの、なんでだろ。拳銃持ってたりするのかな。
「……物部の件で、怒られたり……後処理やらされたり……アイツと繋がりが出来たせいで、今後も怪異案件の処理担当になりそうな感じもあって……はぁあ」
「だでぃ」
「ぁあぁあ…………ぁ?」
「だでぃ、だいじょーぶ?」
「…………ぁあああっ! 天使! 私の……私の宝物ぉ……! ゔゔぅ……ノヴェムぅ、あなたが居れば私は何でも出来る。あなたの育つこの国からカルトを根絶し、あなたの将来に平和を約束します!」
ネイ、カルト嫌いだよな。まぁ好きな人はあんまり居ないだろうけど。
(アングラな趣味的な話で言えば、わたくしは嫌いじゃありませんけどな。あの不可解な事件の裏にはあのカルト団体が……! 的な陰謀系都市伝説、割と好きですから。あ、鵜呑みにしてるとかじゃないですよ。怪談聞くのと同じノリでこえーって楽しんで……実際に犠牲者居るのに。クソ不謹慎な趣味ですな、まぁ自覚あるだけマシですよな)
ネイは俺に丁寧にお辞儀をしてノヴェムを寝室に連れていった。すぐに帰るつもりだったのに、疲労困憊のネイが気になって玄関に留まってしまった。
「あれ……水月くん、帰ってなかったんですか? すみません、私お別れしたつもりで……」
「あぁいえ、ありがとうございますバイバーイって二人で言ってくれたの聞きました。その、ネイさん疲れてるみたいだから心配で……床で寝ないかとか」
「あははっ、大丈夫ですよ。優しいですねぇ」
玄関で座り込んだネイを見た瞬間、俺は介護疲れでボーッとして傷の手当てすらせず浴室に座っていたシュカの姿を思い出していた。
(はぁ……シュカたまのお辛いところばっかり思い出させる親子でそ)
そりゃ心配になるだろ。まぁ、ネイはそこまで重症じゃないみたいだな、本当に休んでいただけだったのか。
「邪魔してすみませんでした、コーヒーも……今度弁償します」
「あぁ、いいんですよそんなの……そうだ、よければコーヒー入れてくれませんか? もしどうしてもお詫びをしたいなら、それで受け取ります」
「はい!」
ネイに着いてキッチンへ向かうと、高級そうなエスプレッソマシンがあった。初めて触れる機械のため、ほとんどネイに手伝ってもらってしまい、俺が淹れたとは言い難い一杯になってしまったが、ネイは満足そうだった。
「ふふ、水月くんが淹れてくれたコーヒー、格別です」
「ほとんどネイさんがやったじゃないですか……」
「それもいい。初めてを私が手ほどき出来たなんて……ふふ。水月くんはこの先、コーヒーを淹れる度に私を思い出すんですね」
「……まぁ、思い出すでしょうけど」
「好きな人の初めての男になる悦び、あなたには分かるでしょう?」
分かる。
「す、好きなって、もう……ネイさんったら」
目を逸らす。ネイが席を立った音も聞こえないフリをして、隣に立ったネイが俺の手を握るまで彼の方を見なかった。
「……! ネ、ネイさん?」
「水月くん……以前の私の非礼を深くお詫びします。誘惑して情報を引き出そうだなんて……綺麗な子だし、役得だってはしゃいで……あなたの気持ちも考えず。すみませんでした。そんな私が信用されないのは、分かっています。分かっています……でも、それでも、信じてください。私は今本気であなたを好いています。抱き締めたい、キスをしたい、その先も……水月くん、あなたが欲しい」
「…………ネイさん。俺はもう、疑ってないです。荒凪くん助ける時に言ってくれた時から、本気なんだって確信持ててます。待ってました、ちゃんと話せる時を……照れて、誤魔化そうと……つい、しちゃって、さっきのはすいませんでした」
ネイはじっと俺を見つめている。泣きそうなくらい碧い瞳には、一点の曇りもない。
「俺もあなたが好きです、ネイさん。初めて会った時からずっと、ずっと惹かれてました」
「……!」
「でも、一つ……いいですか? ネイさん。あなたは俺が欲しいって言いましたけど……ネイさんが、俺の物になるんです。俺の可愛い恋人の一人に……最愛のコレクションの一つになるんです。それで構いませんね?」
「……はい! 喜んで!」
ちょっとクズっぽい言い方になってしまったけれど、実際俺がやっているハーレムはクズの所業なんだから正解だ。ぽい、でも何でもない。クズでもいいって言ってくれるんだから、それはもう好きにしていいってことだよな。
「これからよろしくお願いします、ネイさん」
子持ちの熟れた身体、どう貪ってやったものかな。
(……違う)
あぁ、吐きそう。繋いだ小さな手は熱いくらいで、そこに邪な感情は抱けない。うん、大丈夫。
「おにぃちゃ~、ぇへへっ」
胃がムカムカする。俺の手を握って振りながら、俺を見上げる無垢な瞳に映る俺の表情は、優しい近所のお兄ちゃんそのもの。雄の欲なんて見当たらない。
(…………なんだ、大丈夫じゃないですか。びっくりした、ショタコンに目覚めたのかと)
立ち止まり、ノヴェムの脇の下に腕を通して抱き上げる。
《わっ……! たかーい……えへへ…………あっ、お、お兄ちゃん、ぼくもう高い高いしてもらうような歳じゃないよ! こんなの嬉しくないんだからね!》
大丈夫。醜い欲望は湧いてこない。ノヴェムをそっと下ろし、もう一度微笑みかける。
(さっきのムラっは何かの間違い、疲れマラか何かでそ。疲れてますからな、今日は)
ノヴェムを届けてさっさと寝よう。俺はノヴェムを連れて家を出て、手を繋いで道路を渡り、隣家のブザーを押した。
「あれ、出ない……」
そりゃそうだ、居ないから預けてるんだ。でも泊めてくれと言われたと俺は誰にも聞いていないし、いつもならとっくにネイが迎えに来ている時間だ。
「今日は遅くなってるのかな……ま、いつも時間まちまちだもんね。でもそれにしても今日はちょっと遅いよねぇ」
なんてノヴェムに話しかけながら、ドアノブに手をかける。
「……あれ?」
開いちゃった。公安のくせに不用心だなと思いながら開けてみると、ネイは玄関に座り込んでいた。足を大きく開いてしゃがむように低い段差に腰を下ろし、膝に乗せて伸ばした手には缶コーヒーを持っていた。
「ぁ……?」
ネイは缶コーヒーを落とし、その缶が落ちるよりも早く懐に手を入れ──安心したように微笑んだ。
「水月くん……ノヴェムを送ってきてくれたんですか? すみません……ちょっと、一本飲んでから迎えに行こうと思ってて……ぁ、コーヒー零しちゃいましたね。靴汚れてませんか? ホントすみません」
「だ、大丈夫です……お疲れですね?」
スーツの脇腹の辺りに手突っ込んだの、なんでだろ。拳銃持ってたりするのかな。
「……物部の件で、怒られたり……後処理やらされたり……アイツと繋がりが出来たせいで、今後も怪異案件の処理担当になりそうな感じもあって……はぁあ」
「だでぃ」
「ぁあぁあ…………ぁ?」
「だでぃ、だいじょーぶ?」
「…………ぁあああっ! 天使! 私の……私の宝物ぉ……! ゔゔぅ……ノヴェムぅ、あなたが居れば私は何でも出来る。あなたの育つこの国からカルトを根絶し、あなたの将来に平和を約束します!」
ネイ、カルト嫌いだよな。まぁ好きな人はあんまり居ないだろうけど。
(アングラな趣味的な話で言えば、わたくしは嫌いじゃありませんけどな。あの不可解な事件の裏にはあのカルト団体が……! 的な陰謀系都市伝説、割と好きですから。あ、鵜呑みにしてるとかじゃないですよ。怪談聞くのと同じノリでこえーって楽しんで……実際に犠牲者居るのに。クソ不謹慎な趣味ですな、まぁ自覚あるだけマシですよな)
ネイは俺に丁寧にお辞儀をしてノヴェムを寝室に連れていった。すぐに帰るつもりだったのに、疲労困憊のネイが気になって玄関に留まってしまった。
「あれ……水月くん、帰ってなかったんですか? すみません、私お別れしたつもりで……」
「あぁいえ、ありがとうございますバイバーイって二人で言ってくれたの聞きました。その、ネイさん疲れてるみたいだから心配で……床で寝ないかとか」
「あははっ、大丈夫ですよ。優しいですねぇ」
玄関で座り込んだネイを見た瞬間、俺は介護疲れでボーッとして傷の手当てすらせず浴室に座っていたシュカの姿を思い出していた。
(はぁ……シュカたまのお辛いところばっかり思い出させる親子でそ)
そりゃ心配になるだろ。まぁ、ネイはそこまで重症じゃないみたいだな、本当に休んでいただけだったのか。
「邪魔してすみませんでした、コーヒーも……今度弁償します」
「あぁ、いいんですよそんなの……そうだ、よければコーヒー入れてくれませんか? もしどうしてもお詫びをしたいなら、それで受け取ります」
「はい!」
ネイに着いてキッチンへ向かうと、高級そうなエスプレッソマシンがあった。初めて触れる機械のため、ほとんどネイに手伝ってもらってしまい、俺が淹れたとは言い難い一杯になってしまったが、ネイは満足そうだった。
「ふふ、水月くんが淹れてくれたコーヒー、格別です」
「ほとんどネイさんがやったじゃないですか……」
「それもいい。初めてを私が手ほどき出来たなんて……ふふ。水月くんはこの先、コーヒーを淹れる度に私を思い出すんですね」
「……まぁ、思い出すでしょうけど」
「好きな人の初めての男になる悦び、あなたには分かるでしょう?」
分かる。
「す、好きなって、もう……ネイさんったら」
目を逸らす。ネイが席を立った音も聞こえないフリをして、隣に立ったネイが俺の手を握るまで彼の方を見なかった。
「……! ネ、ネイさん?」
「水月くん……以前の私の非礼を深くお詫びします。誘惑して情報を引き出そうだなんて……綺麗な子だし、役得だってはしゃいで……あなたの気持ちも考えず。すみませんでした。そんな私が信用されないのは、分かっています。分かっています……でも、それでも、信じてください。私は今本気であなたを好いています。抱き締めたい、キスをしたい、その先も……水月くん、あなたが欲しい」
「…………ネイさん。俺はもう、疑ってないです。荒凪くん助ける時に言ってくれた時から、本気なんだって確信持ててます。待ってました、ちゃんと話せる時を……照れて、誤魔化そうと……つい、しちゃって、さっきのはすいませんでした」
ネイはじっと俺を見つめている。泣きそうなくらい碧い瞳には、一点の曇りもない。
「俺もあなたが好きです、ネイさん。初めて会った時からずっと、ずっと惹かれてました」
「……!」
「でも、一つ……いいですか? ネイさん。あなたは俺が欲しいって言いましたけど……ネイさんが、俺の物になるんです。俺の可愛い恋人の一人に……最愛のコレクションの一つになるんです。それで構いませんね?」
「……はい! 喜んで!」
ちょっとクズっぽい言い方になってしまったけれど、実際俺がやっているハーレムはクズの所業なんだから正解だ。ぽい、でも何でもない。クズでもいいって言ってくれるんだから、それはもう好きにしていいってことだよな。
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