2,261 / 2,323
当然無事に到着 (水月+シュカ・カンナ・ミフユ・ハル・スイ・レイ・リュウ・ヒト・フタ)
しおりを挟む
まだ到着していないシュカに電話をかけると、俺の不安に反し彼はすぐに電話に出てくれた。
「もしもしシュカっ? 大丈夫か?」
『はぁ……? 何ですかいきなり』
「今どこに居る?」
『……道? 周りに豪邸がたくさんあって居心地が悪いですね』
「あ、そろそろ着く感じ?」
『えぇ』
「そうか……よかった。ごめんなわざわざ。待ってるよ、気を付けて来てくれ」
そう伝えて電話を切り、深く息を吐く。
「無事だった!」
シュカの声を聞けて安心した俺の声はついつい大きくなってしまって、彼氏達の視線を集めた。困惑の表情が多い。
「そんな心配してたの~? 別に時間決めてもないのに~」
「あー、いや、まぁ」
「みっつん心配性だよね~」
あの夢を見ていなければ、ここまで不安を煽られることはなかっただろう。
(……疑問がぶり返しますな。何故シュカたまに乱暴した連中を呪えなかったんでしょう。アレはただの悪夢で……シュカたまはあんな目に遭ったことなんてなくて、アイツらも実在しなくて、って話ならいいんですが)
シュカに直接聞くことは出来ない。もうしばらく俺はこの件に悩まされるだろう。
しばらくしてシュカが到着した。休日だというのに彼は制服に身を包み、スクールバッグを肩から下げている。
「もう全員集まってたんですね、だからってあんな電話かけてこなくても……焦ってましたけど、私の家の辺りで通り魔ニュースでもありました?」
「なーんにも。しゅーが最後だね~って話してたら、みっつんが電話かけてみるーってだけ」
「そうですか。そんなに私が心配でしたか? 水月」
「ゃ……」
「……手間をかけてしまったこと、何度かありますもんね。信用がなくなるのも仕方ないことです」
「そんなっ、信用ないとかじゃないよ!」
「へ……? あ、あぁ、すみません、ちょっと嫌味っぽかったですね。そんなに気にするとは……」
「あ……ごめん、急に大声出して」
彼氏達の視線を感じる。妙に思われただろうか。シュカの夢を覗いてしまってから彼のことを考えたり相対したりすると、調子が崩れてしまう。
「とり、くん……」
「時雨さん、こんにちは。お誕生日おめでとうございます」
「……! ぁ、り……がと」
「鳥待一年生、その荷物は……」
「タッパーです。家にあった分全部持ってきました。余りが出れば是非」
「……出れば、な。置き場を用意してある、来い」
シュカは荷物を置いた後、他の彼氏達と様々話し始めた。俺の挙動不審はみんなの記憶から薄れ、俺と話す彼氏達の瞳からも困惑や不審がる感情は消えていった。
「あっ……忘れるとこだったっす。アンケート取るっすよ! みなさんお耳を拝借! っす!」
不意にレイが叫び、視線を集める。
「せんぱいにピアスは必要か否か! 決を取るっすよ」
「何ですか急に。ピアス?」
「ナルちゃんピアスつけたいの?」
全員揃ったら多数決を取るとレイが決めた際は居なかったシュカとスイが疑問を口にする。
「……水月、その絆創膏は?」
「昨日ピアス穴空けたんだけど、裂けちゃって。ちょっと血ぃ出ただけなんだけどさ、みんな心配してくれて手当てしてくれたんだよ」
「フタはんがピアス引っ張りはってん」
「あっこら」
「はぁ!? またアイツっ……水月ぃ! 今隠そうとしやがったな」
「……シュカがフタさんと仲悪くなったらやだなって」
呆れと怒りが混じった強いため息に、身体が強ばる。直に怒鳴られるのも苦手だが、こういった間接的に怒りを知らされるのも苦手だ。俺は心が弱い。
(原因……)
チラ、とセイカを見る。アキの耳に触れ、くすぐったがるアキと楽しげに笑い合っている。
(またイチャついてる! いや、ピアスの説明改めてしてるだけですよな……要るか? 説明。ロシアにもあるでしょピアス)
現実逃避にセイカへの恨みを思い出すのをやめろ、俺。シュカを止めないと。
「……フタ、さん? アンタ前にも水月を殺そうとしやがったそうじゃないですか」
「シュカ、やめてくれ」
「水月! てめぇは……!」
「フタさん覚えてないんだよ……」
「だからって!」
「俺殺す発想あげたらまた殺しにかかってくるかもしんないだろ……! だからやめてくれホントに、俺殺しちゃダメだってメモ見る前に俺殺しに来たら止めるの大変なんだよ。多分荒凪くんが何とかしてくれるけど……怪力だからなぁ、フタさんの何か折っちゃうかもだし」
「…………折れりゃいいでしょ」
「私もそう思います」
「ヒトさんまで……! ほ、ほら、もうこの話はやめて……アンケート! アンケートやりましょ、レイがやりたがってるんで、ねっ」
「……確かに、今日は時雨さんの誕生日会。揉めるのはよくありませんね。また後日、じっくり話しますからね」
何とかこの場は収められた。先送りにしただけとも言えるが……
「みつきぃ」
「フ、フタさん……変なこと思い付いてませんよね?」
「……? なんか今俺怒られてた? 俺なんかしたっけ」
「っセーフ……いえいえ、フタさんは何もしてませんし、怒られてませんよ。一緒にレイのお話聞きましょ」
「レイ……」
フタは数秒考えた後、諦めてスマホを持った。フタは俺と俺の彼氏全員の顔写真に、名前を添えて保存している。そうつまりこれはいわば──
「ピンク…………居た!」
「な、なんすか!?」
──カンニングだ。レイを指差すのをやめさせ、そのまま手を繋いでレイの話を聞く姿勢を整えさせた。
「もしもしシュカっ? 大丈夫か?」
『はぁ……? 何ですかいきなり』
「今どこに居る?」
『……道? 周りに豪邸がたくさんあって居心地が悪いですね』
「あ、そろそろ着く感じ?」
『えぇ』
「そうか……よかった。ごめんなわざわざ。待ってるよ、気を付けて来てくれ」
そう伝えて電話を切り、深く息を吐く。
「無事だった!」
シュカの声を聞けて安心した俺の声はついつい大きくなってしまって、彼氏達の視線を集めた。困惑の表情が多い。
「そんな心配してたの~? 別に時間決めてもないのに~」
「あー、いや、まぁ」
「みっつん心配性だよね~」
あの夢を見ていなければ、ここまで不安を煽られることはなかっただろう。
(……疑問がぶり返しますな。何故シュカたまに乱暴した連中を呪えなかったんでしょう。アレはただの悪夢で……シュカたまはあんな目に遭ったことなんてなくて、アイツらも実在しなくて、って話ならいいんですが)
シュカに直接聞くことは出来ない。もうしばらく俺はこの件に悩まされるだろう。
しばらくしてシュカが到着した。休日だというのに彼は制服に身を包み、スクールバッグを肩から下げている。
「もう全員集まってたんですね、だからってあんな電話かけてこなくても……焦ってましたけど、私の家の辺りで通り魔ニュースでもありました?」
「なーんにも。しゅーが最後だね~って話してたら、みっつんが電話かけてみるーってだけ」
「そうですか。そんなに私が心配でしたか? 水月」
「ゃ……」
「……手間をかけてしまったこと、何度かありますもんね。信用がなくなるのも仕方ないことです」
「そんなっ、信用ないとかじゃないよ!」
「へ……? あ、あぁ、すみません、ちょっと嫌味っぽかったですね。そんなに気にするとは……」
「あ……ごめん、急に大声出して」
彼氏達の視線を感じる。妙に思われただろうか。シュカの夢を覗いてしまってから彼のことを考えたり相対したりすると、調子が崩れてしまう。
「とり、くん……」
「時雨さん、こんにちは。お誕生日おめでとうございます」
「……! ぁ、り……がと」
「鳥待一年生、その荷物は……」
「タッパーです。家にあった分全部持ってきました。余りが出れば是非」
「……出れば、な。置き場を用意してある、来い」
シュカは荷物を置いた後、他の彼氏達と様々話し始めた。俺の挙動不審はみんなの記憶から薄れ、俺と話す彼氏達の瞳からも困惑や不審がる感情は消えていった。
「あっ……忘れるとこだったっす。アンケート取るっすよ! みなさんお耳を拝借! っす!」
不意にレイが叫び、視線を集める。
「せんぱいにピアスは必要か否か! 決を取るっすよ」
「何ですか急に。ピアス?」
「ナルちゃんピアスつけたいの?」
全員揃ったら多数決を取るとレイが決めた際は居なかったシュカとスイが疑問を口にする。
「……水月、その絆創膏は?」
「昨日ピアス穴空けたんだけど、裂けちゃって。ちょっと血ぃ出ただけなんだけどさ、みんな心配してくれて手当てしてくれたんだよ」
「フタはんがピアス引っ張りはってん」
「あっこら」
「はぁ!? またアイツっ……水月ぃ! 今隠そうとしやがったな」
「……シュカがフタさんと仲悪くなったらやだなって」
呆れと怒りが混じった強いため息に、身体が強ばる。直に怒鳴られるのも苦手だが、こういった間接的に怒りを知らされるのも苦手だ。俺は心が弱い。
(原因……)
チラ、とセイカを見る。アキの耳に触れ、くすぐったがるアキと楽しげに笑い合っている。
(またイチャついてる! いや、ピアスの説明改めてしてるだけですよな……要るか? 説明。ロシアにもあるでしょピアス)
現実逃避にセイカへの恨みを思い出すのをやめろ、俺。シュカを止めないと。
「……フタ、さん? アンタ前にも水月を殺そうとしやがったそうじゃないですか」
「シュカ、やめてくれ」
「水月! てめぇは……!」
「フタさん覚えてないんだよ……」
「だからって!」
「俺殺す発想あげたらまた殺しにかかってくるかもしんないだろ……! だからやめてくれホントに、俺殺しちゃダメだってメモ見る前に俺殺しに来たら止めるの大変なんだよ。多分荒凪くんが何とかしてくれるけど……怪力だからなぁ、フタさんの何か折っちゃうかもだし」
「…………折れりゃいいでしょ」
「私もそう思います」
「ヒトさんまで……! ほ、ほら、もうこの話はやめて……アンケート! アンケートやりましょ、レイがやりたがってるんで、ねっ」
「……確かに、今日は時雨さんの誕生日会。揉めるのはよくありませんね。また後日、じっくり話しますからね」
何とかこの場は収められた。先送りにしただけとも言えるが……
「みつきぃ」
「フ、フタさん……変なこと思い付いてませんよね?」
「……? なんか今俺怒られてた? 俺なんかしたっけ」
「っセーフ……いえいえ、フタさんは何もしてませんし、怒られてませんよ。一緒にレイのお話聞きましょ」
「レイ……」
フタは数秒考えた後、諦めてスマホを持った。フタは俺と俺の彼氏全員の顔写真に、名前を添えて保存している。そうつまりこれはいわば──
「ピンク…………居た!」
「な、なんすか!?」
──カンニングだ。レイを指差すのをやめさせ、そのまま手を繋いでレイの話を聞く姿勢を整えさせた。
12
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ブラコンネガティブ弟とポジティブ(?)兄
むすめっすめ
BL
「だーかーらっ!皆お前に魅力があるから周りにいるんだろーがっ!」
兄、四宮陽太はブサイク
「でも!それって本当の僕じゃないし!やっぱみんなこんな僕みたら引いちゃうよねぇ〜
!?」
で弟、四宮日向はイケメン
「やっぱり受け入れてくれるのは兄さんしかいないよぉー!!」
弟は涙目になりながら俺に抱きついてくる。
「いや、泣きたいの俺だから!!」
弟はドのつくブラコンネガティブ野郎だ。
ーーーーーーーーーー
兄弟のコンプレックスの話。
今後どうなるか分からないので一応Rつけてます。
1話そんな生々しく無いですが流血表現ありです(※)
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる