冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
2,280 / 2,387

あなたに抱く衝動は (〃)

ネザメはぽやぽやしていて可愛らしい。彼と接した誰もがそう思うだろう。ミステリアスで儚げで、夢で見かけた美少年のように微笑んでおきながら、少し仲良くなれば可愛らしいポンコツっぷりを晒す。そのギャップはまさに沼、一度ハマれば出られない。警戒心も危機感も薄い美しい生き物を、自分だけのものにしたくなる。

「ぽやぽや、というのは……間が抜けているとか、そういう意味じゃないよね?」

「少なくとも俺はそういう意味で使ってません。オノマトペなので、どうしても個人の解釈によるところが大きいですけど……俺は、おっとりしてて可愛いって意味で使ってます」

「おっとり……たまに言われるよ」

「ネザメさん優雅ですから。所作の一つ一つが丁寧というか……せかせかしてなくて、なんかネザメさんの周囲だけ空気が違うんですよ」

ミフユがうんうんと力強く頷いている。俺の目を見つめて俺の話をしっかりと聞きつつも、ネザメはミフユの反応も見て、照れくさそうに微笑んだ。普段、何でもないモブ共の上に立つ時のネザメは──たとえば生徒会長として挨拶をする時などは──どこか不敵さを感じさせる微笑みを見せる。彼のミステリアスな雰囲気を作る一因だ。

(かっわ、いい……!)

しかし気を許した相手に対しては屈託のない笑顔を見せる。邪気など全くない、幼子のような清純さを感じさせるのだ。だから穢したくなる。俗世で汚濁にまみれる前に、俺の手で壊してやりたくなる。

「……水月くん?」

あぁ全く、微笑み一つでゾクゾクさせてくれる。

「水月くん、水月くんったら」

「鳴雷一年生、ネザメ様がお呼びだぞ。早く返事をせんか」

「……あっ、あぁすいません、ちょっとボーッとしちゃって」

「ボーッと……? 僕と話している時に、他のことを考えないで欲しいな」

「考えてませんよ……ネザメさんがあんまり可愛いから、どうしてやろうかって、もう……自分によくない衝動あること思い知っちゃったりして、頭おかしくなりそうで、もうホント、ほんっと……狂う……」

「……? よくない衝動って何だい?」

「言えませんよ、よくないんだから……行動には絶対移しませんから、心配しないでください。自制心には自信があります。ネザメさんにはネザメさんが喜ぶことしかしませんよ」

「…………暴力的なことじゃないよね? 僕に腹が立つとか」

「違います! 誓って、違います」

そうだ、違う、違うと口にすれば自分の声が耳から入って脳に染み込み、そのうち本心から違うと言えるはずだ。暴力的な性衝動だ、乱暴に抱きたい、泣かせたい……ネザメに怒っている訳じゃない、彼に気に入らない部分なんて一つもない。キュートアグレッションと言ってしまえばそれに似た、独占欲だの支配欲だの入り交じった醜い性欲だ。

「だよね、水月くんはそんなことしない……優しい君がよくないと思うことは、きっと世間一般的には大したことがない「よくない」なんだろう。僕にとってはどうなんだろうね」

「……結構よくないことですよ?」

「もし、もしそれが、その……べ、ベッドの上で、行いたいことに関する衝動なら……僕を、その、少々乱暴に……暴きたい、とかなら…………僕、僕は、構わないよ、君になら……水月くんになら、少しくらい痛いことでも、苦しいことでも…………君の愛を感じられるなら、僕は」

「ダメです」

「……水月くん?」

「やめてくださいそんなこと言うの……愛情は苦痛なんかじゃない、そんなことするの愛情じゃない。嬉しくて気持ちいいことだけが愛情なんです、そう思っててください、もし俺が酷いことしたらすぐ怒ってください」

「…………どうしてそんな泣きそうな顔をするんだい」

「……他の彼氏の話をしても?」

「もちろん構わないよ、妬んだりしないさ。君がどんなふうに人を愛するのか聞かせておくれ」

「…………俺が、衝動的に酷いことしちゃっても、許してくれるんです。みんな……セイカとか特に。嫌がって欲しい、怒って欲しい、許さないで欲しい……俺を調子に乗らせないで欲しいんです、美少年達から愛を返してもらえるのは得難い幸運だってずっと思わせて欲しい、初心を忘れたくない……傲慢になりたくない」

「水月くん……そう思えるだけで君は素晴らしい、美しい心の持ち主だよ。だからきっとみんな許してしまうんだ、君が深く反省していると分かるから」

「…………」

「水月くん、そんな顔をしないで。どうしてそんなに自分に厳しくするんだい? もっと認めてあげて、君自身を。君は身も心も美しいんだ、だから僕は君のことが好きなんだ、何をされてもいいと思えるし、何もかも君がいい。触れるのも、キスをするのも、手を掴まれるのも、何もかも……」

「…………ネザメさん」

「……寝室に行こうか」

今日の昼間は俺が少し甘い言葉をかけるだけで倒れるほど照れていたくせに、今は俺を安心させる優しい微笑みをたたえて俺に手を差し伸べる。その手を取る以外の選択肢はなく、熱に浮かされたように歩いて、大きなベッドの前まで来た。
感想 564

あなたにおすすめの小説

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話