冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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得意な数学は声無しでも

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一時間目は数学だ。テストが近いが、俺には公式の暗記が関の山。応用問題を解ける気がしない。

「じゃあこの問題を……えー、今日は何日だったかな」

日付を確認した俺はそのままでも足しても引いても俺の出席番号にならないなと心の中でガッツポーズを決めた。

「天正! は今日声出ないんだったな、じゃあ鳴雷。何xになる?」

もっと日付足したり引いたりしろよ! と思いつつ問題を見つめる。公式を使うのだとは分かるが、使い方が分からない。

「えっ……と」

「……み、くん…………はち」

カンナがこっそり答えを教えてくれた。後で褒め称え撫で回し崇め奉ることを決め、キメ顔で答えを──

「いや、一桁だから指で何とかなるな。天正、分かるか?」

──言おうとしたが教師の気が変わった。リュウはすぐに薬指だけを立てた。

(あら? 答えは8では? 数学の特待生のリュウどのが間違えるとは思えませんし、カンナたそのミスですかな。恥をかくとこでしたぞ、危ない危ない……というかリュウどの変わった指の立て方しますな。何故に薬指? 立てにくそぉ……)

どうやって計算するのかは分からないが、とりあえずノートに1と記した。授業が終わったらリュウに教えを乞うとしよう。

「おっ、二進数か。8だな、正解」

どうして薬指一本で8になるのか分からず、俺は数学を諦めた。



二時間目との隙間の十分休み、次の授業の準備をしているカンナに話しかけた。

「カンナ、昨日あれからどうだった?」

「ど、う……?」

「えーっと……ほら、カミアと何話したとか、お父さんどんな反応してたとか……」

「お、とぉ……さ、みーくん……会いた、ってた……ら、また……て」

「お父さんが俺に会いたがってたからまた来てって? あぁ、今度お邪魔させてもらうよ」

俺が帰った後にカミアが漏らした本音だとか、久しぶりに息子に会った父親の反応だとかを知りたかったのだが、俺の聞き方が悪かったのか上手くいかなかった。

「ん……ぅ」

「リュウ、気分はどうだ?」

立ち上がってカンナの位置からリュウが見えないようにし、小声で尋ねる。

「……よだれとか大丈夫か?」

マスクの内側は吸水性の高い生地が使われていて、昨日一時間着けていたがマスクの外に唾液が溢れることはなかった。
大切な彼氏に着けさせるのだからまず俺が着け心地を確かめるのは当然のことだ、陰茎と似た形のモノが口内にあるのは興奮したし、リュウと関節キスだと思うと更に昂った。
もちろん熱湯消毒などはしっかりと行い、状態的には新品とほぼ同じだ。

「んんっ……」

唾液については検証済みだが、リュウが俺よりも濡れやすい体質かもしれないと思って一応確認した。念のため顎にも触れたが、濡れてはいない。

「ん……」

瞳を潤ませて俺の手に擦り寄ってきたリュウの頬に手を移し、愛でる──睨まれた。あぁ全くドMは面倒臭い。一旦リュウの頬から手を離し、喉に手を移す。喉仏を転がすように撫でてやるとリュウは嗚咽し、蕩けた瞳で俺に甘えた。


休み時間はそんな具合にリュウと戯れたり、ハルと放課後の予定を相談したりした。結果、ファミレスでの昼食の後俺の自宅にて勉強会という学生らしい予定が立てられた。

「ファミレスくらい制服のままで大丈夫だよな?」

「えぇ、ですがその場合あまり長居すると学校に連絡が入る危険性がありますよ」

「長居する気はないよ、みんな早く俺の家来たいもんな」

笑い半分の肯定が返ってきてご満悦な俺の袖を弱々しく引く白い手。

「カンナ、どうした?」

「てん、く……かぜ、だい……ぶ?」

「あぁ……リュウか。リュウなぁ、そうだな、この辺り人通り少ないし……リュウ、マスク外せ」

リュウはとろんとしていた目を見開き、どうせ玩具に喘いでいるだけだと見破っているシュカやハルとは違って真剣に心配しているカンナをチラリと見る。すぐに耳に手をやったが、寸前でマスクを外すのを躊躇った。

「……ごめんなカンナ、俺嘘ついたんだよ。リュウは風邪なんか引いてない」

「え……?」

俺はリュウの背後に回って左腕だけで彼を抱いて捕まえ、右手で耳に引っ掛かっている紐を外した。普通のマスクとは違い、この紐を外してもマスクは落ちない。

「ん、んんっ……んんんっ!」

「暴れんな、喉傷付くぞ。みんなに見られんの恥ずかしいのか? ハッ……羞恥心は人間様のものだぞ? マゾ豚が持っていいものじゃないよなぁ? 出来の悪い豚に教えてやるよ。こういう時はなぁ……マゾ豚なのに人間のフリしててごめんなさいって意を込めて、人間だってみんなが勘違いしないように、人間なら絶対しない情けないイキ様晒すんだ。分かったか?」

「んっ……んん……」

カンナの純な心配を裏切るのが嫌だったようだが、少し囁いてやれば簡単に被虐欲を膨らませた。俺は彼の胸を押さえていた左手を喉に移し、ぐっと喉を押さえ、右手でディルドを引き抜いた。

「んっ、ぐぶっ……ゔっ、ゔゔぅぐっ、んぉっ、ぉ、おぉんっ! がっ……はぁっ! はぁっ! はぁっ……! げほっ、けほっ、ぉえっ……ぅうぅ……」

手を離すとリュウはその場に膝をつき、噎せ、四つん這いになり、唾液を垂らしながら呼吸を整えた。

「…………と、まぁ、こういう訳だ」

透明の液体が絡んだ黒いディルドを舐める。甘美な味だ、たまらない。

「騙してごめんな、カンナ」

カンナは無言でリュウの前に屈む。

「ぁ……? あぁ……しぐ、すまんの……なんや心配かけたみたいで。せやけど風邪やなんや言い出したんは水月やからな? 事前に相談してたわけとちゃうねんで」

「………………変態」

「……っ、おぉ……」

四文字の罵倒を吐き捨てるとカンナは立ち上がり、ハルとシュカの間に並んだ。俺はビニール袋にディルドマスクを詰めて鞄に入れるついでにウェットティッシュを取り出し、立ち上がったリュウの手を拭かせた。

「おおきに、水月」

「喉どうだ?」

「気持ちよかったわぁ……最後抜く時喉押さえたやろ? ごりごりごりっ、て、喉……えっらい擦られてもうて、気付いたらイっとったわ。ゴム付けててよかったわぁ」

手を拭き終えたリュウは手の甲で口元を拭い、カンナを見つめた。

「……しぐ、自分よりSの才能あるかもしれんで。めっさゾクゾクきたもん……えげつないわ」

「…………浮気は許さないぞ」

「分かっとるて。才能あってもタッパあれへんし、水月が一番や」

背伸びをして俺の頬にキスをして、リュウはカンナ達の元へ小走りで向かう。俺も彼氏達に置いていかれないよう駆け出した。
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