冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
246 / 2,300

足蹴にされた記憶

しおりを挟む
足コキをしてもらったのは初めてだが、美少年に足蹴にされた初めての記憶はもっと古い。中学一年の初夏だったかな。

(あの時は痛かっただけでしたのに、部位と力加減で変わるものですなぁ。おっと、一番大切なのは愛ですかな)

何故か体育祭を皮切りに始まったイジメを思い出す。リーダー格の男の顔がハッキリと瞼の裏に浮かぶ。
動画配信者みたいなグラデーションの赤髪、俺を見る度に歪む細い眉、俺を睨むために存在するみたいな鋭い瞳。和風の顔立ちは綺麗なもので、イジメが始まる前はよく彼のことを眺めていた。

(……なんで急にイジメてきたのかとか、結局分かんないままでしたな)

イジメは生物の本能だ。弱いモノ、変わりモノ、馴染めないモノは群れにとって足枷になる。共倒れを防ぐために群れの仲間を厳選する、生物は異物を群れから追い出して生き残る。群れ──人間関係が濃密になるほど、環境が劣悪であるほど、仲間意識は上昇しイジメは苛烈になる。

(でも、狭雲さくもさんは……最初はよくしてくれましたぞ。からかいはありましたが軽いもので、わたくしも笑えるもので、むしろ彼のおかげで群れから外れずに済んで、ちょっと浮いてるけれどいじめられっ子ではないポジションに居れたのでそ)

俺は群れにとって邪魔だったから追い出そうとされていたのではない、居場所を作ってくれていた人に嫌われたのだ。

(体育祭の後、急に……前触れもなく、親の仇みたいな目で見られて……イジメが辛くて気にならなくなっていきましたが、最初は混乱すごかったんですよな~。なんかしたかなって謝ったりもしましたし、まぁ全部無駄だったんですが)

群れの問題を群れの中から解決するのは困難だ、一度異物と認識されたら全員が敵になる。群れの外に助けを求めるか、別の群れに救いを求めるか、その二択が最良。でもそんなことを考える余裕は当時の当事者に存在しない。

「みっつ~ん? 大丈夫? ボーッとしちゃって」

萎えた陰茎を爪先でつつかれ、過去に思いを馳せるのをやめる。

「……あぁ、ごめん」

「いーよいーよ、気持ちよかったってことっしょ?」

「まぁな。上手かったよ、すごいなハル、初めてだろ?」

「初春さんは超器用ってこと~」

調子に乗ったハルは楽しげに足を揺らす。その細い足には俺が放った精液が絡んでおり、ローションのぬらっとした光沢がただでさえ淫猥だったのに、性的な魅力が増している。

「……ちょっと痛くて変な趣味目覚めそうだったから、次からはもう少し弱くしてくれると助かるかな」

「え~? 目覚めちゃえばいいじゃん。んふふ、分かった、加減頑張るね」

脂肪と肉がほとんどない細い足、太陽を知らない白い肌……健康的ではないハルの足は俺には神秘的に見えて、そんな足を白濁液で穢した興奮は大きい。

「足洗いに行くか」

ティッシュで陰茎を拭って下着とズボンを履き直し、ハルの前で膝立ちになる。

「その足で家の中歩き回られるのも困るし、お姫様抱っこでどうだ? 俺の可愛いお姫様」

「あはっ、なにそれ~。俺姫じゃないもん、も~……ふふ、みっつんのバカぁ。いいよ、抱っこしてみっつん」

「ん、じゃあ力抜いて」

膝の裏に腕を差し込み、もう片方の腕で背を支えて抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこだ。

「軽っ!?」

「……重くない? って聞くつもりだったのにー」

「軽いよ、軽過ぎ、中身あるのかこれ……」

羽のように軽い、なんてセリフは少女漫画じゃお決まりだが、抱いた感覚だけで言えば羽毛布団より軽い気がする。実際はちゃんとハルの方が重いのだろうけれど、俺の感覚は騙されている。

「すごいな……シュカの半分もないんじゃないか? あ、手塞がってるからドア開けてくれ」

「何、しゅーそんな重いの? はい、開いた……待って足擦りそう」

「長い足だなぁ」

ハルに扉を開けてもらい、ハルの足が扉の枠に擦れないように斜め向きに廊下に出る。

「シュカはめちゃくちゃ重かったぞ、腕ぷるっぷるした。もう鉄の塊でも抱いてんのかってくら、い……」

脱衣所の引き戸にハルが手を伸ばすも、ハルが触れる前に引き戸は開いた。シャワーを終えたらしいシュカが分厚いレンズの向こうから俺を睨んでいる。

「ぁー……いや、まぁ……俺は重いのも好きだけど」

「後で万回殺す」

「…………助けてくれハル」

「みっつんデリカシーなさすぎ。陰口叩いた方が悪いに決まってんじゃん、大人しく罰されちゃいなさ~い」

「俺が悪いのは分かってるけど多分罰めちゃくちゃ大きいぞ!? 俺死んじゃう!」

いくら軽いといっても人一人をずっと抱えていたら腕が疲れてくる。俺はさっさと浴室に向かってハルを下ろし、この後のシュカからの仕置きを想像してため息をついた。

「……足だけだから裾軽くまくるだけでいいかな」

「ん、ありがと」

スラックスの裾を折って捲り、シャワーをまず俺の手にかける。シュカが先程まで使っていたからかちゃんと温かい。

「かけるぞ」

片手で掴めてしまえそうな足首を持ち、足の裏にお湯をかける。

「……みっつんさ、今お湯出るか確認してくれた?」

「ん? あぁ、冷たいの嫌だろ? 寒い時期じゃないけどさ、冷水シャワーはまだ早いって」

「…………ふふ、俺ね、みっつんの顔だけじゃなくてそーゆーとこも好き」

「ありがとう……? どういうとこだ?」

「えへへっ、そーゆーとこも好き。教えない方がよさそうだから、教えな~い」

よく分からないが、シャワーの温冷を変える時期の感覚が似ていてよかったということだろうか? 食事の趣味が合うと結婚生活が上手くいくみたいな話だよな?

「…………当たり前みたいな顔して足洗ってくれるとこも好き」

「そりゃ俺がさせたんだから俺が洗うよ」

「みっつんマジ好き~」

上機嫌なハルを見ているだけで幸せだ。どこを好かれたのか考えるのはまた次の機会でもいいだろう。
しおりを挟む
感想 529

あなたにおすすめの小説

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

二本の男根は一つの淫具の中で休み無く絶頂を強いられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

処理中です...