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いつの間にやら増えている彼氏
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上機嫌なハルに「好き」と繰り返し言われ、少し照れながらも微笑んで彼を見上げ続ける。俺を見下ろすのに慣れた切れ長の瞳は美しく、自然な笑顔も普段以上に愛らしく感じる。
(いつも美人ですが今日は特に美人さんですな。もしかして恋をすると人は綺麗になる……ってヤツですかな!? わたくしとの仲が深まったから綺麗になっているのでそ~、自惚れは積極的にしていきまっそ)
足を洗い終えた。どうせならふくらはぎや太腿にも触れたかったけれど、汚れていたのは足首までなので洗うという名目では触れられない。頼めば触らせてくれるだろうか?
「洗えた? ありがとみっつ~ん」
「あぁ、完璧」
「……ね、拭いてってのは流石にワガママ?」
「可愛い彼氏のワガママはご褒美。お拭きしますよお姫様」
再びお姫様抱っこをし、浴室の扉をハルに開けてもらう。どこかに座らせて足を拭くのが理想だが、脱衣所に椅子は置いていない。
「ハル、ちゃんと俺に掴まってろよ」
片膝を立てて太腿にハルを座らせる。両手で足を拭くのでハル自身に掴まってもらい、タオルでハルの足を包んだ。
「ありがと……こんなことしてくれるんだ?」
「ん? ハルが拭いてって言ったんだろ?」
「そうじゃなくてさ、足」
ハルは俺の膝をぽんぽんと叩く。
「あぁ、こんなとこに椅子置かないからさ。座り心地悪いだろ、ごめんな」
「……そうじゃなくてさぁ、片足立てて座らせるとかカッコよすぎ! って言ってんの。も~、ガチ惚れ~! みっつん好き、だーいすき!」
俺の首にぎゅっと抱きついたハルがバランスを崩す。タオルを握ったまま慌ててハルの腰を抱き、支えた。
「……ありがと。みっつんマジいっけめぇん……好き!」
「今日はよく好き好き言ってくれるなぁ、嬉しいよ、ありがとう」
「ときめく~」
改めてハルの足を拭く。タオル越しだと直に触って洗っていた時よりも細く頼りなく感じる。
「ん、拭けた」
「重ねてありがとみっつぅ~んっ! どうする? ダイニング戻る?」
「部屋でスキンシップを続けるって選択肢もあるぞ?」
「ん~……戻る! 十分イチャついたし、独り占めしてちゃジェラられちゃう」
ご機嫌なハルに腕を抱かれ、誰と戦っていた訳でもないのに男としての勝利を感じつつダイニングに戻った。
「やっほーみんな~、みっつん返しに来てあげたよ~!」
「おー、お疲れさん」
「ここはレ点じゃなくて上中下点っすよ、慎重に文章を組み立てて……あっ、こんにちはっすせんぱい! お邪魔してますっす!」
ハルに引っ張られる形でダイニングへ顔を出すと、シュカの隣に立っていたレイが元気に手を上げた。
「なんか家入ってきはったでこの子。鍵かけてへんかったん?」
「ちゃんとチェーンもかけてきたっすよ」
レイには合鍵を渡してある。チェーンは後で外すべきだな、もうそろ母が帰ってくる時間だ。
「……ねーみっつん、この人誰?」
「え? あぁ、レイだよ。そういえばハルは会ったことなかったっけ。俺のバ先の彼氏。毎朝俺の家から学校の前まで一緒に来てるんだ、ハルは方向違うもんな」
「うん、俺西門から入ってるもん。みっつん達は東……正門だもんね。そっか、バ先の……バ先の彼氏って二人居るんだっけ?」
「あぁ、歌見先輩の方にはみんな全然会ってないよな。何か機会があればいいんだけど」
ハルは俺の腕をぎゅっと掴んだままレイを見つめている。レイの方もハルを見つめている。まず話しかけずに観察するのはコミュニケーションの取り方として悪手だと思うのだが、対案を思い付かない俺には何も言えない。
「先輩とか言われてたけど、まさか中学生に手ぇ出してんの?」
「バイトの先輩後輩だよ。歳は……」
「同い年っすよ。せんぱい達と同じ高一っす、通信っすけど」
「へー……よろしくね。俺は霞染 初春、ハルでいいよん」
警戒を解いたらしいハルが俺の腕を離し、手を差し出す。
「木芽 麗っす、ご自由にお呼びくださいっす。よろしくっすハルせんぱい」
「あ、俺もせんぱいになんの?」
「彼氏歴的にせんぱいっすから」
ハルは首を傾げていたが言及することはなく、つつがなく握手を終えた。
「このめんめっちゃ教えんの上手いんやで」
あまりにも自然に嘘をついたからさっきはツッコミを忘れていたが、レイは成人済だからな。そりゃ高校生の問題くらい余裕……なのか? 小学生の頃の問題とか今解ける気がしないぞ、漢字の書き順とかダンゴムシとワラジムシの見分け方とか……
「レイ、勉強得意だったのか?」
「教科書読んだら結構思い出せたっす。全教科イケると思うっすよ、一番得意なのは美術っすけど中間じゃメインの五教科だけなんすよね、残念っす」
「ふーん……じゃあ今度二人きりの時みっちり教えてもらおうかな。今はみんなに教えてやってくれるか?」
「はいっす。続きやるっすよシュカせんぱい」
シュカが教えを乞うとは意外だな。メガネをかけて切れ長な目をした彼は賢そうに見える、授業の内容が完璧に頭に入っていると思っていた。
「とうろうってのはカマキリのことなんす。これは車に威嚇するために鎌を振り上げてるカマキリの話っすよ。斧ってのは鎌のことっす。そこんとこちゃんと分かってると問題解きやすくなってくるっすよ」
「このめん、読まれへん漢字あんねんけど」
「日本では使ってない漢字っすね……こういう習ってないのは問題の横っちょに意味とか書いてあるっすよ」
「あ、ほんまや。ちっこい字ぃで書いとるわ。注意書きみたいなサイズやな、悪徳やわ……」
頭が悪そうな見た目をしたリュウは数学の特待生だし、同じく頭が悪そうな見た目をしているレイも他人に教えられる程度の頭の良さがある。
彼らを見ているとやはり人は見た目じゃないんだなと思える。俺も超絶美形なのに気を抜くと「ですぞ」が語尾になっちゃうもんな……
(いつも美人ですが今日は特に美人さんですな。もしかして恋をすると人は綺麗になる……ってヤツですかな!? わたくしとの仲が深まったから綺麗になっているのでそ~、自惚れは積極的にしていきまっそ)
足を洗い終えた。どうせならふくらはぎや太腿にも触れたかったけれど、汚れていたのは足首までなので洗うという名目では触れられない。頼めば触らせてくれるだろうか?
「洗えた? ありがとみっつ~ん」
「あぁ、完璧」
「……ね、拭いてってのは流石にワガママ?」
「可愛い彼氏のワガママはご褒美。お拭きしますよお姫様」
再びお姫様抱っこをし、浴室の扉をハルに開けてもらう。どこかに座らせて足を拭くのが理想だが、脱衣所に椅子は置いていない。
「ハル、ちゃんと俺に掴まってろよ」
片膝を立てて太腿にハルを座らせる。両手で足を拭くのでハル自身に掴まってもらい、タオルでハルの足を包んだ。
「ありがと……こんなことしてくれるんだ?」
「ん? ハルが拭いてって言ったんだろ?」
「そうじゃなくてさ、足」
ハルは俺の膝をぽんぽんと叩く。
「あぁ、こんなとこに椅子置かないからさ。座り心地悪いだろ、ごめんな」
「……そうじゃなくてさぁ、片足立てて座らせるとかカッコよすぎ! って言ってんの。も~、ガチ惚れ~! みっつん好き、だーいすき!」
俺の首にぎゅっと抱きついたハルがバランスを崩す。タオルを握ったまま慌ててハルの腰を抱き、支えた。
「……ありがと。みっつんマジいっけめぇん……好き!」
「今日はよく好き好き言ってくれるなぁ、嬉しいよ、ありがとう」
「ときめく~」
改めてハルの足を拭く。タオル越しだと直に触って洗っていた時よりも細く頼りなく感じる。
「ん、拭けた」
「重ねてありがとみっつぅ~んっ! どうする? ダイニング戻る?」
「部屋でスキンシップを続けるって選択肢もあるぞ?」
「ん~……戻る! 十分イチャついたし、独り占めしてちゃジェラられちゃう」
ご機嫌なハルに腕を抱かれ、誰と戦っていた訳でもないのに男としての勝利を感じつつダイニングに戻った。
「やっほーみんな~、みっつん返しに来てあげたよ~!」
「おー、お疲れさん」
「ここはレ点じゃなくて上中下点っすよ、慎重に文章を組み立てて……あっ、こんにちはっすせんぱい! お邪魔してますっす!」
ハルに引っ張られる形でダイニングへ顔を出すと、シュカの隣に立っていたレイが元気に手を上げた。
「なんか家入ってきはったでこの子。鍵かけてへんかったん?」
「ちゃんとチェーンもかけてきたっすよ」
レイには合鍵を渡してある。チェーンは後で外すべきだな、もうそろ母が帰ってくる時間だ。
「……ねーみっつん、この人誰?」
「え? あぁ、レイだよ。そういえばハルは会ったことなかったっけ。俺のバ先の彼氏。毎朝俺の家から学校の前まで一緒に来てるんだ、ハルは方向違うもんな」
「うん、俺西門から入ってるもん。みっつん達は東……正門だもんね。そっか、バ先の……バ先の彼氏って二人居るんだっけ?」
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「あ、俺もせんぱいになんの?」
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ハルは首を傾げていたが言及することはなく、つつがなく握手を終えた。
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あまりにも自然に嘘をついたからさっきはツッコミを忘れていたが、レイは成人済だからな。そりゃ高校生の問題くらい余裕……なのか? 小学生の頃の問題とか今解ける気がしないぞ、漢字の書き順とかダンゴムシとワラジムシの見分け方とか……
「レイ、勉強得意だったのか?」
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「はいっす。続きやるっすよシュカせんぱい」
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