冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ロールケーキ

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歌見の家でお仕置き兼ご褒美をいただいた帰りにコンビニでロールケーキを買い、アキとレイの反応を楽しみにしながら自宅への道を急いだ。

「ただいまー……」

玄関で靴を脱いでいると俺の部屋からアキが飛び出してきた。

「にーに! おかえりです」

「アキ、ただいま」

両手を広げたアキを抱き締め、束の間のハグタイムを満喫していると続けてレイが出てきた。パーカーのフードを脱いでおり、普段パーカの中に入れている長い後ろ髪も外に出ていた。

「おかえりなさいっす、せんぱい」

「ただいま、レイ。飯食ったか?」

「はいっす、美味しかったっすよ」

「アキと部屋に戻っててくれ、母さんに帰ったって言ってくるから」

二人を部屋に帰し、リビングの母に帰宅を報告。夕飯として食べた弁当のカロリーも報告。その後、母に体型チェックを受ける。

「問題ないわね。でも……なんか、じわじわ太腿と腕の筋肉増えてきた気がするわね」

「へー……? 心当たりありませんなぁ」

「バイトのせいかしら……?  これ以上はバランス悪くなるから筋トレメニュー変えるわ、メールしておくから確認してね」

「ほーい」

私室に戻り、美少年達に笑いかけられる。確かな幸せを感じながら床に腰を下ろし、彼らと語らう。

「今日もお義母さんのご飯めちゃくちゃ美味しかったっすよ」

「だろ? 食べ過ぎて太らないか不安になるのだけが欠点なんだよ」

「あははっ、それはあるっすねー」

俺不在の夕食中にあった出来事など、途中までは楽しい会話が続いた。

「……これ、言おうかどうか迷ったんすけど、一応言っとくっすね。新しい方のお義母さん、あんま俺のことよく思ってないっぽいっす。正確には……せんぱいがゲイなのがちょっと嫌? みたいな」

「えっ? バイのくせに?」

「いやあの人がどうなのかは知らないっすけど……アキくんが心配みたいっす」

「あー……」

偏見があってもなくても息子と同じ部屋で寝泊まりしている男の彼氏がアキと同じく可愛い系のレイじゃ、心配にもなるよな。でも水月心外。

「一応せんぱいは俺にぞっこんっすって誤魔化しといたっすけど、よかったっすか? 他の子のこと言わなくて」

「あぁ、彼氏達には誠実にいたいけど、面倒事は避けたいし……お家デートがしにくくなるのはまぁ、同居決まった時点で分かってたことだしな。ぁ、ちなみにそのお前が彼氏って話……俺が男好きだって話、アキに伝わってるか?」

「アキくんは黙々と食ってたっすよ、めっちゃおかわりしてたっす。分かってないんじゃないすかね」

線の細さに対してアキは大食いだ、シュカほどではないが。アキは常に長袖長ズボンだから分からないけれど、シルエットは細身なシュカと同じく案外筋肉質で、燃費が悪いのかもしれない。

《……こっち向けよ兄貴》

くい、と手を引っ張られる。見ればアキは不満げな顔をしていた。

「どうしたんだ? アキ」

アキは何も言わない。血の色が透けた赤い瞳で俺をじっと見つめている。超絶美形なんて鏡で見慣れているはずなのに、アルビノという珍しい特徴が神秘性を演出していて目が離せなくなる。

「今思えばお義母さんとせんぱいだけだった時は気楽だったんすね、俺は勝手に緊張してたっすけど。せっかくせんぱいの家に居るのに抱いてもらえないなんて……」

「抱いてやろうか?」

レイに視線を戻し、意識して低い声を出す。

「えっ、ゃ、でも、新しいお義母さんとアキくん居るっすよ? アキくんの部屋ないんすよね」

「アキが寝たらこっそりヤろう、声出すなよ?」

「……せんぱいって結構大胆すよね」

今日は射精し足りなかったんだ、そりゃ大胆にもなる。音が出にくく、動きも目立たない体位は何だろうとレイを見つめたまま考えていると、アキが俺の手をきゅっと握って肩に頭を押し付けてきた。

「アキ? どうしたんだ?」

「……だめ?」

「え、いや……ダメじゃないよ」

手を優しく握り返してやるとアキは微笑んだ。手を握った理由も、もたれてきた理由も言わなかった。

「俺ばっか話してるからお兄ちゃん取られた感じで面白くないんすかね?」

「そういうの……普通の、生まれた時から一緒にいる兄弟がやるもんじゃないのか? それも、もう少し幼い……」

「懐いてるんすねぇ、アキくんに手ぇ出すのはやめといた方がいいんじゃないすか? 家庭不和の原因になるっすよ」

「こんなに可愛い美少年に手を出すなって、正気か……!? いつか手を出すって決めてるからハグとかこういうスキンシップ受け入れられてるのに」

「……俺で我慢すれば、とか言って聞くようなら何人も彼氏いないっすよね」

「当たり前だろ、レイを代替品になんて絶対にしない。俺はレイが欲しい時にだけレイを求める」

こんな浮気男の何にときめいているのか、レイは顔を赤くして慌ててフードを被った。可愛い顔を見せろと要求すれば彼の顔隠しは悪化し、とうとうフードで顎の下まで隠してしまった。

《何やってんのピン髪、急にフードの裏の味が気になったか?》

「あ、そうだ、ロールケーキ買ってきたんだよ。みんなで食べよう。俺は先輩の家でデザートまでもらってきたから、一個だけな。アキとレイ二つずつ」

嘘をつきながらコンビニで買ってきたロールケーキを二人に見せる。フードを上げたレイはぱぁっと笑顔になったが、アキはよく分かっていないのか無表情のままだった。

「アキ、お菓子、食べる、しよう」

「……にーに、買うしたです? ありがとー、です、にーに!」

アキも花が咲くように笑顔になった。一切れつまんで口に入れてやるとほんのりと頬を染め、目元を緩めた。気に入ってくれたらしい。

「せんぱぁい、俺にもアーンして欲しいっす」

「ふふっ、分かった……あーん」

猫なで声でねだるレイは歳下にしか見えなかった。ロールケーキを食べて「んー……!」なんて言いながら頬に手を添え、美味しさを表現する姿は女性タレントらしさすら感じた。

「可愛いなぁ、買ってきてよかったよ」

アキの頬を撫で、つまむ。まるで大福のようなもちもち感がすっかり癖になってしまった。

《んだよ兄貴ぃ、むにむにすんな。へへっ……》

アキは嬉しそうな顔で嫌がる素振りを見せる。対抗心を燃やしたらしいレイが顔を突き出してきたので、触り心地を比べてみた。

「どうっすか?」

「アキのが柔らかいけど、レイは肌がしっとりしてていいよな」

「わーい……でいいんすかね?」

「褒めてるからな」

「えへへー、これからもスキンケア頑張るっす!」

ツルスベのもち肌だろうと、ガサガサの乾燥肌だろうと、皮膚が焼け爛れていようと、俺が感じる愛おしさに大した差異はないのだが……俺のために努力してくれるのは嬉しいので笑顔を返しておいた。
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