454 / 2,315
また行方不明かと
しおりを挟む
想像以上にあっさりと電話は繋がった。だが、出た者はアキではない、一瞬で嫌な妄想が完成して心臓がバクバクと脈打った。
『もしもし……? 誰……です、か? 日本語分かります……?』
アキよりも少し低い声はスラスラと日本語を操った。聞き覚えのある声だ。
「……その電話の持ち主の兄です」
『あっ、鳴雷か? よかった。俺分かる……? セイカ、だけど……狭雲 星火』
「あぁ、セイカ! 聞いたことある声だとは思ってたんだけど、声小さいからハッキリ分からなくてさぁ……」
セイカだ、そうだ、セイカの声だ。
『表示がロシア語だから誰が電話かけてきたのか分かんなくて怖かったんだよ。はぁー……安心した。秋風なんだけどな、さっき寝ちゃったんだよ』
「そ……そう、なんだ。帰ったらアキが居なかったから焦ってたんだよ」
『え、お前に何も言わずに来てたのか? そっかぁ……報連相はちゃんとするよう教えてやれよ、お兄ちゃん? ふふふ……もう帰らせた方がいいよな、すぐ起こすよ』
「あっ、待ってくれ、セイカっ……」
そういえばセイカは今日電話をかけて来なかった、アキと一緒に居たからなのだろうか。
『ん?』
「……迎えに行くから待たせてくれ。病院……だよな」
『分かった。うん、病院、俺まだ中庭にしか出れないし……今日は出てないけど』
「すぐ行く!」
俺はレイを置いて病院に走った。面会時間はもう終わっていて、日傘を持ったアキが受け付けの手前にある待合スペースで手を振った。
「にーに!」
「アキ! アキ、お前……はぁ……心配したぞ。出かけるなら電話とかメッセとか……帰りながら話すか、行こう」
閉じた日傘を揺らし、黒いレンズ越しではない赤い瞳で俺を見上げて微笑む。
「……セイカ、会う、したかったのか?」
「да」
「出かけるのはいいけど……アキ、次、外出るする時、にーにに、電話する、いいな?」
「電話するです、外出るするです?」
「電話する、その後で、外に出る……」
「да! 遊ぶする、前……にーに、電話するです」
俺が学校やバイトの間、アキもセイカも一人きりで寂しい思いをしていたのだろう。そんな二人が共に時間を過ごすのはいいことだ。
夕飯の話などをしながらレイの家に帰ると、泣きそうな顔で俺達を出迎えたレイに謝られた。
「ごめんなさいっすせんぱい……ごめんなさいっす」
「な、何……どうしたんだよ」
「せんぱいが帰ってくるまでにっ、牛乳とか、野菜とか、冷蔵庫入れとくもん入れとこうと思ったんす。料理出来ないっすから、せめてそれくらいはって、そしたら……」
キッチンの床に卵八個入りのパックが落ちていた。冷蔵庫に入れようとして手を滑らせたらしい、パックの隙間から卵の中身が漏れ出している。
「あー……割っちゃったのか」
「ごめんなさいっす……」
「いや、大丈夫。床に中身零れた訳じゃないから使えるよ。今日は予定変えてオムライスにしようか。半分も割れてないし、気にすんな」
「…………せんぱいホントに優しいっすね」
「よく言われるけど、自分では特別そうは思わないんだよな。あ、床拭いてくれるか?」
「あ、はい! それはもちろんっす」
オムライスを作る傍ら、床を雑巾で拭いているレイを見下ろす。零れていた卵の中身は透明だったから、白身が少し減ったかもしれないな……なんて考えながら、掻き混ぜられ黄色一色に変わった卵に視線を移す。
「……レイがバイト行く前はアキは家に居たんだよな?」
「見送ってもらったっすから間違いないっすよ」
「その後に出かけたのかぁ……俺は居なかったから仕方ないけど、レイにくらい言えばよかったのにな」
「俺が出た後で行こうって思い付いたのかもしれないっすよ」
前日には外出の予定を決めておきたい俺としては、思い立ったその日に外出するという発想はなかった。
「フッ軽過ぎんだろアキ……」
「そうっすかねー」
「……もう一人フッ軽が居たな、他人が撮った写真一つでバイトしに来たヤツが」
「それ俺のことっすか? だってせんぱいカッコよかったんすもん……ちょうど脱出の口実欲しかったってのもあるっすけど。っていうかバイトは急に話しかけられてつい言っちゃっただけっすからね!」
「……やべ、ケチャップ足りない」
「聞いてるっすか、もう! ケチャップなら買い置きがあるっすよ、ちょっと待つっす」
半熟卵だったりデミグラスソースだったりを使っていない、純喫茶で出されるような素朴なオムライスが完成した。
「にーに、ご飯……」
「ちょうど出来たぞ、お箸持ってきてくれ」
着替えを終えたアキと共に三人で楽しく夕食を食べた。母とミフユに食べたものを送信し、風呂が沸くまでまったり過ごす。
「アキ、一番風呂いいぞ」
風呂が沸いたらアキに一番手を譲り、レイと共にソファに座った。抱き寄せて唇を重ね、彼の口内を舐め回した舌はうっすらとケチャップの味を感じ取った。
「レイ、今夜は……」
「遠慮するっす、発散されちゃうといい絵が描けないんで」
「今夜も仕事か? 日付変わるまでには寝ろよ。レイが過労で倒れちゃったりしたら嫌だからな、体大事にしろよ」
嬉しそうに「はーいっす!」と返事をするレイと再び唇を重ね、劣情を溜めた。
「なぁ、レイ……アキのことなんだけどさ、連絡なしで出かけてお兄ちゃんを心配させたのにはお仕置きが必要だと思うんだよ」
「え、お仕置きっすか? それはちょっと……可哀想っすよ、昼間一人で寂しそうっすし……」
「いーやお仕置きは必要だね。だからなレイ、拘束具……貸してくれないか? アイツ、俺を縛って騎乗位しただろ? そのお返しの意味も込めてな」
「……あ、お仕置きってそういうプレイっすか? びっくりしたー……ベランダ放り出すとか、なんか棒で叩くとか、んなこと言い出したらどうしようかと」
俺の信用度ってもしかして低い?
「そんなの虐待じゃないか……する訳ないだろ」
「…………弟を縛って犯すって字面だけだとどっちにしろ虐待な気もするっすけどね」
「十六歳と付き合ってる成人男性が言えたことかよ。あ、法律の話したら青姦してるから俺もダメだな……」
「ま、前あげた監視カメラ入りぬいぐるみはセーフっすよね? せんぱいの同意の元っすし。十六もセーフのはずっす!」
「カメラとマイクは俺がたまたま気付いただけじゃなかったか? 黙ってる気だったろ」
俺達は互いに黙って互いを見つめた。
「……犯罪って、結構簡単に犯しちゃうもんなんすね」
「バレなきゃ犯罪じゃないって名言があってだな」
「……これからは気を付けましょうっす」
「そうだな、この話はもうやめようか」
それはそれとしてアキは縛ろう、縛ってヤろう。
「拘束具貸してくれ」
「こっちの棚っす」
アキが風呂に入っている間に準備を済ませてしまおう。
『もしもし……? 誰……です、か? 日本語分かります……?』
アキよりも少し低い声はスラスラと日本語を操った。聞き覚えのある声だ。
「……その電話の持ち主の兄です」
『あっ、鳴雷か? よかった。俺分かる……? セイカ、だけど……狭雲 星火』
「あぁ、セイカ! 聞いたことある声だとは思ってたんだけど、声小さいからハッキリ分からなくてさぁ……」
セイカだ、そうだ、セイカの声だ。
『表示がロシア語だから誰が電話かけてきたのか分かんなくて怖かったんだよ。はぁー……安心した。秋風なんだけどな、さっき寝ちゃったんだよ』
「そ……そう、なんだ。帰ったらアキが居なかったから焦ってたんだよ」
『え、お前に何も言わずに来てたのか? そっかぁ……報連相はちゃんとするよう教えてやれよ、お兄ちゃん? ふふふ……もう帰らせた方がいいよな、すぐ起こすよ』
「あっ、待ってくれ、セイカっ……」
そういえばセイカは今日電話をかけて来なかった、アキと一緒に居たからなのだろうか。
『ん?』
「……迎えに行くから待たせてくれ。病院……だよな」
『分かった。うん、病院、俺まだ中庭にしか出れないし……今日は出てないけど』
「すぐ行く!」
俺はレイを置いて病院に走った。面会時間はもう終わっていて、日傘を持ったアキが受け付けの手前にある待合スペースで手を振った。
「にーに!」
「アキ! アキ、お前……はぁ……心配したぞ。出かけるなら電話とかメッセとか……帰りながら話すか、行こう」
閉じた日傘を揺らし、黒いレンズ越しではない赤い瞳で俺を見上げて微笑む。
「……セイカ、会う、したかったのか?」
「да」
「出かけるのはいいけど……アキ、次、外出るする時、にーにに、電話する、いいな?」
「電話するです、外出るするです?」
「電話する、その後で、外に出る……」
「да! 遊ぶする、前……にーに、電話するです」
俺が学校やバイトの間、アキもセイカも一人きりで寂しい思いをしていたのだろう。そんな二人が共に時間を過ごすのはいいことだ。
夕飯の話などをしながらレイの家に帰ると、泣きそうな顔で俺達を出迎えたレイに謝られた。
「ごめんなさいっすせんぱい……ごめんなさいっす」
「な、何……どうしたんだよ」
「せんぱいが帰ってくるまでにっ、牛乳とか、野菜とか、冷蔵庫入れとくもん入れとこうと思ったんす。料理出来ないっすから、せめてそれくらいはって、そしたら……」
キッチンの床に卵八個入りのパックが落ちていた。冷蔵庫に入れようとして手を滑らせたらしい、パックの隙間から卵の中身が漏れ出している。
「あー……割っちゃったのか」
「ごめんなさいっす……」
「いや、大丈夫。床に中身零れた訳じゃないから使えるよ。今日は予定変えてオムライスにしようか。半分も割れてないし、気にすんな」
「…………せんぱいホントに優しいっすね」
「よく言われるけど、自分では特別そうは思わないんだよな。あ、床拭いてくれるか?」
「あ、はい! それはもちろんっす」
オムライスを作る傍ら、床を雑巾で拭いているレイを見下ろす。零れていた卵の中身は透明だったから、白身が少し減ったかもしれないな……なんて考えながら、掻き混ぜられ黄色一色に変わった卵に視線を移す。
「……レイがバイト行く前はアキは家に居たんだよな?」
「見送ってもらったっすから間違いないっすよ」
「その後に出かけたのかぁ……俺は居なかったから仕方ないけど、レイにくらい言えばよかったのにな」
「俺が出た後で行こうって思い付いたのかもしれないっすよ」
前日には外出の予定を決めておきたい俺としては、思い立ったその日に外出するという発想はなかった。
「フッ軽過ぎんだろアキ……」
「そうっすかねー」
「……もう一人フッ軽が居たな、他人が撮った写真一つでバイトしに来たヤツが」
「それ俺のことっすか? だってせんぱいカッコよかったんすもん……ちょうど脱出の口実欲しかったってのもあるっすけど。っていうかバイトは急に話しかけられてつい言っちゃっただけっすからね!」
「……やべ、ケチャップ足りない」
「聞いてるっすか、もう! ケチャップなら買い置きがあるっすよ、ちょっと待つっす」
半熟卵だったりデミグラスソースだったりを使っていない、純喫茶で出されるような素朴なオムライスが完成した。
「にーに、ご飯……」
「ちょうど出来たぞ、お箸持ってきてくれ」
着替えを終えたアキと共に三人で楽しく夕食を食べた。母とミフユに食べたものを送信し、風呂が沸くまでまったり過ごす。
「アキ、一番風呂いいぞ」
風呂が沸いたらアキに一番手を譲り、レイと共にソファに座った。抱き寄せて唇を重ね、彼の口内を舐め回した舌はうっすらとケチャップの味を感じ取った。
「レイ、今夜は……」
「遠慮するっす、発散されちゃうといい絵が描けないんで」
「今夜も仕事か? 日付変わるまでには寝ろよ。レイが過労で倒れちゃったりしたら嫌だからな、体大事にしろよ」
嬉しそうに「はーいっす!」と返事をするレイと再び唇を重ね、劣情を溜めた。
「なぁ、レイ……アキのことなんだけどさ、連絡なしで出かけてお兄ちゃんを心配させたのにはお仕置きが必要だと思うんだよ」
「え、お仕置きっすか? それはちょっと……可哀想っすよ、昼間一人で寂しそうっすし……」
「いーやお仕置きは必要だね。だからなレイ、拘束具……貸してくれないか? アイツ、俺を縛って騎乗位しただろ? そのお返しの意味も込めてな」
「……あ、お仕置きってそういうプレイっすか? びっくりしたー……ベランダ放り出すとか、なんか棒で叩くとか、んなこと言い出したらどうしようかと」
俺の信用度ってもしかして低い?
「そんなの虐待じゃないか……する訳ないだろ」
「…………弟を縛って犯すって字面だけだとどっちにしろ虐待な気もするっすけどね」
「十六歳と付き合ってる成人男性が言えたことかよ。あ、法律の話したら青姦してるから俺もダメだな……」
「ま、前あげた監視カメラ入りぬいぐるみはセーフっすよね? せんぱいの同意の元っすし。十六もセーフのはずっす!」
「カメラとマイクは俺がたまたま気付いただけじゃなかったか? 黙ってる気だったろ」
俺達は互いに黙って互いを見つめた。
「……犯罪って、結構簡単に犯しちゃうもんなんすね」
「バレなきゃ犯罪じゃないって名言があってだな」
「……これからは気を付けましょうっす」
「そうだな、この話はもうやめようか」
それはそれとしてアキは縛ろう、縛ってヤろう。
「拘束具貸してくれ」
「こっちの棚っす」
アキが風呂に入っている間に準備を済ませてしまおう。
10
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる