冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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お土産何がいい?

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ネザメ達が修学旅行のお土産を買ってきてくれることとなった。俺は遠慮してしまっていたのだが、俺の彼氏達の一部は乗り気だ。ああいう方が可愛げがあるのだろうか……

「ちんすこう! ちんすこうお願いします。サーターアンダギーは近所のパン屋で買えるのでいいです」

「やっぱり君は食べ物がいいのかい? 紅芋のお菓子もあるらしいけれど……」

「紅芋……迷いますね、でもやっぱりちんすこうがいいです」

「分かった。ミフユ」

名前を呼ぶだけで「メモを取れ」と伝わったらしい。当然のようにミフユを使うネザメの態度は気に入らないが、以心伝心なのは羨ましい。

「次俺俺、俺はね~、限定品が欲しいな~。安物でいいからさ~、なんか沖縄っぽいアイテムが欲しい~。身に付けられる系~」

「服飾品だね。僕はあまりセンスがないから、選ぶのはミフユに任せるよ。よし次、天正くん」

「俺なぁ、シーサーの置きもんがええです、机に飾れるようなちっこいの」

ネザメはまたミフユの名前を呼んだ。やはりあのミフユが命令を聞いてくれることへの感謝がないネザメの態度は嫌いだ。他は全部好き。

「時雨くん、君は何が欲しいんだい?」

「ぇっ……ぁ、ぼく、は……遠慮、しま……」

「ごめんね、よく聞こえないから近くに寄らせてもらうよ。何が欲しいんだい?」

席を立ったネザメは震えるカンナの隣で屈み、耳に手を添える大袈裟な仕草を見せた。

「え、りょ……しま……」

「ん? 何が欲しいんだい?」

明らかに聞こえているだろう距離なのに何を──あぁ、ゲームでたまに見る「はい」を選ぶまで無限ループする質問の類か、これは。

「いら、な……」

「食べ物か雑貨かくらいは分かっておきたいんだよ。他の子のも聞かなくちゃいけないし、早く答えてくれないかな」

「…………ほ、の……な。かみ……の…………ねが、し……す」

「分かった。ミフユ」

「聞こえませんでした」

「星の砂、二人分だよ。ストラップかアクセサリーかな。ピアスはダメだよね? うん、ミフユ、ピアス以外と付け加えておいてくれ」

そうか、限定品でも小さなストラップだとかなら高い金を使わせる心配はないのか。ネザメが大富豪の御曹司だとは分かっているが、それでも俺はやはり遠慮してしまう。

「水月くん……はメインディッシュだから、木芽くん」

「へっ? 俺にもくれるんすか? 学校関係ないっすよ?」

「なら奮発しないとね。彼らは来年修学旅行に行けるけれど、君達は個人で行くしかないのだから」

「……えへへ、ありがとうございますっす。流石せんぱいが選ぶだけあっていい人っすねー」

ミステリアス美形という表面しか見ずにネザメを口説くと決めたことは俺だけの秘密にしておこう。

「石鹸が欲しいっす。今調べたら天然素材のいいのがあるらしいんすよ、お肌ツルツルになってせんぱいにもっと可愛がってもらうんす~」

小声で「本当は地酒が欲しいんすけど」と言ったのを俺は聞き逃さなかったぞ。

「ふむ……天然素材の石鹸は合う合わないが激しいと聞くが」

「俺割とその辺頑丈なタイプなんで大丈夫っす」

地雷系のような見た目のくせに骨太な上、肌も丈夫なのか。まぁ、いいことだな。丈夫な方が遠慮なく抱ける。

「歌見さんは?」

「俺の番か……んー、唐辛子が欲しいな。沖縄だけの美味いヤツがあるらしいんだ」

「へぇ……父様が辛党だから父様にも買っておこうかな」

「ネザメ様、辛党は辛いものが好きな者ではなく、酒好きのことを指します。当主様は下戸でいらっしゃいます。紅葉家次期当主ともあろうものが誤用してしまうなんて、全く嘆かわしい。あなたはいつもいつも──」

「狭雲くん! 狭雲くんは何が欲しいんだい?」

説教からの逃げ方も堂々としたものだ、し過ぎていて逃げられていない気がする。

「お、俺っ? 俺は……俺はいい。何かもらっても、そんな……飾ったりとか、無理だろうし」

「かさばるのが嫌ならお菓子とかはどうかな」

「…………味、よく分かんないし」

「なら服飾品かな」

「……俺なんかが着けたら物が可哀想だろ」

お土産の定番を全て否定されてしまったネザメは困ったように微笑んでいる。

「いらないんだってば、俺には。アンタらが帰ってくるまで生きてるかも怪しいんだし、俺なんかに余計な金使うなよ」

「……ミフユ、やめなさい」

ひねくれた無礼な対応に苛立ったミフユが説教のため大きく息を吸ったことにネザメは素早く気付き、それを止めた。

(ご主人様感あってカッコイイでそ~)

セイカに視線を戻したネザメは優しく彼の頭を撫で、隣に座っているアキに微笑みかけた。

「秋風くん、沖縄、お土産、何が欲しい?」

「……?」

「僕、旅行……行く。そこで、買う。お菓子、服、アクセサリ、置き物……何がいい?」

「ネザメさん、多分ですけどアキ、旅行とアクセと置き物はよく分かってないと思います」

「おやおや……秋風くん、好きな物、何?」

ずっと眉尻を下げて困ったような顔をしていた秋風が、ようやくぱぁっと笑顔になった。分かる日本語だったからだろう。

「ねこ!」

「動物っ……!?」

「すいませんホントすいません、もっと日本語勉強させます」

「い、いや……ヒントにはなったよ。沖縄には確か固有種の猫が居ただろう?」

「イリオモテヤマネコ、西表島の固有亜種ですね」

「アレを買おう」

おっ、世間知らず富豪ムーブか?

「特別天然記念物ですし、生き物を贈り物にするネザメ様の倫理観には問題があると思われます」

「連れて帰ろうなんて言ってないよ。剥製とか売ってないかな?」

「猫好きは猫の剥製もらっても嬉しくないと思いますけど……なぁ、アキ」

「えぇ……? 猫が好きなら嬉しいよねぇ、秋風くん」

アキは首を傾げながら「ねこ好きです」と言っている、ネザメが何を話しているかよく分かっていないようだ。可愛い。

「いやいや、ぬいぐるみとかの方が嬉しいと思いますよ」

言いながらこっそりミフユの手元を覗くと、既に「ネコのぬいぐるみなど」とメモされていた。
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