冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ショッピングモールデート

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電車を降り、駅から出る。人混みを抜けると少し気楽になり、セイカの様子も変わる。

「……ここ? デカい店だな。これ全部店?」

基本外出を禁止されてきたセイカにとってはショッピングモールは大き過ぎるようだ。

「アレは駐車場だぞ」

「え? あぁ……立体駐車場。本物見たの初めて。でっかい……」

深窓の令嬢を連れ出している気分になってきた。世間知らずなセイカとの外出は楽しい、セイカの健康状態を見つつデートの回数を増やしていこう。

「小物から買って行こうか。服は後な」

「小物って何?」

「俺が個人的に欲しい物、手芸用品だな。道具はあるから材料。それと、縄と油と蝋燭。これはどこにあるかなぁ、雑貨屋?」

「……俺は分かんねぇよ」

宣言通り一番に手芸屋に向かった。棚と棚の隙間が比較的狭い店ではあるが、ショッピングモールで使われているカートと車椅子の幅はほぼ同じなので問題なく通れる。すれ違うことは出来ないが、まぁそれは俺が臨機応変に対応すればいいだけの話だ。

「ハルにつまみ細工作るって言ってるから、ボンドとパール……花座何種類か」

「こんなとこに真珠売ってるのか?」

「ぽいビーズだよ、ほら」

「へぇー……花座って何?」

「花の雄しべとかをモチーフにしたパーツ、だいたい金色。色々パターンがあるから何個か買ってく」

セイカの膝に乗せさせてもらったカゴの中に購入予定の材料を入れていく。セイカは興味深そうにそれを眺めている。

「糸も減ってきてるから買っとくか……あ、このボタン可愛い」

「……お前こういうの好きだったんだな、知らなかった」

「セイカにも何か作りたいな、何がいい?」

「俺? 俺は、別に……」

「あ、レジン。最近やってないな~、レジンはあったはずだから……ミール皿何個か……」

「…………楽しそうだな」

俺ばかり楽しんではデートにならないとハッとしてセイカを見下げると、彼は嬉しそうに微笑んで俺を見上げていた。

「鳴雷? どうしたんだ?」

「あ、いや……セイカは楽しいかなーって。デートだから二人とも楽しまないとダメだし」

「楽しい。俺、楽しそうな鳴雷見るのが一番楽しいから」

「……そう? じゃあひとしきり楽しむ」

「うん、見てる」

生地は家に大量にあるのだが、自宅にはない柄の生地などを見るとついつい買いたくなってしまう。ビーズやボタンもそうだ。そういったものに惹かれては使う予定が立たないものは買わないぞと首を横に振る、そんな取捨選択も楽しい。

楽しさに我を忘れて独り言を言った後、冷静になって時折セイカの様子を見たが、彼は本当に俺を見ているだけで楽しいらしく穏やかに微笑んでいた。

「……セイカ、ぬいぐるみ作ってやろうか?」

「俺別にぬいぐるみ好きな訳じゃないけど……」

「いつも抱いてるだろ? 外に連れてくにはあの子は大き過ぎるからさ、外に持って行きやすい小さめのとか、どうだ?」

「…………鳴雷が、くれるなら……」

小さな声での呟きには遠慮を感じられた。気乗りしていないように見えるが、遠慮しているだけで本当は欲しいのだろうと俺は解釈する。

「よし! じゃあどんなのにするか考えなきゃな。何のぬいぐるみがいい? あの大きいクマさんと似た感じで作って親子っぽくするとか?」

「……家族とかは、やだな。なんか……俺が邪魔な感じするし」

「そ、そっか。じゃあクマじゃなくて、うーん、ウサギとかネコとか? セイカ、好きな動物居るか?」

「ん……」

「…………まぁ、思い付いたらでいいよ。設計図描く前に材料買っても無駄が出ちゃうし、帰ったら一緒に考えようか」

「……うん」

強引に決めてやった方がよかったのだろうか? いや、どうせならセイカ好みのものを作ってやりたい。帰ったら根気よく相談しよう。

「こんなもんかな。レジ行こう」

購入した物はレジ袋に詰めてもらい、車椅子の持ち手にぶら下げた。

「荷物持たなくていいのか?」

「ここに下げてるからいいよ、ありがとな。次は……」

園芸品店や大工用品店を回り、麻縄と蝋燭を入手。油の購入場所にはかなり悩んだが、美容グッズなどが売られている店でハーブオイルを購入。

「油って料理用じゃなかったのか」

「料理用のは母さんが買ってくるよ。これは俺の趣味用、余るだろうからセイカの肌ケアにも使おっか」

「……油塗るの? 身体に?」

「保湿とか色々あるんだよ。お風呂上がりに塗ってやるから今日から風呂上がったら寝る前に俺のとこ来いよ」

「分かった」

セイカのことだから「俺にはもったいない」とかグチグチ言い出すのではないかと警戒していたが、薬用オイルに馴染みがなさすぎて素直に了承してくれた。

「そろそろお昼ご飯にしよっか。服はその後な」

「一回家帰るのか?」

「フードコートあるんだよ、一階に……あ、でも二階にレストラン色々あるみたいだな。どこにする?」

「……俺あんまり食べ物の好みとかないから、鳴雷の好きなとこにして。鳴雷が好きなの知りたいし」

「可愛いっ……! じゃ、俺のオススメ~……って言ってもこのショッピングモール来たの数える程だからなぁ」

フードコートにある店も、レストラン達も、どれもチェーン店で名前を聞いたことがあるものばかりだ。しかし家族での外食がほとんどなく、高校デビューを果たしたばかりの俺には経験のない店ばかりだ。

「うーん……どこにしよう」

男子高校生とはいえデートなのだから、焼肉屋やお好み焼き屋は避けるべきか。オシャレでポップで明るい店、そう、カフェなんてどうだろう。

「ここ行ってみよっか」

「うん」

車椅子を押して二階のカフェへ。二人用のテーブル席へと案内してくれた店員は椅子を片方避けて車椅子を停めるスペースを作ってくれた。

「ありがとうございます」

微笑んで礼を言い、席に着いてメニューを広げる。

「これ美味しそう。見てほら、デニッシュパンにソフトクリーム乗ってる」

「飯食いに来たんだろ? 甘いのにするのか?」

「うん。セイカは?」

「んー……サンドイッチにしようかな。味噌カツ気になる……この間お前のママ上が作ってくれたカツはソースかけて食べたじゃん、味噌ってどうなるのかな」

「えー俺味噌カツ食べたことない、名古屋名物だっけ。一口ちょうだい」

「鳴雷のもくれるならいいぞ」

なんて話しながら注文を決めた俺達はまだ知らなかった、メニューに載っている写真からは想定出来ない大盛りが届けられるなんて。

「…………デカくない?」

「多いな……昔の俺なら余裕だったけど、今はリバウンドが怖い……いや、こんな美味そうなの残せるかっ。セイカ、帰ったら俺の筋トレの負荷になってくれ!」

「流石兄弟、発想が同じだな。秋風も俺乗せて腕立て伏せするんだよ。あ、俺のも食ってくれ、こんなに食えない」

「わぉ……摂取カロリー正直に伝えたらママ上に殺されますな」

量には怯んだが味は最高、俺は完食を目指してスプーンとフォークを振るった。
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