冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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継いだのはあなたじゃないんだから

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サンとは付き合うなと母に言われた直後、俺はサンに電話をかけた。

『ボクそうめん食べたよ。水月は何食べたの?』

「俺は炒飯と餃子と野菜炒め」

『中華だね』

まずは何気ない夕飯についての会話。

「サン……あのさ、明日また家に行ってもいいかな? もう場所分かったし一人で行けるよ、今度はもっと早い時間に……あっ、廊下とか掃除しようか?」

『……お母さんはいいって言ってる?』

「うん、明日なら泊まるのもいいって」

『ぇ……今日都合悪かっただけなの?』

胸に小さな針が刺さったような痛みがある。嘘をつくのはやはり苦手だ。

「うんっ、お風呂洗うのとかゴミ出すの、うち当番制でさ……俺の番だったんだよね。ごめんね、忘れててさ」

『そう……』

「うん、だからさ、明日行きたいんだけど……その、お泊まりも……したいし。サン、都合大丈夫そう?」

『…………水月』

「何?」

『お母さんの言うこと、ちゃんと聞きなよ?』

見透かされているのだろうか。母に許可をもらったという嘘が、今日は用事があったのだという嘘が、バレているのだろうか。

『水月……お母さんがどうして帰ってこいって言ったのか、ちゃんと聞いた?』

「だから、その……当番が」

『他の彼氏のところには泊まれたんだよね? 何日も。どういう持ち回りなの?』

「しゅ、週交代……」

『……そう。ねぇ水月……嘘はダメだよ?』

「…………」

『ありがとう、ボクのこと本当に好きなんだね。嬉しいよ。お母さん……穗張組のこと知ってた?』

「……ぅ、ん。で、でもっ、悪いことはしてないって」

『でもダメって言ってただろ? 声聞けば分かるよ……全部知っちゃったけど、ボクのこと諦め切れなかったんだよね? 嘘ついちゃえって、言いつけ破っちゃえって、なっちゃったんだよね? ダメだよ水月、お母さんを心配させたり悲しませちゃ、絶対ダメ』

声色一つでそんなに分かるものなのか? 俺はそんなに分かりやすいのか。

「……っ、サン言ったよね。サンがどういう人間か理解しても俺がまだサンを好きだったら付き合ってくれるって! 俺好きだよ、サンのこと大好き、付き合いたい! 約束守ってよ!」

『水月……じゃあ聞こうかな、ボクはどういう人間?』

「…………は、反社会的な、暴力団的なやつの……偉い人の、弟。でも関係ないっ、俺はサンが好きだよ、大好き」

『ふふ……やっぱりアンタは可愛いね。若くて、素直で……綺麗。ボクは芸術家だからね、綺麗なものを汚すのは気が引ける。好きになってくれてありがとう、楽しかったよ。まともな人間じゃなくてごめんね』

「えっ、待って切らないでっ……!」

通話を切られてしまった。俺はスマホを握り締めたまま項垂れ、頭を抱えた。俺とサンの交際はそんなに禁断なものだろうか? 何が問題なのかよく分からないのは俺がガキだからなのか? サンは画家として成功している、反社会的な活動なんてしていない。盲目の彼には暴力的な行為も出来ないだろう。ヒトやフタはともかくサンはヤクザじゃない。サンは危ない人なんかじゃない。家同士で繋がりを持つ訳じゃなく一人と一人で愛を育みたいだけなのに、なんでダメなんだよ。

「はぁあ……」

「あ、鳴雷っ、鳴雷……? どうしたんだ?」

酷く落ち込んだ俺はフラフラとアキの部屋に逃げ込み、機嫌が良さそうなセイカに顔を覗き込まれた。

「セイカ……何かいいことあったのか? 聞かせて……いいニュース聞きたい、気分を上げたい……」

「えっ、ぁ、大したことじゃないけど……見ててくれ」

セイカはベッドに這い上がると壁に足を向けて仰向けになり、壁に尻を寄せて右足で壁を蹴ることで腰を少し浮かせてドヤ顔をした。

「……うん?」

「足腰鍛えるのには屈伸が一番なんだけどさ、片足じゃ出来ないだろ?」

片足で屈伸運動をしていたアキの姿が脳裏に浮かぶ。

「それで秋風に相談しててさ、壁で腕立てするみたいな感じでやってみたらって言われて……最近ずっとこうやって壁蹴っててさ、ようやく腰ちょっと浮かせられるようになったんだ。力ついてきたんだよ」

今まで腰を浮かせることも出来なかった方が驚きなんだが。非力過ぎない?

「よかったな、太腿とか腰周り強くなったんだな」

「うん、多分」

「正常位は太腿疲れるからなぁ、そこ鍛えたのは正解だぞ?」

「……! 変態……」

頬を赤らめてジトっとした目で俺を睨み、すぐにぷいっと顔を背ける。

「…………鳴雷は何落ち込んでたんだよ」

「え、あぁ……うーん……どう説明していいか悩むなぁ。えっと……セイカはさ、ヤクザの組長の弟だけどヤクザっぽいことしてない人ってヤクザだと思うか?」

「う、ん……? ごめん……俺あんまりそういうの分かんない」

世間知らずで創作に触れる機会も少なかったセイカには、ヤクザという概念が俺以上にぼんやりとしか理解出来ていないようだ。

「犯罪者の家族は犯罪者なのかってことか?」

「ニュアンスが違う……ゃ、でも、そうだよな、その考え方でいいんだよな。犯罪者な訳ないよ、やっぱりあの人はヤクザじゃないしいい人なんだ」

「……カエルの子はカエルだよ。優しいヤツの母親は優しいし、イジメやるようなヤツは親に殴られて育ってんだよ。その親も親に殴られてきてるんだ」

「流れるような自虐……俺じゃなきゃ聞き逃しちゃうね」

話題を盗んで自虐道具に変えてしまったセイカを抱き上げ、ベッドに腰を下ろして彼を膝に乗せる。左腕を俺に巻き付けた彼の瞳は相変わらず死んだ魚のようだ。

「……犯罪者好きになったの?」

「犯罪者グループのトップの弟さん……つまりナギナギの実の……いやニュアンス違うな……うーん、ごめん、もう少し俺の中で整理してから相談させてくれ」

「うん……」

「……俺、今結構落ち込んでるんだけどさ、セイカ……俺のこと元気付けてくれたりするか?」

「何すればいい?」

「えっちなこと。いいかな?」

「……うん」

照れ臭そうに、けれども嬉しそうに頷いてくれた。サンのことはまた明日考えるとして、今晩はセイカに癒されよう。
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