冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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かまって欲しいだけなのに

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彼氏達が騒がしく役割分担を決め具材の準備を進める中、俺は一人チャーシューの厚みに悩みながら包丁をゆっくりと動かしていた。

「あ、ナナさん。俺卵半熟がいい~」

「もっと早く言えそういうことは! 途中で引き上げないとな……他に半熟がいいのは居ないかー?」

「さ、んっ……ほーちょ……だいじょ、ぶ?」

「大丈夫大丈夫。ドス、じゃなくて、包丁の扱いには慣れてるから」

サンは手際よくネギを切っているが、顔は隣に立つカンナの方を向いているから余所見をしているみたいで怖い。サンがどこを向こうが手元を見ることは出来ないと分かっていてもだ、絵面が怖い。

「ほうれん草てどのくらいの大きさに切ったらええん」

「一口サイズじゃないですか?」

「一口サイズて何センチな」

「五センチくらい……?」

「定規持っとる?」

「なんで急に理系っぽさ出してくるんですか、あなたは理系である以前に大阪の人間でしょう。ざっくりでいきなさいざっくりで」

「博多出身やのにラーメン嫌いなんか言われたら怒るくせに自分他人にはよぉ言いよるなぁ」

リュウは包丁を握ってはいるが、まだほうれん草を切り始めてはいない。口論の末シュカが包丁を奪い取り、ほうれん草を切り始めた。

「見た分かるほど五センチからは程遠いで」

「食えりゃいいんですよ食えりゃ!」

真面目で神経質そうな眼鏡と髪型のシュカが適当で、雑に生きていそうな見た目のリュウが細かい。またギャップを見つけてしまった。

「ネザメ様はキッチンをウロウロしないでください! お玉を意味もなく持ち去らないでください! リビングで待ってなさい!」

「ミフユが厳しい……」

しっしっと追い払われたネザメがふらふらと俺の元にやってきた。包丁を握っている俺に躊躇なく抱きついて、肩に顎を乗せた。

「ネザメさん、包丁使ってる時にそんなふうにしちゃ危ないですよ」

「水月くんも僕にどこかへ行けなんて言うのかい?」

「いえ、ここに居て欲しいですよ? でも危ないことはしないでくださいね」

「ネザメ様を甘やかすな鳴雷一年生! ネザメ様! リビングに! お戻りください!」

今日一番の大声で叱られたネザメはすごすごとリビングへと戻った。

「狭雲くん……狭雲くん、起きているかい? 聞いておくれよ、ミフユったら酷いんだよ、厳しいよ、冷たいよ……僕はただみんなが作業を始めてしまって寂しいから構って欲しかっただけなのに」

動機が幼児。

「手伝えば……?」

「包丁を持ったらそれはそれでミフユは怒るんだよ」

「……皿の準備するとか、使い終わった道具洗うとか、色々あるだろ。腕が二本もあるんだから何でも出来るよ」

「なるほど……僕がちゃんと手伝えたらミフユは僕を邪険に扱わないかな?」

「そんなの俺に聞かれても……」

「行ってくるよ、ありがとう狭雲くん」

ネザメはセイカの頭をぽんと撫で、またキッチンに戻ってきた。ミフユは食器棚を漁り始めたネザメの肩を掴み、リビングへ押し戻した。

「次期当主ともあろう者が下働きなどしてはいけません! ここでお待ちください、いいですね!」

「はぁい…………狭雲くん、叱られたよ?」

「え、俺が悪いの……?」

「狭雲くんのアドバイスの通りにしたら叱られたんだよ?」

「えぇ……? ごめんなさい……?」

「いいよ」

「…………」

ネザメとセイカの様子をハラハラしながら見つめていたが、視界の端でミフユが大きな寸胴鍋を持ち上げているのが見えてそちらに意識が奪われた。

「ミフユさんっ? そんな大きい鍋使うんですか?」

「十二人前だぞ、これくらい必要だ」

「給食みたいですね……」

出汁はもう取り終わったのだろうか、俺の想定よりもずっと早かったな。何かコツがあるのかな?

「クソっ、えぐれた! やっぱり俺は不器用なんだ、ゆで卵の殻すら向けない……!」

「なになに、卵の殻? 針で穴あけて中に息吹き込むとすぐ剥けるよ」

「そんな裏技が……!? すごいですね、流石……これが年の功」

「こないだラジオで聞いた」

「そ、そうでしたか」

歌見の敬語は新鮮だ。イイなぁ。

「……あ! 秋風くん、おかえり。どうだった、ここのお風呂は。お気に召したかな?」

秋風が風呂から上がったようだ、早かったな。

《なんかいい匂いするな》

彼の寝間着は半袖長ズボン、頭には雑にタオルを被せ、両端を掴んで交互に引っ張りこれまた雑に髪を拭いていた。

「アキ! ちゃんと髪乾かせっ……セイカー! 頼む!」

《秋風、髪はちゃんとドライヤーで乾かせってさ》

《面倒臭ぇ》

「……鳴雷、秋風……面倒だって」

「説得してくれー!」

「え……」

そろそろラーメンが完成しそうだ、器の準備も任された俺は忙しい。アキを説得する言葉を考えてはいられない。セイカに任せよう。

《秋風、髪……ちゃんとドライヤーで……》

《うるせぇなぁ、俺そんな髪長くねぇから大丈夫だっつーの》

俺が考えた言葉を翻訳してもらうよりもセイカが直接話す方がアキも聞いてくれるだろう。

「狭雲くん、秋風くんはなんて?」

「ぁ……髪、長くないから大丈夫って」

「おやおや、悪い子だねぇ。まぁ面倒だというのは分かるけれど」

「どうしよう……鳴雷、鳴雷が、俺に、俺に頼むって……説得出来なきゃ、俺……」

「狭雲くん?」

《……秋風、髪乾かさないなら……俺っ、死ぬ》

《は!? 意味分かんねぇぞおい!》

なんか騒いでるな。アキはそんなにドライヤーが嫌いなのか?

《なんでそうなるんだよ!》

《乾かせ! じゃなきゃ死んでやる!》

《おいおい無茶苦茶だぜ……んな出来もしねぇ脅迫じゃなくてよぉ、俺が乾かしてやるくらいの誘惑にしろよな》

《……手片っぽしかないんだ、ドライヤー持つくらいしか出来ないからな》

《いーぜそれで》

話がまとまったのか、アキはセイカを抱えてリビングを出ていった。ドライヤーのある洗面所に向かったのだろう。アキが髪を乾かし終える頃にはラーメンも完成するだろう。
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