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女々しく男らしい変態
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カラッと揚がったトンカツにソースを塗り、千切りキャベツと一緒にサンドイッチに挟む。このソースは市販されているトンカツソースではなく、ミフユお手製の物だ。まぁ味はそんなに変わらない、ちょっとマイルドかなってくらいだ。
「おにぎりは弁当に詰めたか? サンドイッチも入ったな。よし……もう少し冷めたら冷蔵庫に移すか」
おにぎりは当然、揚げたてのトンカツを挟んだサンドイッチも温かい。こんな温かいもの冷蔵庫には入れられない。
「おつかれみっつーん、フユさん! と、サンちゃんにしゅー。ありがとね~」
「ハルも殻剥きありがとうな」
抱きついてきてくれたハルをそっと抱き返し、背をぽんぽんと叩く。
「えへへー……ねぇみっつん、お昼ご飯作り終わったんだし~……海! 行くよねっ? ねっ?」
「あぁ、行くけど……もう行くのか?」
ミフユは冷蔵庫がどうとか言っていたし、彼はまだまだ行くつもりはないのでは?
「えー、だってここでグダグダしてる理由なくな~い?」
「ま、それはそうだけど……どうします? ミフユさん」
「ミフユはいつでも構わん。ネザメ様、如何致しますか」
「いいね、行こう。海で開放的な気分になれば秋風くんも少しは話してくれるだろう」
俺達が昼食を作っている間、アキとは全然話せなかったのか? 可哀想になってきたな。
「よし……ではミフユは荷物の準備をするので、各自水着に着替えろ」
「家から着替えて行くんです?」
「海は坂を下りてすぐ、着替えのための小屋などなし。ここで着替えて行く以外の選択肢はない」
「せやけど帰ってきた時びちゃびちゃドロドロやろうし」
「当然タオル等は持って行ってもらう。床なら多少汚しても構わん。濡れた手で壁を触ったりはするなよ」
そう話しながらミフユはテキパキと保冷バッグに弁当箱を詰め、冷蔵庫からクーラーボックスへとジュースを移していく。
「も~、グダグダ言ってないで行こ行こ~。ほら着替えるよ!」
同室のハルに腕を引かれ、リュウはダイニングから出ていった。俺もシュカと共に寝室へ戻り、鞄を開けた。
「着替えて行くんですから、バッグに詰めるのはタオルだけでいいんですよね?」
シュカの鞄からは小さく畳まれたプールバッグが出てきた。彼が学校に持ってきていた物と同じ物だ。
「日焼け止めとかも持ってけよ。あと途中で飯食うんだからウェットティッシュとかもな」
「んなもんハナから持ってきてませんよ」
「はぁ~!? もう、俺の日焼け止め塗ってやるからこっち来い!」
「あなたかなり女々しいですよね……」
「女々しいのは否定しないけど今はそうでもないだろ! いいか、日焼けは将来のシミやシワの原因になる。それだけならまだしも皮膚ガンのリスクも高める! つーか日焼けって火傷だからな、防げるなら防ぐに越したことはない! それと、飯食うんだから手ぇ拭くのは当たり前だ! お前の中で男らしい男は不潔な男なのか?」
「……まぁ割と男は不潔なもんだと思ってますけど」
自分も男のくせに酷い言い草だ。まぁ、トイレの後に手を洗わないのは男の方が圧倒的に多いらしいし、女子更衣室は制汗剤の香りがするらしいから、事実なのかもしれないけど。
(でも汗臭い更衣室のがわたくしは好きでそ! 汗臭いムワッとした更衣室で全裸オナニーしたい……!)
おっと思考が逸れた。
「とにかく塗っとけ日焼け止め。俺が塗ってやるから」
「海に入ったら落ちますよ」
「安心しろ、ウォータープルーフだ」
「あー……霞染さんの口から聞き覚えのある言葉……」
スクール水着に着替えたシュカに日焼け止めを塗ってやり、自分にも塗った。
「水月、水着……学校のと違うんですね」
「あぁ、そりゃ彼氏と旅行なんだから気合い入れて買ってくるよ。似合うか?」
「股間から白鳥生えてても似合うツラしてますよあなたは」
それ「美形はなんでも似合う」っていう褒め言葉じゃなくて面白い顔ってことじゃない?
「……シュカはスク水着るならラッシュガードも着ればいいのに」
「傷跡隠しに買わされたんですよ、気遣う必要ないんですから着ませんあんなもん」
「まぁ俺は肌の露出が多い方が目が楽しいからいいんだけどさ」
日焼け止めの減りが早くなっちゃうんだよな、と口には出さない。シュカが次回から遠慮してしまったらダメだからな。
「そろそろみんな着替え終わったかな」
パーカーを羽織り、プールバッグを肩にかけて部屋を出る。すると廊下でオロオロしているカンナを見つけた。
「カンナ! 何してるんだ?」
「みぃくん……きが、え……」
「俺はもう着替え終わったぞ」
「とり、くん……も? 部屋……つか、て……いい?」
カンナは確かハルとリュウと同室だった。俺以外に火傷跡を見せたがらないカンナは彼らの前では着替えられない、空き部屋を探すのは当然の行動だ。
「あぁ、もちろんいいよ。残念だなぁ、カンナの着替え眺めたかったんだけど準備をミフユさんに任せっ切りって訳にはいかないからさぁ」
「……! へん、たい……」
「ふふっ、カンナの水着姿楽しみにしてるよ」
頭を撫でてカンナと別れ、シュカと共にダイニングへ。
「ミフユさん、俺準備終わりました! 後は俺がやりますから着替えてください」
「む、そうか? ではこの設営キットを全て外に運び出しておいてくれ。それと、このシャチ型フロートを膨らませてくれ」
テントだろうか、金属の棒なども見える、かなり重そうだ。電動エアーポンプがあるからフロートを膨らませる方は楽そうだ。
「シュカ、フロートの方頼む」
「……サラッと力仕事持ってくとか、そういうとこ男らしいんですよね。私の方が腕力ありますよ?」
「よっ……! うわ重。ゃ、大丈夫、玄関の外に出すだけだし…………海まで運ぶのは先輩に頼もう」
設営キットを外に出し、ダイニングに戻る。着替えを終えた彼氏達がチラホラ現れていた、さぁ水着品評会(審査員俺一人)の時間だ!
「おにぎりは弁当に詰めたか? サンドイッチも入ったな。よし……もう少し冷めたら冷蔵庫に移すか」
おにぎりは当然、揚げたてのトンカツを挟んだサンドイッチも温かい。こんな温かいもの冷蔵庫には入れられない。
「おつかれみっつーん、フユさん! と、サンちゃんにしゅー。ありがとね~」
「ハルも殻剥きありがとうな」
抱きついてきてくれたハルをそっと抱き返し、背をぽんぽんと叩く。
「えへへー……ねぇみっつん、お昼ご飯作り終わったんだし~……海! 行くよねっ? ねっ?」
「あぁ、行くけど……もう行くのか?」
ミフユは冷蔵庫がどうとか言っていたし、彼はまだまだ行くつもりはないのでは?
「えー、だってここでグダグダしてる理由なくな~い?」
「ま、それはそうだけど……どうします? ミフユさん」
「ミフユはいつでも構わん。ネザメ様、如何致しますか」
「いいね、行こう。海で開放的な気分になれば秋風くんも少しは話してくれるだろう」
俺達が昼食を作っている間、アキとは全然話せなかったのか? 可哀想になってきたな。
「よし……ではミフユは荷物の準備をするので、各自水着に着替えろ」
「家から着替えて行くんです?」
「海は坂を下りてすぐ、着替えのための小屋などなし。ここで着替えて行く以外の選択肢はない」
「せやけど帰ってきた時びちゃびちゃドロドロやろうし」
「当然タオル等は持って行ってもらう。床なら多少汚しても構わん。濡れた手で壁を触ったりはするなよ」
そう話しながらミフユはテキパキと保冷バッグに弁当箱を詰め、冷蔵庫からクーラーボックスへとジュースを移していく。
「も~、グダグダ言ってないで行こ行こ~。ほら着替えるよ!」
同室のハルに腕を引かれ、リュウはダイニングから出ていった。俺もシュカと共に寝室へ戻り、鞄を開けた。
「着替えて行くんですから、バッグに詰めるのはタオルだけでいいんですよね?」
シュカの鞄からは小さく畳まれたプールバッグが出てきた。彼が学校に持ってきていた物と同じ物だ。
「日焼け止めとかも持ってけよ。あと途中で飯食うんだからウェットティッシュとかもな」
「んなもんハナから持ってきてませんよ」
「はぁ~!? もう、俺の日焼け止め塗ってやるからこっち来い!」
「あなたかなり女々しいですよね……」
「女々しいのは否定しないけど今はそうでもないだろ! いいか、日焼けは将来のシミやシワの原因になる。それだけならまだしも皮膚ガンのリスクも高める! つーか日焼けって火傷だからな、防げるなら防ぐに越したことはない! それと、飯食うんだから手ぇ拭くのは当たり前だ! お前の中で男らしい男は不潔な男なのか?」
「……まぁ割と男は不潔なもんだと思ってますけど」
自分も男のくせに酷い言い草だ。まぁ、トイレの後に手を洗わないのは男の方が圧倒的に多いらしいし、女子更衣室は制汗剤の香りがするらしいから、事実なのかもしれないけど。
(でも汗臭い更衣室のがわたくしは好きでそ! 汗臭いムワッとした更衣室で全裸オナニーしたい……!)
おっと思考が逸れた。
「とにかく塗っとけ日焼け止め。俺が塗ってやるから」
「海に入ったら落ちますよ」
「安心しろ、ウォータープルーフだ」
「あー……霞染さんの口から聞き覚えのある言葉……」
スクール水着に着替えたシュカに日焼け止めを塗ってやり、自分にも塗った。
「水月、水着……学校のと違うんですね」
「あぁ、そりゃ彼氏と旅行なんだから気合い入れて買ってくるよ。似合うか?」
「股間から白鳥生えてても似合うツラしてますよあなたは」
それ「美形はなんでも似合う」っていう褒め言葉じゃなくて面白い顔ってことじゃない?
「……シュカはスク水着るならラッシュガードも着ればいいのに」
「傷跡隠しに買わされたんですよ、気遣う必要ないんですから着ませんあんなもん」
「まぁ俺は肌の露出が多い方が目が楽しいからいいんだけどさ」
日焼け止めの減りが早くなっちゃうんだよな、と口には出さない。シュカが次回から遠慮してしまったらダメだからな。
「そろそろみんな着替え終わったかな」
パーカーを羽織り、プールバッグを肩にかけて部屋を出る。すると廊下でオロオロしているカンナを見つけた。
「カンナ! 何してるんだ?」
「みぃくん……きが、え……」
「俺はもう着替え終わったぞ」
「とり、くん……も? 部屋……つか、て……いい?」
カンナは確かハルとリュウと同室だった。俺以外に火傷跡を見せたがらないカンナは彼らの前では着替えられない、空き部屋を探すのは当然の行動だ。
「あぁ、もちろんいいよ。残念だなぁ、カンナの着替え眺めたかったんだけど準備をミフユさんに任せっ切りって訳にはいかないからさぁ」
「……! へん、たい……」
「ふふっ、カンナの水着姿楽しみにしてるよ」
頭を撫でてカンナと別れ、シュカと共にダイニングへ。
「ミフユさん、俺準備終わりました! 後は俺がやりますから着替えてください」
「む、そうか? ではこの設営キットを全て外に運び出しておいてくれ。それと、このシャチ型フロートを膨らませてくれ」
テントだろうか、金属の棒なども見える、かなり重そうだ。電動エアーポンプがあるからフロートを膨らませる方は楽そうだ。
「シュカ、フロートの方頼む」
「……サラッと力仕事持ってくとか、そういうとこ男らしいんですよね。私の方が腕力ありますよ?」
「よっ……! うわ重。ゃ、大丈夫、玄関の外に出すだけだし…………海まで運ぶのは先輩に頼もう」
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