冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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お昼ご飯はカスクート

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アキがセイカにしてやったように、背に乗せて泳いで欲しいというハルのあどけない願いを俺は叶えられなかった。密かに同じことをねだろうと考えたハルまで失望させてしまった。

「ごめんな二人とも」

「いいよそんな気にしなくて、俺の方こそごめんねみっつん」

「じゃあ何すか? アキくんが異常だってことっすか?」

「う、うーん……? まぁアキの身体能力は異常と言ってもいいレベルだけど」

三角飛びや逆立ち片腕立て伏せとは違い、人を乗せて泳ぐのは頑張れば何とかなりそうな気がする。手応えがあった。

「出来ると思うんだよ、これは。ハル、ちょっともっかい乗ってみろ。今度は背筋伸ばして座らずに、俺にぴったり寄り添って……で、俺の足と腕の動きを阻害しないようにしがみついてもらえたら、出来る気がする!」

「えー……大丈夫? いいよ? 俺もう……もうそんな羨ましくないから」

「出来るはずなんだよ、ちょっとだけでいいから挑戦させてくれ!」

乗り気ではないハルに頼み込んで背中に乗ってもらい、俺が先程説明した乗り方を試してもらった。当然のように沈んだ。

「げほっ、げほっ……ぺっ、ぅえ……」

「……沈んじゃうのは仕方ないんすけど、何で思いっきり口入っちゃうんすかね」

「口閉じてりゃいいのに~」

「みぃくん……だい、じょぶ……?」

噎せる俺を心配してくれるのはカンナだけだ。背をさすってくれている彼を思わず抱き締めた。

「可愛い……世界一可愛い」

「しっかし何でアキくん俺乗せてくんないのかな~、アイツはいいのにさぁ~」

「あんま仲良くないからじゃないすか?」

カンナを愛でまくれば二人が嫉妬して俺も俺もと来てくれるかと思ったが、そんなことはなかった。

「……仲良くないの? ない、かぁ……ないか」

「あと重いからとか」

「え、俺一番軽い自信あったんだけど?」

「手足の分」

「あー、えー、いやでも~……」

「ハル、お前セイカに比べたら十センチくらいデカいぞ」

「そっすね、スタイルいいっすから脂肪なくても骨の分でハルせんぱいは重いかもしれないっす」

体感だとレイの方が重いんだよなぁ、と身長低めながら骨太のレイを見下ろす。もちろん口には出さない。

「……スタイルいいってのは嬉しいけど~、重いはなんかなぁ~……ぁ、水月みんな抱っこしたことくらいあるよね? 誰が一番軽かった?」

「ぷぅ太ちゃんかな」

「いち、てん……よん、きろ」

「わぁ~生まれた時の俺より軽~い……って違ぁう! 彼氏の中で!!」

まさかのノリツッコミ。

「彼氏の中ならセイカ……いや、ミフユさん? うーん、どっちかな、微妙だな。ギリセイカか? 俺ん家来てすぐくらいの頃はセイカのが軽かったかも。セイカはよく抱っこしたり背負ったりするけど、ミフユさんはヤる時に乗ってもらうとか、シ終わった後にちょっと抱っこするくらいしかないからな~……」

「自然と下ネタシフトすんのやめて」

「ご、ごめん」

謝った俺への追撃のように波と共にシャチ型フロートが頭にぶつかる。

「うわっ……な、何? ネザメさんのシャチ?」

困惑していると遠くからネザメが手を振りながらやってきた。どうやら乗り損ねた上に手を離してしまったらしい。

「ありがとうね捕まえてくれて。ぶつかったかい?」

「いえ、大丈夫です」

「突然シャチという海で最も強い生物に襲われて怖かっただろう」

「いやフロートって分かりますから……」

キラキラと輝くアニメ風の目をしたシャチ型フロートをネザメに返す。

「ネザメ様が色々とすまないな鳴雷一年生。そろそろ昼食の時間だ、一緒に戻ろうか」

「はい。あ、ミフユさんちょっと抱っこさせてくれません? 今誰が一番軽いかって話になってて」

「む……うむぅ、まぁ……構わないが」

「ありがとうございます!」

アキに昼食だと声をかけ、海から上がる。波打ち際からテントまでミフユをお姫様抱っこで運ばせてもらった。

「どう?」

「うーん、うん……セイカ、おいで」

顔を真っ赤にして喋らなくなってしまったミフユを下ろし、ちょうど戻ってきたセイカを抱き上げる。

「……あれ。おいセイカお前昨日より軽くないか!?」

「昨日……? あぁ、昨日お前が運んでくれた時は義足付けてたからそれだろ」

「あっ……あぁ、それか……そこそこあるもんな、アレ」

「で? どっち?」

「ミフユさんのが軽い」

やはり二十二センチの差は大きかった。見事最も軽い彼氏の称号を得たミフユは落ち込んでいる。ネザメを守るため鍛えている彼は、痩身のセイカより体重が軽いとなると敗北を感じてしまうのだろう。

「へぇ……ミフユが一番かぁ。よかったねミフユ。逆に一番重いのは誰なんだい?」

「俺だろ」

「でもナナさんよりサンちゃんのがデカいよ?」

「筋肉は俺のがあるぞ」

確かに歌見の方が筋肉の厚みがある。しかしサンも十二分に鍛えているし、何より背が高い。

「濡れたらボクじゃない? 髪の分」

「いや髪引いても普通にサンのが重いと思う……」

「……なんか重い重いって言われると嫌だね。別に体重なんか気にしてないんだけどさ」

体重は身長通りということだな。あまり面白みのない結論が出たところでミフユが保冷バッグを開けて今日の昼食を配った。

「今日のサンドイッチはパンが違うね」

「パストラミビーフのカスクートです」

野菜もたっぷりのカスクートだ。パン屋では見かけるが、他と比べて値が張るので買ったことはなかった。数秒後の一齧り目が楽しみで仕方ない。

「それは……何だい?」

「フランス語で軽食という意味ですが……日本では大抵フランスパンで作ったサンドイッチのことですね」

「やっぱりサンドイッチじゃないか」

「カスクートです」

「サンドイッチだって今言ったじゃないか」

「あの……いただきますしても?」

しつこいネザメに付き合っていたら腹の虫が声を枯らしてしまう。俺は軽く手を挙げて控えめに提案した。

「あぁ、すまない。もう黙ってくださいネザメ様」

納得していなさそうな顔のままネザメも手を合わせ、全員で「いただきます」と手を合わせ、すぐにカスクートに手を伸ばす。

《……お前お祈りは?》

《長ぇから今日は日本式》

《信仰心の欠片もねぇな》

波の音と異国の言葉を聞きながら具材が零れそうなそれにかぶりついた。
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