冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
999 / 2,313

二種類の具材

しおりを挟む
今日の昼食はカスクート。 フランスパンにパストラミビーフ、オニオン、トマト、レタス、クレソンなどなどの野菜たっぷり健康的で美味しい食事だ。

「野菜……野菜の味がするっす、野菜ぃ……」

レイはこのカスクートはあまり好みではないようだ。美味しいのになぁ。

「どうした木芽、口に合わないか?」

「なんか、ピリピリする草があるんすけど、それが嫌っす……オニオンも生は嫌いっす。レタスもいっぱいあって青臭いっすぅ」

「クレソンのことか?」

「レイ、そんなに野菜嫌いだったのか? 俺がお前の家に住んでた時とかサラダ何回も出したけど何も言わなかったじゃないか」

放っておいたら野菜を取らないから好きではないのだろうと思ってはいたが、まさか嫌いだったとは。

「せんぱいが作ってくれるサラダ、ツナとかゆで卵とかハムとかクルトンとか入れてくれるから、野菜感薄いんすもん」

「ふむ……他にこのカスクートが口に合わない者は居ないか?」

アキとセイカとカンナ以外の彼氏達はキョロキョロと互いの顔を見合わせる。レイの他に野菜嫌いは居ないようだ。

「え……マジすか」

「おい最年長」

「さっ、最年長はサンさんす! ってか俺の歳の話はしないで欲しいっす! って言うかぁ! みんなそんな野菜平気なんすか……? 最近の子ヤバいっすね」

ハルはサラダしか食べていないこともあった、シュカは食い意地が張っている。

「カンナは大丈夫か?」

今日は俺の隣に座っていないカンナは小さく頷き、ごくんと噛んでいた分を飲んでから「おいしい」と蚊の鳴くような声で教えてくれた。

「リュウは?」

「めっさ美味い」

今日もアキの足に座らされているセイカはゆっくりとではあるが黙々と食べている。彼は多分、嫌いな味でも文句を言わずに食べるタイプだ。アキは肉好きのはずだが、野菜嫌いではないのだろうか。

「アキ、野菜いっぱいなの嫌じゃないか?」

頼まずともセイカが翻訳してアキに尋ねてくれた。

《うめぇ》

「おいしいってさ」

《日本来てから不味いもん食った覚えねぇぜ、やっぱりババアの料理がド下手くそだったんだな。生ゴミ臭のする酸っぱ不味いドロっとしたナニカ……野良犬でももうちょい美味いもん食ってんじゃねぇかと思ったね。ちなみにその後吐いて、なんでお母さんの作ったの吐いちゃうのお母さんのこと嫌いなのって泣かれるのまでがワンセットな》

《スーパーで買った弁当とか惣菜とかパンとか食えてただけ俺マシだったんだな》

《料理やる気はあるクソドジ他責癖ババアと料理やる気のねぇ虐待系ババアか……》

《ホムラにはちゃんと美味しそうな料理作ってたぞ。あと人の母親のことはババアって言うな》

《マジかよクソだな。あぁ悪ぃ、これからはちゃんとクソババアって言うことにするぜ》

なんか話してるな。

「セイカー? アキなんて? なんか長々話してない?」

「……母親の料理が如何に不味かったかをつらつら語ってる」

葉子さん……

「そ、そっか。じゃあいいや」

アキが長々と話している間に他の彼氏達にも聞いたが、やはり駄々を捏ねているのはレイだけだった。

「木芽、口に合わんのならそれはもう食べなくていい。こちらを食べるといい」

ミフユは別のカスクートを取り出した。こちらの具はハムとクリームチーズだけのようだ。

「一つでは足りない者のために別の味も用意してあったのだ。初めからこちらも出して選ばせればよかったな」

「わ……! ありがとうございますっす! ぁ……こっちどうしましょう」

三分の一ほど食べた野菜たっぷりカスクートをレイは気まずそうに見つめる。彼は自分にとって不味いものだからとポイと捨てるような性格はしていない。

「せんぱい食べるっすか?」

「俺一個でいいかなぁ……ハムチーズも気になるけど一個でお腹いっぱいになると思う」

デブは大食いではない、延々と食べ続けられるだけなのだ。って俺はもうデブじゃないんだった。

「シュカ、いらないか?」

「ください」

既に一つ目を食べ終えていたシュカは俺の言葉を待っていたとでも言うようにレイのカスクートを素早く取り、齧り付いた。

「ありがとうございますっすシュカせんぱい! いやぁワガママ言って申し訳ないっすねぇ……改めていただきます。んっ、んん……! めちゃくちゃ美味いっすねチーズ最高っす!」

「不健康だなぁ……晩飯野菜多めに食えよ」

「年積、秋風に二個目……いい?」

「あぁ、もちろん。好きに取るといい」

《二個目取っていいってさ》

アキは笑顔で二つ目のカスクートに手を伸ばした。ハムとクリームチーズほど相性のいい食材も珍しい。余程美味しかったのだろう、アキはキラキラと目を輝かせた。どんなベテラン芸能人の食レポよりも人間の食欲に訴えかける瞳だ。

《うっっま! やべぇスェカーチカこれ食え、食え食え》

アキがはしゃいだ様子でセイカの口に二つ目のカスクートを押し付け始めた。美味しい物は共有したいという至極真っ当な思考だろう、しかしセイカは素直に共有されてはくれない。

《いいよ……一個目まだ食べてるし。それは秋風のだろ》

《一口でいいから食えよ、一個目食えなくなったらお前も食うの手伝ってやるからさ。とにかく二個目の食えってめちゃくちゃ美味いんだから》

さぁ、アキはセイカの強い遠慮を突破することは出来るのかな?

《食えってほら食えって》

《んん……分かった分かった分かったから口に押し付けんな》

力づくの突破だった。セイカが口を開くまで押し付け続けた。無理矢理ハムチーズのカスクートを食べさせられたセイカは渋々といった表情で咀嚼し、途中で一瞬動きを止めて表情を緩めた。

《お、美味い顔した。美味かったろ、美味かったんだろ》

《うるさい……》

セイカは鬱陶しそうに何か話し続けるアキの顔を押す、まるで前足を突っ張る猫だ。押されたアキは拗ねることも怒ることもなく、くすくすと笑ってセイカを抱き締め直す。

「…………なぁレイ、一口くれないか?」

「いいっすよ」

アキ達の戯れが羨ましくて、俺も今日もカンナ辺りを足に座らせればよかったなぁなんて思いつつ、楽しそうな彼らを少しでも再現するためハムチーズのカスクートをねだった。
しおりを挟む
感想 532

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話

ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...