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どこまで行くのか行けるのか
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しばらくするとアキが戻ってきた。ネザメは少し疲れて見える。
「はぁ……」
「ネザメ様、如何されましたか?」
「秋風くんにシャチを引っ張ってもらったんだけれど、速くてねぇ……スリリングで楽しかったけれど、疲れちゃった」
ミフユはネザメの乗ったシャチ型フロートを引っ張る際、ネザメの方を見ながら立ち泳ぎでゆっくりと移動していく。アキがどう引っ張ったのかは知らないが、丁寧なミフユの数倍速いだろうとは予想が着く。
「すぇかーちか、ただいま……です! うみー、行く、するです」
アキはブルーシートの上に寝転がっているセイカに声をかけるも、彼はふいっと顔を背けた。
「引きずれれば俺じゃなくてもいいくせに……」
「すぇかーちか? うみ~……遊ぶ、するです」
「紅葉と遊んでろよ、そっちのが遊びの幅広いだろ」
《……ちょっと頑張ってみたけど何言ってんのか分かんねぇ。悪ぃ、ロシア語で言い直してくれ》
《…………眠い。しばらくほっとけ》
《眠いのか? スェカーチカ。そっか……》
《あぁ、だから紅葉とでも遊んでろよ》
日本語から移行した後、セイカはしっしっと左手を振った。ネザメはジュースを飲みながらアキとの楽しい時間についてミフユに話している、まるで幼稚園であったことを必死に母親に知らせる子供だ。
「アキ、お兄ちゃんと遊ばないか?」
少し前まで犬とハルとレイが遊んでいたバレーボールを持って話しかけてみるも、アキは俺を無視して帽子とゴーグルを外し、セイカの隣に寝転がった。
《何してんだ》
《昼寝》
《……お前は遊びたいんだろ》
《スェカーチカとな》
《…………置いてったくせに》
《なんだよ拗ねてんのか? 早く言えよな、埋め合わせしてやっからよぉ。眠いってのも嘘か? それはマジ?》
《はぁ……嘘だ嘘だ悪かったよクソ、このクソド直球マイペース魔人。お前に対して拗ねようってのが間違いだったちくしょう》
呆れたようにため息をつきながらセイカが起き上がるとアキもそれにならい、帽子とゴーグルを身に着けてセイカを抱き上げ、また海へと走っていった。
「……え、俺ガン無視?」
「鳴雷一年生……」
「や、やめてください、そんな哀れみの目で俺を見ないでください!」
「水月くん、秋風くんと喧嘩でもしているのかい?」
「してなくてアレだから俺がこうなってるんです! ちくしょう……彼氏を二人寝盗られた気分……!」
「寝てから言え」
ぽこん、と頭をノックするように叩かれて振り向けば呆れ顔の歌見が居た。
「原因は分かってるんだろ、治るまで待て。そしたら元通りだ。年積、悪い、ジュース取ってくれ、どれでもいい」
「どうぞ、歌見殿」
「……俺なら尻切るなんて失態犯さないのにぃ。アキ雑だからローションとか拡張とかサボってディルド突っ込んだんだ多分……今後はオナニーする気が起きないくらいに頻繁に抱いてやらないとな」
「セックスとオナニーは別腹みたいなとこないっすか? あ、年積さん、俺にもジュースくださいっす」
「どうぞ」
ぬっと顔を出したレイにもジュースが与えられた。両サイドで美味そうに飲まれると俺も欲しくなってくる。
「別腹なのかい?」
「あ、紅葉さんまだ寝てないんすか? 割と別っすよ」
「ミフユとは経験があるよ。でも自分でした経験というのはほとんどなくてね……」
「……処理はミフユの仕事ですので」
そういえば生徒会室でもミフユは机の下に潜ってネザメにフェラチオをしてやったりしていたんだよなぁ。ネザメが俺に抱かれ慣れて雄の快感を忘れていったらその光景もみられなくなるのだろうか? なんだか寂しいな。
「レ~イぃ、俺とのセックスに不満があるのかぁ?」
「ないっすよ、ある訳ないじゃないすか! ただ、完全に自分のペースでしたい時もあるんすよ。せんぱいはそういうのないんすか?」
「俺は勃ったら抜くだけだからなぁ、しようって考えてする感じじゃないっていうか……ぁ、でも、ホラゲのクリーチャーとかで抜く時の気持ちよさはお前ら可愛がってる時とはまた別物だな」
「ホラゲのクリーチャーで抜いてるって事実が強烈過ぎて何の話してたか忘れたぞ」
「ほらげのくりーちゃーって何だい?」
まずい、あまり知られたくない趣味を堂々と話してしまった。
「ミフユ、分かるかい?」
「よく分かりません……鳴雷一年生、それはネザメ様に聞かせていい言葉か?」
「よく、ない……かもです。すいません……二度と言いません……頭を冷やして反省してきます」
そう言って海に入った俺は冷たい海水に浸かりながら逃げおおせた安堵に胸を撫で下ろした。
「はぁ……」
もうすぐアキの誕生日だ。誕生日プレゼントは一応用意したけれど、買ってから時間が経つほど自信が薄れていく。あんな物でアキを喜ばせられるだろうか、誕生日になってもアキは俺とのスキンシップを嫌がるのだろうか、おめでとうのキスすらさせてもらえないのだろうか。
(はぁ~……てぃんてぃんにリボン巻いて「俺がもう一つのプレゼントだよ」ってしようと思ってた時期が懐かしいでそ)
海面に仰向けに寝転がり、波に身を任せてぷかぷか浮いていると、頭がトンと何かに当たり、大きな影がぬっと俺の顔を覗き込んだ。
「……っ!? がぼぼっ……ぷはっ! げほっげほっ、はぁ…………サ、サン?」
どうやら流されてサンにぶつかってしまったようだ。サンは噎せた俺の背を叩き、心配そうな表情で虚空を見つめている。
「大丈夫?」
「う、うん……ちょっとびっくりして沈んじゃっただけだから」
「そ、大丈夫ならいいんだけど……約束、今日だよね? そっちも大丈夫?」
「もちろん! サンに悦んでもらえるよう俺頑張るよ」
「……ふふっ、お風呂……いつもより念入りに入らないとかな?」
「俺サンの匂い好きだよ。磯臭いのもまぁ、多分……なんか、季節限定フレーバーみたいな感じで興奮するかもだし、適当でも大丈夫!」
「あははっ、そうなの? でもちゃんと身体洗うよ」
朗らかに笑うサンに癒される。そうだ、俺が今悩むべきはアキとの距離についてじゃない、サンとどこまで行くか、どこまで行けるかについてだ。
「はぁ……」
「ネザメ様、如何されましたか?」
「秋風くんにシャチを引っ張ってもらったんだけれど、速くてねぇ……スリリングで楽しかったけれど、疲れちゃった」
ミフユはネザメの乗ったシャチ型フロートを引っ張る際、ネザメの方を見ながら立ち泳ぎでゆっくりと移動していく。アキがどう引っ張ったのかは知らないが、丁寧なミフユの数倍速いだろうとは予想が着く。
「すぇかーちか、ただいま……です! うみー、行く、するです」
アキはブルーシートの上に寝転がっているセイカに声をかけるも、彼はふいっと顔を背けた。
「引きずれれば俺じゃなくてもいいくせに……」
「すぇかーちか? うみ~……遊ぶ、するです」
「紅葉と遊んでろよ、そっちのが遊びの幅広いだろ」
《……ちょっと頑張ってみたけど何言ってんのか分かんねぇ。悪ぃ、ロシア語で言い直してくれ》
《…………眠い。しばらくほっとけ》
《眠いのか? スェカーチカ。そっか……》
《あぁ、だから紅葉とでも遊んでろよ》
日本語から移行した後、セイカはしっしっと左手を振った。ネザメはジュースを飲みながらアキとの楽しい時間についてミフユに話している、まるで幼稚園であったことを必死に母親に知らせる子供だ。
「アキ、お兄ちゃんと遊ばないか?」
少し前まで犬とハルとレイが遊んでいたバレーボールを持って話しかけてみるも、アキは俺を無視して帽子とゴーグルを外し、セイカの隣に寝転がった。
《何してんだ》
《昼寝》
《……お前は遊びたいんだろ》
《スェカーチカとな》
《…………置いてったくせに》
《なんだよ拗ねてんのか? 早く言えよな、埋め合わせしてやっからよぉ。眠いってのも嘘か? それはマジ?》
《はぁ……嘘だ嘘だ悪かったよクソ、このクソド直球マイペース魔人。お前に対して拗ねようってのが間違いだったちくしょう》
呆れたようにため息をつきながらセイカが起き上がるとアキもそれにならい、帽子とゴーグルを身に着けてセイカを抱き上げ、また海へと走っていった。
「……え、俺ガン無視?」
「鳴雷一年生……」
「や、やめてください、そんな哀れみの目で俺を見ないでください!」
「水月くん、秋風くんと喧嘩でもしているのかい?」
「してなくてアレだから俺がこうなってるんです! ちくしょう……彼氏を二人寝盗られた気分……!」
「寝てから言え」
ぽこん、と頭をノックするように叩かれて振り向けば呆れ顔の歌見が居た。
「原因は分かってるんだろ、治るまで待て。そしたら元通りだ。年積、悪い、ジュース取ってくれ、どれでもいい」
「どうぞ、歌見殿」
「……俺なら尻切るなんて失態犯さないのにぃ。アキ雑だからローションとか拡張とかサボってディルド突っ込んだんだ多分……今後はオナニーする気が起きないくらいに頻繁に抱いてやらないとな」
「セックスとオナニーは別腹みたいなとこないっすか? あ、年積さん、俺にもジュースくださいっす」
「どうぞ」
ぬっと顔を出したレイにもジュースが与えられた。両サイドで美味そうに飲まれると俺も欲しくなってくる。
「別腹なのかい?」
「あ、紅葉さんまだ寝てないんすか? 割と別っすよ」
「ミフユとは経験があるよ。でも自分でした経験というのはほとんどなくてね……」
「……処理はミフユの仕事ですので」
そういえば生徒会室でもミフユは机の下に潜ってネザメにフェラチオをしてやったりしていたんだよなぁ。ネザメが俺に抱かれ慣れて雄の快感を忘れていったらその光景もみられなくなるのだろうか? なんだか寂しいな。
「レ~イぃ、俺とのセックスに不満があるのかぁ?」
「ないっすよ、ある訳ないじゃないすか! ただ、完全に自分のペースでしたい時もあるんすよ。せんぱいはそういうのないんすか?」
「俺は勃ったら抜くだけだからなぁ、しようって考えてする感じじゃないっていうか……ぁ、でも、ホラゲのクリーチャーとかで抜く時の気持ちよさはお前ら可愛がってる時とはまた別物だな」
「ホラゲのクリーチャーで抜いてるって事実が強烈過ぎて何の話してたか忘れたぞ」
「ほらげのくりーちゃーって何だい?」
まずい、あまり知られたくない趣味を堂々と話してしまった。
「ミフユ、分かるかい?」
「よく分かりません……鳴雷一年生、それはネザメ様に聞かせていい言葉か?」
「よく、ない……かもです。すいません……二度と言いません……頭を冷やして反省してきます」
そう言って海に入った俺は冷たい海水に浸かりながら逃げおおせた安堵に胸を撫で下ろした。
「はぁ……」
もうすぐアキの誕生日だ。誕生日プレゼントは一応用意したけれど、買ってから時間が経つほど自信が薄れていく。あんな物でアキを喜ばせられるだろうか、誕生日になってもアキは俺とのスキンシップを嫌がるのだろうか、おめでとうのキスすらさせてもらえないのだろうか。
(はぁ~……てぃんてぃんにリボン巻いて「俺がもう一つのプレゼントだよ」ってしようと思ってた時期が懐かしいでそ)
海面に仰向けに寝転がり、波に身を任せてぷかぷか浮いていると、頭がトンと何かに当たり、大きな影がぬっと俺の顔を覗き込んだ。
「……っ!? がぼぼっ……ぷはっ! げほっげほっ、はぁ…………サ、サン?」
どうやら流されてサンにぶつかってしまったようだ。サンは噎せた俺の背を叩き、心配そうな表情で虚空を見つめている。
「大丈夫?」
「う、うん……ちょっとびっくりして沈んじゃっただけだから」
「そ、大丈夫ならいいんだけど……約束、今日だよね? そっちも大丈夫?」
「もちろん! サンに悦んでもらえるよう俺頑張るよ」
「……ふふっ、お風呂……いつもより念入りに入らないとかな?」
「俺サンの匂い好きだよ。磯臭いのもまぁ、多分……なんか、季節限定フレーバーみたいな感じで興奮するかもだし、適当でも大丈夫!」
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