冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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昔だけは見せられない

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遊んで、遊んで、遊び尽くして、今日もまた夕暮れ前に海から上がった。カンナを先に帰らせ、テント等を片付けて鞄を持ち、坂を上っていく彼氏達を見上げる。

(むほほ、いい景色でそ)

今日はパレオ姿のハルは当然、裾の広い水着を着ている歌見などもイイし、ウェットスーツのアキでも下からのアングルの尻はたまらないものだ。

(こちらもいい景色ですな)

夕焼け色に染まる海を眺める。少し前まで青や翠に見えていた海が、今は気味が悪いほどの赤色だ。昼と夜の隙間の僅かな時間だけの景色、都会では見られない水平線、全てが俺を惹き付ける。

「帰んで」

ぐいっと腕を掴んで引っ張られ、そんなに引っ張らなくてもと微笑みながら振り返り、ギョッとした。俺は確かに最後尾に居たが、既に砂浜から上がって舗装された道に立っていたはずだ。

「帰ろ」

何故、今、俺は波打ち際に立っているんだ? その疑問を頭の中で言葉にした瞬間ゾッと背筋が寒くなった。



俺は一言も発せないままリュウに手を引かれ彼氏達の後を追って家に帰った。彼氏達は一人も振り返らずに歩いていたようで、少し遅れてきた俺とリュウに対し「イチャついてたんだろう」と考えたらしく、リュウへの嫉妬の声が二三飛んだ。

「リュウ……」

「水月ぃ、しぐもう出たんか見てきたって」

「……あ、あぁ」

いつも通りの笑顔に安心し、黙って脱衣所に入ってちょうど着替え中だったカンナに驚かれた。

「悪い、もう出てたのか。声かければよかったな」

カンナはぶんぶんと首を横に振る。

「……もう化粧水とか塗っちゃったかな? 撫で回して舐め倒したいんだけど」

無防備に晒された火傷跡を見ていると唾液が分泌が多くなっていった。

「あた、ま? だめ……ぬ、ちゃた……し、みんな……ぉ、ふろ、待ってる」

「だよな。じゃ、みんな呼んでくるよ」

頭にタオルを被って寝室へと帰るカンナを見送り、他の彼氏達と一緒に浴場へ。彼氏達の裸はいつ見てもいいものだ、この夕飯前の忙しい時間帯では誰も相手をしてくれないのにビンビンになってしまうのは考えものでもあるが。

「メープルちゃん毎日お風呂やじゃな~い?」

ハルに話しかけられた犬はわふっと返事らしき鳴き声を発した。

「嫌だろうな。だが、海水で濡れた毛をそのまま乾かすのは不潔だ。匂いも酷いだろう。ミフユとて二日に一度程度で勘弁してやりたい気持ちもあるが……仔犬の頃から使っている愛用の毛布を渡してやっているんだ、アレで勘弁してくれるよな? メープル」

「そんなんあるんだ~、可愛い~!」

乾燥機に入った後、前足で踏みながらはみはみと噛んでいたボロボロの毛布のことだろうか。

「なんでしたっけ、アジダスの毛布……?」

「ライナスだろ。安心毛布。犬にもあるのかは知らんが、ちっちゃい子とかが毛布やぬいぐるみずっと抱き締めてるアレだな」

「あー……狭雲くんがテディベアずっと抱っこしてる感じっすね」

「アキくんがせーかずっと抱っこしとる感じやね」

会話に参加していた者が揃ってアキとセイカの方へ視線を向ける。

《アザ薄くなってきたぜ、この調子で薄まってけば誕生日頃には兄貴とヤれそうだ。久々のセックス楽しみ過ぎる~! ずっとずっとずーっとムラムラしては耐えて耐えて……! 地獄のような苦しみだった》

アキの膝に座っているセイカが今動いても話してもいないのもあって、ぬいぐるみ感が増している。

「僕も幼い頃はテディベアをよく抱いていたねぇ」

「ネザメ様はあのテディがお気に入りでしたね、天使のような可愛らしさでしたよ」

「おや……今はあまり可愛くないのかな」

「いえ! 言い間違いです! 天使のような可愛らしさです! 今も昔も!」

「ふふふ、照れるなぁ。可愛いなんてこの歳頃の男に言うものではないよ」

言わせたくせにという俺の感想はミフユと一致しているだろう。

「ネザメさんの子供の頃とかめちゃくちゃ可愛いんだろうな~、いい服着てそう。あ、今度集まる時はさぁ、アルバムとか持ち寄らない?」

「いいねぇ、水月くんの幼い頃も見てみたいよ」

ダメだ。絶対にダメだ。俺は幼稚園児の頃から太っていた。何度ちびっこ相撲に誘われたか分からない。あだ名が横綱だったことだってある。

「あ、ダメです。俺……あの、アルバムは、ないんで」

「ない? なくしちゃったんすか?」

「…………」

俺が太っていたということは知っている歌見は事情を察したのか無言で眉を顰めた。

「あの、えっと、アレ……も、燃えた」

「燃えた!?」

「高校入る寸前に、家、燃えて……今のはあの、建て替えて。だから昔の写真とか、全部ない」

「そうなんだぁ~……大変だったね~」

「えへ、えへへへ」

めちゃくちゃな言い訳だったが、嘘だろうと口に出す者は居なかった。案外疑われていないのだろうか。

「あ、せーか同じ中学だったんだよね~? アルバムにみっつん載ってんじゃないの?」

「……俺荷物家から何も持ち出せてないから」

「あぁそう……役に立たないな~……」

「口が悪いぞ霞染一年生」

ミフユに叱られたハルはふいと視線をセイカから逸らし、セイカは目を伏せてアキの肩に額を擦り付けた。

「子供の頃の写真ならやっぱりアキくんのが見たいよな」

「分かるっすよ歌見先輩」

全員が頷く。俺も頷く。今も天使のようなルックスのアキの幼い頃なんて、ネット上に公開すれば世界が平和になると思う。いや、アキを取り合って平和とは程遠い世界になるか? アキは傾国、いや、傾星の美少年だ。

「あとカミアね!」

それはジュニアアイドル時代の記事でも探せば出てくるんじゃないかな。

「俺はみんなの見たいよ」

「お前は見せないくせに?」

「しょ、しょうがないじゃないですか……ないんだから……ないもんは見せられませんよ」

察しているくせに、と歌見を拗ねた目で睨む。

「じゃ、また集まる時は持ち寄ろ~ねっ。持ってこれるヤツだけでいいからさ~」

「……あ、もう一人居るっすね。ぜひ子供時代みたい子」

そう言いながらレイは犬の背を撫でる。

「確かに」

「メープルの仔犬の頃はそれはもう愛くるしかったぞ。その頃の写真はほとんどデジカメで撮ったな……スマホにも何枚か移したか」

「マジすか! 見せて欲しいっす!」

「夕飯の後でな」

楽しみが一つ増えたな。もう一つの楽しみは……とサンの方を見ると、座った彼の黒く長い髪が床に広がっており、その一角だけがホラー映画のワンシーンのようだった。
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