冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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おいしいしゅわしゅわ

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説得は時間がかかる、腕力勝負では勝ち目がない、くすぐりもすぐ体勢を変えて封じてくるだろう、ならばまだ自由に動けるうちに一撃で決めなければ。

「……アキ」

《んだよ兄貴っ、ん……!?》

アキに抱きついて唇を重ねた。義母はダイニングに居る、ノヴェムの泣き声でこちらに来るかもしれない、兄弟での熱烈な口づけをノヴェムに見られても問題だ、だが俺はキスをした。舌を突っ込んでアキの口内を素早く犯した。

「ん、ぅっ……んん……」

脱力して俺に身を任せていくアキをソファに押し倒すフリをして体を反転させる。

「……にーに」

口を離し、うっとりとした顔で俺を見上げるアキに微笑みかけつつアキの腕から首を抜いた。

《…………は? 兄貴?》

アキがぽかんとしているうちにノヴェムを抱き上げた。

「よしよしよしよし……よーしよしよしよし……大丈夫だぞノヴェムくん。びっくりしたなぁ、ごめんな、俺の弟が……」

身体を上下に揺すりながら背中をトントンと叩くと、ノヴェムは次第に泣き止んでいく。俺、結構あやすの上手いのでは?

「水月くーん? なんか……すっごい泣いてなかった?」

「あ、はい……ちょっと」

「ふぅん……? やっぱり男の子じゃダメよね、子育て経験のある私が……」

声を聞きつけたにしては遅過ぎる義母がノヴェムの脇の下から腕を差し込み、ノヴェムを俺から引き剥がそうとする。

《……!? やだぁああああっ! おにいぢゃぁあああんっ!》

アキによって俺の膝から降ろされた時以上の泣き声が部屋中に響き渡った。もはや悲鳴だ。

「水月くん、任せる……」

自信を喪失しましたと言わんばかりの表情で、義母はトボトボと寝室へ引っ込んでいった。

「あの人ほんっと……! 邪魔しかしねぇな! よしよし、大丈夫だぞ~ノヴェムく~ん。抱っこ好き? お兄ちゃんが抱っこしといてやるからな~」

「ひっく……ひっく……ぅう……」

「ジュース飲むか。泣いたら喉痛くなっちゃうもんな、その前にお顔洗おっか」

洗面所まで抱えて連れて行き、一旦下ろして顔を洗う際に使用しているヘアバンドを着けさせた。ようやく顔が見られたが、特に傷跡などはない。ただのシャイボーイか……

「自分でお顔洗えるか?」

片膝を立てて屈み、太腿に立たせ、ぐらつく彼を腕で支える。初めは怖がっていたが俺が決して落としはしないと信頼してくれたのか、顔を洗い始めてくれた。

《きれいなった!》

「お顔洗えたか? じゃあはい、タオル」

《ふわふわ》

柔らかいタオルを選んで渡してやり、彼が顔を拭き終えるのを待つ。

《ありがとう、お兄ちゃん》

泣き止んで、拭き終えて、ぱっちりと開いた瞳の色は左右で違う。右が黄色っぽく、左が青い。

(オッドアイっ……! ふぉぉ……オタク魂と中二心が疼きますな。アキきゅんのアルビノ発覚の瞬間も大変興奮致しましたがこれもまた…………アキきゅん目ぇ悪いみたいですけど、オッドアイにもそういうのあるんでしょうか。左右で視力違ったり?)

じっと見つめているとノヴェムは首を傾げ、鏡を見て慌ててヘアバンドを外し、前髪で目元を隠した。そうして俺の様子を伺うように俺を見上げた。

「おいで、ノヴェムくん」

身を屈めて両手を広げてやると安心したように息を吐き、俺の首に抱きついた。腰をすくい上げるように抱き上げ、リビングへ戻る。

(気にしてそうですな。からかわれたりしたんでしょうか……)

ソファへ座り、スマホのロックを解除してセイカに渡す。

「セイカ、ちょっとオッドアイの視力とかについて調べてくれないか?」

「はいはい、オッドアイ……何、まさか」

「ノヴェムくん、黄色と青だった」

「……マジかよ。何でお前珍しいのばっかり見つけてくるんだ?」

「俺に聞かれても……あっ」

そうそう、ジュースを飲むかとも聞いたんだった。すっかり忘れていた。俺はノヴェムを抱いたままキッチンに向かい、冷蔵庫を開けた。

「ノヴェムくん炭酸イケる?」

「?」

「……まぁイケるか、アメリカ人だもんな。サニー号くらいコーラ消費してるだろ」

雑な偏見をこの場で作って問題がないことにした俺は、ノヴェムを椅子に座らせ、ペットボトルの中身をコップに注いだ。

《ありがとうお兄ちゃん》

「せんきゅーくらいは分かるぞ、お礼言えてえらいなぁ」

《……!? しゅわしゅわする……わぁぁ……》

「な、なんか変な顔してる……炭酸ダメだったか?」

炭酸が苦手なタイプかと身構えたが、ノヴェムはすぐに慣れたようでくぴくぴとコーラを飲み続けた。どうやら気に入ったようだ。

「ふぅ……よかった、流石アメリカ人」

「まだアメリカ人かどうかは分かんねぇだろ」

ホッと一息ついた俺に背後からツッコんだのはセイカだ、尻ポケットに無理矢理スマホをねじ込んできた。

「返す。特に問題はないってさ」

「そっか、よかった。ノヴェムくんアメリカ人だろ、英語喋ってるぞ?」

「……英国ってどーこだ?」

「いぎりしゅ~……」

「……イギリス英語とアメリカ英語は結構違いあるらしいけど……俺はそういうのは分からないからな。あくまで教科としての英語を学んだけなんだから、文化までは知らない」

分からない、知らない、って話なのになんで頭良さそうに聞こえるんだろう。

「大阪弁と京都弁の違いがよく分からないみたいな話だな?」

「まぁ……そうかもしれないけど、割と分かるだろその二つは……」

「えろうべっぴんさんやねぇ、は?」

「どういう意味かよく分かんないけど……なんかゆっくりだったから京都だろ?」

「いやこれリュウが言ってたから大阪」

「前言撤回……じゃあそれ京都弁だとどう言うんだ?」

「え、知らない、ハル京都出身だけど喋ってくれないから俺京都弁分かんない」

「じゃあ同じかもしれねぇじゃねぇかふざけんなよ、前言撤回を撤回する」

なんか怒られてしまった……

「はぁ……俺はバカなのかな……十二薔薇入れたし平均よりは上だと信じてたんだけどな……ん? アキ? どうした? 部屋帰るのか?」

「пошел на хуй!」

「……ん?」

アキは俺に向かって何か吐き捨てると、怒った様子でダイニングの窓から庭に出て部屋へと戻っていった。

「セイカ、アキなんて?」

「くたばれ的なこと」

「めちゃくちゃ怒ってる!」

「まぁ……アレだよ、兄貴取られてイライラしてるんだよ。ホムラが居た時にもなってたんだろ?」

「……え、可愛い」

「ほどよく機嫌取っとけよ」

はぁ、と深いため息をついたセイカはコップを取ってくると机に置いておいたコーラを注ぎ、飲んだ。少し前までなら遠慮して飲んでいいか聞きもしなかっただろうに今はもう伺いを立てることもないなんて……感動で泣きそうだ。
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