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弟連れでデートへ
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バイキング形式の朝食を終え、部屋に戻る。ハルとの待ち合わせまでにはまだ少し時間があるので服や髪型を見直そうと鏡とにらめっこをする。
「服これでいいかなぁ、一応和柄にしてみたんだけど」
「いいんじゃないか」
素っ気ない返事だ、こちらも見てすらいない。手櫛でテディベアの毛並みを整えている。
「アキ……」
アキの方に感想を聞こうかと声をかけてみると、彼は顔に日焼け止めを塗りたくっていた。
《何だ? 兄貴》
しかし片目を僅かに開けてこちらを見てくれた。
「服これでいいかな」
《服の感想》
《ツラいいんだから服なんか何着ようと誤差だろ》
「いいってさ」
「ほんと? じゃあこれで行こう。髪型どうかな、服装とかに合ってる? ハル、ファッション詳しいからな……ハルタイプの子にダメ出しされたらめっちゃ引きずるんだよ俺……」
ようやくテディベアから俺に視線を移してくれたセイカは心底面倒臭そうな顔をした。
「ファッションに関しちゃ鳴雷以下だよ俺も秋風も……」
「やー、俺服は母さんに選んでもらってるし……ヘアセットも教えてもらったの使い回してるし……相性とか全然分かんない」
「ゲームだと十……何種類だったかの相性覚えてるくせに」
「十八種類か?」
「知らねぇけど」
「十八種類プラス物理特殊……特性も一体につき二パターンは見なきゃいけなくて、だいたいは一体につき二属性持ちで、その上に持ち物とかも関係してくる。しかも世代ごとに進化増えたり巨大化したり属性変えれたり追加要素がパラパラと……!」
「その話はいいよ」
アキにも聞いてみたが先程と同じく「いいってさ」とセイカから返ってきた。先程と微妙にアキの言葉は違った気がするのだが、正しい翻訳なのだろうか。つい疑ってしまう。
「うーん……まぁ、いいかこの髪で。そろそろ行かないとだし。セイカ車椅子どうする? 結構歩くだろうし持っていこうか」
「………………うん。歩くつもりだけど……歩けなくなって、鳴雷達に迷惑かけるのやだし……せめて運びやすいように持ってかないとだよな」
「そういう考え方はしなくていいけどさぁ……俺いくらでも抱っこしたげるし、それ俺も楽しいし、アキだってきっと迷惑とか思ってないよ」
「……でも」
「…………セイカってさ、俺に何してくれって言われるのが好き?」
アキが帽子や手袋、マスクを着け終えるのを待ちながらセイカにそう尋ねる。
「え……? 何されても大体は嬉しいけど、鳴雷に何かしてくれって言われることって、な、なんか……その、エロいことばっかじゃん。まぁ、うん……俺を求めてくれてるってのは、すごく嬉しいんだけどさ……こんな朝からじゃちょっと言いにくいな……」
「そっかぁ、俺は迷惑かけちゃってると思ってたよ。セイカはえっちなこと好きじゃないのに、無理矢理付き合わせてるなぁって、悪いなぁって、少しずつ数減らさなきゃなぁって」
「えっ、な、なんでっ、俺はそんなっ!」
「同じことだよ。俺、セイカに抱っこしてとか言われるの好きなんだ。頼られてるなぁって嬉しくなる。なのに「抱っこさせるのは迷惑だ」なーんて言われたら、俺ショックだよ。今のセイカみたいにさ」
「そ、れは……だって、その……えろいの、は俺も気持ちいいし……でも、運んでもらうのは、お前疲れさせるだけで……比較にも喩えにもならないよ」
「……分かってくれないかぁ」
俺はわざとらしく残念がってため息をつき、セイカを抱き上げた。
「大好きな人が腕の中に居るだけで幸せなのにっ……! っとと、こうやって……抱き上げて、俺が好き勝手移動させちゃってさ、ふふ……ずーっと大好きな人の体温とか重みとか感じるの、すごくすごく幸せなんだよなぁ……分かんないかなぁ」
「だ、だって……重いし、腕塞がるし、疲れるだろ」
「セイカも……うーん、ミフユさんとかノヴェムくんなら膝に乗せるくらいは出来るかな? あの二人と仲良くなって、それやったらきっと、俺の気持ち分かるよ」
「…………あの人、正義感強そうだしお堅いし……俺なんか嫌いだよ。本物の子供は苦手だし」
「ミフユさんは別に嫌ってないと思うけどなぁ……そっかセイカは子供苦手かぁ、でも俺やアキがセイカのか細い足に全体重かける訳にゃいかないからなぁ」
「にーにぃ、準備する終わるするしたです! はるー、居るする、しゅぱっつー、です!」
外出の準備が終わったからハルとの待ち合わせ場所に出発しよう、と言いたいのだろう。可愛過ぎて心臓止まりそう、止まったかも。
「しゅっぱつ、な」
「しゅぱーつ……」
「きゃわゆいからそれでよし!」
「お前がそんなんだから俺の負担が増えていく! ちゃんと日本語教えろよ!」
「いやぁアキへの日本語教育感謝してますセイカ先生……セイカ先生クマちゃん持ってきますん? やめときましょ? 外歩いたら汚れちゃうかもしれませんから……ねっ?」
「…………うん」
残念がりながらも再びテディベアを部屋に置いていくことに同意してくれたセイカを車椅子に座らせ、エレベーターに向かった。
「……なんで座らせたの? 俺少しくらい歩けるのに」
「え、いや、エレベーターはほら、スペース取らない方がいいかなって。乗れるんなら乗るべきかなーって……まぁ相乗りの人居なかったから別にいらなかったなそんな気遣い」
「……そっか。鳴雷はすごいなぁ、周りのことも考えてて……俺なんか、自分の好き嫌いばっかり」
ホテルを出た後、セイカは自前の足と義足でしっかりと地面を踏み締めた。車椅子は鞄置きと化していた。
「和を感じる街並みになってきた、京都っぽさ出てきたなぁ」
「石畳嫌い……」
どうやら石畳を義足で歩くのはセイカにとって嫌なことらしい。車椅子を勧めたが彼は「疲れたら乗る」の一点張りで、バランスを崩してはアキに支えられていた。
「服これでいいかなぁ、一応和柄にしてみたんだけど」
「いいんじゃないか」
素っ気ない返事だ、こちらも見てすらいない。手櫛でテディベアの毛並みを整えている。
「アキ……」
アキの方に感想を聞こうかと声をかけてみると、彼は顔に日焼け止めを塗りたくっていた。
《何だ? 兄貴》
しかし片目を僅かに開けてこちらを見てくれた。
「服これでいいかな」
《服の感想》
《ツラいいんだから服なんか何着ようと誤差だろ》
「いいってさ」
「ほんと? じゃあこれで行こう。髪型どうかな、服装とかに合ってる? ハル、ファッション詳しいからな……ハルタイプの子にダメ出しされたらめっちゃ引きずるんだよ俺……」
ようやくテディベアから俺に視線を移してくれたセイカは心底面倒臭そうな顔をした。
「ファッションに関しちゃ鳴雷以下だよ俺も秋風も……」
「やー、俺服は母さんに選んでもらってるし……ヘアセットも教えてもらったの使い回してるし……相性とか全然分かんない」
「ゲームだと十……何種類だったかの相性覚えてるくせに」
「十八種類か?」
「知らねぇけど」
「十八種類プラス物理特殊……特性も一体につき二パターンは見なきゃいけなくて、だいたいは一体につき二属性持ちで、その上に持ち物とかも関係してくる。しかも世代ごとに進化増えたり巨大化したり属性変えれたり追加要素がパラパラと……!」
「その話はいいよ」
アキにも聞いてみたが先程と同じく「いいってさ」とセイカから返ってきた。先程と微妙にアキの言葉は違った気がするのだが、正しい翻訳なのだろうか。つい疑ってしまう。
「うーん……まぁ、いいかこの髪で。そろそろ行かないとだし。セイカ車椅子どうする? 結構歩くだろうし持っていこうか」
「………………うん。歩くつもりだけど……歩けなくなって、鳴雷達に迷惑かけるのやだし……せめて運びやすいように持ってかないとだよな」
「そういう考え方はしなくていいけどさぁ……俺いくらでも抱っこしたげるし、それ俺も楽しいし、アキだってきっと迷惑とか思ってないよ」
「……でも」
「…………セイカってさ、俺に何してくれって言われるのが好き?」
アキが帽子や手袋、マスクを着け終えるのを待ちながらセイカにそう尋ねる。
「え……? 何されても大体は嬉しいけど、鳴雷に何かしてくれって言われることって、な、なんか……その、エロいことばっかじゃん。まぁ、うん……俺を求めてくれてるってのは、すごく嬉しいんだけどさ……こんな朝からじゃちょっと言いにくいな……」
「そっかぁ、俺は迷惑かけちゃってると思ってたよ。セイカはえっちなこと好きじゃないのに、無理矢理付き合わせてるなぁって、悪いなぁって、少しずつ数減らさなきゃなぁって」
「えっ、な、なんでっ、俺はそんなっ!」
「同じことだよ。俺、セイカに抱っこしてとか言われるの好きなんだ。頼られてるなぁって嬉しくなる。なのに「抱っこさせるのは迷惑だ」なーんて言われたら、俺ショックだよ。今のセイカみたいにさ」
「そ、れは……だって、その……えろいの、は俺も気持ちいいし……でも、運んでもらうのは、お前疲れさせるだけで……比較にも喩えにもならないよ」
「……分かってくれないかぁ」
俺はわざとらしく残念がってため息をつき、セイカを抱き上げた。
「大好きな人が腕の中に居るだけで幸せなのにっ……! っとと、こうやって……抱き上げて、俺が好き勝手移動させちゃってさ、ふふ……ずーっと大好きな人の体温とか重みとか感じるの、すごくすごく幸せなんだよなぁ……分かんないかなぁ」
「だ、だって……重いし、腕塞がるし、疲れるだろ」
「セイカも……うーん、ミフユさんとかノヴェムくんなら膝に乗せるくらいは出来るかな? あの二人と仲良くなって、それやったらきっと、俺の気持ち分かるよ」
「…………あの人、正義感強そうだしお堅いし……俺なんか嫌いだよ。本物の子供は苦手だし」
「ミフユさんは別に嫌ってないと思うけどなぁ……そっかセイカは子供苦手かぁ、でも俺やアキがセイカのか細い足に全体重かける訳にゃいかないからなぁ」
「にーにぃ、準備する終わるするしたです! はるー、居るする、しゅぱっつー、です!」
外出の準備が終わったからハルとの待ち合わせ場所に出発しよう、と言いたいのだろう。可愛過ぎて心臓止まりそう、止まったかも。
「しゅっぱつ、な」
「しゅぱーつ……」
「きゃわゆいからそれでよし!」
「お前がそんなんだから俺の負担が増えていく! ちゃんと日本語教えろよ!」
「いやぁアキへの日本語教育感謝してますセイカ先生……セイカ先生クマちゃん持ってきますん? やめときましょ? 外歩いたら汚れちゃうかもしれませんから……ねっ?」
「…………うん」
残念がりながらも再びテディベアを部屋に置いていくことに同意してくれたセイカを車椅子に座らせ、エレベーターに向かった。
「……なんで座らせたの? 俺少しくらい歩けるのに」
「え、いや、エレベーターはほら、スペース取らない方がいいかなって。乗れるんなら乗るべきかなーって……まぁ相乗りの人居なかったから別にいらなかったなそんな気遣い」
「……そっか。鳴雷はすごいなぁ、周りのことも考えてて……俺なんか、自分の好き嫌いばっかり」
ホテルを出た後、セイカは自前の足と義足でしっかりと地面を踏み締めた。車椅子は鞄置きと化していた。
「和を感じる街並みになってきた、京都っぽさ出てきたなぁ」
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