冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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仲良しな二人

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きっと人間の感情なんてのは、パステルカラーで表せるようなものではないのだ。どんなに美しい感情も内臓の色で表されてしまうのだ、人の内面のことだから。多分そうだ、きっとそうだ、そうに違いない、そうであって欲しい。


サキヒコに改めて告白され、その際の感情の色が酷いものに喩えられて多大なショックを受けた俺はそう自分に言い聞かせ続けた。

「サキヒコくんは俺の彼氏になるってちゃんと決めてくれたの?」

「う、うん……ミツキが、受け入れてくれるなら」

「受け入れるに決まってる! あぁサキヒコくん……また抱っこしてあげたいよ」

「私も……されたい。今しばらく待っていてくれ」

彼氏達はまだ来ない。しかし、日陰に居るだけでは暑くてたまらない。俺は図書館の隅でサキヒコと声を殺して話すことにした。

「にしても、何で急に告白する気になってくれたの?」

「……一度ミタマ殿に実体化させていただいただろう? あれから、自分で自在に実体化出来るようになったらという想像ばかりしてしまって……主様に報告出来るような、現代の遊びを体験しようと思っていたのに……想像するのは、ミツキの腕の中に居ることばかりで」

「そっか、ありがとう言ってくれて……サキヒコくんがすごく愛おしくなったよ」

「ミツキはそんなことばかり言う……」

甘い会話を続けていくと、ポケットの中でスマホが震えた。図書館に着いた旨のメッセージが届いていた。

「あっ、みっつん……! えへ……久しぶり、ってほどでもないか」

大きな声を出しかけてしまった美少女のような少年の隣には長い前髪で顔を隠した少年が居る。歳不相応な可愛らしい手提げ鞄を持って、俯いている。

「ハル、カンナ、会いたかったよ」

「みぃくん……ひさ、し……り」

「カンナはほんとに久しぶりだなぁ。はぁ……抱き締めたい」

人目が多いのでハグは控えておくか。

「でっかい机あったよね、談話スペース。あそこなら割と話してもいいし……そっちでしよっか」

「あぁ、ハル図書館結構来るのか? 詳しいよな」

今回図書館で集まることを提案したのもハルだった。俺はBL小説を読みに来ているだけなので、他の棚の内容や談話スペースの存在なんて知らなかった。

「図書館は割と新作も読めるしね~。ちょっと興味ある程度の本まで買ってたら、部屋本棚で埋まっちゃうもん」

そういえばハルは文系なんだよな。理系科目が苦手だから文系って言ってるだけのバカじゃなくて、本物の文系。英語も出来るし文学作品にも詳しい。ファッションにしか興味なさそうな見た目の印象とのギャップがイイ。

「へぇ……」

「みっつんは?」

「え、俺? まぁ……たまに、かな」

毎月、新しい本が入荷される度に来ている。BL小説は毎月増える訳ではないので、入館五分で出ていくことも多いけれど。

「談話スペースここ~。みっつんまだ課題終わってないんだっけ?」

「あぁ、読書感想文と自由研究だけな」

「俺らもう終わってるもんね~。ねっ、しぐ~」

カンナはこくこくと頷いている。少し会えない期間があっただけなのに、俺に人見知りが発動しているのか? ちょっとショックだぞ。

「優等生だなぁお前らは……自由研究何したんだ?」

「一世代前とここ最近の小説の話の傾向とかを調べて~、昔からどう変わっていったのかとか~、購買層の変化とか~、流行りが変わって行く時は景気とかも変わってるのかとか~……そういうの」

「しっかりしてる……カンナは?」

「ぷぅ太の、観察。ぼく……自由研究、ずっとそれ」

「あ、なんかズルい」

「えへへ……」

ハルはカンナの頬をつついている。

「…………なんか、お前ら……仲良くなったか? 前からそんな感じだったっけ」

「この夏休み何回か二人で遊んだんだ~。ねっ、しぐ」

「ぅん……」

「へぇ、見学させて欲しかったな」

なんて話しているとまたスマホが震えた。図書館に着いたとリュウからのメッセージだ。

「入口まで迎えに行ってくるよ」

「いてら~。俺、みっつんが読書感想文書きやすそうな本探しとくね~。しぐっ、この席取っといてね」

「ぅん」

カンナを置いて俺達は席を立った。入口へ向かうと金髪が陽光を反射して俺の目を眩ませた。

「眩しっ……おい、リュウ」

「あ、水月ぃ。痛っ」

額を指で弾いてやった。いわゆるデコピンだ。

「眩しいんだよその頭」

「……へへっ、すんませぇん」

リュウは額を押さえて嬉しそうに頬を緩めている。相変わらずだ。

「もうハルとカンナ着いてるぞ。来い」

「はぁい」

リュウを連れて談話スペースへ。ハルはまだ戻ってきていない。

「しぐぅ、久しぶりやのぉ」

「てん、くん……ひさ……ぶ、りっ」

「リュウ、お前読書感想文と自由研究終わらせたか?」

「ぉん」

「何やったんだ?」

リュウは通学用の鞄から原稿用紙を取り出した。

「読書感想文のヤツ……え、うわ、お前……短っ! 半分も書いてないじゃん」

「文字数自由や書いとったで」

この戦法は使えないな。俺はクラス委員長としてある程度のクオリティを求められているはずだ。

「自由研究は?」

「それはちゃんとやったで。工作や。四色定理ってあるやんか」

「あぁ……もういいよ、ありがとう」

やはり数学関連か、俺が聞いても仕方がないな。

「……定理って聞いた途端聞くんやめるんやめた方がええで」

「正論嫌い」

「拗ねんなや」

「てんくん、ぼく聞きたい」

俺の影から飛び出したカンナがリュウの袖を引く。

「おっ、しぐは聞いてくれよるか。ええ子やなぁ~、俺の自由研究は幼稚園児でも四色定理が理解出来る紙芝居や!」

「……俺も見ていい?」

「訂正するわ。やったら幼稚園児でも四色定理が理解出来る紙芝居や」

「ごめん……聞くから……見せて」

深く反省して俺はカンナの隣でリュウの紙芝居を見せてもらった。

「分かり、やすかった」

「せやろ。ええ出来やで。水月、どやった?」

「理解出来たと思うんだけど……だから、何なんだろう……何に使えるんだその定理」

「はぁ~……応用力も想像力もないやっちゃのぉ~」

深いため息をついたリュウは大きく息を吸い、解説をしてくれようとしたようだがポケットの中のスマホがまた震えた。

「ぁ、ごめん。メッセだ。入口行ってくる」

再度図書館の入口へ。

「みっちゃん、来たぞぃ。ワシ出といていいんじゃよな?」

セイカが座っている車椅子を押しているアキの隣、ミタマが手を振る。アキは目に包帯を巻いておらず、サングラスをかけていた。

「あぁ、みんなに紹介するよ。アキは……目、大丈夫か?」

「瘡蓋出来たから大丈夫だって言ってたけど」

「そっか。おいで、談話スペースあるんだ」

三人を先導し、談話スペースへ行く途中で本を抱えたハルと合流した。

「ありがとう、俺が持つよ。しかしいっぱい持ってきたな……これ全部読めって言わないよな」

「あらすじ読んで~、みっつんが書きやすそうなの選んで読めばいいよ~」

「なるほど」

どの本もしっかりと厚い。最低一冊は読み切らなければならないと思うと、自然と表情が歪んだ。
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