冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,371 / 2,315

お弁当のお礼

しおりを挟む
夕飯を終えて、皿洗いも終えて、リビングへ。俺のお手伝いという名目でアキとノヴェムが遊んでいる、俺の邪魔をしてしまわないよう遊んであげていると互いに思っているのだ、可愛いだろう?

「ただいまー、皿洗い終わったぞ」

「おかえりー、です。にーに」

「おにぃちゃんっ、おかえり」

ゲームをしていた二人が振り向いて俺に微笑む。

「おかえり鳴雷、お疲れ様……なのにごめんな、ちょっと頼みたいことがあって……いい、かな?」

「もちろんいいぞ、何だ?」

「……お前のママ上に、その……お弁当、お礼言いたくて」

「あぁ、お弁当の件か」

「あの人が帰ってきてすぐ言いたかったんだけど……勇気、出なくて。鳴雷……お願い出来る?」

「もちろん。さ、一緒に行こう」

ソファに座っている彼の脇の下に腕を通し、立たせ、ダイニングでスマホを弄っている母の元に連れて行った。

「ママ上~、今よろしいですかな?」

「ん? いいわよ、何?」

「セイカ様がお話があるそうでそ」

「セイカ? どうしたの」

「ぁ……の、あの……えっと、あ、の……あのっ、ぉべっ……と……なん、です、けど」

「……? 水月、翻訳」

これはセイカに自らの力だけで伝えて欲しい。俺は支える役に徹しよう。

「鳴雷……」

俺は首を横に振り、セイカの背中をぽんと叩いた。

「あっ……ぅ…………あのっ! お弁当っ……ぁ、ありがとうっ、ございました! そっ、その……おいし、かったです。えと……ら、楽に、食べられたしっ……その、えと…………ありがとう、ございました」

深々と頭を下げたセイカを見て母は目を見開き、それから微笑んだ。

「どういたしまして」

「あっ、あと、その……気を遣わせて、ごめんなさい…………っ、し、失礼しますっ」

セイカは特徴的な足音を鳴らしながら、ふらつきながら慌ててリビングへ去っていった。

「私も結構打ち解けてきたかしら? お弁当如きでわざわざお礼言いにくるなんてねぇ」

「お弁当渡したら泣いて喜んでましたぞ」

「……マジ? なんで? え、そんなに? お弁当作られないと思ってたのかしら……私ちゃんとご飯あげてたわよね? 私ってそんなに信用ないのかしら」

「いや……」

「っていうか気ぃ遣わせてごめんって何?」

「あぁ、ママ上わたくしが作ったって言ってもいいって言ったって言ったからですな」

なんかややこしい言い回しになったな。

「わざわざ全部言ったの? マメねぇアンタ……」

「あとですな、ママ上がお弁当用意してくれないと思ってたから泣いたとかじゃないと思うんですよ、本当にただお弁当が嬉しかったってだけで」

「……お弁当がぁ? ふぅん……? 感情の激しい子ねぇ」

「じゃ、わたくしもそろそろあちらへ~」

愛しい彼氏達と可愛い近所の子が居るのだ、悪いが母と話している場合ではない。俺はスキップもどきだリビングへ向かった。

「……で、俺、今日お弁当食べたんだ。すごく美味しかった」

セイカは歌見に弁当のことを話しているようだ。邪魔をしないようにソファの後ろに回り込む……ん? テレビ画面、動いてないな。ゲーム中のはずなのに。

「んー……」

「にーにぃ、のゔぇむー……眠る、するです」

「寝ちゃったかぁ。しょうがないな、あと一戦は俺が付き合うよ」

俺はアキに身体を預けて眠っているノヴェムの手からそっとゲーム機のコントローラーを取り、握った。

「にーに、やる」

「……! にーにぃ、するです? うれしー、するです!」

俺と遊べるのが嬉しいらしく、アキは満面の笑顔を俺に向けてくれた。可愛い、可愛過ぎる、俺の弟がこんなに可愛いのはまぁ俺が美形だから当然だ。

「そうか、よかったなぁ。水月のお母さん料理上手いから弁当も相当美味かったろ」

「うん……すごく美味しかった。お弁当なんて初めて……あ、紅葉に連れてってもらった別荘で、海行った時に食べたの……も、アレ、弁当だけどさ、サンドイッチとかだったから……」

「まぁご飯と卵焼きとかのが弁当感あるよな」

「うん……美味しかった。すごく……ふふ、また食べたいなぁ」

「お弁当なら毎日作ってくれるんじゃないか?」

「……!? そ、そっか、そうかも……へへっ、楽しみ」

ゲームをプレイしつつ歌見とセイカの言葉に耳を傾けていると、俺は一つ自分の勘違いに気が付いた。

(えっ、初めてお弁当食べたって……まさか、ママ上のお弁当食べたのがってことじゃなく、弁当自体初ってことですか!? だ、だから泣くほど喜んで……思ったより深刻な喜びだったんですな)

あの時の涙と笑顔、もっとちゃんと見ておけばよかったかな。



眠ってしまったノヴェムを抱き上げ、ネイを出迎える。

「すいません、寝ちゃってて……」

「いえいえ、ご迷惑をおかけします。こちらは?」

「あ、こんばんは」

ノヴェムで手が塞がった俺のため、扉を開けてくれた歌見は緊張した様子で引き攣った笑顔を浮かべた。

「俺のバイト先の先輩です」

「へぇ、バイトをしていたのですね水月くん。ちなみに、どちらで?」

「駅前の本屋です、ネイさん毎朝前通ってると思いますよ」

「あぁ……あの本屋でしょうか。残念ながら水月くんが居る時間に顔を出すことは出来なさそうですね」

目を細めて笑うネイの目元にはやはり、濃いクマが刻まれている。

「本当に水月くんにはお世話になっています、ご迷惑もたくさんおかけして……ご迷惑ついでに、ノヴェムを家まで運んでいただけませんか? 私、もうノヴェムを抱いて運ぶのは辛くて」

「いいですよ、そのくらい。先輩、ちょっと行ってきますね」

「あぁ、気を付けてな」

「すぐそこですよ。行きましょ、ネイさん」

ノヴェムを抱いてネイの後を着いていく。ネイの家はとても近く、すぐに着いた。

「水月くんは私の家に来るのは初めてですね、私は何度も水月くんのお家へ行っているのに……何だか不思議な気分です。ノヴェムの部屋はこっちです、よろしくお願いします」

「はい。わ……なんか、可愛いお部屋ですね」

洋画で見る子供部屋そのままだ。カラフルで可愛い模様のある壁紙、ベッドに勉強机、部屋の各所に置かれたオモチャやぬいぐるみ。

「ここに」

ネザメは布団を持ち上げてベッドを指した。俺はベッドにノヴェムを寝かせて、ネイはノヴェムに布団をかけた。

「ありがとうございます。では、そっと……」

物音を立てないようゆっくり部屋を出て、扉を閉める。ネイは息を止めていたのかふぅと深く息を吐いて、それから俺に向けて微笑んだ。
しおりを挟む
感想 535

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...