1,496 / 2,310
破壊の活用法 (〃)
しおりを挟む
ミタマの尻尾が増えてモフ度が増すのはとても喜ばしいことだ。しかし、彼氏全員に今回の話を伝えるというのは、俺は気が進まない。
「こん~、あーんするです」
「ぁむっ……ん~! うまうまじゃ! あーちゃんは特に可愛ええのぅ、他の子らより若いというのがイイ! 人間の幼体は若ければ若いほど愛らしいからのぅ。もう一つアーンしておくれ、あーちゃん」
ミタマはアキとの交流に夢中だ。アキもミタマが本当に元気になったか疑っているのかミタマを観察している、特に首を気にしている。
「あっ……もしもし、先輩?」
不意に握っていたスマホに視線を移し、通話中だったことを思い出した。
『…………お前俺のこと忘れてたろ』
「そ、そんなことは……ちょっとゴタゴタして、返事出来てなかっただけですよ」
『どうだか。助かったんだよな? そのコンって子』
「あ、はい! おかげ様で! 本当先輩のおかげです、あんな方法があったなんて……!」
『……そっか、よかった。もう切るぞ、編集しないとストックヤバいし……あぁいや、俺も用事があるんだ。全然状況分かってないから、今度またゆっくり説明しろよ。じゃあな』
通話が切られた。今説明しろとは言わないんだな、まだこちらがゴタついていると想定してくれたのだろうか、やはりカサネは想像力豊かな優しい人だ。
「しかしまさか壊れた物なら干渉出来るとは……と、いうことは……眼鏡なんかを壊せば霊を見ることが出来るようになる、ということですかね? 破損したコンタクトを使うのは流石に怖いので、やっぱり眼鏡……見た目が気になりますねぇ」
「多分無理じゃぞ」
「え、どうしてですか? あなたの傷は壊した針と糸で縫い合わせられたんですよ?」
「ヌシ、別にそういう信仰持っとらんじゃろ。理屈で納得出来るかどうかと、心に根付いとるかどうかは別じゃ。世界とは心の在り用、宇宙とは世界をどう見るか、全ては自分の考え次第。心に根付いとらん信仰ではこの現象は引き出せんよ」
ミタマはマフラーをズラし、首に残る薄らとした縫い目を指でなぞる。
「……私は仏教徒です」
「めっちゃキリスト教徒っぽい見た目してるのに」
「見た目で判断するのはよくないですよ、水月くん。ミタマさん、今の話は……何教なのかによって起こる超常現象は変化するとと捉えていいんですね?」
「そんな大層な話と違う。神父が悪霊に塩ぶっかけても効かん、坊主がロザリオ振り回してもどうにもならん、そういう話じゃ」
「ふむ……仏教には副葬品を傷付けるといった話はありません、少なくとも私の宗派には。せいぜいお金ですかね、三途の川の渡し賃……実際に入れたことはありませんが聞いたことはあります。水月くんは神道ですか?」
「え、ウチ神棚も仏壇もないし……分かんないです。案を出してくれたのは先輩ですし」
「ならばその者の信仰じゃな。信仰を語るのに肉声かカラクリ越しかなど大した差にならん。ありがたい話じゃ」
「……なら、その子に壊してもらった物なら使えるかもしれない。ということですね?」
「死者が使えるようにするために傷を入れ、共に埋葬するというのを拡大解釈しワシの手当に使うてくれたんじゃろ? ならば壊した眼鏡は霊を見るためではなく、目の悪い霊がかけるための物ということになるのではないかのぅ」
「それは……解釈次第ですよね。その子に私の解釈を受け入れてもらえば私の解釈した通りになるかもしれません、一度試してみなくては。水月くん、会わせてください。眼鏡を壊すくらい別にいいでしょう?」
俺だけじゃなく誰でも便利に使おうとしてくるなぁこの人……
「ん……? 先輩ならサキヒコくんやコンちゃんのアクセとか服作れるってこと? 俺が着て欲しいのとか買ってきて、壊してもらえば……!」
「ワシは化けられるから言ってくれればどんな格好でもするぞぃ」
「コスプレして欲しいのとプレゼントしたいのは違うんだよコンちゃん」
「水月くん、私の話を聞いていましたか? その方に一度会わせて欲しいんですけど」
「ほいほいほいほい公安だのオカルトだのに俺の彼氏を関わらせたくありません!」
「……じゃあ眼鏡買って渡すのであなたが幽霊見たいとか言って壊させてきてください」
「うぅん……それくらいなら……いや俺だいぶ変な人だなぁー……」
「お礼はします」
お礼、か。
「…………何でもいいですか?」
「ええ、私の目的の役に立つ情報や物が手に入るのであれば。何でも」
「……………………ぐへへっ」
「それは流石にドン引きだわ」
「まだ何も言ってませんがなセイカたん!」
「記憶が新鮮なうちに今回のことを個人的にまとめておきたいので家に帰りますね。また連絡します」
どうまとめるか考えているのか、ぶつぶつと呟きながらネイは帰って行った。玄関扉の鍵をかけてダイニングに戻ると、まだセイカにジトーっと睨まれていた。
「セ、セイカ……」
「……対価に身体を要求するとか、最低だと思う」
「そっ、そんなのセイカの勝手な想像だろ! セイカのえっち~! 変態~…………ちょっと思い付いちゃっただけじゃん実際にはやらないからそんな目で俺を見ないでぇ!?」
「…………ふん」
しばらく信頼を回復出来そうにないな。明日には機嫌を治してくれるといいのだが。
「こん~、あーんするです」
「ぁむっ……ん~! うまうまじゃ! あーちゃんは特に可愛ええのぅ、他の子らより若いというのがイイ! 人間の幼体は若ければ若いほど愛らしいからのぅ。もう一つアーンしておくれ、あーちゃん」
ミタマはアキとの交流に夢中だ。アキもミタマが本当に元気になったか疑っているのかミタマを観察している、特に首を気にしている。
「あっ……もしもし、先輩?」
不意に握っていたスマホに視線を移し、通話中だったことを思い出した。
『…………お前俺のこと忘れてたろ』
「そ、そんなことは……ちょっとゴタゴタして、返事出来てなかっただけですよ」
『どうだか。助かったんだよな? そのコンって子』
「あ、はい! おかげ様で! 本当先輩のおかげです、あんな方法があったなんて……!」
『……そっか、よかった。もう切るぞ、編集しないとストックヤバいし……あぁいや、俺も用事があるんだ。全然状況分かってないから、今度またゆっくり説明しろよ。じゃあな』
通話が切られた。今説明しろとは言わないんだな、まだこちらがゴタついていると想定してくれたのだろうか、やはりカサネは想像力豊かな優しい人だ。
「しかしまさか壊れた物なら干渉出来るとは……と、いうことは……眼鏡なんかを壊せば霊を見ることが出来るようになる、ということですかね? 破損したコンタクトを使うのは流石に怖いので、やっぱり眼鏡……見た目が気になりますねぇ」
「多分無理じゃぞ」
「え、どうしてですか? あなたの傷は壊した針と糸で縫い合わせられたんですよ?」
「ヌシ、別にそういう信仰持っとらんじゃろ。理屈で納得出来るかどうかと、心に根付いとるかどうかは別じゃ。世界とは心の在り用、宇宙とは世界をどう見るか、全ては自分の考え次第。心に根付いとらん信仰ではこの現象は引き出せんよ」
ミタマはマフラーをズラし、首に残る薄らとした縫い目を指でなぞる。
「……私は仏教徒です」
「めっちゃキリスト教徒っぽい見た目してるのに」
「見た目で判断するのはよくないですよ、水月くん。ミタマさん、今の話は……何教なのかによって起こる超常現象は変化するとと捉えていいんですね?」
「そんな大層な話と違う。神父が悪霊に塩ぶっかけても効かん、坊主がロザリオ振り回してもどうにもならん、そういう話じゃ」
「ふむ……仏教には副葬品を傷付けるといった話はありません、少なくとも私の宗派には。せいぜいお金ですかね、三途の川の渡し賃……実際に入れたことはありませんが聞いたことはあります。水月くんは神道ですか?」
「え、ウチ神棚も仏壇もないし……分かんないです。案を出してくれたのは先輩ですし」
「ならばその者の信仰じゃな。信仰を語るのに肉声かカラクリ越しかなど大した差にならん。ありがたい話じゃ」
「……なら、その子に壊してもらった物なら使えるかもしれない。ということですね?」
「死者が使えるようにするために傷を入れ、共に埋葬するというのを拡大解釈しワシの手当に使うてくれたんじゃろ? ならば壊した眼鏡は霊を見るためではなく、目の悪い霊がかけるための物ということになるのではないかのぅ」
「それは……解釈次第ですよね。その子に私の解釈を受け入れてもらえば私の解釈した通りになるかもしれません、一度試してみなくては。水月くん、会わせてください。眼鏡を壊すくらい別にいいでしょう?」
俺だけじゃなく誰でも便利に使おうとしてくるなぁこの人……
「ん……? 先輩ならサキヒコくんやコンちゃんのアクセとか服作れるってこと? 俺が着て欲しいのとか買ってきて、壊してもらえば……!」
「ワシは化けられるから言ってくれればどんな格好でもするぞぃ」
「コスプレして欲しいのとプレゼントしたいのは違うんだよコンちゃん」
「水月くん、私の話を聞いていましたか? その方に一度会わせて欲しいんですけど」
「ほいほいほいほい公安だのオカルトだのに俺の彼氏を関わらせたくありません!」
「……じゃあ眼鏡買って渡すのであなたが幽霊見たいとか言って壊させてきてください」
「うぅん……それくらいなら……いや俺だいぶ変な人だなぁー……」
「お礼はします」
お礼、か。
「…………何でもいいですか?」
「ええ、私の目的の役に立つ情報や物が手に入るのであれば。何でも」
「……………………ぐへへっ」
「それは流石にドン引きだわ」
「まだ何も言ってませんがなセイカたん!」
「記憶が新鮮なうちに今回のことを個人的にまとめておきたいので家に帰りますね。また連絡します」
どうまとめるか考えているのか、ぶつぶつと呟きながらネイは帰って行った。玄関扉の鍵をかけてダイニングに戻ると、まだセイカにジトーっと睨まれていた。
「セ、セイカ……」
「……対価に身体を要求するとか、最低だと思う」
「そっ、そんなのセイカの勝手な想像だろ! セイカのえっち~! 変態~…………ちょっと思い付いちゃっただけじゃん実際にはやらないからそんな目で俺を見ないでぇ!?」
「…………ふん」
しばらく信頼を回復出来そうにないな。明日には機嫌を治してくれるといいのだが。
10
あなたにおすすめの小説
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 ★1000 Thank_You!!
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる