冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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悪い言葉覚えがち (水月+レイ・サン・歌見・荒凪)

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二つのお菓子を撃ち落としたサンは上機嫌にそれらを持った。俺は店員からビニール袋を受け取る。

「楽しかった~。ね、水月、ボクが落としたお菓子って何?」

「あ、そっか……欲しいの狙わせればよかったね。えっと、一口サイズのパイのお菓子と、芋を……一旦潰して、細長く固めて……揚げたヤツ」

「なんか説明細かいね?」

「塩味だよ」

「ふーん? 甘いのとしょっぱいのか、ちょうどいいね。何個か入ってるタイプなんだよね? 一緒に食べよ~」

「いいの? ありがとう。サン、お菓子はこれに──」

袋に入れておくだろうと受け取ったビニール袋を差し出したその瞬間、ビリッと音がして、ポテトの匂いが漂ってきた。

「あーん……水月、口どのへん?」

「……ここ」

今食べるのかと思いつつ、サンの手を掴んで俺の口にお菓子を導いた。一口齧るとサンは二口目を自分の口に運ぶ。

「ん、結構いいねこれ。おつまみになりそう」

「サンお酒あんまり好きじゃないんじゃなかった?」

「酔わないからつまんないってだけで、美味しいお酒は美味しいから好きだよ」

「そっか……ごめんね、晩酌とか付き合える歳じゃなくて」

「だからボク酔わないんだってば。酔わないから酔う人と飲んでもテンション合わなくて嫌なの。だから、飲まない水月は晩酌相手にピッタリってこと。ふふ……ね、水月、今度いつお泊まりしてくれる~?」

「えっと……いつだろ」

そんな話をしていると、レイにぎゅっと腕を抱かれた。

「せんぱーい、俺の家にもお泊まりして欲しいっす。俺がお泊まりでもいいっすけど……浴衣えっちしたいんすよね、せんぱい。今日見せられなかった分いーっぱい御奉仕しちゃうっすよ?」

「浴衣えっち……? なに水月、着たままシたいの? 別にいいよ、着たままシよ」

「俺が先に言ってたんすから俺が先っすぅ!」

美人二人に取り合われる優越感に自然と口元が緩む。俺のだらしない顔を見上げたセイカにため息をつかれ、俺は表情をキリッと整えて仲裁を始めた。

「まぁまぁ二人とも……ちゃんと順番に行くから」

「その順番の話をしてるんす! 俺が先っすよねせんぱい、俺が先に言ったんすよ?」

「でも水月、多分ボクの着物の方が高いよ? 高い着物汚す方が気持ちよくない?」

「残念っした! せんぱいは高い服とか物とか汚したり壊したり出来ない小心者なんすよ!」

その通りだが自分以外の口からは聞きたくなかったな。

「そんなぁ……ボク、体格的に安いペラペラの浴衣着れないんだよ、サイズないの。オーダーメイドは嫌い? 水月ぃ」

「す、好きだよ……似合ってるし、兄弟でお揃いってのも可愛いし」

「俺だって歌見せんぱいとお揃いっす!」

「買った店が同じだけだろ! あぁ悪い荒凪くん、急に大声出して……なに、木芽がちょっとな。あんなバカ共気にしなくていいから、ほら、欲しいの撃ちな」

歌見は今、荒凪に射的をやらせているようだ。人間の肉体の扱いに慣れていない彼には射的は難しいようで、一発も当てられなかった。

(……足が覚束無いのは分かりますが、人魚の上半身は人間と同じなんですから手も不器用なのおかしくないですか? うーむ……まぁ、話すのも苦手ですし、何かが根本から違うんでしょうな、人魚と人間って)

後ろ姿では荒凪が落ち込んでいるかどうか分からないな、前に回ったところで彼は無表情だから分からないかもしれないけど。

「あー……俺が取ってやるよ。どれが欲しいんだ?」

「……?」

「アレ狙ってたよな、アレでいいのか?」

銃を受け取った歌見は三発外し、当てた二つのお菓子はどちらも荒凪に渡した。

「なな?」

「ん、いいよ。両方やる。後で食べな」

「……お兄ちゃんしてますな、パイセン」

サンの腕からぬるりと抜け出し、歌見の背後に張り付いて囁く。

「あぁ、なんか可愛くてな。アキくんもよかったけど、あの子お前に似て割と変態だろ? でもこの子はただただ可愛い……しばらくお前の家に預けられるんだよな? ちょくちょく顔見に行かせてくれ」

「随分気に入りましたな……」

「せんぱぁい、逃げちゃうなんてズルいっすよ」

「そうだよ水月、黙っていなくなられるとボク水月を完全に見失うんだからね? ボクの目見えてないの忘れてない?」

「ご、ごめん……」

「この程度の喧嘩もヤダ? じゃあさ水月、ボクとレイちゃんと一緒にシちゃおうよ。3P、どう?」

「俺はいいっすよ。せんぱいもいいっすよね、いっぱいでヤるの好きっしょ」

好きだ。

「大好き! 予定合う日いつだろ。二人とも仕事どう?」

「一日二日、どうとでもなるっすよ」

「ボクも」

自由の利く職種はいいな。俺もそうしたいけれど、二人と違って俺には尖った強みがないからなぁ……会社勤めが一番の安牌だ。顔のおかげで面接は有利そうだし。

「木芽、お前射的やらないのか?」

「やるっす。新記録出しちゃうっすよ~」

「ネイさんが五発命中で四発が最高難易度のとこだから……五発全部最高難易度に当てられたら新記録だな」

レイは最高難易度を狙い、外した。

「新記録の夢、潰える」

「木芽先生の次回作にご期待ください」

「ふ、二人して……! アキくんの記録には並ぶっすよ!」

大きめのお菓子を狙ったのだろう弾はあらぬ方向へ飛んでいった。三発目も同じく。

「ノーコンだなお前」

「パブロばっかり使ってるからだぞ反省しろ」

「なんで俺の最近の使用ブキ知ってるんすか!」

「一発くらい当てろよ~?」

「重いっす!」

レイの肩に肘をズンっと置いた歌見を振り払い、四発目。外れた、掠りもしていない。

「俺でももうちょい近いところ素通りしてったよ」

「あぁ……下手過ぎる。あらぬ方向にも程がある、あらな過ぎる」

「歌見せんぱい何なんすかその日本語は!」

「ばかども?」

「うわぁぁ荒凪くんがなんかよくない言葉覚えてる! 何教えてくれてんですかパイセン!」

「…………ごめん!」

「潔し!」

「ボクもレイちゃんの下手っぷり見たかったな~」

「下手じゃないっす! 一発くらい、一発くらいぃ……!」

最後の一発は棚に弾かれ、地に落ちた。レイはガックリと肩を落とし、深く息を吐いた。

「はぁあ……FPSは、得意なのに」

「まぁまぁレイ、ゲームとリアルじゃ違うよ」

「せめてゲーセンの筐体のゲームじゃなきゃな」

落ち込むレイを歌見と二人で慰めていると、サンがポテト菓子をレイの頬に突き刺した。

「痛い痛い痛い! そこ口じゃないっす! ぁむ……ありがとうございますっす。久しぶりに食べたっすこれ」

「感触ですぐに口じゃないのは分かったんだけど、このまま突っ込んだ方が面白いかなって。ごめんね?」

「なんなんすかその芸人根性は! 結構めり込ませてきたっすよね……もー、割とマジで痛かったんすからね」

「もう一本あげるから許してよ」

「許すっす……ってそこ顎っす! わざとっすよね!?」

「アンタが口開けてりゃ入ったよ」

「相当大口開けてたらっすけどね! もぉ~、なんなんすか? 俺にそんなに構って欲しいんすか?」

「うん、構って」

「……真正面から言われると照れるっすね。じゃ、じゃあ……えっと、今からは俺が介助するっす。肩掴んでてくださいっす。お話もたくさんしましょーっす」

「しよしよ~」

仲良さげだな、絵描き同士通じるものがあるのだろうか。

「ばかども、ばかどもー」

「た、頼むそれ忘れてくれ……頼む! クソっ、迂闊だった……」

「……くそ?」

「水月ごめぇん!」

荒凪を任せる人選、やり直した方がいいかもしれない。
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