冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,793 / 2,315

輪をかけて引きこもる (水月+カサネ・荒凪・アキ・セイカ・リュウ)

しおりを挟む
荒凪を抱き締めて眠った、次の日の朝。俺はカサネに電話をかけた。メッセージでなかった理由は単純明快、昨日の夕方から夜にかけて何通送っても返事が来なかったからだ。

「……あ、もしもし先輩?」

『もしもし……? 何だよこんな時間に』

「すいません、朝早くから」

『今から寝るのに……』

あれ、おかしいな。カサネも俺と同じ学生だよな。学生は準備を整えて登校する時間のはずなんだけどな。

「先輩今日学校来ないんですか?」

『…………行かない。しばらく、外出ない。フランクには悪いけど……しばらく室内運動だな』

「話したいんですけど」

『直接会わなくても話せるだろ、今話してるし』

「……メッセ返さないのはどこの誰でしたっけ」

『ぅ……わ、悪いと思ってるよ、それは……いやでも、お前読み返してみろよ自分のメッセ。何あの、あの……何、辞書で情緒不安定って引いたら例文として載ってそうな感じ』

辞書で例文として載っているのは情緒不安定を使った文章であって、情緒不安定な人間が書いた文章ではないだろう。

「俺が不安定って言いたいんですか?」

『お前だいぶ病んでると思う……』

「先輩が会ってくれないからじゃないですか」

『うわ片鱗見せてきた』

「……家来てくれたんですよね? 一昨日」

『え? いや昨日……ん? 一昨日か。え? いや、昨日……?』

引きこもりって時間感覚狂ってるんだな。

「言ってくれたらよかったのに……初めて家に来てくれたのに居ないなんて、ちょっと……ね?」

『……俺だってお前居ると思って行ったんだけど』

「え、マジすか」

『そうだよ……早苗ちゃん、お前が居ると話進まないとか言ってたけど』

「……セイカからのその辺の信用がない心当たりはありますね。それで、カサネ先輩、その……家の前で何かありませんでした?」

『その話はしたくない』

てぃろん、と電子音。通話が切られた音だ。

「…………もしもし?」

『秒でかけ直ししてくんの怖い』

「すいません、実はネイさんから聞いてるんです。あっネイさんって言うのは」

『隣の王子様だろ、知ってる』

王子様……確かにネイは御伽噺の挿絵に相応しいルックスだ。

「じゃあ、その……動く死体に襲われたって話」

『……あぁ』

「怪我ありませんかっ?」

『ねぇよ。あったっけその王子さんから聞いてんだろ』

「じゃあ、その……何があったか、何されたか……ちょっと詳しく聞きたいんです。どうしてそんな怪奇現象が起こったのか、先輩の話から何か手がかりが見つかるかも」

『…………話すの? 今?』

「今はちょっと、時間ないんで。メッセででも送っててくれれば後で読みますけど……話、したくないって言ってましたし、打つ方が楽かなって思うんですけど、どうでしょう」

カサネからの返事はない。時刻を確認した俺はスマホを耳と肩で挟んだまま着替えを始めた。

『……怖い』

シャツを着た辺りでカサネがぽつりと呟いた。

『話してると寄ってくるとか、よく聞くべ? 怖ぇよ……外出んのも怖ぇ。黙って、部屋こもって……じっとしてたっけギリ見逃される気がすんだろ』

声が震えている。かなり怯えているようだ、死体に襲われたとネイに聞いた、それによる精神的ダメージを俺は少し侮っていたのかもしれない。

「カサネ先輩……」

くぅぅぅ……と、甲高い鳴き声が聞こえた。カサネが飼っているパグ犬が鳴いているのだろう、カサネが「フランク」と呟いている。

「……カサネたん!」

『わっ、きゅ、急に大声出すな!』

「カサネたん、えー……水曜日! 水曜日俺バイト休みなんです、家行きます」

『……は、話したくねって、言ってるだろ』

「話したくないならそれでもいいです。とにかく会いたい、カサネたんが家出られないなら俺が行きます。本当、例の件の話なんて少しもしなくていい……俺と遊びましょ、ゲームでもして。ちょっとスキンシップでも取らせてくれたら嬉しいです」

『…………ほ、ほんとに、遊びに来るだけ?』

「はい、行かせてください」

『……なら、いつでも来ていい。ぁ……俺、ヘッドホンつけてるから、インターホンとか聞こえねぇかも。着いたらメッセ送って』

「はい! じゃあ水曜日、行きますね」

『うん……待ってる』

てぃろん、と再び通話が切られた音。けれど今回の俺は達成感に満ち、かけ直すことはなかった。

「みつき、またがっこ? きゅるるる……みつき、そと、ですぎ」

「ごめんね? アキと遊んでてね。行ってくるね。アキ、荒凪くんと仲良くね。行ってきます」

《兄貴忘れもん! 行ってらっしゃいのちゅー……ふふ。早く帰ってこいよ、兄貴》

玄関まで見送りに来てくれた二人に手を振り、名残惜しく思いながら玄関扉を素早く閉めた。日光に弱いアキには、開いた扉から射し込む光すら避けるべき対象なのだ。

「アキ今日は機嫌良かったな。いつも俺が出る前嫌そうにしてるのに」

「……あんだけヤりゃ、な」

「やっぱりそれが理由かな? あ、セイカ。昨日はごめんな、何時間か床で寝させちゃって……身体痛くないか?」

「ん……大丈夫」

「本当か? 辛くなったらすぐ言えよ」

遠慮しがちなセイカには念入りに言っておかなければならない、時々こちらから体調を尋ねることも大切だ。改めてセイカの扱いを頭の中だけで確認する俺の目に、俺達に向かって大きく手を振る金髪美少年の姿が映った。

「水月ぃ~、おはよーさん」

手を振り返したいし、おはようのハグとキスもしたい。けれど彼の心を満たすため俺はあえて彼の挨拶を無視する。

「……! 今日は無視? へへ、ええやん……気付いた上で無視してまっせってアピっとるような態度が逆にええわ」

相変わらず頭を使わせてくるな。早朝くらい何も考えず挨拶に挨拶を返し、のんびり過ごしたいものだ。
しおりを挟む
感想 535

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...