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偶像守る延髄攻撃 (水月+ハル・カンナ・リュウ・シュカ)
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学校に着いた途端、ハルが走ってきた。
「みっつん!」
「ハル……!」
土、日と俺に会えない日が続き、俺を恋しく思っていたのだろうか。下駄箱で待っているなんて可愛いヤツめとときめきながら両手を広げて待った俺に、ハルはスマホを突きつけた。眼前に突き出されたスマホに焦点が合う訳もなく、俺は後ずさることを余儀なくされた。
「な、なんだよ……」
「ちょっとこのネットニュース見てよ!」
ずいっ、と画面が鼻に触れそうな距離まで近付けられる。
「んな近付けられたら逆に見えないって。何なんだよ……ちょっと貸してくれ」
ハルのスマホを奪い、表示されていたネットニュースのタイトルを読む。さてタイトルは──
『カミア懇願「ホテル行こ」お相手は!?』
──か。なるほど……あの瞬間だな。遊園地を出てすぐの辺り。本文も読もう。
九月某日、深くキャップを被り込みモノクロの服に身を包み、お忍びな様子の人気アイドルカミアが目撃された。
──(中略)──
カミアは熱烈に「ホテルに行こう」と誰かを誘っているではないか。気になるそのお相手は!?
──(ここからは有料です)──
クソが。
「有料だってよ」
「そうなの! でも絶対デマだと思うし、そんなのにお金払いたくないし……!」
「……かみ、ぁ……どよ、みぃくんと、でーと……て、言ってた」
ひょこ、と俺の影からカンナが顔を出す。推しアイドルと同じ遺伝子を持つ彼の言葉に、ハルは目を見開いた。
「じゃあこれって!」
「有料記事ねぇ……こういうのってリプ欄にスクショ貼ってあったりする……ぉ、あったぞ」
「マジ!? リプ見てなかった、なんてなんて?」
「……私ネット詳しくないんですけど、有料のニュースのスクショ撮って誰でも見られるようにアップするのって、いいんですか?」
「あかんやろ。せやけどまぁ、そんなんで逮捕されたり罰金取られたりなんてせんやろし……したとしても見たもんにまでっちゅうのはまずありえん。気にせんでええんちゃう」
ハルと頬が触れ合う距離で、ハルのスマホに表示された有志によるニュース有料部分のスクショを見る。
お相手は同年代の男の子。察するに先日カミアの親友として一躍話題になった一般イケメンみぃくんである。芸能界でも指折りのハロウサ好きと知られるカミアはたまの休みに親友と遊園地を満喫し、コラボルームのあるホテルに泊まろうと誘っていたのだ。可愛らしい部屋に躊躇ったのか渋るみぃくんを説得するのについつい大声になった……と言ったところであろう。
全くお騒がせな話ではあるが、ホテルに行こうとは普通の言葉。問題なのは、それをいかがわしく捉えてしまう大人の我々の方なのかもしれない。
あだ名とはいえ一般人の名前を載せるな。クソが。
「…………みっつんじゃん!」
俺より少し遅れて読み終わったらしいハルが叫ぶ。
「耳元で大声出すなよ」
「はぁ……もぉ、よかったぁ。スキャンダルとかじゃなくて……」
「真相が有料じゃ十分スキャンダルになり得ると思うけどなー。だから大声で騒ぐなって言ったのに、結構隙あるんだよなアイツ。あんなのでよく今までスキャンダル出してないよ」
ないんだろうな、スキャンダルの種になるようなことすら。
「……なんかその「俺はみんなが知らないカミアを知ってる」みたいな態度めっちゃムカつく」
「実際そうだぞ? 彼氏だもん」
「くっキィィイイ……!」
「何その声」
「……みぃくん、かみあ、ね……いっぱいえっち、シてくれて……うれし、かた。って、言ってた」
「マジ? うわぁ……照れるなぁ。へへっ」
「ヤダぁ~! カミアは唯一本物の清純アイドルなのにぃ! なんてことすんのみっつん! みっつんのせいでカミアもそこらの清純派カッコ笑と同じになっちゃうじゃん!」
「ほんと積極的だったよ、ベッドで二回の後俺はもう終わろうかなって思ったんだけどカミアがまだシたいって言うからお風呂場で」
「いやぁああ言わないで言わないで! ッアァでも聞きたいぃ! 俺の知らないカミア知りたい……んんんダメダメ俺が好きなのはアイドルカミア、アイドルとして出してる顔だけ網羅するのがファンの責務ぅゔ……!」
葛藤してるなぁ。面白い。もっとハルを狂わせられそうなエピソードはないかな、思い出してみよう。
「初めてなんだから無理するなって言ってるのに、奥まで入れて全部入れてよって……」
「やぁぁあぁああ!」
「痛い!」
首に思いっ切りチョップを受けた。
「延髄が……」
ハルはもう居ない、俺にチョップをかまして逃げ去った。
「延髄、が……」
「……だい、じょ……ぶ?」
「人の嫌がることをしてはいけませんよ、委員長」
にんまりとした笑顔でシュカはからかうように言った。その背後ではリュウがくすくすと笑っている。
「痛た……はぁ、あんなに怒るとはなぁ」
謝った方がいいのかな?
「代わりにカミアのファン対応の良さでも語るかぁ……すごかったよホント、ちゃんと話して笑って握手も撮影も…………正直、嫉妬するくらい」
「水月って嫉妬深いですよね」
「うーん、自覚は……ちょっとある? はは……彼氏同士ならいいんだけどさ」
なんて話しながら四人で教室に向かい、拗ねた様子で毛先を弄っているハルにカミアのファン対応について語ってやった。ハルは次第に機嫌を良くし、ニコニコ笑顔でカミアの魅力について語り返してくれた。
「みっつん!」
「ハル……!」
土、日と俺に会えない日が続き、俺を恋しく思っていたのだろうか。下駄箱で待っているなんて可愛いヤツめとときめきながら両手を広げて待った俺に、ハルはスマホを突きつけた。眼前に突き出されたスマホに焦点が合う訳もなく、俺は後ずさることを余儀なくされた。
「な、なんだよ……」
「ちょっとこのネットニュース見てよ!」
ずいっ、と画面が鼻に触れそうな距離まで近付けられる。
「んな近付けられたら逆に見えないって。何なんだよ……ちょっと貸してくれ」
ハルのスマホを奪い、表示されていたネットニュースのタイトルを読む。さてタイトルは──
『カミア懇願「ホテル行こ」お相手は!?』
──か。なるほど……あの瞬間だな。遊園地を出てすぐの辺り。本文も読もう。
九月某日、深くキャップを被り込みモノクロの服に身を包み、お忍びな様子の人気アイドルカミアが目撃された。
──(中略)──
カミアは熱烈に「ホテルに行こう」と誰かを誘っているではないか。気になるそのお相手は!?
──(ここからは有料です)──
クソが。
「有料だってよ」
「そうなの! でも絶対デマだと思うし、そんなのにお金払いたくないし……!」
「……かみ、ぁ……どよ、みぃくんと、でーと……て、言ってた」
ひょこ、と俺の影からカンナが顔を出す。推しアイドルと同じ遺伝子を持つ彼の言葉に、ハルは目を見開いた。
「じゃあこれって!」
「有料記事ねぇ……こういうのってリプ欄にスクショ貼ってあったりする……ぉ、あったぞ」
「マジ!? リプ見てなかった、なんてなんて?」
「……私ネット詳しくないんですけど、有料のニュースのスクショ撮って誰でも見られるようにアップするのって、いいんですか?」
「あかんやろ。せやけどまぁ、そんなんで逮捕されたり罰金取られたりなんてせんやろし……したとしても見たもんにまでっちゅうのはまずありえん。気にせんでええんちゃう」
ハルと頬が触れ合う距離で、ハルのスマホに表示された有志によるニュース有料部分のスクショを見る。
お相手は同年代の男の子。察するに先日カミアの親友として一躍話題になった一般イケメンみぃくんである。芸能界でも指折りのハロウサ好きと知られるカミアはたまの休みに親友と遊園地を満喫し、コラボルームのあるホテルに泊まろうと誘っていたのだ。可愛らしい部屋に躊躇ったのか渋るみぃくんを説得するのについつい大声になった……と言ったところであろう。
全くお騒がせな話ではあるが、ホテルに行こうとは普通の言葉。問題なのは、それをいかがわしく捉えてしまう大人の我々の方なのかもしれない。
あだ名とはいえ一般人の名前を載せるな。クソが。
「…………みっつんじゃん!」
俺より少し遅れて読み終わったらしいハルが叫ぶ。
「耳元で大声出すなよ」
「はぁ……もぉ、よかったぁ。スキャンダルとかじゃなくて……」
「真相が有料じゃ十分スキャンダルになり得ると思うけどなー。だから大声で騒ぐなって言ったのに、結構隙あるんだよなアイツ。あんなのでよく今までスキャンダル出してないよ」
ないんだろうな、スキャンダルの種になるようなことすら。
「……なんかその「俺はみんなが知らないカミアを知ってる」みたいな態度めっちゃムカつく」
「実際そうだぞ? 彼氏だもん」
「くっキィィイイ……!」
「何その声」
「……みぃくん、かみあ、ね……いっぱいえっち、シてくれて……うれし、かた。って、言ってた」
「マジ? うわぁ……照れるなぁ。へへっ」
「ヤダぁ~! カミアは唯一本物の清純アイドルなのにぃ! なんてことすんのみっつん! みっつんのせいでカミアもそこらの清純派カッコ笑と同じになっちゃうじゃん!」
「ほんと積極的だったよ、ベッドで二回の後俺はもう終わろうかなって思ったんだけどカミアがまだシたいって言うからお風呂場で」
「いやぁああ言わないで言わないで! ッアァでも聞きたいぃ! 俺の知らないカミア知りたい……んんんダメダメ俺が好きなのはアイドルカミア、アイドルとして出してる顔だけ網羅するのがファンの責務ぅゔ……!」
葛藤してるなぁ。面白い。もっとハルを狂わせられそうなエピソードはないかな、思い出してみよう。
「初めてなんだから無理するなって言ってるのに、奥まで入れて全部入れてよって……」
「やぁぁあぁああ!」
「痛い!」
首に思いっ切りチョップを受けた。
「延髄が……」
ハルはもう居ない、俺にチョップをかまして逃げ去った。
「延髄、が……」
「……だい、じょ……ぶ?」
「人の嫌がることをしてはいけませんよ、委員長」
にんまりとした笑顔でシュカはからかうように言った。その背後ではリュウがくすくすと笑っている。
「痛た……はぁ、あんなに怒るとはなぁ」
謝った方がいいのかな?
「代わりにカミアのファン対応の良さでも語るかぁ……すごかったよホント、ちゃんと話して笑って握手も撮影も…………正直、嫉妬するくらい」
「水月って嫉妬深いですよね」
「うーん、自覚は……ちょっとある? はは……彼氏同士ならいいんだけどさ」
なんて話しながら四人で教室に向かい、拗ねた様子で毛先を弄っているハルにカミアのファン対応について語ってやった。ハルは次第に機嫌を良くし、ニコニコ笑顔でカミアの魅力について語り返してくれた。
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