1,836 / 2,314
霊を退ける言動とは (〃)
しおりを挟む
感情を視覚情報として処理出来るサキヒコなら何か分かるかと、彼に視線をやるも首を横に振られた。自力で解決するしかないかと腹を括り、俺はカサネの顔を覗き込んだ。
「先輩……先輩、カサネ先輩…………カサネたん、俺何がいけませんでした? 何が怖かったですか? どこが気持ち悪かったんですか?」
部屋の中心に立ち尽くし、ただ巾着袋をぎゅうぎゅうと握り締めるばかりのカサネに根気強く語りかける。
「ダメだったとこ言ってください、すぐ直してみせます。カサネたん好みの男になります、たんキモいですか? でも嫌がった時先輩呼びだったし……カサネたんのがいいんですよね? あ、取り繕った敬語が嫌? 素の口調がいいってことですかな? ね、教えてくだされ、きっとカサネたんの理想を体現してみせますぞ! 大好きなカサネたんの心の平穏のためなれば!」
「…………っ、そういうとこぉ!」
「……へ? そういうとこ、とは……えぇと、話が長い……ですか?」
前回も今回も話が長かったかもしれない。俺の話が長くて喜ぶのはセイカくらいだ、改善点だな。
「違う! 他のヤツは何にも言わないのかよ、自意識過剰な連中だなっ……ぁ、あのなぁっ、本当に分かってないみたいだから教えてやるよ、人間はなぁ! 身の丈に合わない愛情注がれると怖いんだよ! 飼い主が突然ペットフード山盛り盛り始めた時のペットと同じ! ドン引くの!」
エサを出し続ける飼い主を恐れるような仕草をする猫の動画、見たことあるなぁ。
「俺なんかした!? お前に何した!? そんなっ、食われかけたりしても会いたくなるような、身代わりになってもいいような、なんでも直すって言うようなこと……俺したかなぁ!? なんもしてないだろお前に好かれるようなこと! 怖いんだよ……! メッセに返信出来なかったのも今思えばそれだ! ヘラってくの面白がってんのもあったけど、根底は恐怖! 怖かった! 俺なんもしてないのにお前めっちゃ盛り上がって俺愛でてて!」
「…………」
「わ、分かったかよ……分かったのかよ! 俺の気持ち!」
「すいません……ちょっとよく分からなくて……えっと、カサネたんはかわゆくって尊いので、全力で尽くすのは当たり前なのですが……それに、不満が?」
「怖いよぉお! サキヒコくぅん!?」
「……慣れてくれ、ミツキはこういう男だ」
「とんだ暴走機関車だぜ!」
「尽くされるの苦手なタイプでした?」
「そういう問題じゃないんだよなぁ! な、なんなの……お前はそんなに俺のために色々やって、どんな見返り求めてるの」
「見返り……?」
「見返りのない尽くしなんかありえないんだよ、意図が見えなくて怖いの!」
「……いや、ちょっとそれは、言えない……かな」
「言えよぉ! 言え! 俺のためにどんな欠点も直すんだろ! したっけ言え! 求めてる見返り言え!」
不登校で引きこもりのくせに大きい声が出せるものだな、動画投稿の賜物か?
「分かりましたよ……そこまで言って言わせるんですから、引かないでくださいよ? 約束ですよ?」
「いいから言え」
「引かないでくださいよ?」
「……分かった、引かない。言え」
「言質」
「言えってばもう!」
粘ったが、ダメか。俺がカサネに求める全てを吐くしかないな。
「はぁ……分かりましたよ…………すーっ……せぇっくす! セックス! セックスですよ! ヤらせろ! 男なんですよ俺は、当たり前でしょ!」
「ぁ……お、おぉ……よかった普通で……」
「俺の精液でその髪の半分黒いとこ白く染めたい! タレ犬耳カチューシャ着けて犬しっぽ付きディルドハメさせてフランクちゃんと一緒に全裸散歩とかっフゥッ! フランクちゃんがマーキングした電柱に俺が噴かせた潮で上書きさせてぇ~! ミフユさん怖いとか将来不安とか飼い犬大好きとかそういう思考全部失くしたい! 脳に浮かぶは俺のちんぽオンリー! 俺に種付けされることしか考えられねぇ淫乱雌犬に仕上げたいでござる!」
「……………ちょ、ちょっと待っ」
「意外と大声出るってことは喉結構広がるよね!? 全部咥えさせる! 食べるの興味ないんですよね最低限の栄養補給出来ればそれでいいんですよねじゃあその口性器にしよっか! 喉イキ舌イキ覚えよう! 上下のお口から注ぎまくって胃ぃタプタプ満タンザーメンタンクにしようねカサネたん!」
「サ、サキヒコくぅん……?」
「……あなたが撒いた種だ」
「そうかなぁ!? これそうかなぁ!?」
「コラコラコラなーに他の男の名前呼んじゃってんのぉ? このお口は俺専用って今決めたでしょ? サキヒコくんも種とかえっちなこと言って! そういうのは俺にだけ言いなさい!」
「み、水月くん……」
「はぁい! なんですかなカサネたん」
「も、もういいわ……もう、分かったから」
「え、まだ一割も話せてないんですけど」
「納得は、したから……もういい」
「そうですか! じゃあ早速」
「イヤーッ! ベッドに引っ張らないでこのケダモノ! その納得じゃないその納得じゃない! 俺まだ人間やめたくない! 雌犬もザーメンタンクも嫌!」
「そ、そうですか……ごめんなさい、早とちりして」
「…………下品な言動が霊に効くというのは本当なんだな、家の中に浮遊霊の気配を感じなくなったぞ」
「じゃあ何を納得してくれたんですか?」
「な、何をって……それは」
「ミツキ、あなたは彼が何故あなたに怯えるのかと疑問に思い、それはあなたの意図が分からないからだと──」
「サキヒコくんごめん! ちょ、ちょっと……離れてて」
「……? 分かった。出しゃばってしまったな」
サキヒコは俺達から離れ、部屋の壁に背を預ける。カサネは俺の耳にそっと手を当て、吐息だけで囁いた。
「セ……セックス、は……シてもいいと、前から……思ってる。あっ、ノーマルなヤツな。犬コス? とか、は……嫌、かも。でも……ど、道具、ちょっと使うくらいなら……別に、いいけど……」
「…………カサネたんっ!」
「今じゃない今じゃない今じゃないっ!」
カサネを抱き締めてベッドに押し倒すと、そのか細く非力な手に必死に突っ張られた。
「先輩……先輩、カサネ先輩…………カサネたん、俺何がいけませんでした? 何が怖かったですか? どこが気持ち悪かったんですか?」
部屋の中心に立ち尽くし、ただ巾着袋をぎゅうぎゅうと握り締めるばかりのカサネに根気強く語りかける。
「ダメだったとこ言ってください、すぐ直してみせます。カサネたん好みの男になります、たんキモいですか? でも嫌がった時先輩呼びだったし……カサネたんのがいいんですよね? あ、取り繕った敬語が嫌? 素の口調がいいってことですかな? ね、教えてくだされ、きっとカサネたんの理想を体現してみせますぞ! 大好きなカサネたんの心の平穏のためなれば!」
「…………っ、そういうとこぉ!」
「……へ? そういうとこ、とは……えぇと、話が長い……ですか?」
前回も今回も話が長かったかもしれない。俺の話が長くて喜ぶのはセイカくらいだ、改善点だな。
「違う! 他のヤツは何にも言わないのかよ、自意識過剰な連中だなっ……ぁ、あのなぁっ、本当に分かってないみたいだから教えてやるよ、人間はなぁ! 身の丈に合わない愛情注がれると怖いんだよ! 飼い主が突然ペットフード山盛り盛り始めた時のペットと同じ! ドン引くの!」
エサを出し続ける飼い主を恐れるような仕草をする猫の動画、見たことあるなぁ。
「俺なんかした!? お前に何した!? そんなっ、食われかけたりしても会いたくなるような、身代わりになってもいいような、なんでも直すって言うようなこと……俺したかなぁ!? なんもしてないだろお前に好かれるようなこと! 怖いんだよ……! メッセに返信出来なかったのも今思えばそれだ! ヘラってくの面白がってんのもあったけど、根底は恐怖! 怖かった! 俺なんもしてないのにお前めっちゃ盛り上がって俺愛でてて!」
「…………」
「わ、分かったかよ……分かったのかよ! 俺の気持ち!」
「すいません……ちょっとよく分からなくて……えっと、カサネたんはかわゆくって尊いので、全力で尽くすのは当たり前なのですが……それに、不満が?」
「怖いよぉお! サキヒコくぅん!?」
「……慣れてくれ、ミツキはこういう男だ」
「とんだ暴走機関車だぜ!」
「尽くされるの苦手なタイプでした?」
「そういう問題じゃないんだよなぁ! な、なんなの……お前はそんなに俺のために色々やって、どんな見返り求めてるの」
「見返り……?」
「見返りのない尽くしなんかありえないんだよ、意図が見えなくて怖いの!」
「……いや、ちょっとそれは、言えない……かな」
「言えよぉ! 言え! 俺のためにどんな欠点も直すんだろ! したっけ言え! 求めてる見返り言え!」
不登校で引きこもりのくせに大きい声が出せるものだな、動画投稿の賜物か?
「分かりましたよ……そこまで言って言わせるんですから、引かないでくださいよ? 約束ですよ?」
「いいから言え」
「引かないでくださいよ?」
「……分かった、引かない。言え」
「言質」
「言えってばもう!」
粘ったが、ダメか。俺がカサネに求める全てを吐くしかないな。
「はぁ……分かりましたよ…………すーっ……せぇっくす! セックス! セックスですよ! ヤらせろ! 男なんですよ俺は、当たり前でしょ!」
「ぁ……お、おぉ……よかった普通で……」
「俺の精液でその髪の半分黒いとこ白く染めたい! タレ犬耳カチューシャ着けて犬しっぽ付きディルドハメさせてフランクちゃんと一緒に全裸散歩とかっフゥッ! フランクちゃんがマーキングした電柱に俺が噴かせた潮で上書きさせてぇ~! ミフユさん怖いとか将来不安とか飼い犬大好きとかそういう思考全部失くしたい! 脳に浮かぶは俺のちんぽオンリー! 俺に種付けされることしか考えられねぇ淫乱雌犬に仕上げたいでござる!」
「……………ちょ、ちょっと待っ」
「意外と大声出るってことは喉結構広がるよね!? 全部咥えさせる! 食べるの興味ないんですよね最低限の栄養補給出来ればそれでいいんですよねじゃあその口性器にしよっか! 喉イキ舌イキ覚えよう! 上下のお口から注ぎまくって胃ぃタプタプ満タンザーメンタンクにしようねカサネたん!」
「サ、サキヒコくぅん……?」
「……あなたが撒いた種だ」
「そうかなぁ!? これそうかなぁ!?」
「コラコラコラなーに他の男の名前呼んじゃってんのぉ? このお口は俺専用って今決めたでしょ? サキヒコくんも種とかえっちなこと言って! そういうのは俺にだけ言いなさい!」
「み、水月くん……」
「はぁい! なんですかなカサネたん」
「も、もういいわ……もう、分かったから」
「え、まだ一割も話せてないんですけど」
「納得は、したから……もういい」
「そうですか! じゃあ早速」
「イヤーッ! ベッドに引っ張らないでこのケダモノ! その納得じゃないその納得じゃない! 俺まだ人間やめたくない! 雌犬もザーメンタンクも嫌!」
「そ、そうですか……ごめんなさい、早とちりして」
「…………下品な言動が霊に効くというのは本当なんだな、家の中に浮遊霊の気配を感じなくなったぞ」
「じゃあ何を納得してくれたんですか?」
「な、何をって……それは」
「ミツキ、あなたは彼が何故あなたに怯えるのかと疑問に思い、それはあなたの意図が分からないからだと──」
「サキヒコくんごめん! ちょ、ちょっと……離れてて」
「……? 分かった。出しゃばってしまったな」
サキヒコは俺達から離れ、部屋の壁に背を預ける。カサネは俺の耳にそっと手を当て、吐息だけで囁いた。
「セ……セックス、は……シてもいいと、前から……思ってる。あっ、ノーマルなヤツな。犬コス? とか、は……嫌、かも。でも……ど、道具、ちょっと使うくらいなら……別に、いいけど……」
「…………カサネたんっ!」
「今じゃない今じゃない今じゃないっ!」
カサネを抱き締めてベッドに押し倒すと、そのか細く非力な手に必死に突っ張られた。
71
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ナイトプールが出会いの場だと知らずに友達に連れてこられた地味な大学生がド派手な美しい男にナンパされて口説かれる話
ゆなな
BL
高級ホテルのナイトプールが出会いの場だと知らずに大学の友達に連れて来れられた平凡な大学生海斗。
海斗はその場で自分が浮いていることに気が付き帰ろうとしたが、見たことがないくらい美しい男に声を掛けられる。
夏の夜のプールで甘くかき口説かれた海斗は、これが美しい男の一夜の気まぐれだとわかっていても夢中にならずにはいられなかった。
ホテルに宿泊していた男に流れるように部屋に連れ込まれた海斗。
翌朝逃げるようにホテルの部屋を出た海斗はようやく男の驚くべき正体に気が付き、目を瞠った……
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる