冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ごーもんしましょ (〃)

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泣き止んで、その顔を見せると、フタの笑顔が見られた。好きなだけ泣いて少しスッキリした、無意識のうちに彼氏達の前だからと気を張って感情を殺していたのかもしれない。冷静さを取り戻した頭で改めて周囲を見渡してみると、何故か部屋の一角がブルーシートで包まれていた。

「……あの、このブルーシートは」

「血って掃除するの大変なんですよ」

「血……この人達、殺すんですか?」

顔色悪くがたがたと震えていた男達二人は、俺の直接的な言葉を聞いて目を剥いた。そして喚いた。許してだとか、命令されただけなんだだとか、責任逃れと命乞いを始めた。

「うるさいなぁ。ヒト兄貴、口に布とか詰めようよ」

「情報引き出せってボスに言われてるんですから口は塞げません。舌や歯に手を出すのも禁止ですよ。ボス、他に注意事項ありますか?」

「警察から引き渡してもらったヤツらだから、殺すのはちょっとな……俺の心象また悪くなっちゃう。強盗か殺人未遂か何かで捕まえ直してもらおうかなーって思ってたんだけど」

「ボス、裁判も服役もタダじゃ出来ないんですよ。我々国民の血税が使われているんです。ここは移植を待つ方々のためにもバラした方がいいかと。一度道を外れてしまった極道こそ世のため人のためになることをしなくては」

「そうか、じゃあそうするか」

「え……こ、殺すんですか?」

目の前で殺人の相談が行われていたのか? 今? 現実感がない。たった今フタに温められた身体がもう冷え始めている。

「鳴雷さんだって秋風さんを刺したようなヤツ、生かしておきたくないでしょう?」

「おっ、俺は刺してねぇ! コイツだコイツ! だから俺は見逃してくれ! なんでも話すから! 命だけはっ、頼む!」
「はぁ!? ちげぇよ俺じゃねぇよ! 俺なんか白いガキに腕折られてっ……そうだよ見てくれよ腕折れてんだよぉ! なのにこんな縛り方しやがって……痛ぇんだよぉ!」

「いや……殺すのは……その……」

「そうじゃみっちゃん、どんな命も大切にせんといかん。もっと言ってやれ。復讐は何も生まんぞ、此奴らを殺させてあーちゃんは喜ぶのか?」

「アキは……アキ、は…………割と喜ぶと思う」

「私もそう思う。いやだからと言って殺人は良くない」

「分野さん、サキヒコさん、彼らを解体して内臓を売り捌けば、重い病を患い死を待つだけの人々が何人も救われるかもしれないんですよ」

「ほぅ、そんなこと出来るのか?」

「内臓を移植するんです、ご存知ありませんか?」

「内臓移植……どらまで見たのぅ、アレ本当に出来るんか! ほぉ~、人間の進歩は凄まじいのぅ」

「二つの犯罪者の命で無辜の病人の命がいくつも助かるのなら、考える必要もありませんね」

「じゃな! さっさとバラしてしまえい」

人外怖。

「えっ……ちょ、ちょっとコンちゃんサキヒコくんっ……殺人に対する忌避感とかないの!? こ、殺しちゃダメだよ……?」

「だがミツキ、多数の命が救えるのだぞ?」

「トロッコ問題悩まないタイプ……!?」

「ワシは殺さんから穢れとかつかんし」

「負の感情抱くなとか立派なこと言ってたヤツの言うこととは思えない!」

「みっちゃんの感情はワシに影響するんじゃ!」

「殺人を許容したら俺はもう今までの俺ではいられないけど!?」

「じゃあ鳴雷さんは最後まで立派に反対し続けたということで……」

「フタ兄ぃと別室待機してるといいよ」

「サンちゃんヤクザじゃないんだよね! 人殺したことないんだよね!? ヤクザに生まれたのコンプレックスだ的なこと言ってたよね!」

「殺したことはないし、今回も殺さないよ。だって情報引き出さなきゃだし……殺しちゃ内臓の鮮度落ちるもんね?」

「ええ、殺すのは私達ではありませんね」

「俺がおかしいの!? 俺がこの場において異物なの!? 違うよねっ、ねぇフタさん違うって言って!」

「ちがう~」

「やだこの人言ってって言ったこと言ってるだけだわ……」

「あ、ボスだ。ねーボス、イチとニィ見てない?」

「居ないのか?」

「ミィしか居ない……」

「あ、あのー……」

俺は秘書に、フタの猫又達を歌見のボディガードとして借りたのだと説明した。

「マジですか、荒凪奪還には猫が三匹揃ったフタが必須なんですけど……んじゃ奪還に行く前にその歌見って子のところに行って、回収しますか」

「すいません、手間かけて……」

「いえいえ。ヒト、サン、そろそろ情報引き出せたか?」

「えっ、まだ何もしてませんけど……」

「道具何使おうか話し合ってるとこだよ」

「久々の拷問だからってはしゃぎ過ぎだ。荒凪を取り戻すための情報だぞ? さっさと引き出さなきゃダメだろ……ったく何が道具だ。どけ、俺がやる。お前らはカチコミの準備してこい」

「そんな……分かりました、フタ、行きますよ」

「指残しといてね~」

物騒な三兄弟は部屋を出ていった。秘書は一体どんな惨い拷問をするつもりなのだろうか、見たくないはずなのに歪んだ好奇心が顔を出している。

「さて、お前ら。俺が今からする質問に正しい答えを素早く返せたら何もせず警察に引き渡してやる、黙ってたら強制全身ドナーだ、いいな?」

二人の男はコクコクと首を縦に激しく振った。

「お前らは物部天獄を知っているか?」

「しっ、知らないっ」
「もの……? 知らない」

「お前らは神秘の会の教団員か?」

「神秘の会? 何それ」
「違う! そんな会知らない!」

「どうしてあの家に押し入った?」

「か、金だよ。一人二十万くれるって言われて!」
「バイト気分で……まさかあんな強いガキ居るなんて!」

アキに腕を折られたと先程喚いていた男の右腕は、一部が青黒く変色し始めていた。アキはすごい子だ、でもそんな苛烈な抵抗をせずレイのように逃げるだけだったらせいぜい殴られるだけで済んだかもしれない。そう思うと、やるせない。

「どう命令された?」

「青いインナーカラー入れてるガキをさらえって」
「札? 顔に貼れって言われて……意味分かんなかったけど、そうした」

「誰に命令された?」

「先輩……同じ高校の先輩だった、人」
「昔からよくこういうグレーな仕事紹介してもらってたんだ」

グレー? 他人の家の窓を割って押し入って、子供を一人さらう犯罪が、グレーな仕事?

「っざけんな! 俺の弟刺しておいて!」

「ぉ、俺じゃねぇって! つか弟って誰だよ!」
「俺でもねぇからな! 俺腕折られただけだ!」

「その先輩の情報分かるだけ吐け。氏名年齢住所電話番号は当然、見た目の特徴もだ。あぁ……スマホに写真とか入ってるなら高得点だな」

「え、ぇとっ……二年先輩だから、えーっと」
「写真! 写真あります、高校ん時のですけど! スマホケツポケっす!」

秘書は男のズボンのポケットを探ってスマホを引っ張り出すと、画面を彼に向けて顔認証を突破した。

「顔認証って楽ですよね。指紋と違って縛っててもやりやすくて。顔殴っちゃうと反応しないことあるの厄介ですけど……まぁ殴ってパスコード聞き出せばいいんですけどね。おい、どれだ」

「……ぉ、俺に操作させてくれませんか? 昔の写真なんで、いつ頃のとかハッキリ覚えてないし……結構スクロールして探さないとなんで」

秘書は舌打ちをし、小さな折りたたみ式ナイフで男を拘束していた縄を切った。

「ぁ……ありがとうございますっ」

男はスマホを受け取り、カメラロールを遡り始める。

「あっ、あの、俺最近の写真持ってます! 思い出しました、飲み会で撮ったのに映ってるはずです! 俺のもほどいてください!」

もう片方の男が喚き、俺と秘書の意識が自然とそちらに向いた隙を突いて拘束を解かれた男は扉へと走った。

「あっ!」

逃げた、その言葉を発するよりも前に男は扉を開け、扉の前に立っていた大柄な男に蹴り飛ばされて部屋の中に転がり戻ってきた。アキに折られた腕を下敷きにして倒れてしまったようで、悲痛な叫び声を上げている。

「ナイッスー、トサ」

トサ、と呼ばれた男は何も言わず頭を下げ、扉を閉めた。秘書は腕の痛みに呻く男の腕を容赦なく掴んで引っ張り、もう片方の男の前まで引きずると、目の前で男の股間を踏みつけた。

「うわ……」

一部金属製の下駄で股間を踏みつけられた男の悲鳴はとてつもないもので、俺は思わず自分の股間に手をやってしまった。

「……いつやっても玉潰す感触はいいもんだな。さて、二号。お前写真持ってるんだって? ほどいてやるからさっさとその写真見せてくれよ」

「はっ、はい……」

逃走を企てれば、男の証を無惨にも破壊された目の前の男と同じ目に遭う。そう言外に知らされた男は非常に大人しくスマホを操作した。
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