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狛狐の幸運 (水月+ネイ・ミタマ・サキヒコ)
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オペレーター室なのか、コントロールルームなのか、そんな雰囲気の部屋で怪異の群れに襲われ、床が消え、落ちた先の病室のようなここに横たわっていた年齢不詳の男──俺はもしかしたらこの男が物部本人なのかもしれないと思っていた。
他人の頭に残酷な術を施し、他人の身体を操縦して好き勝手をしていた物部。その本体は地下に居るというのが霊視結果。だから、この既に死にかけているような男が物部なのかもと俺は考えた。けれど、分からない。物部が操っていた男が俺やネイへの攻撃よりも優先して、彼の喉にナイフを突き立てたから。
「……な、なんで、刺されてるんですかこの人」
「分かりません。ですが、あの物部が犬の化け物を盾にしてまで、この男の殺害を行ったというのは……何か、嫌な予感がする」
ゆらゆらと湯気のような何かがナイフを喉に刺された男の身体から立ち上る。
「社長、なんか知らないヤツ死んでますよ!」
「待って、コイツだけ消してからっ……はぁっ、疲れた……何?」
山ほど居た犬神の姿がもう一つもない、最後の一体を今社長が消し飛ばした。赤紫色の瞳がこちらを捉えると、驚愕に見開かれた。
「逃げろ!」
「……!」
ネイの左腕が胴に巻かれる。そのまま床に引き倒され、ネイの身体の下に庇われる。だが枝のような腕がネイの胸を貫通し、俺の首を掴んだ。
「……っ!?」
呼吸を阻害するそれを引き剥がすため手首を掴もうとしたが、すり抜ける。胸を貫かれたはずのネイも平気で動いているし、この腕には実体がないようだ。
(なんで幽霊ってのは、一方的に物理作用起こしてくるんですか! 理不尽っ!)
動脈は押さえられていないような──ミシッ、と骨が軋む感覚がある。窒息を待つ気はない、折る気だ、いや、捥ぐ気か? とにかく猶予がない。クンネもネイも、荒凪も動いてくれているけれど、間に合わない。
(あれ、これ……死ぬ?)
明確な死の予感が訪れたその時、パンッ、と俺の首を掴んでいた腕が弾けた。真っ白だったはずの部屋が赤く染まっている。
「……っ、げほっ、けほ、ごほっ」
「ミツキ! ミツキ、大丈夫か!?」
「げほっ、ぉえ……ぁ……ょ、ゔ……」
大丈夫、そう答えたいのに声が上手く出ない。周囲の心配を和らげるよりも呼吸を整えることを優先しよう。
「ユキ様! 立てますか?」
「大丈夫……軽い目眩だよ」
「どうされたんです、突然」
「何人も取り込んでて、容量が大きくて……破裂させるのに手間取った。はぁ……惜しいね、物部には聞きたいことが結構あったんだけど」
涙で滲む視界の端、社長が秘書におぶられる様子が見えた。
「けほっ、けほ……はぁっ、はぁ……ご、ぢゃ……ぼ……べっ……は?」
コンちゃん、物部は? そう言いたいのに、声が上手く出ない。呼吸はもうかなり整ってきたのに、喉が痛くて声が濁る。
「気配がのぅなった。倒した……のかのぅ」
「ユキ様が消し飛ばしました。おそらく、荒凪の制作時に蠱毒のようなものを行って怪異や呪物が減っていたんでしょうね、だからあの程度の怪異の数だった」
「あ、あの程度? あれで?」
「施設の規模から言って、数倍居てもおかしくないかと……で、打つ手がなくなったので操作している他人に自分を殺させ、幽霊化。鳴雷さんを殺して荒凪のコントロール権を奪おうとしたようですが、ユキ様の方が早かったって訳です」
「ただの幽霊じゃなかったよ。多分、あの操作するための術を彫って殺した相手の魂を吸い取ってた。まぁ、完全に吸収してたから楽に倒せたけど」
「ユキ様タイマン得意ですけど多対一苦手ですもんね」
「一度に一体しか破裂させられないからね……集団霊じゃなくてよかったよ。それに、その子を狙ってくれたのも助かったね。逃げられてたら厄介だった、怪異化した霊能力者は霊能力と自我を保ちがちだから……海外にでも逃げて確実に力をつけて、その子を呪殺、人魚奪取、怪異テロとか……そうなってたら被害者数は四桁までは端数って感じになってたかもね、本当ラッキー……君のおかげかな?」
「ようやくワシの御利益を信じる気になったか」
「……自分が与えるものに御、付ける?」
まだ頭がボーッとしている。よく分からないが、物部はもう倒したらしい。荒凪を奪われる恐れも、クンネの妹が死ぬ可能性も、消えたのだ。
「ミツキ? ミツキっ!」
「なんじゃさっちゃん……みっちゃん? どうしたんじゃみっちゃん!」
心の底からの安堵は俺に意識を手放させた。
気付けば俺は白い部屋に居た。
「……?」
白いカーテン、消毒液の匂い、規則的に鳴る電子音。
「びょ……ぃ、ん……?」
ここは病院だ。そう察して声を出した瞬間、カーテンが開け放たれた。
「知らない天井だ……チャンスだったでしょうが! それでよくオタクを名乗りましたね!」
「……っ!? ひ、しょさ……けほっ、たし、かに……知ら天、チャンス……逃し、げほっ」
「圧迫で喉潰れかけてたらしいんで話さない方がいいですよ。筆談で……手も怪我してましたね」
「みぎ、ぶじ……」
秘書は手に持っていたメモ帳とボールペンを俺に渡そうとしたが、その手を下ろしてしまった。動かしたくないほどの怪我をしたのは荒凪に血を飲ませるために使った左手だけで、右手はカラスに啄まれただけだから皮膚が複数箇所ちぎられている程度、字を書くのに不便はない。
『もののべはどうなりましたか?』
「ユキ様が消しました。終わりですよ」
『荒凪くんはどこですか?』
「精密検査受けてます。物部が残した罠とか彫ったものとかないか見ておかないと危ないでしょう。記憶が戻ったおかげか不快感を伴う検査でも大人しく受けてくれてるらしくて助かりますよ」
保護当時は採血すらろくに出来なかったらしいからな……成長したな、荒凪。
『クンネはどこですか?』
「荒凪と同じですよ。検査と治療。妹さんも一緒にね。ちなみに、フタは隣のベッド。ヒトは隣の部屋。サンは家に帰りました。向かいはカイ、その隣はトサです。あなたに憑いてる狐と幽霊は多分その辺に居ます。これであなたが安否を気にする方は全員説明したと思いますが……他に聞きたいことは?」
『ネイさん』
「あぁ、公安なら検査と治療終わってすぐどっか行きました。なんか事後処理あるんでしょう」
……終わったら告白させろとか言ってなかったか? アイツ。事後処理まで含めて全て終わったら、なのかな。期待半分不安半分、早くヤりたい……いや、付き合いたいな。
『社長さん大丈夫ですか? なんか疲れてそうでしたけど』
「ユキ様、強い一体のと戦うと無双出来るんですけど、今回みたいに半端なの大量だと苦戦するんですよねー。おっしゃる通り疲れてらっしゃいます、お家に帰って休んでますよ」
『秘書さんは帰らなくていいんですか?』
「すぐにでも帰りたいですよ。あなたや穂張組の世話がなければね。もう安全だと分かってはいますが、荒凪が敵対行動を取った際に対抗出来る人間が居ないってのは、ね。検査で明確に荒凪に敵対の意思がないことが分かるまでは、俺が同じ建物内に居ないとまずいんですよ」
『お疲れ様です』
「どうも」
『フタさんやヒトさんと話したいんですけど、立ち歩いていいですか?』
「いいんじゃないですか、足には怪我してないんでしょう?」
腕の痛みに顔を顰めながらベッドを降りる。着ている服は手術着のようなものに変わっている。首には頑丈で太い首輪のようなものがついていて、顎を下げられなくなっていた。
『この首の何ですか?』
「コルセットです。ちょっとだけですけど、首の骨にヒビ入ってたらしいですよ。ユキ様が物部消すの遅かったら頚椎損傷で全身麻痺コースですよ、よかったですね」
首にヒビ!? マジかよ……
「腕も含めて全治は二週間ないくらいです。心霊治療も軽く行ったので、早く済みますね」
『心れい治りょうって秘書さんは電話越しでもその場で治ってたみたいでしたけど』
「俺が受けたのはおじい様のです。若神子専用って決まってる訳じゃないんですが、治療を受けた後しばらくおじい様の神聖で尊くて美しい霊力が残存して、エネルギー欲しさに浮遊霊寄ってくるんで……命に関わる緊急事態でもない限り、原則若神子一族にしか使わないんですよ」
『なるほど』
「霊と療くらい漢字で書いたらどうです? あなた高校生でしょ」
『書けますよ! ひらがなのが早いから書かないだけです!』
「ならいいですけど……俺他の犬共の様子も見なきゃいけないんで、そろそろ失礼しますね」
犬共、というのは穂張組の社員達のことだよな。俺も後で挨拶回りしておかなければ。だが、最優先はヒトとフタだ。話しに行こう。
他人の頭に残酷な術を施し、他人の身体を操縦して好き勝手をしていた物部。その本体は地下に居るというのが霊視結果。だから、この既に死にかけているような男が物部なのかもと俺は考えた。けれど、分からない。物部が操っていた男が俺やネイへの攻撃よりも優先して、彼の喉にナイフを突き立てたから。
「……な、なんで、刺されてるんですかこの人」
「分かりません。ですが、あの物部が犬の化け物を盾にしてまで、この男の殺害を行ったというのは……何か、嫌な予感がする」
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「待って、コイツだけ消してからっ……はぁっ、疲れた……何?」
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「……!」
ネイの左腕が胴に巻かれる。そのまま床に引き倒され、ネイの身体の下に庇われる。だが枝のような腕がネイの胸を貫通し、俺の首を掴んだ。
「……っ!?」
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(なんで幽霊ってのは、一方的に物理作用起こしてくるんですか! 理不尽っ!)
動脈は押さえられていないような──ミシッ、と骨が軋む感覚がある。窒息を待つ気はない、折る気だ、いや、捥ぐ気か? とにかく猶予がない。クンネもネイも、荒凪も動いてくれているけれど、間に合わない。
(あれ、これ……死ぬ?)
明確な死の予感が訪れたその時、パンッ、と俺の首を掴んでいた腕が弾けた。真っ白だったはずの部屋が赤く染まっている。
「……っ、げほっ、けほ、ごほっ」
「ミツキ! ミツキ、大丈夫か!?」
「げほっ、ぉえ……ぁ……ょ、ゔ……」
大丈夫、そう答えたいのに声が上手く出ない。周囲の心配を和らげるよりも呼吸を整えることを優先しよう。
「ユキ様! 立てますか?」
「大丈夫……軽い目眩だよ」
「どうされたんです、突然」
「何人も取り込んでて、容量が大きくて……破裂させるのに手間取った。はぁ……惜しいね、物部には聞きたいことが結構あったんだけど」
涙で滲む視界の端、社長が秘書におぶられる様子が見えた。
「けほっ、けほ……はぁっ、はぁ……ご、ぢゃ……ぼ……べっ……は?」
コンちゃん、物部は? そう言いたいのに、声が上手く出ない。呼吸はもうかなり整ってきたのに、喉が痛くて声が濁る。
「気配がのぅなった。倒した……のかのぅ」
「ユキ様が消し飛ばしました。おそらく、荒凪の制作時に蠱毒のようなものを行って怪異や呪物が減っていたんでしょうね、だからあの程度の怪異の数だった」
「あ、あの程度? あれで?」
「施設の規模から言って、数倍居てもおかしくないかと……で、打つ手がなくなったので操作している他人に自分を殺させ、幽霊化。鳴雷さんを殺して荒凪のコントロール権を奪おうとしたようですが、ユキ様の方が早かったって訳です」
「ただの幽霊じゃなかったよ。多分、あの操作するための術を彫って殺した相手の魂を吸い取ってた。まぁ、完全に吸収してたから楽に倒せたけど」
「ユキ様タイマン得意ですけど多対一苦手ですもんね」
「一度に一体しか破裂させられないからね……集団霊じゃなくてよかったよ。それに、その子を狙ってくれたのも助かったね。逃げられてたら厄介だった、怪異化した霊能力者は霊能力と自我を保ちがちだから……海外にでも逃げて確実に力をつけて、その子を呪殺、人魚奪取、怪異テロとか……そうなってたら被害者数は四桁までは端数って感じになってたかもね、本当ラッキー……君のおかげかな?」
「ようやくワシの御利益を信じる気になったか」
「……自分が与えるものに御、付ける?」
まだ頭がボーッとしている。よく分からないが、物部はもう倒したらしい。荒凪を奪われる恐れも、クンネの妹が死ぬ可能性も、消えたのだ。
「ミツキ? ミツキっ!」
「なんじゃさっちゃん……みっちゃん? どうしたんじゃみっちゃん!」
心の底からの安堵は俺に意識を手放させた。
気付けば俺は白い部屋に居た。
「……?」
白いカーテン、消毒液の匂い、規則的に鳴る電子音。
「びょ……ぃ、ん……?」
ここは病院だ。そう察して声を出した瞬間、カーテンが開け放たれた。
「知らない天井だ……チャンスだったでしょうが! それでよくオタクを名乗りましたね!」
「……っ!? ひ、しょさ……けほっ、たし、かに……知ら天、チャンス……逃し、げほっ」
「圧迫で喉潰れかけてたらしいんで話さない方がいいですよ。筆談で……手も怪我してましたね」
「みぎ、ぶじ……」
秘書は手に持っていたメモ帳とボールペンを俺に渡そうとしたが、その手を下ろしてしまった。動かしたくないほどの怪我をしたのは荒凪に血を飲ませるために使った左手だけで、右手はカラスに啄まれただけだから皮膚が複数箇所ちぎられている程度、字を書くのに不便はない。
『もののべはどうなりましたか?』
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『社長さん大丈夫ですか? なんか疲れてそうでしたけど』
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『秘書さんは帰らなくていいんですか?』
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『お疲れ様です』
「どうも」
『フタさんやヒトさんと話したいんですけど、立ち歩いていいですか?』
「いいんじゃないですか、足には怪我してないんでしょう?」
腕の痛みに顔を顰めながらベッドを降りる。着ている服は手術着のようなものに変わっている。首には頑丈で太い首輪のようなものがついていて、顎を下げられなくなっていた。
『この首の何ですか?』
「コルセットです。ちょっとだけですけど、首の骨にヒビ入ってたらしいですよ。ユキ様が物部消すの遅かったら頚椎損傷で全身麻痺コースですよ、よかったですね」
首にヒビ!? マジかよ……
「腕も含めて全治は二週間ないくらいです。心霊治療も軽く行ったので、早く済みますね」
『心れい治りょうって秘書さんは電話越しでもその場で治ってたみたいでしたけど』
「俺が受けたのはおじい様のです。若神子専用って決まってる訳じゃないんですが、治療を受けた後しばらくおじい様の神聖で尊くて美しい霊力が残存して、エネルギー欲しさに浮遊霊寄ってくるんで……命に関わる緊急事態でもない限り、原則若神子一族にしか使わないんですよ」
『なるほど』
「霊と療くらい漢字で書いたらどうです? あなた高校生でしょ」
『書けますよ! ひらがなのが早いから書かないだけです!』
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