2,002 / 2,311
母親の話は出来る方が稀? (水月+レイ・サン・カサネ)
しおりを挟む
風呂上がり、サンの髪を乾かし終えた俺達は冷たいジュースを飲みながら話した。
「男子高校生の正しい母親との距離感ってどんなもんよ」
「まだ気にしてたんすか。俺は……ん~、高校で家出したっすし……女性の人権が希薄なタイプのド田舎だったんで、母親とはまともに話したことないっす。サンちゃんは?」
そういえばサンの親の話はほとんど聞いたことがなかったな。ヤクザだし、異母兄弟が二人も居るし、聞にくいことこの上ないからな。
「血の気の多い人だったね。でも筋の通らない喧嘩は買うべきじゃないってボクには教えてくれてたよ」
「ヤクザっすねぇ……」
「先々々代組長の娘だから、組的には割と大事なお嬢様だったろうに……なんであんな叩き上げの腕っ節系ヤクザみたいな性格だったのかは永遠の謎だね」
「なるほど……外れ値二人じゃ参考にならないと思うっす、せんぱい。あっ、サキヒコく~ん、サキヒコくんってお母さんどんな人だったんすか?」
ジュースを飲み終え、コップを流し台に置いたレイはダイニングで文字の勉強をしているサキヒコと荒凪の元へ向かった。俺とサンもそれを追う。
「どんな……よく働く人だった」
年積家、大体そうだろ。
「せんぱいがお母さんとの距離感に困ってるんすけど、サキヒコくんはどんな感じっした?」
「年積家において親は上司、もしくは先輩。私の話はミツキの参考にはならないと思うし、ミツキの親子関係は良好で悩むことは何もないと思う」
「そっすか……ですってせんぱい、気にしなくていいんすよ。俺が原因なんで俺が言うのも変っすけど」
「荒凪くんは?」
サンはふらふらと手を漂わせ、荒凪の頭を探り当てると撫でながら尋ねた。
「きゅ? 僕達お母さん居ない」
「物心つく前に死んだ。顔も知らない」
「ありゃー……そっかぁ。まぁボクも親の顔はよく知らないよ、そういうもんそういうもん」
サンが知らないのは見えてないからだろ……ん? いや、サンは触れば顔は分かるはずだ。何故知らないんだ?
「顔知らないんすか?」
「母さんはメイク崩れるとか言って嫌がったし、父親の方は脂っぽくて触りたくなかったから」
呼び方の違いから複雑な親子関係を感じる。
「せーかくんは……聞かない方がいいっすよね? 多分」
「あぁ、やめてくれ」
「コンちゃんはダメだし……せんぱいの参考になる子居ないっすね」
クンネ達はどうだろう。故郷は滅んだとか言っていたし、聞くべきではないのかな。そもそも小人って小人同士で交尾して生まれるのか? なんか……木からポンッて生まれたりしてそうな気もする。
「明後日リュウにでも聞くよ」
「カサくんは?」
「今居ないんすよ。散歩でしたっけ、あの子も家庭環境に問題ありなんすか? せんぱい」
「あぁ、いや……全然分からん。悪くはないと思う、聞いてみるよ」
癌治療を受けさせたり、引きこもりや留年を許していたり、ペットを飼育していることから、家庭環境は良好なものだと察せられる。カサネには遠慮なく聞けそうだ。
──聞いてみた。
「親との距離感……? えぇ……いや、普通にしてりゃいいじゃん」
散歩から帰ってきたカサネはパグ犬の足を濡れタオルで拭きながら眉を顰めている。
「玄関まで来て聞くことかそれか」
「俺は母親に髪を切られ、服を選ばれ、食事制限を受けている訳ですが」
「俺はどれもしてねぇな。ゃ、俺は髪ねぇしカロリーバーしか食ってねぇからちょっと話変わってくっから、あんま気にしなくていいかも」
「せんぱいあのパグがでかでかとプリントされた部屋着、自分で選んでたんですか?」
「自分で買ってるに決まってんだろ……親に買ってもらった服なんて制服くらいだべ」
「……服、自分で買った方がいいですかね?」
「知らねぇよぉ……つーか俺十九だべ? 来年酒飲める歳だべ? ちょっと違うだろ」
とはいえ後三年で俺もその歳だ。
「今度ハルに服選びのコツ教えてもらおうかな……」
足を拭き終えたパグ犬は一直線にリビングへ向かう。カサネは愛犬を追うことはせず、キッチンで水道水を汲んで飲んだ。
「はぁっ…………なぁレイちゃん、鳴雷くんなんでこんなことなってんの」
「話の流れでマザコンって言っちゃって」
「ふーん……まぁ仲悪いよりはいいんじゃないか?」
「俺も本気で言った訳じゃないんすよ、なのにせんぱい気にしちゃって」
以前から何度か気にしたことがあった問題だ、改めて言われればそりゃ数十分は悩んでしまう。だがこれ以上彼氏達を悩ませるのは不本意だ。よし、何か別の話をしよう。話題を変えれば意識も次第に逸れていくだろう。
「……カサネせんぱい、お散歩って結構長時間なんですね」
「そうか? 二時間くらいだぞ」
「夏場は昼に散歩させると足焼けちゃうって聞いたっすけど、靴とか履いていくんすか?」
「ゃ、公園まで抱えて行った。いつもはペットカート乗せてんだけど、今日は大変だったなぁ……毛まみれだべ」
カサネはパグ柄の服についたクリーム色の毛を見下ろし、ため息をつく。
「玄関にコロコロあるよ」
「え、見逃してた……ごめん毛まみれのまま来ちゃって。コロコロしてくる」
ぺたぺたと足音が離れていく。
「玄関にコロコロ置いてるって珍しいっすね」
「フタ兄貴が来た時に玄関でかけないと、ヒト兄貴が来た時にうるさいからね」
「階違うとはいえ猫アレルギーで猫と同居してるっておかしいよやっぱり……」
「問題起こすから事務所住んでろってフタ兄貴に言ってるのヒト兄貴だし、家あるくせに事務所に住んでるのもヒト兄貴の勝手だから、どれだけ泣いても鼻水垂らしてもヒト兄貴が悪いんだよ」
サンのヒトに対する好感度の低さが伺える。苦笑いで誤魔化していると犬の毛を取り終えたカサネが戻ってきた。ゲームをしておらず、ペットに構っていないカサネは貴重だ。イチャつけないか狙ってみようかな。
「男子高校生の正しい母親との距離感ってどんなもんよ」
「まだ気にしてたんすか。俺は……ん~、高校で家出したっすし……女性の人権が希薄なタイプのド田舎だったんで、母親とはまともに話したことないっす。サンちゃんは?」
そういえばサンの親の話はほとんど聞いたことがなかったな。ヤクザだし、異母兄弟が二人も居るし、聞にくいことこの上ないからな。
「血の気の多い人だったね。でも筋の通らない喧嘩は買うべきじゃないってボクには教えてくれてたよ」
「ヤクザっすねぇ……」
「先々々代組長の娘だから、組的には割と大事なお嬢様だったろうに……なんであんな叩き上げの腕っ節系ヤクザみたいな性格だったのかは永遠の謎だね」
「なるほど……外れ値二人じゃ参考にならないと思うっす、せんぱい。あっ、サキヒコく~ん、サキヒコくんってお母さんどんな人だったんすか?」
ジュースを飲み終え、コップを流し台に置いたレイはダイニングで文字の勉強をしているサキヒコと荒凪の元へ向かった。俺とサンもそれを追う。
「どんな……よく働く人だった」
年積家、大体そうだろ。
「せんぱいがお母さんとの距離感に困ってるんすけど、サキヒコくんはどんな感じっした?」
「年積家において親は上司、もしくは先輩。私の話はミツキの参考にはならないと思うし、ミツキの親子関係は良好で悩むことは何もないと思う」
「そっすか……ですってせんぱい、気にしなくていいんすよ。俺が原因なんで俺が言うのも変っすけど」
「荒凪くんは?」
サンはふらふらと手を漂わせ、荒凪の頭を探り当てると撫でながら尋ねた。
「きゅ? 僕達お母さん居ない」
「物心つく前に死んだ。顔も知らない」
「ありゃー……そっかぁ。まぁボクも親の顔はよく知らないよ、そういうもんそういうもん」
サンが知らないのは見えてないからだろ……ん? いや、サンは触れば顔は分かるはずだ。何故知らないんだ?
「顔知らないんすか?」
「母さんはメイク崩れるとか言って嫌がったし、父親の方は脂っぽくて触りたくなかったから」
呼び方の違いから複雑な親子関係を感じる。
「せーかくんは……聞かない方がいいっすよね? 多分」
「あぁ、やめてくれ」
「コンちゃんはダメだし……せんぱいの参考になる子居ないっすね」
クンネ達はどうだろう。故郷は滅んだとか言っていたし、聞くべきではないのかな。そもそも小人って小人同士で交尾して生まれるのか? なんか……木からポンッて生まれたりしてそうな気もする。
「明後日リュウにでも聞くよ」
「カサくんは?」
「今居ないんすよ。散歩でしたっけ、あの子も家庭環境に問題ありなんすか? せんぱい」
「あぁ、いや……全然分からん。悪くはないと思う、聞いてみるよ」
癌治療を受けさせたり、引きこもりや留年を許していたり、ペットを飼育していることから、家庭環境は良好なものだと察せられる。カサネには遠慮なく聞けそうだ。
──聞いてみた。
「親との距離感……? えぇ……いや、普通にしてりゃいいじゃん」
散歩から帰ってきたカサネはパグ犬の足を濡れタオルで拭きながら眉を顰めている。
「玄関まで来て聞くことかそれか」
「俺は母親に髪を切られ、服を選ばれ、食事制限を受けている訳ですが」
「俺はどれもしてねぇな。ゃ、俺は髪ねぇしカロリーバーしか食ってねぇからちょっと話変わってくっから、あんま気にしなくていいかも」
「せんぱいあのパグがでかでかとプリントされた部屋着、自分で選んでたんですか?」
「自分で買ってるに決まってんだろ……親に買ってもらった服なんて制服くらいだべ」
「……服、自分で買った方がいいですかね?」
「知らねぇよぉ……つーか俺十九だべ? 来年酒飲める歳だべ? ちょっと違うだろ」
とはいえ後三年で俺もその歳だ。
「今度ハルに服選びのコツ教えてもらおうかな……」
足を拭き終えたパグ犬は一直線にリビングへ向かう。カサネは愛犬を追うことはせず、キッチンで水道水を汲んで飲んだ。
「はぁっ…………なぁレイちゃん、鳴雷くんなんでこんなことなってんの」
「話の流れでマザコンって言っちゃって」
「ふーん……まぁ仲悪いよりはいいんじゃないか?」
「俺も本気で言った訳じゃないんすよ、なのにせんぱい気にしちゃって」
以前から何度か気にしたことがあった問題だ、改めて言われればそりゃ数十分は悩んでしまう。だがこれ以上彼氏達を悩ませるのは不本意だ。よし、何か別の話をしよう。話題を変えれば意識も次第に逸れていくだろう。
「……カサネせんぱい、お散歩って結構長時間なんですね」
「そうか? 二時間くらいだぞ」
「夏場は昼に散歩させると足焼けちゃうって聞いたっすけど、靴とか履いていくんすか?」
「ゃ、公園まで抱えて行った。いつもはペットカート乗せてんだけど、今日は大変だったなぁ……毛まみれだべ」
カサネはパグ柄の服についたクリーム色の毛を見下ろし、ため息をつく。
「玄関にコロコロあるよ」
「え、見逃してた……ごめん毛まみれのまま来ちゃって。コロコロしてくる」
ぺたぺたと足音が離れていく。
「玄関にコロコロ置いてるって珍しいっすね」
「フタ兄貴が来た時に玄関でかけないと、ヒト兄貴が来た時にうるさいからね」
「階違うとはいえ猫アレルギーで猫と同居してるっておかしいよやっぱり……」
「問題起こすから事務所住んでろってフタ兄貴に言ってるのヒト兄貴だし、家あるくせに事務所に住んでるのもヒト兄貴の勝手だから、どれだけ泣いても鼻水垂らしてもヒト兄貴が悪いんだよ」
サンのヒトに対する好感度の低さが伺える。苦笑いで誤魔化していると犬の毛を取り終えたカサネが戻ってきた。ゲームをしておらず、ペットに構っていないカサネは貴重だ。イチャつけないか狙ってみようかな。
51
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ストーカー後輩を放置できなくて矯正してたら、なぜか付き合うことになった
ささい
BL
教育学部の後輩・真白蓮は、俺にとって「流せる範囲の変な奴」だった。
目が合うと妙に嬉しそうで、困ったタイミングでやたら近くにいる。
偶然にしては出来すぎている。でも、追及するほどの根拠もない。
——図書館でノートを拾うまでは。
『日向先輩動向ログ』
時間、場所、席の位置。俺の一日が几帳面に記録されていた。
普通なら距離を置く。けど真白の目に悪意はなかった。
あるのは、壊れそうなほど真っ直ぐな執着。
放っておいたら関係なく壊れる。だから俺が見ることにした。
「書くな。連絡しろ」
日向×真白(先輩×後輩)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる