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連続食事遅れ (水月+カサネ・セイカ・レイ・サン)
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寝起きの悪いセイカを洗面所まで抱えてやり、顔を洗ってやった俺に対し、セイカは非情な採点を下した。こんな低得点ありえない、抗議しなければ。
「待てコラ! 甲斐甲斐しく世話を焼いた恋人に向かって何言ってくれてんだ! 流石の俺も怒るよ! めっ!」
「もっと怒っていいべ鳴雷くん。早苗ちゃん……流石に今のはちょっと、ダメだべ。人間に点つけちゃダメだ」
「……先にワガママプリンセスとか言い出しやがったのは鳴雷だ。姫扱いでもしてくれんのかとお前の事故寸前自転車ボイスで起こされたけど起きてないフリしてたら、小脇に抱えて土鍋の底拭くみたいな顔の洗い方しやがった」
「ごめんね変な声出して……」
「小脇に抱えられると脇腹結構痛いんだぞ、お前みたいなムキムキには分からないかもだけど」
「それはマジでごめん」
知らなかった。セイカを捕らえていた腕を下ろし、俺に向き直ったセイカの脇腹をさする。
「秋風は立ち止まる時片足立ちでもう片方の足に俺を座らせてくれるし、お姫様抱っこへの移行もスムーズだった。どこにも負担かけないように抱っこしてくれる」
「体幹お化けと比べられたら負けるよそりゃ!」
「秋風くんそんなすげぇの?」
「片足屈伸とか片手逆立ち腕立てが日課なんですよ」
「やっべぇ」
「寝たフリして顔洗わせた時だって俺の顔擦ったりしなかった。めっちゃふわっふわの泡作ってそっと洗ってくれた」
「メーカーのホームページとかに載ってる洗い方だべ」
「アイツ自分の顔洗う時は洗顔料泡立てずに直塗りだぞ……!? 酷い時なんか水バシャってかけるだけだぞ!? 俺が何回注意したと……正しいやり方知ってんのかよ!」
乱雑な暮らしの代表者みたいなアキが、丁寧な暮らしを知っていたことがショックだ。何故自分の美貌を守ろうとしないんだ、あの美顔を雑に手入れするなんて美術品の修復を素人に任せるようなものだぞ。
「だからお前は34点だ」
「……! クッ……クッソォ~、弟めぇ~!」
「昨日半日くらい鳴雷くんの膝の上乗ってトロ顔してたのと同一人物とは思えねぇツンツンっぷり……」
「病みデレセイカたんも激ウマですがツンとデレの応酬がセイカたんの魅力でもあります。久しぶりのツンはたまりませんな、う~ん股間がホット」
「……ちょっと早苗ちゃんに注意した方がいいんじゃねぇかと思ってたけどお前が喜んでんなら何も言わねぇよ」
「昨日と今朝の寒暖差でイっちゃうッ!」
「俺先行くわ……」
「アーッ! 先輩まで態度がコールド! すかさずホールド! 腰を振ーるど!」
「うわぁああ!? なんかケツに硬いもん擦り付けられてる助けて早苗ちゃんっ!」
「……っ、こ、木芽呼んでくる」
「置いてかないでぇ!」
冷たい対応に興奮し、興奮のままにカサネに抱きついた。セイカは義足特有の足音を鳴らしてダイニングへ早歩き。
「二人っきりだネ、カサネたん……」
「イヤァーッ! イケメンなのにっ、彼氏なのにっ、なんでこんなに気持ち悪いんだぁーっ!?」
「愛が足りないからっす!」
「……! レイちゃん!」
「まだまだカサネくんには愛と慣れが足りないっす……せんぱい、新入りくんにせんぱいのキショ求愛はまだ早いっす。俺にしてくださいっす! さぁ!」
「あー、求められると萎えるんだよなぁ──」
「ぇ……」
「……! 緩んだ、今だっ……!」
カサネが腕の中から抜け出し、ダイニングへ走る。目の前には呆然とした表情のレイ。
「──なんて俺が本気で言うと思ったか! 可愛いなぁレイ可愛いなぁ! つれなくされるのも好きだけどどこまでも受け入れてくれるレイたんいっぱいちゅき……ところでさっきキショいって言わなかった? 全然イイよォ興奮するから!」
「ぉわっ……わわわっ、せ、せんぱいっ? ひゃああ……朝からせんぱいのほっぺスリスリと腰カクカクが……ゃ、やだせんぱい、変な気分になってきちゃうっすからぁ」
「いっそ学校サボってヤりまくっ……痛ァ!」
「……ご、は、ん。出来てるよ」
ぎゅむっ、とうなじを抓られ、振り返れば珍しく眉間に皺を寄せたサンが立っていた。
「ご、ごめんなさい……今行きます」
「全くもう……」
サンの背をレイと共にとぼとぼと追い、ダイニングへ。席に着き、手を合わせ、まずは味噌汁を一口。
「合わせ味噌最高。はぁ……まだちょっとうなじ痛いよ。俺が巨人なら死んでた」
「カサネくんシャケの皮食べる派っすか?」
「え、食わねぇの?」
「俺は苦手っすね~。いるっすか?」
「人のんまで食うほど好きじゃねぇよ……」
「くれ」
俺のうなじ、誰も心配してくれない。シャケの皮がそんなに気になるかよ。
「……セイカ、俺の皮も食べるか?」
「いらないなら……これパリパリしてて好き……」
「荒凪くんまた骨食べてないっすか?」
「まぁシャケは骨食えるからいいだろ」
「食えないっすよ~」
「シャケに捨てるとこねぇべや」
俺は別に魚の皮は嫌いではない。美味しいと思う、身よりも味が濃くて米が進む。しかしセイカの好物なら剥がして食わせてやろうじゃないか。
「あーん」
「ぇ……あ、あーん…………ありがと、鳴雷」
「どういたしまして」
「…………さっきは、生意気な態度取ってごめんなさい。眠くて、駄々こねてんの……繰言に見られて恥ずかしくて……つい……」
「セイカぁ……いいんだよ別にそんなこと全然気にしなくてああいう態度むしろ興奮するから俺」
「それは知ってるけど……でも、流石に…………ううん、ありがと。鳴雷……俺が好きなの、その、お前だけだから……秋風は親友ってだけで…………うん。鳴雷、大好き……」
冷たくされた後に強火のデレ。何だこれ、新手のサウナか?
「え~、シャケの鍋とか具材全部がシャケ風味つきそうじゃないすか。鍋に入れるならクセのない白身魚が一番すよ」
「シャケも白身魚だべや。覚えてろよ、絶対いつか石狩鍋食わしてやっからな」
まだシャケの話してるよコイツら。
「待てコラ! 甲斐甲斐しく世話を焼いた恋人に向かって何言ってくれてんだ! 流石の俺も怒るよ! めっ!」
「もっと怒っていいべ鳴雷くん。早苗ちゃん……流石に今のはちょっと、ダメだべ。人間に点つけちゃダメだ」
「……先にワガママプリンセスとか言い出しやがったのは鳴雷だ。姫扱いでもしてくれんのかとお前の事故寸前自転車ボイスで起こされたけど起きてないフリしてたら、小脇に抱えて土鍋の底拭くみたいな顔の洗い方しやがった」
「ごめんね変な声出して……」
「小脇に抱えられると脇腹結構痛いんだぞ、お前みたいなムキムキには分からないかもだけど」
「それはマジでごめん」
知らなかった。セイカを捕らえていた腕を下ろし、俺に向き直ったセイカの脇腹をさする。
「秋風は立ち止まる時片足立ちでもう片方の足に俺を座らせてくれるし、お姫様抱っこへの移行もスムーズだった。どこにも負担かけないように抱っこしてくれる」
「体幹お化けと比べられたら負けるよそりゃ!」
「秋風くんそんなすげぇの?」
「片足屈伸とか片手逆立ち腕立てが日課なんですよ」
「やっべぇ」
「寝たフリして顔洗わせた時だって俺の顔擦ったりしなかった。めっちゃふわっふわの泡作ってそっと洗ってくれた」
「メーカーのホームページとかに載ってる洗い方だべ」
「アイツ自分の顔洗う時は洗顔料泡立てずに直塗りだぞ……!? 酷い時なんか水バシャってかけるだけだぞ!? 俺が何回注意したと……正しいやり方知ってんのかよ!」
乱雑な暮らしの代表者みたいなアキが、丁寧な暮らしを知っていたことがショックだ。何故自分の美貌を守ろうとしないんだ、あの美顔を雑に手入れするなんて美術品の修復を素人に任せるようなものだぞ。
「だからお前は34点だ」
「……! クッ……クッソォ~、弟めぇ~!」
「昨日半日くらい鳴雷くんの膝の上乗ってトロ顔してたのと同一人物とは思えねぇツンツンっぷり……」
「病みデレセイカたんも激ウマですがツンとデレの応酬がセイカたんの魅力でもあります。久しぶりのツンはたまりませんな、う~ん股間がホット」
「……ちょっと早苗ちゃんに注意した方がいいんじゃねぇかと思ってたけどお前が喜んでんなら何も言わねぇよ」
「昨日と今朝の寒暖差でイっちゃうッ!」
「俺先行くわ……」
「アーッ! 先輩まで態度がコールド! すかさずホールド! 腰を振ーるど!」
「うわぁああ!? なんかケツに硬いもん擦り付けられてる助けて早苗ちゃんっ!」
「……っ、こ、木芽呼んでくる」
「置いてかないでぇ!」
冷たい対応に興奮し、興奮のままにカサネに抱きついた。セイカは義足特有の足音を鳴らしてダイニングへ早歩き。
「二人っきりだネ、カサネたん……」
「イヤァーッ! イケメンなのにっ、彼氏なのにっ、なんでこんなに気持ち悪いんだぁーっ!?」
「愛が足りないからっす!」
「……! レイちゃん!」
「まだまだカサネくんには愛と慣れが足りないっす……せんぱい、新入りくんにせんぱいのキショ求愛はまだ早いっす。俺にしてくださいっす! さぁ!」
「あー、求められると萎えるんだよなぁ──」
「ぇ……」
「……! 緩んだ、今だっ……!」
カサネが腕の中から抜け出し、ダイニングへ走る。目の前には呆然とした表情のレイ。
「──なんて俺が本気で言うと思ったか! 可愛いなぁレイ可愛いなぁ! つれなくされるのも好きだけどどこまでも受け入れてくれるレイたんいっぱいちゅき……ところでさっきキショいって言わなかった? 全然イイよォ興奮するから!」
「ぉわっ……わわわっ、せ、せんぱいっ? ひゃああ……朝からせんぱいのほっぺスリスリと腰カクカクが……ゃ、やだせんぱい、変な気分になってきちゃうっすからぁ」
「いっそ学校サボってヤりまくっ……痛ァ!」
「……ご、は、ん。出来てるよ」
ぎゅむっ、とうなじを抓られ、振り返れば珍しく眉間に皺を寄せたサンが立っていた。
「ご、ごめんなさい……今行きます」
「全くもう……」
サンの背をレイと共にとぼとぼと追い、ダイニングへ。席に着き、手を合わせ、まずは味噌汁を一口。
「合わせ味噌最高。はぁ……まだちょっとうなじ痛いよ。俺が巨人なら死んでた」
「カサネくんシャケの皮食べる派っすか?」
「え、食わねぇの?」
「俺は苦手っすね~。いるっすか?」
「人のんまで食うほど好きじゃねぇよ……」
「くれ」
俺のうなじ、誰も心配してくれない。シャケの皮がそんなに気になるかよ。
「……セイカ、俺の皮も食べるか?」
「いらないなら……これパリパリしてて好き……」
「荒凪くんまた骨食べてないっすか?」
「まぁシャケは骨食えるからいいだろ」
「食えないっすよ~」
「シャケに捨てるとこねぇべや」
俺は別に魚の皮は嫌いではない。美味しいと思う、身よりも味が濃くて米が進む。しかしセイカの好物なら剥がして食わせてやろうじゃないか。
「あーん」
「ぇ……あ、あーん…………ありがと、鳴雷」
「どういたしまして」
「…………さっきは、生意気な態度取ってごめんなさい。眠くて、駄々こねてんの……繰言に見られて恥ずかしくて……つい……」
「セイカぁ……いいんだよ別にそんなこと全然気にしなくてああいう態度むしろ興奮するから俺」
「それは知ってるけど……でも、流石に…………ううん、ありがと。鳴雷……俺が好きなの、その、お前だけだから……秋風は親友ってだけで…………うん。鳴雷、大好き……」
冷たくされた後に強火のデレ。何だこれ、新手のサウナか?
「え~、シャケの鍋とか具材全部がシャケ風味つきそうじゃないすか。鍋に入れるならクセのない白身魚が一番すよ」
「シャケも白身魚だべや。覚えてろよ、絶対いつか石狩鍋食わしてやっからな」
まだシャケの話してるよコイツら。
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