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いつもと少し違う通学路 (水月+カサネ・セイカ・リュウ)
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いつもと違う通学路、いつもと違うメンバーでの登校。昨晩は今日から日常に戻るのだと思っていたが、今俺の目の前には新鮮な光景が広がっている。
「はぁあ……朝から学校行くとか……」
「それが普通だぞ」
「普通が難しいヤツも居るんですー……早苗ちゃんなら分かんだろ?」
「……俺は普通に出来ないことが多いから、出来ることは普通以上であろうとしてる」
「ぅ……眩しい。頑張れる子ってすげぇなぁ。尊敬するし協力してあげたくなっけど、俺も頑張ろーとはなんねぇんだよな俺」
「先輩忘れちゃダメですよ、今日のセイカがめっちゃ寝起き悪かったこと」
サンの家がある閑静な住宅街は道の凹凸が非常に少なく、車椅子を動かしやすかった。いい町だ。
(まぁ近所にヤクザ事務所があり、朝はゲロまみれの繁華街があり、どこぞの二メートル級巨人のせいで警察がやる気をなくしている治安最悪な町なのですが)
この調子じゃ地価も安いだろう、綺麗な道は過去の遺物で補修され続けることはないのかもしれないな。
駅に着くとこちらに手を振る影があった。
「みっつきぃ~!」
改札を抜け、階段の前で彼と落ち合う。
「リュウ、お前なんでここに」
「なんでっちゅうこたあれへんやろ、サンちゃんとこ泊まっとるんは知っとるんやから」
「いやだって……俺メッセ送ったよな? 昨日」
リュウは毎朝俺の自宅の最寄り駅で俺を待ってくれている。だがサンの家に泊まっている今その駅は使わないから、俺はリュウに俺を待たずに学校へ行けとメッセージを送った。
「うん。せやけど水月がこの駅使うんは分かっとるし」
「……そうか」
なんて健気で可愛いんだ。抱き締めたい、キスしたい。一日千秋の思いだった荒凪奪還作戦のせいで俺はリュウを酷く久しく思っている、それも手伝ってリュウを愛でたい欲が無限に広がっていく。
「水月? どないしたん難しい顔して」
でもリュウ、ドMなんだよなぁ。どうしよう、命令違反だよねこれ。Sなご主人様としては叱るべきだよね。
「あれ、先輩おるやん」
「あっ、ぉ、おおっ、おはよ……」
よし、決めた。
「リュウ」
「あっ、水月ぃ。なにぃ?」
「俺は先に学校に行けって言いつけたよな? お前は俺の命令を破った訳だ」
「……! そやね」
リュウの笑顔が淫らに蕩ける。やはり折檻狙いか。しかしここは通勤通学ラッシュの駅、軽くなじって睨む程度で我慢してもらおう。
「はよ会いたかってん。人魚のあれこれはもう終わったん分かってんねんけど、なんやえらい心配でなぁ……首と手ぇ治ったんやねぇ、よかったわぁ」
「……アッ優しめの関西弁ヤバ、なんか心の柔らかいところに刺激がくる」
「繰言……お前やっぱ鳴雷に似てるな」
リュウと微妙に視線が合わないタイミングがあったのは、俺の首を見ていたからだったのか。
「…………」
「水月? わっ……! な、なにぃ、命令聞けへんかってんで俺。なんでなでなでしはるん」
金色の染髪をかき混ぜるように撫で回す。
「命令を完璧に聞くだけじゃつまらないだろ?」
「……! 介助犬とかはGOサイン出しても周りの状況を見て歩き出さないように訓練されてるんだ。飼い主が行けって言っても信号が赤だったりしたらちゃんと止まったりとか。そういうことだべ鳴雷くん!」
「犬とかゲームの話になると早口だな……」
「オタクの早口を指摘するのはチクチク言葉だから気を付けてな早苗ちゃん」
「…………まぁ、そういう感じだ。俺の言ったことが全てじゃない、俺のために行動したんなら俺の命令に背いててもいいさ。従うだけが忠義じゃないだろ?」
「水月ぃ……! へへ…………ん? 水月、俺別に忠犬目指しとる訳やないんやけど……」
「……そうか。じゃあ犬用ご褒美のなでなではナシ」
「えっ、嫌や! 忠犬でもええからぁ! 水月のなでなで好きやねん、やらへんやなんて言わんといてぇな」
パッと手を離してみるとリュウは首を横に振り、俺の手首を掴んだ。
「忠犬、でも?」
「ぅ……だってぇ、俺がなりたいんは水月のオナホ兼サンドバッグとかやから、真っ当に従属して可愛がられるんはなんか違うんよ……」
「……性癖やべぇな」
「天正は性癖だけヤバい。他は話しやすいし優しいし甘やかしてくれるし叱ってもくれる、他のヤツに繋いでくれたりもする。まずは天正攻略がオススメだぞ」
「やっぱりそういう感じかぁ……性癖と性格両方まともな子居ないの?」
「霞染かな」
「……女装してるヤツぁ性癖まともじゃねぇよ?」
愛でても喜ぶが、虐めた方が悦ぶ。分かっていたことだがリュウを満足させるのは難しいな。まぁ、駅でリュウのM欲を満たせるようなことはほぼ出来ないから、このまま髪型を崩してやるとするか。
「ん~……やっぱり水月に優しゅう触られんのも好きやわぁ。アカンなぁ、一貫性持たれへん」
「お前は一貫性あるよ」
「せやろか」
「俺が好き、だろ?」
「……へへ。せやな、それは間違いあらへん」
話がまとまったところで電車が到着した、空気の読める鉄塊だ。鉄塊……? 電車って何パーセント鉄なんだろ、そもそも空洞だから塊じゃないか。
「鳴雷?」
「ん、あぁごめんボーッとしてた。乗ろうな」
「天正くんに見とれてたんだべ」
「え~? そーなん水月ぃ」
電車の成分について考えていただなんて言えない、微笑んで誤魔化した。
「はぁあ……朝から学校行くとか……」
「それが普通だぞ」
「普通が難しいヤツも居るんですー……早苗ちゃんなら分かんだろ?」
「……俺は普通に出来ないことが多いから、出来ることは普通以上であろうとしてる」
「ぅ……眩しい。頑張れる子ってすげぇなぁ。尊敬するし協力してあげたくなっけど、俺も頑張ろーとはなんねぇんだよな俺」
「先輩忘れちゃダメですよ、今日のセイカがめっちゃ寝起き悪かったこと」
サンの家がある閑静な住宅街は道の凹凸が非常に少なく、車椅子を動かしやすかった。いい町だ。
(まぁ近所にヤクザ事務所があり、朝はゲロまみれの繁華街があり、どこぞの二メートル級巨人のせいで警察がやる気をなくしている治安最悪な町なのですが)
この調子じゃ地価も安いだろう、綺麗な道は過去の遺物で補修され続けることはないのかもしれないな。
駅に着くとこちらに手を振る影があった。
「みっつきぃ~!」
改札を抜け、階段の前で彼と落ち合う。
「リュウ、お前なんでここに」
「なんでっちゅうこたあれへんやろ、サンちゃんとこ泊まっとるんは知っとるんやから」
「いやだって……俺メッセ送ったよな? 昨日」
リュウは毎朝俺の自宅の最寄り駅で俺を待ってくれている。だがサンの家に泊まっている今その駅は使わないから、俺はリュウに俺を待たずに学校へ行けとメッセージを送った。
「うん。せやけど水月がこの駅使うんは分かっとるし」
「……そうか」
なんて健気で可愛いんだ。抱き締めたい、キスしたい。一日千秋の思いだった荒凪奪還作戦のせいで俺はリュウを酷く久しく思っている、それも手伝ってリュウを愛でたい欲が無限に広がっていく。
「水月? どないしたん難しい顔して」
でもリュウ、ドMなんだよなぁ。どうしよう、命令違反だよねこれ。Sなご主人様としては叱るべきだよね。
「あれ、先輩おるやん」
「あっ、ぉ、おおっ、おはよ……」
よし、決めた。
「リュウ」
「あっ、水月ぃ。なにぃ?」
「俺は先に学校に行けって言いつけたよな? お前は俺の命令を破った訳だ」
「……! そやね」
リュウの笑顔が淫らに蕩ける。やはり折檻狙いか。しかしここは通勤通学ラッシュの駅、軽くなじって睨む程度で我慢してもらおう。
「はよ会いたかってん。人魚のあれこれはもう終わったん分かってんねんけど、なんやえらい心配でなぁ……首と手ぇ治ったんやねぇ、よかったわぁ」
「……アッ優しめの関西弁ヤバ、なんか心の柔らかいところに刺激がくる」
「繰言……お前やっぱ鳴雷に似てるな」
リュウと微妙に視線が合わないタイミングがあったのは、俺の首を見ていたからだったのか。
「…………」
「水月? わっ……! な、なにぃ、命令聞けへんかってんで俺。なんでなでなでしはるん」
金色の染髪をかき混ぜるように撫で回す。
「命令を完璧に聞くだけじゃつまらないだろ?」
「……! 介助犬とかはGOサイン出しても周りの状況を見て歩き出さないように訓練されてるんだ。飼い主が行けって言っても信号が赤だったりしたらちゃんと止まったりとか。そういうことだべ鳴雷くん!」
「犬とかゲームの話になると早口だな……」
「オタクの早口を指摘するのはチクチク言葉だから気を付けてな早苗ちゃん」
「…………まぁ、そういう感じだ。俺の言ったことが全てじゃない、俺のために行動したんなら俺の命令に背いててもいいさ。従うだけが忠義じゃないだろ?」
「水月ぃ……! へへ…………ん? 水月、俺別に忠犬目指しとる訳やないんやけど……」
「……そうか。じゃあ犬用ご褒美のなでなではナシ」
「えっ、嫌や! 忠犬でもええからぁ! 水月のなでなで好きやねん、やらへんやなんて言わんといてぇな」
パッと手を離してみるとリュウは首を横に振り、俺の手首を掴んだ。
「忠犬、でも?」
「ぅ……だってぇ、俺がなりたいんは水月のオナホ兼サンドバッグとかやから、真っ当に従属して可愛がられるんはなんか違うんよ……」
「……性癖やべぇな」
「天正は性癖だけヤバい。他は話しやすいし優しいし甘やかしてくれるし叱ってもくれる、他のヤツに繋いでくれたりもする。まずは天正攻略がオススメだぞ」
「やっぱりそういう感じかぁ……性癖と性格両方まともな子居ないの?」
「霞染かな」
「……女装してるヤツぁ性癖まともじゃねぇよ?」
愛でても喜ぶが、虐めた方が悦ぶ。分かっていたことだがリュウを満足させるのは難しいな。まぁ、駅でリュウのM欲を満たせるようなことはほぼ出来ないから、このまま髪型を崩してやるとするか。
「ん~……やっぱり水月に優しゅう触られんのも好きやわぁ。アカンなぁ、一貫性持たれへん」
「お前は一貫性あるよ」
「せやろか」
「俺が好き、だろ?」
「……へへ。せやな、それは間違いあらへん」
話がまとまったところで電車が到着した、空気の読める鉄塊だ。鉄塊……? 電車って何パーセント鉄なんだろ、そもそも空洞だから塊じゃないか。
「鳴雷?」
「ん、あぁごめんボーッとしてた。乗ろうな」
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