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退院祝いの相談 (水月+カサネ・セイカ・レイ・ハル・シュカ・リュウ・カンナ)
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昨晩、シコいだ何だという俺の下品な言動を数十分に渡り叱ったサキヒコが、今朝は俺の言葉によって照れて逃げ出してしまっている。
「オコヒコくん可愛かったけど、テレヒコくんもイイね……惜しむらくはテレヒコくんは消えちゃって照れ顔あんまり見れなかったことかな」
「イジりやすい名前してんだな」
「先輩もオコサネテレサネ出来ますよ?」
「……お前もオコツキとか出来るぞ」
「うーん……文字数変えちゃうとちょっと違和感が」
「俺のは変えたくせに……! 横暴だ! イケメンはやっぱ横暴だ!」
これ以上待ってはいられないので自分でトーストにバターを塗って食べた。登校を渋るカサネを説得し、出発前に軽くパグ犬を撫でさせてもらった。
「本当に愛想ないですね」
誰が撫でても嫌がりはしないが喜びもしない。主人が出かけると言うのに視線一つ寄越さない。
「可愛いだろ?」
「犬ってもっと媚び売ってくるもんじゃ……」
「言い方! 犬は媚び売ってんじゃねぇ、素直に飼い主好き好きって伝えてきてるだけだべや! 媚びとか言うな!」
「こ、媚びって言葉そんなに気に入りません……? 好きだから気に入られたいとか、機嫌良くなって欲しいとか、いいことだと思いますけど……媚び。なぁセイカ」
「嘘臭いとかあざといとか卑怯とか、そういうイメージある人間が大半だと思うぞ」
「えー……そうかぁ? まぁ、そうかも……?」
靴を履き、セイカに靴を履かせ、サンの手を握って手を振りいざ登校。車椅子を押す重みは幸せの重みだ。
「でも先輩って媚びるタイプですよね?」
「な、なんだよいきなり……違うし」
「さっきの話の続き的な。先輩、媚びってものが嫌いそうな反応してましたけど、媚びるタイプですよね」
「そうなのか? そんな器用なこと出来なさそうだけど」
「それはそれで悪口だべ早苗ちゃん……! 俺媚びてねぇって、いつ媚びたよ」
「……ショートかロングかとか、女装した方がいいかとか、色々俺の好み気にしてるじゃないですか。家に帰りたいくせにサンさん家に泊まりっぱだし、学校嫌いなくせに一緒に登校してくれるし。自分を押さえて俺に媚びてるって言えません?」
「なっ……! ち、違うっ! 髪とか服装は! 鳴雷くんに、少しでもっ……好き、に、なって欲しくてっ! 帰りたいとか行きたくないとか、そんな引きこもり願望より……鳴雷くんと、一緒に居たくて……だから自分押さえてなんかない、媚びてなんかない! 俺は、俺は自分に正直に振る舞ってるつもりだっ、分かったか!」
好かれたいために行動するのは『媚び』では? と俺は言っている訳だが。
「よーく分かりました。嬉しいなぁ……」
「ひゃっ!?」
カサネの腰に腕を回して抱き寄せる。セイカの車椅子を押す腕の負担が増えたが、構うものか。この細い腰の抱き心地の前では些事だ。
「意外とガリガリじゃない……ちょうどいいフィット感。頭も乗せやすいですね」
「わ、わわっ……!」
カサネの丸い頭に頭を預ける。腰を抱いて髪に頬を擦り寄せて、なんてまるきり恋人同士の仕草だ。朝の通学路で男子高校生同士がやるには少々目立つ。
「クソっ、騙されたぁっ……デレさせられたっ」
「デレるの屈辱なんすか? せんぱい喜ぶんすからどんどんデレてあげればいいのにー……」
「……喜ばせるのは、その……やりたいんだけど、反応がいちいち濃くて」
「分かる……!」
セイカが力強く同意している。反応が濃い、か……根のオタクっぽさが出ていて気持ち悪いということか? 愛情表現は素直にしていきたいのだが、出力からオタクらしさは抜かなければ。
「気を付けるよ……」
「せんぱいっ、俺には今まで通りでいいっすからね」
「うん……」
レイは学校の前まで俺達を送り届けた。カサネとは下駄箱の前で別れ、教室でハルに抱きつかれた。
「みっつぅーん! おはよ!」
「おはようハル。朝から熱烈で嬉しいよ」
「…………」
「ハル? なんだ、見とれてるのか?」
「あっ、ううん! 元気そうだなーって。もうホントに大丈夫だねみっつん、後遺症とかなさそうで超安心」
まだ心配してくれていたのか。罪悪感と喜びで頭がぐちゃぐちゃしている。
「元気んなったんならさみっつん、デートしようよ~。明日バイト休みだよね? 俺も水曜は習い事なくしてもらったんだ、別の日に詰めたの~。だからさ、どっか行こ~?」
「あー……悪い、明日アキ退院だから迎えに行かないと」
「アキくん退院? じゃあもう大丈夫なんだ、よかったぁ~! 退院祝いとかしないの? しよーよ、どっかでお茶するだけでもさ~。俺せっかく休み作ったんだからぁ~」
「わ、分かった分かった……腕引っ張るなよ。ハルが二人きりじゃなくてもいいなら行こうか、店選びは任せてもいいかな?」
「うん! 任せて! いいカフェ探しとく~……アンタらも来る?」
「嫌です」
「俺は無断外泊で怒られそうやから多分しばらく無理や……」
「アンタんとこ意外と厳しい……待って嫌って何!? 無理とかじゃなくて嫌!? アキくんみんなで出迎えてあげよ~とかないの?」
「そんなちょっと退院するだけで大げさな……そもそも大勢で騒いで喜ぶタイプですか? 退院したと言っても病み上がりでしょう、そっとしておいた方がいいのでは?」
「……せーか?」
「喜ぶは喜ぶと思うけど」
「なんでお兄ちゃんの俺じゃなくてセイカに聞くんだよ」
「だってせーかのが分かってそうなんだもん……あっしぐは? しぐしぐは来るよね~?」
「ぅ、ん……」
アキの退院祝い、か。ネザメに話せばカフェ程度じゃ済まなさそうだ。そうなればネザメの奢りで豪華な食事ということになり、シュカもほいほい着いてきそうな気がする。
「オコヒコくん可愛かったけど、テレヒコくんもイイね……惜しむらくはテレヒコくんは消えちゃって照れ顔あんまり見れなかったことかな」
「イジりやすい名前してんだな」
「先輩もオコサネテレサネ出来ますよ?」
「……お前もオコツキとか出来るぞ」
「うーん……文字数変えちゃうとちょっと違和感が」
「俺のは変えたくせに……! 横暴だ! イケメンはやっぱ横暴だ!」
これ以上待ってはいられないので自分でトーストにバターを塗って食べた。登校を渋るカサネを説得し、出発前に軽くパグ犬を撫でさせてもらった。
「本当に愛想ないですね」
誰が撫でても嫌がりはしないが喜びもしない。主人が出かけると言うのに視線一つ寄越さない。
「可愛いだろ?」
「犬ってもっと媚び売ってくるもんじゃ……」
「言い方! 犬は媚び売ってんじゃねぇ、素直に飼い主好き好きって伝えてきてるだけだべや! 媚びとか言うな!」
「こ、媚びって言葉そんなに気に入りません……? 好きだから気に入られたいとか、機嫌良くなって欲しいとか、いいことだと思いますけど……媚び。なぁセイカ」
「嘘臭いとかあざといとか卑怯とか、そういうイメージある人間が大半だと思うぞ」
「えー……そうかぁ? まぁ、そうかも……?」
靴を履き、セイカに靴を履かせ、サンの手を握って手を振りいざ登校。車椅子を押す重みは幸せの重みだ。
「でも先輩って媚びるタイプですよね?」
「な、なんだよいきなり……違うし」
「さっきの話の続き的な。先輩、媚びってものが嫌いそうな反応してましたけど、媚びるタイプですよね」
「そうなのか? そんな器用なこと出来なさそうだけど」
「それはそれで悪口だべ早苗ちゃん……! 俺媚びてねぇって、いつ媚びたよ」
「……ショートかロングかとか、女装した方がいいかとか、色々俺の好み気にしてるじゃないですか。家に帰りたいくせにサンさん家に泊まりっぱだし、学校嫌いなくせに一緒に登校してくれるし。自分を押さえて俺に媚びてるって言えません?」
「なっ……! ち、違うっ! 髪とか服装は! 鳴雷くんに、少しでもっ……好き、に、なって欲しくてっ! 帰りたいとか行きたくないとか、そんな引きこもり願望より……鳴雷くんと、一緒に居たくて……だから自分押さえてなんかない、媚びてなんかない! 俺は、俺は自分に正直に振る舞ってるつもりだっ、分かったか!」
好かれたいために行動するのは『媚び』では? と俺は言っている訳だが。
「よーく分かりました。嬉しいなぁ……」
「ひゃっ!?」
カサネの腰に腕を回して抱き寄せる。セイカの車椅子を押す腕の負担が増えたが、構うものか。この細い腰の抱き心地の前では些事だ。
「意外とガリガリじゃない……ちょうどいいフィット感。頭も乗せやすいですね」
「わ、わわっ……!」
カサネの丸い頭に頭を預ける。腰を抱いて髪に頬を擦り寄せて、なんてまるきり恋人同士の仕草だ。朝の通学路で男子高校生同士がやるには少々目立つ。
「クソっ、騙されたぁっ……デレさせられたっ」
「デレるの屈辱なんすか? せんぱい喜ぶんすからどんどんデレてあげればいいのにー……」
「……喜ばせるのは、その……やりたいんだけど、反応がいちいち濃くて」
「分かる……!」
セイカが力強く同意している。反応が濃い、か……根のオタクっぽさが出ていて気持ち悪いということか? 愛情表現は素直にしていきたいのだが、出力からオタクらしさは抜かなければ。
「気を付けるよ……」
「せんぱいっ、俺には今まで通りでいいっすからね」
「うん……」
レイは学校の前まで俺達を送り届けた。カサネとは下駄箱の前で別れ、教室でハルに抱きつかれた。
「みっつぅーん! おはよ!」
「おはようハル。朝から熱烈で嬉しいよ」
「…………」
「ハル? なんだ、見とれてるのか?」
「あっ、ううん! 元気そうだなーって。もうホントに大丈夫だねみっつん、後遺症とかなさそうで超安心」
まだ心配してくれていたのか。罪悪感と喜びで頭がぐちゃぐちゃしている。
「元気んなったんならさみっつん、デートしようよ~。明日バイト休みだよね? 俺も水曜は習い事なくしてもらったんだ、別の日に詰めたの~。だからさ、どっか行こ~?」
「あー……悪い、明日アキ退院だから迎えに行かないと」
「アキくん退院? じゃあもう大丈夫なんだ、よかったぁ~! 退院祝いとかしないの? しよーよ、どっかでお茶するだけでもさ~。俺せっかく休み作ったんだからぁ~」
「わ、分かった分かった……腕引っ張るなよ。ハルが二人きりじゃなくてもいいなら行こうか、店選びは任せてもいいかな?」
「うん! 任せて! いいカフェ探しとく~……アンタらも来る?」
「嫌です」
「俺は無断外泊で怒られそうやから多分しばらく無理や……」
「アンタんとこ意外と厳しい……待って嫌って何!? 無理とかじゃなくて嫌!? アキくんみんなで出迎えてあげよ~とかないの?」
「そんなちょっと退院するだけで大げさな……そもそも大勢で騒いで喜ぶタイプですか? 退院したと言っても病み上がりでしょう、そっとしておいた方がいいのでは?」
「……せーか?」
「喜ぶは喜ぶと思うけど」
「なんでお兄ちゃんの俺じゃなくてセイカに聞くんだよ」
「だってせーかのが分かってそうなんだもん……あっしぐは? しぐしぐは来るよね~?」
「ぅ、ん……」
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